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細胞増殖抑制活性を有する化合物、医薬組成物及びスクリーニング方法

国内特許コード P150012256
整理番号 S2013-1311-N0
掲載日 2015年9月4日
出願番号 特願2013-185327
公開番号 特開2015-051946
出願日 平成25年9月6日(2013.9.6)
公開日 平成27年3月19日(2015.3.19)
発明者
  • 菊田 敏輝
  • 並木 秀男
出願人
  • 学校法人早稲田大学
  • 株式会社フロンティア
発明の名称 細胞増殖抑制活性を有する化合物、医薬組成物及びスクリーニング方法
発明の概要 【課題】生体内に常在し、細胞情報伝達系に影響する化合物を利用することにより、正常な細胞、組織及び器官への影響が小さく、腫瘍細胞のみを増殖抑制又は死滅可能であり、副作用がなく安全性の高い、悪性腫瘍の治療及び/又は予防のための医薬組成物の提供。
【解決手段】下記式1で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む、悪性腫瘍の治療及び/又は予防のための医薬組成物。



Xは、O又はS、nは0、1又は2、mは0ないし5の整数、lは0、1又は2、R、RはH、-CH、-CHOH、リン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、又は、RとRのリン酸基を共有するリン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、RはH、-CH又は-CHOH、RはF、-NH又はN、及び、Wは複素環及びその誘導体を表す。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



現在、我が国における死因の第一位は、悪性腫瘍であり、悪性腫瘍に対する治療及び/又は予防のために多くの抗腫瘍剤が開発されている。そして、これらの抗腫瘍剤として、多くのヌクレオシド誘導体が開発されている。





ヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、及び、シチジン)のリン酸化エステル誘導体であるヌクレオチドは、遺伝情報の保存や発現をつかさどるDNAやRNAの構成成分として生体内に豊富に存在し、種々の生命現象で重要な役割を果たしていることが知られている。例えば、アデノシン5’-3リン酸は、高エネルギー物質として生体内のエネルギー代謝に関与している。また、環状リン酸エステル誘導体であるcAMP及びcGMPは細胞内でセカンドメッセンジャーとして細胞内情報伝達に関与している。





また、ヌクレオシドのプリン塩基やピリミジン塩基の構造の一部を修飾した誘導体、糖部分の水酸基を置換又は修飾した誘導体、及び、糖部分を伴わないプリン塩基やピリミジン塩基自体の誘導体が、前記ヌクレオチドの疑似化合物として生体内で作用する特性を利用して、抗腫瘍剤として使用されている。具体的には、前記抗腫瘍剤としてシタラビン(Ara-C)、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル(5-FU)等をはじめとした多くの化合物が腫瘍治療の化学療法で使用されている(特許文献1~3)。





しかし、一般的にこれらの薬剤を用いる化学療法では、副作用が深刻な問題となる。例えば、シタラビンはDNAポリメラーゼを阻害し(非特許文献1)、ゲムシタビンはDNA合成を直接的及び間接的に阻害し(非特許文献2)、5-フルオロウラシルは、チミジル酸合成を阻害して腫瘍細胞の増殖を抑制することを目的とする(非特許文献3)が、これらの薬物は生体内の腫瘍細胞以外の細胞に作用し、副作用を発現するとの問題を有する。





一方、細胞には、DNA損傷修復に代表される自己修復・自己治癒機能が存在し、個々の細胞が生きていくために必要とされる能力である。これにより、細胞内で問題が生じた場合でも、ある程度までは自己修復・自己治癒することが可能である。これは組織や器官レベルにおいても同様であり、外傷が治癒したり、手術で一部摘出された肝臓が元の大きさに回復したりする現象がよく知られている。





このような自己修復・自己治癒機能は、腫瘍形成に対しても発揮されると考えられ、正常細胞から腫瘍細胞への何らかの情報伝達が存在すると予想された。そして、5’-ヌクレオチダーゼは、腫瘍患者の血清濃度の上昇が認められるところから(非特許文献4)、この情報伝達を担う化合物として、遺伝情報の保存や発現に関与し、生体内に常在するヌクレオシド誘導体が利用されると予想された。すなわち、ヌクレオシド誘導体は、腫瘍化した細胞に対してその活動を停止させる何らかの特性を有すると考えられた。また、この特性を有する化合物を利用することにより、腫瘍細胞への選択的作用の向上との従来の抗腫瘍剤にない優れた特性を有する抗腫瘍剤又は腫瘍治療用医薬組成物の創製が期待された。

