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ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する新規化合物、その製造方法及び用途

国内特許コード P150012307
整理番号 S2014-0147-N0
掲載日 2015年9月9日
出願番号 特願2013-229184
公開番号 特開2015-089871
出願日 平成25年11月5日(2013.11.5)
公開日 平成27年5月11日(2015.5.11)
発明者
  • 今田 千秋
  • 春成 円十朗
  • 五十嵐 康弘
出願人
  • 国立大学法人東京海洋大学
  • 富山県
発明の名称 ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する新規化合物、その製造方法及び用途
発明の概要 【課題】ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化合物、とその製造方法、及び、該化合物を有効成分とする医薬品、化粧品及び飲食品の提供。
【解決手段】ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する放線菌の菌株が生産する、式(I)の化合物。



【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



ヒアルロン酸は、皮膚・関節液などの組織に多く存在するムコ多糖の一種であり、例えば、皮膚においては、細胞の保護・栄養の運搬・組織水分の保持・柔軟性の維持等に、また、関節液としては、組織構造・機能の維持及び潤滑性の保持等に重要な役割を果たしている。皮膚や関節等の生体中のヒアルロン酸量は、老化又は病的状態により減少し、それが皮膚の乾燥、弾力性の低下、シワの増加、肌荒れ、或いは関節の湿潤性悪化による関節痛等を引き起こすことが知られている。





一方、ヒアルロニダーゼは、皮膚、血管、関節など生体中に広く分布する高分子多糖であるヒアルロン酸を分解する酵素である。皮膚のヒアルロン酸は細胞間隙に水を保持し、弾力性、柔軟性、保湿性を保つ役割をしているが、年齢をかさねるにつれて減少し、その結果、シワの形成や、かさつきなどの皮膚の老化をもたらす。そこで、ヒアルロン酸を分解するヒアルロニダーゼの活性を阻害し、生体内のヒアルロン酸の安定性を増大させ、ヒアルロン酸の持つ、細胞の保護や、組織構造・機能の維持及び潤滑性の保持等の機能の維持を図ることが試みられている。また、近年、ヒアルロニダーゼは、じんましん、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー反応の原因であるヒスタミンの遊離抑制活性とヒアルロニダーゼ阻害活性との相関が注目されている(Immunopharmacology, 2,p139-146, 1980.)。これは、ヒアルロニダーゼが炎症時に活性化されることにより、結合組織のマトリックスを破壊し、炎症系の組織への浸潤・血管の透過性を亢進する可能性があるからである。また、ヒアルロニダーゼがI型アレルギーにおける肥満細胞からのヒスタミンの遊離の過程に介在している可能性が高いからである。したがって、ヒアルロニダーゼは生体内での炎症反応の引き金になる酵素と考えられている。





これらのヒアルロニダーゼの活性を阻害して、皮膚のヒアルロン酸の作用による弾力性、柔軟性、保湿性を保つ役割のために、ヒアルロニダーゼ阻害剤を化粧品として皮膚に塗布したり、或いは、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息、食物アレルギー等のアレルギー性疾患の予防や改善効果のために、ヒアルロニダーゼ阻害剤を医薬品や、飲食品として摂取することにより、炎症反応、アレルギー反応を抑制する試みがなされている。





従来より、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する成分としては、各種のものが知られている。該ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する成分としては、植物等から抽出された数多くのものが開示されている。例えば、シャクヤク、オオレン、オオバク、ボタンピ、ゲンノショウコ、茶、クジン、シボタンツル、オドリコソウ、サルビア、西洋ネズ、ハマメリス及びバーチの抽出物が(特開平1-128933号公報)、香辛料またはハーブ、コーヒー豆、カカオ豆、クロレラ、きのこ類、バラ科の果実及びプロポリスの抽出物が(特開平3-209330号公報)、茶から抽出される茶ポリフェノール類の抽出物が(特開平6-9391号公報)、チンピ、キジツ及び羅漢果の抽出物が(特開平6-80576号公報)、ブナ科の植物であるウラジロガシ抽出物が(特開平6-239757号公報)、カシューナッツ殻油が(特開平6-329526号公報)、ウルシ科植物抽出物が(特開平7-10765号公報)、タマリンドの種皮が(特開平8-231347号公報)、緑藻類が(特開平9-67266号公報)、ブドウ種子及びブドウ搾汁粕の抽出物が(特開2000-26306号公報)、セイカズラが(特開2002-253830号公報)、ハマスゲ抽出物が(特開2003-137726号公報)、セイヨウシロヤナギ、ビワ、ライムが(特開2006-104098号公報)、アオギリ科ピンポンノキ属植物が(特開2007-45733号公報)、ヒマラヤユキノシタ属抽出物が、麹菌による大豆胚芽発酵物が(特開2012-12367号公報)、及び、ブドウの乳酸菌発酵物(特開2013-100243号公報)等がそれぞれ開示されている。





