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ネットワークポリマー及びポリマーゲル電解質 新技術説明会

国内特許コード P150012274
整理番号 S2013-1425-N0
掲載日 2015年9月4日
出願番号 特願2013-209430
公開番号 特開2015-074657
出願日 平成25年10月4日(2013.10.4)
公開日 平成27年4月20日(2015.4.20)
発明者
  • 山吹 一大
  • 鬼村 謙二郎
  • 堤 宏守
  • 吉本 信子
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 ネットワークポリマー及びポリマーゲル電解質 新技術説明会
発明の概要 【課題】複数の環状化合物が直鎖状化合物に貫かれたロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーを得ること、及び、マグネシウム二次電池等の非水電解質二次電池用電解質として使用することができる、高い安全性及び高い堅牢性、並びに高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質を提供する。
【解決手段】ロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーは、式(I)



で表される直鎖状単位1単位につき、両末端不飽和結合を有するクラウンエーテル化合物単位1~(m+1)単位が串刺し状に包接してなる単位(A)を有するネットワークポリマー。また、R-Mg-Xで表される化合物を含む溶液を用いたポリマーゲル電解質は、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持ち、マグネシウム二次電池等の非水電解質二次電池用電解質として使用することができる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



従来より、ゲル材料は、食品、医療品、生活用品及び工業製品等に幅広く利用されており、これに用いられる高分子化合物の種類も多様であるが、構造という観点から眺めてみると、物理ゲルと化学ゲルのわずか2種類しか存在しない。





物理ゲルは、ゼラチンや寒天などのように自然界でよく見られるゲルであり、また、生体組織の大半も多種多様な物理ゲルが占めている。

かかる物理ゲルは、高分子間に働く物理的引力相互作用によってネットワークを構成しているため、温度や溶媒に対する安定性が低い。





一方、化学ゲルは、ネットワーク全体が共有結合で直接つながった巨大な1分子であるため、温度や溶媒に対する安定性に優れており、多方面に産業利用されている。

しかし、化学ゲルでは、架橋点が固定されているため、架橋反応において形成される不均一な構造が永久に保持され、機械強度が著しく低いという欠点があった。





これに対し、近年では、斬新な手法を用いて物理ゲル、化学ゲルのいずれにも分類されない新しい種類のゲル、即ち「環動ゲル」又は「トポロジカルゲル」が提案されており、このような環動ゲルには、ポリロタキサンが用いられている。

このポリロタキサンは、環状化合物(回転子:rotator)の開口部を直鎖状分子(軸:axis)で串刺し状に貫通して環状化合物が直鎖状分子を包接し、且つ環状化合物が脱離しないように直鎖状分子の両末端に封鎖基を配置して成るもので、かかるポリロタキサンを複数架橋して成り、環動ゲルに適用可能な架橋ポリロタキサンが開示されている(特許文献1~9参照)。





この架橋ポリロタキサンは、直鎖状分子に串刺し状に貫通されている環状化合物が当該直鎖状分子に沿って移動可能(滑車効果)なために粘弾性を有し、張力が加わっても、この滑車効果によって当該張力を均一に分散させることができるので、従来の架橋ポリマーとは異なり、クラックや傷が極めて生じ難いという優れた性質を有するものである。





しかしながら、これら架橋ポリロタキサンは刺激応答性が低く、製造に多段階を要するなどの課題を有している。

これら架橋ポリロタキサンに対し、本発明者らにより、擬ロタキサンが重合した高分子化合物から成るゲルが報告されている(非特許文献1)。当該高分子化合物は、製造が容易であることから、さらなる応用が期待されている。





一方、ゲル材料の応用分野として、リチウムイオン二次電池などに使用される電解液をゲル化させたゲル電解質の開発が検討されている。例えば特許文献10及び11には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、ポリアクリロニトリル(PAN)などのポリマーに電解液を混合し、加熱することでポリマーを電解液に溶解させ、その後冷却することでゲルを作製することが開示されている。





これらゲル電解質を用いた電池は、ゲルによって電解液が保持されるために、液漏れが起こりにくいという利点を有していた。しかし、従来のゲル電解質では、電解液の使用量が多く、熱安定性も不十分であることから、依然として安全性の点で改良が求められていた。





上記問題点を解決するため、本発明者らは、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質を得ることを目的とし、クラウンエーテルを用いたロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーの構築に成功し、且つ、当該ネットワークポリマーから得られるポリマーゲル電解質が、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つことを見出している(特許文献12)。





また、現在、次世代二次電池として期待されている電池の一つに、多価イオン電池がある。例えば、負極活物質に2価(多価)のマグネシウムを用いたマグネシウムイオン二次電池は、負極活物質に1価のリチウムを用いたリチウムイオン二次電池に比べ、エネルギー密度の向上が期待できる。現在の電気自動車において、リチウムイオン二次電池による走行距離は150km程度であるが、二次電池のエネルギー密度を高めることで、走行距離を延ばすことができる。





