TOP > 国内特許検索 > 細胞内へのミトコンドリア導入方法、外因性ミトコンドリアが導入された細胞及び動物の製造方法

細胞内へのミトコンドリア導入方法、外因性ミトコンドリアが導入された細胞及び動物の製造方法

国内特許コード P150012363
整理番号 AF35P002
掲載日 2015年10月15日
出願番号 特願2015-185058
公開番号 特開2017-055729
出願日 平成27年9月18日(2015.9.18)
公開日 平成29年3月23日(2017.3.23)
発明者
  • 小椋 利彦
  • 野村 慎一郎
  • 齋藤 明
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 細胞内へのミトコンドリア導入方法、外因性ミトコンドリアが導入された細胞及び動物の製造方法
発明の概要 【課題】細胞に内在するミトコンドリア(内因性ミトコンドリア)とは遺伝的に異なる外来のミトコンドリア(外因性ミトコンドリア)を細胞内に導入するための新たな技術の提供。
【解決手段】ミトコンドリアが封入され、負の表面電位を付されたGUVと、細胞と、の混合液に交流電場を印加して、前記GUVと前記細胞とを配列させる交流電場印加手順と、前記混合液に直流パルス電場を印加して、前記GUVの膜と前記細胞の膜とを少なくとも一部融合させる直流電場印加手順と、含む、細胞内へのミトコンドリア導入方法を提供する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


生物の生命活動に必要不可欠なATPを作り出すミトコンドリアには核DNAとは全く異なる独自のミトコンドリアDNA(mtDNA)が存在する。一細胞内に多コピー存在するmtDNAは2つのrRNA、22種類のtRNA、呼吸鎖酵素複合体の13種類のサブユニットをコードしている。



細胞内における病原性突然変異型mtDNAの蓄積が呼吸機能欠損を引き起こす。個体レベルにおいての影響としてはミトコンドリア病と呼ばれる複合症を引き起こすことが知られ、さらに神経変性疾患、糖尿病、難聴などの病気と関与している可能性が示唆されている。しかし、同一の病原性突然変異型mtDNAが蓄積しても病状が多様であるなど詳しい発症メカニズムは解明されていない。



ミトコンドリアの構造は微小であり二重膜を持つ。そのため、外因性のmtDNAを人為的にミトコンドリア内に導入することは非常に困難であり、核ゲノムで行われているようなDNA組換えの技術はミトコンドリアにおいては確立されていない。ミトコンドリア病の発症機構の解明、治療法の探索のために、外因性のミトコンドリアそのものを細胞内へ導入する手法の開発が求められる。



非特許文献1には、異種間又は同種間の2種類の細胞を用い、一方の細胞から内因性のミトコンドリアを除去し、他方の細胞から核を除去した上で両細胞を融合し、内因性ミトコンドリアが外因性ミトコンドリアで置換された細胞(サイブリッド細胞)を作成することが記載されている(図1参照)。



巨大単層膜リポソーム(Giant Unilamellar LiposomeあるいはGiant Unilamellar Vesicle、以下「GUV」と称する)は、脂質二重膜(lipid bilayer)が水溶液中で自然に閉じてできる人工膜小胞(liposome又はvesicle)であって、直径がマイクロメートルオーダー以上のものをいう(非特許文献2,3参照)。GUVは、細胞と同程度の大きさであり、位相差、蛍光、微分干渉、暗視野などの種々の光学顕微鏡法で直接観察ができる利点を持つ。GUVは、生体膜の形態形成や動態制御の機構をインビトロの系で研究する際、膜のモデルとして用いられてきている。



非特許文献4には、細胞の長期凍結・乾燥保存を目的として、膜非透過性の凍結・乾燥保護物質(トレハロースなどの糖類)を含むGUVを細胞と電気融合させることで凍結・乾燥保護物質を細胞内に導入することが記載されている。当該文献は、トレハロース等の糖類に比してサイズが大きいミトコンドリア等の細胞内小器官(オルガネラ)を細胞内に導入すること及びそのためのGUVの調製方法や電気融合条件等については記載していない。