産業上の利用分野



本発明は、腫瘍細胞への細胞増殖抑制活性の選択性の高いヌクレオシド誘導体化合物、及び該化合物を有効成分として含有する腫瘍の治療及び/又は予防のための医薬組成物に関する。また、本発明は、腫瘍細胞の細胞膜上に存在する酵素及び/又は腫瘍細胞から細胞外に分泌される酵素により代謝されることにより、細胞内に取り込まれ、細胞増殖抑制作用を発現する化合物のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記式1で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【化1】



前記式1において、
Xは、O又はS、
nは0、1又は2、
mは0ないし5の整数、
lは0、1又は2
RはH、-CH3、-CH2OH、リン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、又はR1のリン酸基と共有するリン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、
1はH、-CH3、-CH2OH、リン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、又は、前記Rのリン酸基を共有するリン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、
2はH、-CH3又は-CH2OH、
3はF、-NH2又はN3、及び、
Wは複素環及びその誘導体を表す。

【請求項2】
前記Wは、ピリミジン基又はその誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。

【請求項3】
前記Wは、下記式2で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【化2】



前記式2において、R4及びR5は、独立して、H、-OH、-NH2、-CH3、-CH2CH3、-CH2OH、-NHCOCH3、-OCOCH3又は-CH2OCOCH3を表す。

【請求項4】
前記式2において、R4はアミノ基であることを特徴とする、請求項1ないし3に記載の化合物。

【請求項5】
前記式1において、
XはO、
nは1、
mは1、
lは0、
RはH、
1は-CH2OH、リン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、又は、前記Rのリン酸基を共有するリン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、及び、
2はHであることを特徴とする、請求項1ないし4に記載の化合物。

【請求項6】
前記式1において、2-デオキシ-D-リボース及び2-ヒドロキシ-D-リボース、又は、その5’-1リン酸エステル体がWに結合することを特徴とする、請求項1ないし5に記載の化合物。

【請求項7】
前記式1で表される化合物は、腫瘍細胞の細胞膜上の、又は細胞外に分泌されたヌクレオチダーゼによりチミジンに代謝され、細胞に取り込まれることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。

【請求項8】
請求項1ないし7に記載の化合物及び/又は薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を含有することを特徴とする、医薬。

【請求項9】
請求項1ないし7に記載の化合物及び/又は薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を含有することを特徴とする、悪性腫瘍の治療及び/又は予防のための医薬組成物。

【請求項10】
前記式1で表される化合物に、さらに、細胞増殖抑制活性を有する他の化合物を含有することを特徴とする、悪性腫瘍の治療及び/又は予防のための医薬組成物。

【請求項11】
前記抗腫瘍活性を有する他の化合物は、パクリタキセル、タキサジエン、バッカチンIII、ドセタキセル、タクスチニンA、ブレビフォリオール、タキサスパインD、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、シスプラチン、ムスチン、シクロホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ミトラマイシン、ブレオマイシン、プロカルバジン、メトトレキサート、エトポシド、イリノテカン、タモキシフェン、イマチニブ、アフィディコリン、オファツムマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、イブリツモマブ チウキセタン、トラスツズマブ、パニツムマブ、モガムリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、及び、リツキシマブからなる群から選択される1種以上の化合物であることを特徴とする、請求項10の医薬組成物。

【請求項12】
培養細胞の細胞膜上に存在する酵素及び/又は培養細胞から細胞外に分泌される酵素により代謝されることにより、細胞内に取り込まれ、細胞増殖抑制作用を発揮することを特徴とする化合物のスクリーニング方法。

【請求項13】
前記培養細胞は、腫瘍細胞であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記酵素は、ヌクレオチダーゼであることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。

【請求項15】
前記化合物は、下記式1で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩であることを特徴とする、請求項12ないし14に記載の方法。
【化3】



前記式1において、
Xは、O又はS、
nは0、1又は2、
mは0ないし5の整数、
lは0、1又は2
RはH、-CH3、-CH2OH、リン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、又はR1のリン酸基と共有するリン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、
1はH、-CH3、-CH2OH、リン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、又は、前記Rのリン酸基を共有するリン酸基でエステル化されたヒドロキシメチル基、
2はH、-CH3又は-CH2OH、
3はF、-NH2又はN3、及び、
Wは複素環及びその誘導体を表す。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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