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自己ゲル化核酸 外国出願あり

国内特許コード P150012420
整理番号 2936
掲載日 2015年10月16日
出願番号 特願2013-511034
登録番号 特許第6083571号
出願日 平成24年4月19日(2012.4.19)
登録日 平成29年2月3日(2017.2.3)
国際出願番号 JP2012060613
国際公開番号 WO2012144560
国際出願日 平成24年4月19日(2012.4.19)
国際公開日 平成24年10月26日(2012.10.26)
優先権データ
  • 特願2011-093082 (2011.4.19) JP
発明者
  • 西川 元也
  • 高橋 有己
  • 高倉 喜信
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 自己ゲル化核酸 外国出願あり
発明の概要 本願発明は、実質的に核酸のみから構成されるハイドロゲルを調製する方法を提供することを課題とする。
本願発明は、一部が互いに相補的な、核酸、核酸誘導体、修飾型核酸、核酸と相補的に結合する化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される2本以上の核酸モノマーから構成され、一本の核酸モノマーが、接着性突出末端を構成する部分、1本以上の別の核酸モノマーと二重鎖を形成し得る相補的塩基配列部、を含み、かつ、核酸連結酵素を含有しない、核酸連結酵素を用いることなく核酸ゲルを作成するための核酸ゾル状組成物およびそれを用いて作成される核酸ゲルを提供する。
従来技術、競合技術の概要


核酸、特に、DNAを用いてゲルを作製する試みは既に報告されている(非特許文献1)。非特許文献1に開示の方法では、DNAモノマーの末端をDNAリガーゼを用いて共有結合させている。より詳細には、非特許文献1では、末端に相補的配列を有する各DNA鎖を合成し、T4リガーゼを用いて、X型DNA、Y型DNA、T型DNAを作製したこと、およびこれらDNAを用いてハイドロゲルを作製したことが報告されている。しかし、非特許文献1に開示のDNAを用いて作製されたゲルには、ゲル化に用いる酵素(DNAリガーゼ)が残存することから、安全性及び抗原性が問題となる。



また、非特許文献1に開示の方法では、ゲル化に酵素反応が必要であるため、生体へゲルを投与する際には、あらかじめ生体外でゲルを作製し、得られたゲルの形状で投与しなければならず、投与上、これは大きな制限となる。さらに、引用文献1に開示のゲル化反応は、酵素を用いた反応であることから、比較的大きな物質をゲルの中に封入するには、ゲル化、すなわちライゲーション反応時に封入物質を加える必要があるが、これは封入物質の機能を損なう危険性が高い。また、リガーゼを用いて調製したゲルでは、十分な高さの粘弾性が得られなかった。



この他にも、DNAを構成要素とするハイドロゲルを作成する試みは多く為されており、化学的架橋や熱・pH依存性のものなど多くの報告がある(非特許文献2、3および特許文献1)。



例えば、非特許文献2では、サケ精巣から抽出したDNAを、化学的に(エチレングリコールジグリシジルエーテルの使用により)架橋したのち、1M NaOHとTEMEDを添加し、2時間ほど熱(50℃)を加えてゲルを作成したことを報告している。しかし、かかる方法では、核酸に加えて生体への安全性が懸念される有機化合物を用いるため生体への投与にはその安全性が懸念される。さらに、ゲル化には加熱が必要であるため、変性しやすい物質を含有させることは出来ない。



また、非特許文献3は、pH依存性のY型DNA作製に関する。かかる方法は、pH変化に依存した、DNA分子の状態の変化を利用している。この方法では、DNA溶液にHClを添加し酸性にすることでゲル化させることができ、いったんゲル化したものもNaOHを添加することで溶液の状態に戻すことができる。しかし、ゲル状態を維持するためには、環境を酸性に維持しなくてはならず、ゲルが周囲の環境に対して不安定であるという問題がある。



特許文献1は、化学反応や重合反応を伴わず、人の体温(37℃)付近で十分な強度のハイドロゲルが生理的条件下で簡便、迅速に得られる合成ハイドロゲルを提供する方法を開示している。しかし、該方法で得られるゲルは、多糖類などの水溶性高分子と核酸を混合させてつくられたハイドロゲルであり、温度依存的にゲル-ゾル転移が可能であるが、多糖類などを多量に含むため、核酸からなるハイドロゲルとは言い難い。



