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炭化珪素基板、炭化珪素基板製造方法、半導体素子

国内特許コード P150012286
整理番号 S2014-0127-N0
掲載日 2015年9月9日
出願番号 特願2013-227890
公開番号 特開2015-086123
出願日 平成25年11月1日(2013.11.1)
公開日 平成27年5月7日(2015.5.7)
発明者
  • 長澤 弘幸
  • 末光 眞希
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 炭化珪素基板、炭化珪素基板製造方法、半導体素子
発明の概要 【課題】表面の欠陥密度を低減し、半導体素子の配置や面積に制限を及ぼすことの無い基板表面を提供し、かつ炭化珪素形成後においても転位の運動を制限する構造を付与する方法を提供する。
【解決手段】立方晶炭化珪素基板11を用い、その主表面12を原子の最密面の一つに平行なものとし、表面12と平行な積層欠陥(SFP)13によって表面12と非平行な積層欠陥(SFN)14の端辺をなす転位16を不動化させ、表面12への露出を防ぐ。また、このような基板11を作製するため、立方晶炭化珪素基板11は下地となる基板の主表面に露出した原子の配置を受け継ぐエピタキシャル成長により形成され、特定の最密面に平行な面(P面)12を形成する工程と、いずれの最密面とも平行ではない面(N面)を形成する工程を含ませ、N面を形成する工程においては、N面の面積がP面12の面積を上回るようにして、SFP13の優先的な導入を図る。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



電力制御を高効率化させるために用いられる半導体素子の基板材料として、炭化珪素が用いられている。炭化珪素を用いると、その絶縁破壊電界強度の高さから、従来用いられているシリコン基板上よりも、低抵抗、かつ高耐圧で半導体素子を動作させることができる。しかしながら、炭化珪素基板にはシリコン基板よりも高密度の格子欠陥が含まれており、それらが半導体素子の性能に少なからず悪影響を及ぼす。たとえば、積層欠陥や転位などの構造欠陥は電流漏洩や絶縁破壊、あるいは順方向電圧の変動をもたらし、電力用半導体素子の性能や信頼性を著しく損なう。このため、半導体素子の基板として用いられる炭化珪素基板に対しては、欠陥密度の低減が望まれる。





以下には炭化珪素基板を形成する際の欠陥低減方法の従来例を述べる。

炭化珪素内の構造欠陥を低減させる方法としては、たとえば、特開2012-072034に述べられているように、貫通転位を含む基板において、その表面の(0001)面の法線方向を偏向させるとともに、その基板端部に積層欠陥を発生させ、その積層欠陥構造を(0001)面内に拡張させて貫通転位を阻む方法が知られている。本方法では、所定の位置に積層欠陥を設ける工程が必要であり、その積層欠陥を基板表面に拡張するための付加的な結晶成長工程が必要となる。また、意図的に設けられた積層欠陥が基板表面に露出して残留してしまうという問題も生ずる。さらに、基板表面の法線方向を[0001]方位から偏向させなければならないので、基板加工時に偏向角に依存した切断破片が生じるなどの無駄が発生する。





特開2011-207691に述べられているように、炭化珪素の種結晶を配置する台座に空洞を設け、その部分の放熱性を高めることによりマイクロパイプやらせん転位を発生させ、それ以外の領域における基底面転位や積層欠陥の発生を防ぐ方法も知られている。しかしながら、必然的に欠陥の密集箇所を基板内に形成することとなり、その領域を避けるような素子配置が強いられるので、半導体素子を製造する際の設計の自由度が損なわれるとともに、基板面積の利用効率が低減してしまい、素子のコストが増加してしまう。





特開2010-184833においては、貫通転位と[0001]軸の交差角度を22.5°以下とすることにより拡張転位への変換を抑制し、積層欠陥の発生を防いでいるが、立方晶炭化珪素においては、積層欠陥の発生するすべり面が1つに限られず、等価な4方位に平行であるため、貫通転位が積層欠陥に変換することを特定の面に対して抑制したとしても、他のすべり面上では抑制することができず、むしろ拡張を促進してしまう。