産業上の利用分野


本発明は、細胞内へのミトコンドリア導入方法、外因性ミトコンドリアが導入された細胞及び動物の製造方法等に関する。より詳しくは、巨大単層膜リポソーム(Giant Unilamellar Liposome)を用いて、細胞に内在するミトコンドリア(内因性ミトコンドリア)とは遺伝的に異なる外来のミトコンドリア(外因性ミトコンドリア)を導入する方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ミトコンドリアが封入され、負の表面電位を付されたGUVと、細胞と、の混合液に交流電場を印加して、前記GUVと前記細胞とを配列させる交流電場印加手順と、
前記混合液に直流パルス電場を印加して、前記GUVの膜と前記細胞の膜とを少なくとも一部融合させる直流電場印加手順と、含む、
細胞内へのミトコンドリア導入方法。

【請求項2】
前記細胞が由来する種と、前記GUVに封入されるミトコンドリアが由来する種が異なる、請求項1記載の方法。

【請求項3】
前記交流電場印加手順の前に、
前記細胞内に発現させた制限酵素により前記細胞内の内因性ミトコンドリアDNAを切断するミトコンドリア除去手順をさらに含む、請求項2記載の方法。

【請求項4】
前記制限酵素は、前記細胞内の内因性ミトコンドリアDNAを切断するが、前記GUVに封入される外因性ミトコンドリアDNAを切断しない、請求項3記載の方法。

【請求項5】
前記細胞が由来する種がマウスであり、前記GUVに封入されるミトコンドリアが由来する種がヒトであり、前記制限酵素はAgeI、BglII、BsaBI、BsrGI、DrdI、PshAI及びSexAIからなる群から選択されるいずれか一以上の制限酵素である、請求項4記載の方法。

【請求項6】
前記ミトコンドリア除去手順において、前記制限酵素をコードする配列とミトコンドリア移行配列とを含む発現コンストラクトを前記細胞にトランスフェクションする、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。

【請求項7】
前記内因性ミトコンドリア除去手順後の前記細胞をウリジンとピルビン酸の存在下で培養する手順と、
前記直流電場印加手順後の前記細胞をウリジンとピルビン酸の非存在下で培養する手順とをさらに含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。

【請求項8】
前記細胞内の内因性ミトコンドリアが遺伝的に正常であり、前記GUVに封入されるミトコンドリアが遺伝子変異を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。

【請求項9】
請求項2~8に記載のいずれか一項に記載の方法により、細胞内に、該細胞が由来する種と異なる種のミトコンドリアを導入する工程を含む、他種由来の外因性ミトコンドリアが導入された細胞の製造方法。

【請求項10】
他種由来の外因性ミトコンドリアが導入された細胞。

【請求項11】
前記細胞内の内因性ミトコンドリアを有さない、請求項10記載の細胞。

【請求項12】
前記細胞内の内因性ミトコンドリアが遺伝的に正常であり、前記外因性ミトコンドリアが遺伝子変異を有する、ミトコンドリア病モデル細胞である、請求項10又11記載の細胞。

【請求項13】
請求項2~8に記載のいずれか一項に記載の方法により、胚性幹細胞内に、該細胞が由来する種と異なる種のミトコンドリアを導入する工程と、
前記胚性幹細胞から個体を発生させる工程と、を含む、
他種由来の外因性ミトコンドリアが導入された非ヒト動物の製造方法。

【請求項14】
他種由来の外因性ミトコンドリアが導入された非ヒト動物。

【請求項15】
前記動物由来の内因性ミトコンドリアを有さない、請求項14記載の非ヒト動物。

【請求項16】
前記細胞内の内因性ミトコンドリアが遺伝的に正常であり、前記外因性ミトコンドリアが遺伝子変異を有する、ミトコンドリア病モデル動物である、請求項14又は15記載の動物。

【請求項17】
前記細胞内の内因性ミトコンドリアが遺伝子変異を有し、前記GUVに封入されるミトコンドリアが遺伝的に正常である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。

【請求項18】
請求項17記載の方法により、遺伝子変異を有する内因性ミトコンドリアを含む細胞内に、遺伝的に正常な外因性ミトコンドリアを導入する工程を含む、正常ミトコンドリアが導入された細胞の製造方法。

【請求項19】
請求項17記載の方法により、ミトコンドリア病患者由来の、遺伝子変異を有する内因性ミトコンドリアを含む細胞内に、遺伝的に正常な外因性ミトコンドリアを導入する工程を含む、正常ミトコンドリアが導入された細胞を含有するミトコンドリア病治療用細胞組成物の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2015185058thum.jpg
出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close