一方、ゼラチンや合成ポリマーなどを利用して様々なハイドロゲル製剤が開発されている。これらで調製されるゲルの場合も投与前にゲル化しており、投与後にゲル化するシステムは少ない。注射可能なゲルも報告されているが、これは注射針を通過するサブミクロン~ミクロンサイズのゲルである。従って、注射等による投与の場合には、微細化したゲルが用いられ、その場合には徐放化などのゲル特性は大幅に損なわれる。



また、温度によるゾル-ゲル転移を利用したハイドロゲルが複数報告されている(特許文献2など)。しかしながら、用いられる化合物は一部化学修飾が利用されており、核酸などの純粋な天然素材からなるゲルではない。



なお、CpG DNAをアジュバントとする試みは多くなされている。コレステロール修飾やチオエート化による活性化能の増強も報告されている。しかしながら、こうした場合には、アジュバント(CpG DNA)と抗原とは同時に投与されても、生体内での挙動は別々になることが懸念される。また、チオエート型DNAの場合には、高いタンパク結合性による組織障害が問題である。

産業上の利用分野


本発明は、自己ゲル化核酸に関する。具体的には、本発明は、リガーゼなどの核酸連結酵素を用いることなく、実質的に核酸のみからなるハイドロゲルを調製する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
1種の核酸単位または2種以上の核酸単位から形成される、核酸連結酵素を含有しない核酸ゲルを作成するためのゾル状組成物であって、接着性突出末端部と相補的塩基配列部よりなる種以上のオリゴヌクレオチドの混合物を、0.3mM+1.6/x(突出末端部塩基数)mM以下の核酸濃度で含有し、核酸連結酵素を含有せず、NaCl濃度に換算して80mM/x(突出末端部塩基数)以下の塩濃度で塩を含有する、核酸連結酵素を含有しなゾル状組成物:
[ここで、
接着性突出末端部は、4以上のヌクレオチド長の一本鎖部分であり、相補的塩基配列部は、8以上のヌクレオチド長であり、
1種のオリゴヌクレオチドにおける接着性突出末端部は、少なくとも1つの別の種のオリゴヌクレオチドにおける接着性突出末端部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成し、
1種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部は、別の種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成し、
核酸ゲルが1種の核酸単位から形成される場合、核酸単位は3種以上のオリゴヌクレオチドから形成され、核酸ゲルが2種以上の核酸単位から形成される場合、少なくとも1種の核酸単位は3種以上のオリゴヌクレオチドから形成される]。

【請求項2】
接着性突出末端が回文配列構造を含む請求項1に記載のゾル状組成物。

【請求項3】
前記リゴヌクレオチドの1種以上が、CpGモチーフを含む、請求項1または2に記載ゾル状組成物

【請求項4】
前記核酸単位を形成するオリゴヌクレオチドの種類数が2~8種である、請求項1~3のいずれか1項に記載ゾル状組成物

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のゾル状組成物中の、核酸濃度を3.2/x(突出末端部塩基数)mM以上、塩濃度をNaCl濃度に換算して640mM/x(突出末端部塩基数)-60mM以上にそれぞれ上昇させることにより、ゲルを形成させることを含む、核酸連結酵素を含有しない核酸ゲルを作成する方法。

【請求項6】
接着性突出末端部と相補的塩基配列部よりなる3種以上のオリゴヌクレオチドの混合物を、0.3mM+1.6/x(突出末端部塩基数)mM以下の核酸濃度で含有し、NaCl濃度に換算して80mM/x(突出末端部塩基数)以下の塩濃度で塩を含有し、核酸連結酵素を含有しない第1のゾル状組成物
[ここで、
接着性突出末端部は、4以上のヌクレオチド長の一本鎖部分であり、相補的塩基配列部は、8以上のヌクレオチド長であり、
1種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部は、別の種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成する]、および
接着性突出末端部と相補的塩基配列部よりなる2種以上のオリゴヌクレオチドの混合物を、0.3mM+1.6/x(突出末端部塩基数)mM以下の核酸濃度で含有し、NaCl濃度に換算して80mM/x(突出末端部塩基数)以下の塩濃度で塩を含有し、核酸連結酵素を含有しない第2のゾル状組成物
[ここで、
接着性突出末端部は、4以上のヌクレオチド長の一本鎖部分であり、相補的塩基配列部は、8以上のヌクレオチド長であり、
1種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部は、別の種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成する]
を別々に含む、核酸連結酵素を含有しない核酸ゲルを作成するためのキットであって、
該第1のゾル状組成物中のオリゴヌクレオチドの接着性突出末端部が第1の配列を含み、
該第2のゾル状組成物中のオリゴヌクレオチドの接着性突出末端部が第2の配列を含み、かつ、
該第1の配列と該第2の配列が互いに生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成する、キット。