特開2007-318031においては、あらかじめ転位や積層欠陥の位置を特定し、それらの場所を避けるように半導体素子を配置することで、欠陥による悪影響を防いでいる。これは、特開2011-207691における問題点と同様に、半導体素子配置の自由度を損なうことを意味し、かつ、半導体素子の面積は配置された欠陥の間隔以下に制限されてしまうので、生産性や生産コストの増大につながる。





特開2001-247397においては、積層欠陥や刃状転位によって、らせん転位の軸方向に分断された炭化珪素単結晶を形成することにより電気的な異方性を抑制している。この方法により半導体素子特性の異方性は抑制されるものの、欠陥による特性劣化自体は避けがたく、半導体素子の性能向上やコスト低減にはつながらない。





炭化珪素内の積層欠陥を解消する手段としては、N.Hatta,T.Kawahara,K.Yagi、H.Nagasawa,S.Reshanov,A.Schoner,Mater.Sci.Forum 717-720(2012)pp.173-176(非特許文献1)に記載されているように、炭化珪素基板表面にライン アンド スペース加工を施し、その後にスペース部分の空隙が残るようにエピタキシャル成長を実施し、積層欠陥の伝播を空隙部分で終端する手段も知られている。ただし、この方法では隣接する空隙の間隔と空隙の高さの関係に一定の制限があるほか、空隙部分が実質的に基板の電気抵抗を増加させること、そして空隙間では転位が自由に運動し積層欠陥を空隙間隔まで拡大してしまうという問題がある。





T.Kawahara,N.Hatta,K.Yagi、H.Uchida,M.Kobayashi,M.Abe,H.Nagasawa,B.Zpppelius,G.Pensl:Materials Science Forum Vols.645-648、(2010)、pp.339-342(非特許文献2)に述べられているように、半導体素子の特性を劣化させる要因は、pn接合を横切る積層欠陥密度であることが知られており、逆バイアス時のリーク電流は積層欠陥密度の5乗に比例するので、実用的な半導体素子を得るためには、積層欠陥密度を100/cm以下まで低減しなければならない。

産業上の利用分野



本発明は、高機能半導体素子に用いられる炭化珪素基板に関するものである。特に、積層欠陥や転位などの構造欠陥を結晶内部に含みつつも、それらが結晶表面に露出することを阻み、半導体素子の安定動作を可能にすることを目的とする。

特許請求の範囲 【請求項1】
炭素と珪素の共有結合からなる結晶格子によって形成される板状の立方晶炭化珪素基板であり、その主表面は原子の最密面の一つに平行であり、その基板内部には最密面と平行な複数の積層欠陥を含んでおり、かつ、表面と平行な積層欠陥(SFP)と表面と平行ではない積層欠陥(SFN)を含んでおり、SFNの端辺をなす転位は不動転位であることを特長とする炭化珪素基板。

【請求項2】
請求項1記載の炭化珪素基板であり、SFNの端辺をなす不動転位はSFPに接していることを特長とする炭化珪素基板。

【請求項3】
請求項1または2記載の炭化珪素基板であり、基板の表面はSi極性の最密面からなることを特長とする炭化珪素基板。

【請求項4】
請求項1、2、または3記載の炭化珪素基板を製造する方法であり、その炭化珪素基板は下地となる基板の主表面に露出した原子の配置を受け継ぐエピタキシャル成長により形成され、特定の最密面に平行な面(P面)を形成する工程と、いずれの最密面とも平行ではない面(N面)を形成する工程を含むことを特長とする炭化珪素基板製造方法。

【請求項5】
請求項4記載の炭化珪素基板の製造方法であり、N面を形成する工程においては、N面の面積がP面の面積を上回ることを特長とする炭化珪素基板製造方法。

【請求項6】
一つ以上のpn接合と2つ以上の電極を有する半導体素子であり、その素子が請求項1、2、または3記載の炭化珪素基板上に形成されており、かつ、そのpn接合の主接合が基板の主表面に略平行であることを特長とする半導体素子。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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