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微生物を用いた炭化水素の製造方法

国内特許コード P150012303
整理番号 S2014-0163-N0
掲載日 2015年9月9日
出願番号 特願2013-237266
公開番号 特開2015-096050
出願日 平成25年11月15日(2013.11.15)
公開日 平成27年5月21日(2015.5.21)
発明者
  • 渡邉 信
  • 彼谷 邦光
  • 小瀬 良治
  • 松浦 裕志
  • 小出 昌弘
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 微生物を用いた炭化水素の製造方法
発明の概要 【課題】炭化水素を産生する微生物の培養において炭化水素を効率よく産生することを可能にする方法の提供。
【解決手段】本発明者らは、炭化水素産生微生物の培養において、KLa(酸素移動容量係数)が一定であるにも拘らず、撹拌動力の増減に伴い炭化水素の生産効率が増減するという現象を初めて見出し、かかる現象は、撹拌動力が、培養系への酸素の移動量から独立して、微生物の生理活性に影響を及ぼしていることを示唆する。かかる新規かつ驚異的な知見を利用して、本発明者らは、撹拌動力と通気量の関数により導き出される酸素移動容量係数、及び撹拌動力から導き出される撹拌器線速度の両変数を調整制御して、それらを微生物の炭化水素産生効率が最大となる所定の数値範囲内に維持することにより、従来技術よりも確実に微生物の最適な培養条件を特定できること見出し、本発明を完成するに至った。
【選択図】図7
従来技術、競合技術の概要



生物細胞が産生する産物から得られるバイオマス、特にバイオ燃料は、近年、地球温暖化又は埋蔵資源の枯渇等の問題から注目を集めている。このバイオマスの中でも、微生物が産生する炭化水素やトリアシルグリセロール等のオイル又は多糖類は、食料と競合せず、大量培養が可能であることから、工業的利用の期待が高く、微生物からのバイオ燃料やその他の有用成分の獲得が有望視されている。しかしながら、工業的に微生物の大量培養を行うには、運転コストや、培地に用いる大量の水資源および栄養塩の確保等の、経済的な問題点を解決せねばならない。





一方で、微生物の増殖速度及び所望の化合物の生産速度は微生物の培養条件により著しく変動するため、微生物が最大の効率で目的の化合物を生産する培養条件の最適化は、工業的生産におけるコストを削減するのに極めて有用である。





従って、微生物を利用した有用成分の生産技術を工業的スケールで実現するにあたり、微生物の培養条件の最適化は、当該技術の経済的側面での有用性を向上させる点で、重要な技術である。





微生物を用いた炭化水素製造方法において、微生物の培養条件の僅かな差異により、生産効率が数倍、数十倍の尺度で変動することがある。故に、特に医薬や化粧品の材料等の希少な炭化水素を生産する場合や、大規模な培養系による生産を行う場合、予め実験段階で最適な培養条件を検討し、最大の効率で生産物を取得するように努めることにより、目的の生産技術の利用価値を飛躍的に高めることが出来る。





好気性微生物の培養において、培養環境への持続的な酸素の供給は必須であり、酸素供給のレベルは、微生物の増殖速度又は目的の化合物の生合成速度に顕著な影響を及ぼす。





液体培養の培養環境への酸素の供給は、酸素を含有する気体を液体培地に通気することにより行われる。この場合に、酸素の供給レベルを表現するパラメーターとして最も単純なのは、通気量である。しかしながら、通気量は、通気したガス中の酸素が液体培地中に移動する効率を直接反映するパラメーターではない。例えば通気量が一定であっても、液体培地を撹拌する速度が増大すれば、液体への酸素の移動量も増大することになる。





KLa(酸素移動容量係数)は、酸素が液体に移動する効率を表し、通気量と撹拌器回転数の関数で求められる。特に、培養槽の形式や規模が異なっても、KLaを等しくすれば同一の培養成績を得られるため、スケールアップが考慮される培養技術において重要視される。





微生物培養の増殖効率又は微生物による物質生産効率を最適化する指標としてKLaを採用している先行技術は幾つか存在する。





特開2007-195542(特許文献1)には、微生物農薬に用いられるバシルス属細菌の胞子を高濃度且つ高発芽率の状態で取得するために、KLaに基づく酸素供給量及び撹拌機の回転数調節が行われることが記載されている。