また、ヒアルロニダーゼ阻害活性化合物が開示されており、該化合物としては、例えば、プロアントシアニジンA誘導体が(特開平11-246562号公報)、ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導体が(特開2000-72665号公報)、アシルフロログルシノールが(特開2003-221333号公報)、ポリフェノール配糖体が(特開2003-327596号公報)、フラバン配糖体から誘導されたジヒドロカルコン化合物が(特開2004-43354号公報)、桂皮酸誘導体が(特開2007-161632号公報)、リグノフェノール誘導体が(特開2007-291034号公報)、ハロモナス属細菌から得られたD-ガラクトース、D-グルコン酸、及びD-マンノースからなる分子量150万~850万の多糖体が(特開2009-13240号公報)、コンドロイチン4-硫酸、コンドロイチン6-硫酸、ヒアルロン酸のそれぞれを構成する4糖又は6糖からなるオリゴ糖が(特開2011-68605号公報)、フキノール酸誘導体が(特開2011-213657号公報)、オオバコ科植物抽出水溶性多糖類サイリシウムシードガムの低分子化化合物が(特開2012-193134号公報)、イオタカラギーナン、カッパカラギーナンのようなカラギーナンが(特開2013-10700号公報)、及び、フェニルエタノイド配糖体が(WO2008/093678)開示されている。





他方、ストレプトマイセス(Streptomyces)属や、アクチノプラネス(Actinoplanes)属等の微生物が生産し、化学合成も行われている抗生物質にルブロマイシン(Rubromycin)が知られている(Eur. J. Org. Chem., vol.2007, No. 23, p3801- 3814, 2007.)。ルブロマイシン類は、基本骨格として、下記式(II)で表される構造を有する。





【化1】








上記基本骨格のルブロマイシンとしては、γ-ルブロマイシン、β-ルブロマイシン等が知られているが、γ-ルブロマイシンは、methyl(2R)-4’,9’, 10-trihydroxy -7’-methoxy -5’, 8’, 9-trioxo-spiro[3,4-dihydropyrano[4,3-g]chromene-2, 2’-3H-benzo[f]benzofuran ]-7-caruboxylate(CAS Number:27267-71-6)(上記式(II)において、R、R、R=H、R=-COOCH3)の構造を有する。β-ルブロマイシンは、上記γ-ルブロマイシンの構造において、5’,8’が、-OHに変換した構造を有する((CAS Number:27267-71-6)。これらのルブロマイシン類は、ヒトのテロメナーゼ阻害活性、及び、ヒト免疫不全ウイルス-1逆転写酵素阻害活性を有し、抗菌作用や、抗腫瘍作用を有する(Mol. Pharmacol. Vol. 38, No. 1, p20-25,1990.;Biochemistry, vol. 39, No. 20, p5995- 6002, 2000.;Angew. Chem. Int. Ed, vol. 48, No. 43, p7996-8000, 2009.)。 しかし、該ルブロマイシン類で、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有するものは知られていない。

産業上の利用分野



本発明は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物が生産するヒアルロニダーゼ阻害活性を有する新規化合物、該微生物を用いた新規化合物の製造方法、及び、該化合物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害活性に基く用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(I)
【化1】


で表される新規化合物HI0216、又はその製剤上許容される塩。

【請求項2】
請求項1に記載の式(1)で表される化合物HI0216を生産するストレプトマイセス属に属する菌を培養し、その培養物より化合物HI0216を採取することを特徴とするヒアルロニダーゼ阻害活性を有する新規化合物HI0216の製造方法。

【請求項3】
請求項1に記載の式(1)で表される化合物HI0216を生産するストレプトマイセス属に属する菌が、ストレプトマイセス・sp.EH0216株(特許微生物寄託センター受託番号NITE P-01736)であることを特徴とする請求項2に記載のヒアルロニダーゼ阻害活性を有する新規化合物HI0216の製造方法。

【請求項4】
特許微生物寄託センターに、受託番号NITE P-01736として寄託され、請求項1に記載の式(1)で表される化合物HI0216を生産するストレプトマイセス・sp.EH0216株、又はその変異株。

【請求項5】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物HI0216、又はその製剤上許容される塩を有効成分として含有するヒアルロニダーゼ活性阻害剤。

【請求項6】
請求項5に記載のヒアルロニダーゼ活性阻害剤を含有することを特徴とする医薬組成物。

【請求項7】
ヒアルロニダーゼ活性阻害剤を含有する医薬組成物が抗炎症剤であることを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。

【請求項8】
請求項5に記載のヒアルロニダーゼ活性阻害剤を含有することを特徴とする化粧品。

【請求項9】
請求項5に記載のヒアルロニダーゼ活性阻害剤を含有することを特徴とする飲食品。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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