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キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム UPDATE コモンズ

国内特許コード P150012251
整理番号 NU-599
掲載日 2015年9月1日
出願番号 特願2015-099592
公開番号 特開2016-214093
出願日 平成27年5月15日(2015.5.15)
公開日 平成28年12月22日(2016.12.22)
発明者
  • 寺倉 精太郎
  • 清井 仁
  • 酒村 玲央奈
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】キメラ抗原レセプターによる本来の治療効果を維持しつつ、副作用を低減できる新たな手段を提供することを課題とする。
【解決手段】tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、を含む、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システムが提供される。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


キメラ抗原レセプター(Chimeric Antigen Receptor。以下、「CAR」とも呼ぶ)は、抗体の単鎖可変領域を細胞外ドメインとし、それに膜貫通領域とCD3ζと共刺激シグナルを伝える分子の細胞内ドメインをつないだものである。抗体の特異性に従って抗原に結合することによりT細胞にシグナルが伝達され標的細胞の傷害・サイトカイン放出・刺激後のT細胞分裂が起こる。遺伝子導入によってT細胞に特異性を与えることが可能であり、細胞の調製は内在性の腫瘍特異的T細胞レセプター(TCR)陽性T細胞を培養増幅する場合に比べて総じて容易である。また、CARを利用した治療法(CAR-T療法)は、抗体療法と比べて高い細胞傷害活性を示すこと、1回の輸注で抗原刺激によって自律的に増幅するために複数回の治療が必要ない点において優れている。TCR遺伝子導入では、HLAとその上に提示されるペプチドの複合体を標的としているために、患者が特定のHLAを持つ場合にのみ治療可能であるが(HLA拘束性)、CARにはHLA拘束性がない点においてより有利である。すなわち腫瘍細胞に標的抗原が陽性であれば、標的抗原陽性の全ての患者を対象として治療が可能である。その一方で、抗原陽性であれば全ての細胞を標的とするため、標的細胞以外に抗原が発現している場合には正常組織も標的としてしまう(On-target副反応)。こうした通常は起こりえないような過剰に強力な免疫反応により、高い臨床的有効性を示しているが、その反面、強い免疫反応をコントロールできず不帰の転帰をとる症例も存在する。また、これまでのところ、CD19/20のような分化抗原以外には完全に腫瘍細胞特異的な標的抗原は得られておらず、どうしても多少の正常組織での標的抗原の発現は見られることから、上記のような強力な免疫反応が正常組織で起こってしまう可能性があることは、CAR-T療法が今後汎用性を高める際に問題となりうる。



CARは、CD28や4-1BBなどの細胞内ドメインをCD3ζとつなぐことによって、標的細胞から共刺激が伝わらなくても、CARからのシグナルだけで共刺激があったように活性化することが出来る。通常、腫瘍細胞はCD80/86などのリガンドは発現していないため、内在性の腫瘍特異的なT細胞が存在したとしても不完全な刺激しか伝わらず、anergyに陥ってしまう可能性があるが、CARは標的抗原との結合という、ひとつのシグナルだけで共刺激も賄うことが出来る。このことはTCR遺伝子導入療法と比べて有利な点であると同時に上記のような過剰な免疫反応の原因といえる。



CAR-T療法は前述のようにその標的抗原が腫瘍以外に少しでも発現していると、On-target副反応が発現し、大きな副作用に見舞われ、時に致死的となることがあった。そのため、前述のように標的抗原の選択が最も重要であり、これまで行われてきたCAR-T療法の臨床試験において最も先行しているのはCD20/CD19などのB細胞分化抗原である。ペンシルベニア大学のグループはマウス由来のCD19単鎖抗体と4-1BBの細胞内ドメインを前述のようにつないでCARを作成し、化学療法抵抗性慢性リンパ性白血病の末梢血T細胞に遺伝子導入した。これを患者に投与するとほとんどの場合において寛解が得られるという驚異的な効果を報告している(非特許文献1)。CD19CAR-T療法の有効性は特許文献1、非特許文献2においても報告されている。

産業上の利用分野


本発明はキメラ抗原レセプター遺伝子を発現させるためのシステム及びその用途に関する。詳しくは、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子の発現の制御が可能なシステム及びそれを用いた治療等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、
免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、
を含む、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム。

【請求項2】
標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子が、CD19キメラ抗原レセプター遺伝子である、請求項1に記載のシステム。

【請求項3】
CD19キメラ抗原レセプターが、抗CD19モノクローナル抗体のscFv断片を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、免疫細胞のエフェクター機能のための細胞内シグナルドメインと、を含む、請求項2に記載のシステム。

【請求項4】
第1発現カセットが検出用遺伝子を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。

【請求項5】
検出用遺伝子が、自己開裂ペプチドをコードする配列を介して標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子に連結している、請求項4に記載のシステム。

【請求項6】
検出用遺伝子が細胞内ドメインを欠く上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子である、請求項4又は5に記載のシステム。

【請求項7】
第1発現カセットが第1ベクターに保持されており、第2発現カセットが第2ベクターに保持されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。

【請求項8】
第1発現カセットと第2発現カセットが一つのベクターに保持されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。

【請求項9】
ベクターがレトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターである、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。

【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のシステムが導入された免疫細胞。

【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載のシステムがトランスポゾンを利用して導入された免疫細胞。

【請求項12】
免疫細胞がT細胞である、請求項10又は11に記載の免疫細胞。

【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の免疫細胞を治療上有効量含む、細胞製剤。

【請求項14】
tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、を保持するベクター。

【請求項15】
レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターである、請求項14に記載のベクター。

【請求項16】
請求項10~12のいずれか一項に記載の免疫細胞を、治療上有効量、がん患者に投与するステップを含む、がんの治療法。
国際特許分類(IPC)
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