特開2010-213669(特許文献2)には、D-乳酸を生成する活性を有する微生物をKLaが所定の範囲内となる好気的条件下、グリセロールを炭素源とする培地で培養することにより、効率良くD-乳酸を得る方法が記載されている。また、特開2008-029272(特許文献3)には、5-アミノレブリン酸生産微生物であるロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides )を、KLaを好気条件での微生物の呼吸速度で除した値が所定の範囲となる条件下で培養することにより、当該微生物による高い生産性が実現すること、及び、この値が培養槽のスケールによらないことが記載されている。

産業上の利用分野



本発明は、炭化水素を産生することができる微生物を、撹拌動力と通気量が調整制御可能な培養装置を用いて、撹拌動力と通気量で制御される酸素移動容量係数及び撹拌動力で制御される撹拌器線速度の両変数を制御しながら培養することを特徴とする炭化水素の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
炭化水素を産生することができる微生物を、少なくとも炭素源および窒素源を含む培地中で、撹拌動力と通気量が調整制御可能な培養装置を用いて、撹拌動力と通気量で制御される酸素移動容量係数及び撹拌動力で制御される撹拌器線速度の両変数を制御しながら培養すること、を特徴とする炭化水素の製造方法。

【請求項2】
前記培養装置を用いて、酸素移動容量係数(KLa)が10(hr-1)から30(hr-1)となるように、撹拌動力と通気量が調整制御されること、を特徴とする請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
前記酸素移動容量係数が、15(hr-1)から20(hr-1)であること、を特徴とする請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記培養装置を用いて、撹拌器線速度が40(m/ min)から60(m/min)となるように、撹拌動力と通気量が調整制御されること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項5】
前記撹拌器線速度が43(m/ min)から56(m/ min)であること、を特徴とする請求項4に記載の製造方法。

【請求項6】
前記培養が、72~120時間実施される、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項7】
前記培養が、84~108時間実施される、請求項6に記載の製造方法。

【請求項8】
前記炭化水素がスクワレンである、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項9】
前記微生物がラビリンチュラ綱生物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項10】
前記微生物がオーランチオキトリウム属生物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項11】
前記微生物がオーランチオキトリウム属tsukuba-3株(FERM AP-22047)である、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項12】
前記培養装置が、培養槽、スパージャ、撹拌器、邪魔板、及び造波板のいずれか1つ以上を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項13】
前記培養装置が撹拌器と培養槽を備える場合であって、その撹拌器の直径が培養槽の内径の55~65%である、請求項12に記載の製造方法。

【請求項14】
前記培養装置が撹拌器と培養槽を備える場合であって、その撹拌器の直径が培養槽の内径の57~60%である、請求項13に記載の製造方法。

【請求項15】
前記培養装置が邪魔板と撹拌器と培養槽を備える場合であって、その邪魔板と撹拌器との間隙が培養槽の内径の20~25%である、請求項12~14のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項16】
前記培養装置が邪魔板と撹拌器と培養槽を備える場合であって、その邪魔板と撹拌器との間隙が培養槽の内径の22~24%である、請求項15に記載の製造方法。

【請求項17】
前記培養装置の培養槽内上部に造波板を備える場合であって、その造波板の高さの下部20~60%が培養液中に浸漬するように設置する、請求項12~16のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項18】
請求項1~17の方法を実施するための培養装置において、
培養槽と、
該培養槽内に配設された撹拌器と、
前記培養槽内において前記撹拌器の上方部分に配置された造波板と、
前記培養槽の底部に配置されたスパージャとを具備した培養装置。

【請求項19】
前記撹拌器は、前記培養槽内を上下方向に延びる回転軸に固定された少なくとも2枚の羽根を具備しており、該羽根は、前記回転軸からオフセットされ該回転軸に対して平行な平面内に配置されている請求項17に記載の培養装置。

【請求項20】
前記少なくとも2枚の羽根の各々は、その上方部分にのみ複数の開口部が形成されている請求項19に記載の培養装置。

【請求項21】
前記造波板は、前記培養槽内の培地の表面を横断するように配置された複数の開口部を有した板部材より成る請求項18に記載の培養装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013237266thum.jpg
出願権利状態 公開
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