一方で、金属マグネシウムは常温では不動態被膜を形成し、可逆的な溶解析出反応に至らないという課題があり、マグネシウムイオン二次電池は実用段階には至っていない。その解決手段の一つとして、グリニャール試薬と、有機金属化合物(例えば、CMgCl)またはマグネシウム以外の塩(例えば、(CAlCl)とをテトラヒドロフランに溶解した電解液が開示されている(特許文献13)。





発明者らもこれまでに、グリニャール試薬の不揮発性のアンモニウム系イオン液体の溶液を電解液として用いることで、グリニャール試薬単体の場合よりも安全性に優れ、高いイオン伝導度を有し、且つ良好なマグネシウムの溶解析出の可逆性を示す、マグネシウムイオン二次電池用電解液を見出している(非特許文献2)。





さらに、発明者らは、イミダゾリウム系イオン液体又はピロリジニウム系イオン液体と、グリニャール試薬から成るマグネシウムイオン二次電池用電解液も見出している(特許文献14)。





しかしながら、グリニャール試薬は、反応性が高く、液漏れによって大きな事故を引き起こす可能性が高いという問題点がある。液漏れを防止するために、リチウムイオン二次電池と同様にポリマーゲル電解質を用いることが効果的であるが、通常のアクリル樹脂系等のネットワークポリマーはグリニャール試薬に対する耐性が低く分解してしまう。

産業上の利用分野



本発明は、クラウンエーテルを有する新規ネットワークポリマーに関し、また、ネットワークポリマーを含有するポリマーゲル電解質、さらに該ポリマーゲル電解質を含有する二次電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)
【化1】


(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、-O-を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1~15の2価の炭化水素基を表し、mは1~10のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)、又は下記式(I’)
【化2】


(式中、R、R、R、及びmは、式(I)における定義と同じであり、R及びRは、同一又は異なって、求電子剤由来の残基を表す。)で表される直鎖状単位の1単位につき、下記式(II)
【化3】


(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1~15の2価の炭化水素基を表し、nは、3又は4の整数を表す。)で表される環状単位の1~(m+1)単位(ただし、mは式(I)におけるmと同義である)が串刺し状に包接してなる単位(A)を有するネットワークポリマー。

【請求項2】
単位(A)を2~1000有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマー。

【請求項3】
式(II)で表される環状単位が、下記式(III)
【化4】


(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1~15の2価の炭化水素基を表し、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。)で表される単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワークポリマー。

【請求項4】
式(III)で表される単位が、下記式(IV)
【化5】


(式中、n3及びn4は、同一又は異なって、1~14のいずれかの整数を表し、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。)で表される単位であることを特徴とする請求項3に記載のネットワークポリマー。

【請求項5】
式(I)で表される直鎖状単位が、下記式(V)
【化6】


(式中、R、R、R、及びZは、式(I)における定義と同じである)で表される単位であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のネットワークポリマー。

【請求項6】
第1工程:式(VI)
【化7】


(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、-O-を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1~15の2価の炭化水素基を表し、mは1~10のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)で表される直鎖状化合物と、
下記式(VII)
【化8】


(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1~15の2価の炭化水素基を表し、nは、3又は4の整数を表す。)で表される環状化合物とを反応させて、
前記式(VI)で表される直鎖状化合物1分子に対して、前記式(VII)で表される環状化合物1~(m+1)分子(ここで、mは式(VI)のmと同義である)が串刺し状に包接してなる構造を有する化合物(A’)を生成させる工程、及び、
第2工程:前記化合物(A’)をオレフィンメタセシス重合する工程
を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のネットワークポリマーの製造方法。

【請求項7】
第1工程又は第2工程の後、
第3工程:生成物に求電子剤を反応させて、
式(I)
【化9】


(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、置換又は非置換の、-O-を有していてもよい炭素数1~15の2価の炭化水素基を表し、mは1~10の整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)で表される単位を、式(I’)
【化10】


(式中、R、R、R、及びmは、式(I)における定義と同じであり、R及びRは、同一又は異なって、求電子剤由来の残基を表す。)で表される単位に変換する工程を有することを特徴とする請求項6に記載のネットワークポリマーの製造方法。

【請求項8】
電解液中に、請求項1~5のいずれかに記載のネットワークポリマーを含有することを特徴とするポリマーゲル電解質。

【請求項9】
電解液が臭化エチルマグネシウムのジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩溶液であることを特徴とする請求項8に記載のポリマーゲル電解質。

【請求項10】
請求項8又は9に記載のポリマーゲル電解質を用いることを特徴とする二次電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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