【請求項7】
第2のゾル状組成物が2種のオリゴヌクレオチドの混合物を含有する、請求項6記載のキット。

【請求項8】
前記リゴヌクレオチドの1種以上が、CpGモチーフを含む、請求項6または7に記載キット

【請求項9】
前記第1または第2のゾル状組成物に含まれるオリゴヌクレオチドの種類数が、~8種である、請求項6~8のいずれか1項に記載キット

【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載のキットにおける、第1のゾル状組成物と第2のゾル状組成物とを、核酸濃度が3.2/x(突出末端部塩基数)mM以上、塩濃度がNaCl濃度に換算して640mM/x(突出末端部塩基数)-60mM以上となる条件下で混合することにより、ゲルを形成させることを含む、核酸連結酵素を含有しない核酸ゲルを作成する方法。

【請求項11】
接着性突出末端部と相補的塩基配列部よりなる種以上のオリゴヌクレオチドを含み、かつ、核酸連結酵素を含有しない、チキソトロピー性を有する核酸ゲル:
[ここで、
接着性突出末端部は、4以上のヌクレオチド長の一本鎖部分であり、相補的塩基配列部は、8以上のヌクレオチド長であり、
1種のオリゴヌクレオチドにおける接着性突出末端部は、少なくとも1つの別の種のオリゴヌクレオチドにおける接着性突出末端部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成しており、
1種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部は、別の種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成している]。

【請求項12】
請求項5または10に記載の方法において、ゲルの形成前にゲルに封入させるべき内封物質をゾル状組成物に添加することを含む、内封物質を封入し、かつ、核酸連結酵素を含有しない核酸ゲルを作成する方法。

【請求項13】
内封物質が、低分子化合物、タンパク質、および細胞から選択される、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
接着性突出末端部と相補的塩基配列部よりなる種以上のオリゴヌクレオチドを含み、内封物質を含有し、かつ、核酸連結酵素を含有しない、チキソトロピー性を有する核酸ゲル:
[ここで、
接着性突出末端部は、4以上のヌクレオチド長の一本鎖部分であり、相補的塩基配列部は、8以上のヌクレオチド長であり、
1種のオリゴヌクレオチドにおける接着性突出末端部は、少なくとも1つの別の種のオリゴヌクレオチドにおける接着性突出末端部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成しており、
1種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部は、別の種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成している]。

【請求項15】
前記リゴヌクレオチドの1種以上が、CpGモチーフを含む、請求項11または14に記載核酸ゲル。

【請求項16】
2~8種のオリゴヌクレオチドから形成される核酸単位を含む、請求項11、14および15のいずれか1項に記載核酸ゲル。

【請求項17】
オリゴヌクレオチの1種以上がCpGモチーフを含むことを特徴とする、免疫アジュバントを作成するための、請求項1~4のいずれか1項に記載のゾル状組成物。

【請求項18】
請求項11および14~16のいずれか1項に記載の核酸ゲルを含む、免疫アジュバントであって、前オリゴヌクレオチドの1種以上がCpGモチーフを含むことを特徴とする免疫アジュバント。

【請求項19】
接着性突出末端部と相補的塩基配列部よりなる3種以上のオリゴヌクレオチドの混合物を含有し、核酸連結酵素を含有しない第1のゾル状組成物、および接着性突出末端部と相補的塩基配列部よりなる2種以上のオリゴヌクレオチドの混合物を含有し、核酸連結酵素を含有しない第2のゾル状組成物:
[ここで、第1および第2のゾル状組成物中、
接着性突出末端部は、4以上のヌクレオチド長の一本鎖部分であり、相補的塩基配列部は、8以上のヌクレオチド長であり、
1種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部は、別の種のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基配列部と生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成し、
第1のゾル状組成物中のオリゴヌクレオチドの接着性突出末端部が第1の配列を含み、
第2のゾル状組成物中のオリゴヌクレオチドの接着性突出末端部が第2の配列を含み、かつ、
第1の配列と第2の配列が互いに生理条件下で体温以上の融解温度を示す二本鎖配列を形成する]
を、核酸濃度が3.2/x(突出末端部塩基数)mM以上、塩濃度がNaCl濃度に換算して640mM/x(突出末端部塩基数)-60mM以上となる条件下で混合することにより、ゲルを形成させることを含む、核酸連結酵素を含有しない核酸ゲルを作成する方法。
国際特許分類(IPC)
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