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プロリルトリペプチジルペプチダーゼ阻害剤 UPDATE コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P150012359
整理番号 2015-1
掲載日 2015年10月14日
出願番号 特願2015-141260
公開番号 特開2017-019763
出願日 平成27年7月15日(2015.7.15)
公開日 平成29年1月26日(2017.1.26)
発明者
  • 芳本 忠
  • 中嶋 義隆
  • 西村 仁
  • 伊藤 潔
  • 安形 博菜
出願人
  • 学校法人常翔学園
発明の名称 プロリルトリペプチジルペプチダーゼ阻害剤 UPDATE コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】安全性に優れたプロリルトリペプチジルペプチダーゼ(PTP)阻害剤の提供、および、歯肉におけるPTP阻害効果を簡易に検出し得る検出方法を提供。
【解決手段】Oryza sativa由来の特定のアミノ酸配列からなるタンパク質を有効成分として含有する、PTP阻害剤。前記アミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、PTPに対する阻害活性を有するタンパク質又は、前記アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、PTPに対する阻害活性を有するタンパク質を有効成として含有するPTP阻害剤。また、PTP阻害剤の存在下で、媒体中にてゼラチンを含む構造体とPTPとを接触させ、PTP活性を検出する工程を含む、PTP阻害活性の検出方法。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


歯周病は成人の約60%が罹患していると言われている。歯周病は、発症すると歯肉の腫れ、出血、不快感をはじめ、歯を支える歯肉の退行・減少、歯肉の痛み、口臭などを呈し、悪化すると歯が抜け落ちてしまうことが知られている。歯周病菌の原因菌には、好気性あるいは嫌気性の十数種類の細菌がある。歯周病菌には、歯周病のみならず動脈硬化等の疾患への関与が認知されているものもあり、社会的問題となっている。



歯周病菌は特殊な代謝系を持ち、エネルギー源として糖を利用することができず、歯肉のコラーゲンを分解してアミノ酸を摂取してエネルギーを得ている。嫌気性の細菌のポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis (以下単に「P. gingivalis」と称する))は、歯周病の主な原因菌と考えられている。P. gingivalisは菌体内外に多くの強力なペプチダーゼ等のプロテアーゼ酵素群を産生し、これら酵素群が歯肉のコラーゲンを分解することが知らている。P. gingivalisの産生する酵素群として、コラーゲナーゼ、ジンジパイン(トリプシン様プロテアーゼ)、プロリルトリペプチジルペプチダーゼ(以下単に「PTP」と称する)、ジペプチジルペプチダーゼIV、アミノペプチダーゼN(以下単に「APN」と称する)等が挙げられる。



歯肉に含まれるコラーゲンは、3本螺旋構造をとり、プロリンを多く含むタンパク質である。一般的なプロテアーゼは3本螺旋構造のコラーゲンには作用できないが、コラーゲナーゼであれば作用することができる。コラーゲナーゼにより分解されて生成したペプチド断片は、プロリン(Pro)を多く含むため、APNでアミノ酸へ簡単には分解できない。PTPやジペプチジルペプチダーゼIVは、X-X-Pro単位やX-Pro単位での切断を触媒することにより、ペプチド断片からプロリンを除去する作用を有する。プロリンが除去されたペプチド断片は、APNによりアミノ酸単位にまで分解される。したがってX-X-Pro単位で切断するPTPは、Gly-X-Proの繰り返しが多いコラーゲンの分解において極めて重要な役割を持つ。



PTPをコードする遺伝子はPotempaらによって単離された(非特許文献1)。本発明者らは、PTPをコードする遺伝子を大腸菌にて発現させて結晶化を行い、得られた結晶についてX線結晶回折を行うことにより、酵素の立体構造を明らかにした(非特許文献2および3)。PTPは二量体で構成されており、単量体はプロペラドメインと触媒ドメインで構成されている。活性部位はSer、His、Aspの触媒三残基で構成されている。基質を認識する機構として疎水ポケットが存在しており、基質に含まれるプロリンがPTPのポケットにはまり込むことにより認識されることが報告されている。歯周病の治療や予防を目的として、プロテアーゼ阻害剤の開発が進められており、PTPに特異的な阻害剤として、H-Ala-Ile-pyrrolidin-2-yl boronic acidが化学合成されている(非特許文献5)。PTPと当該阻害剤との複合体について構造が解明され、PTPの触媒機構の詳細が明らかとなっている。しかしながら、かかる阻害剤はPTPと共有結合してしまうため、安全性に疑問があり、医薬品としての実用化は困難である。



安全性の高い歯周病の予防剤または治療剤の有効成分の開発のために、植物等の天然物に由来するプロテアーゼ阻害剤の探索が行われている。精白米から抽出したタンパク質が、アルギニン-ジンジパインに対する阻害活性を持つことが報告されている(特許文献1)。また、イネ由来成分であるタンパク質(Os03g0277300)が、歯周病菌に対して抗菌作用を発揮することが報告されている(特許文献2)。一方、イネ由来成分であるタンパク質(Os03g0277300)には抗微生物活性が見られなかったという報告もなされている(非特許文献4)。



また従来、PTP阻害活性の検出はアラニル・フェニールアラニル・プロリル・ベータナフチルアミド(Ala-Phe-Pro-beta-naphthylamide(以下「Ala-Phe-Pro-βNA」と称する))を基質として用いて行われていた(非特許文献5)。しかしながら、かかる従来法の基質は僅か3つのアミノ酸を含む合成基質であり、更にPTP阻害活性の測定には複雑な操作を要するという問題がある。

産業上の利用分野


本発明は、穀物類植物由来材料に含まれるタンパク質を有効成分として含有するプロリルトリペプチジルペプチダーゼ阻害剤および歯周病予防および/または治療剤に関する。また本発明は、プロリルトリペプチジルペプチダーゼ阻害効果の簡易な検出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)~(c)より選択されるいずれかのタンパク質を有効成分として含有する、プロリルトリペプチジルペプチダーゼ(PTP)阻害剤:
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、プロリルトリペプチジルペプチダーゼ(PTP)に対する阻害活性を有するタンパク質;
(c)配列番号1に示すアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、プロリルトリペプチジルペプチダーゼ(PTP)に対する阻害活性を有するタンパク質。

【請求項2】
有効成分が、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むタンパク質である、請求項1に記載のプロリルトリペプチジルペプチダーゼ(PTP)阻害剤。

【請求項3】
有効成分のタンパク質の分子量が25kDaである、請求項1又は2に記載のプロリルトリペプチジルペプチダーゼ(PTP)阻害剤。

【請求項4】
配列番号1に示すアミノ酸配列を含むタンパク質を有効成分として含有する、歯周病菌ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)のプロテアーゼ阻害剤。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1に記載の阻害剤を含有する、歯周病菌増殖抑制剤。

【請求項6】
請求項1~4のいずれか1に記載の阻害剤または請求項5に記載の歯周病菌増殖抑制剤を含有する、歯周病予防および/または治療剤。

【請求項7】
穀類植物由来材料から有効成分を単離することを含む、請求項1~4のいずれか1に記載の阻害剤、請求項5に記載の歯周病菌増殖抑制剤、あるいは、請求項6に記載の歯周病予防および/または治療剤の製造方法。

【請求項8】
PTP阻害剤の存在下で、媒体中にてゼラチンを含む構造体とPTPとを接触させ、PTP活性を検出する工程を含む、PTP阻害活性の検出方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015141260thum.jpg
出願権利状態 公開


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