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セルロース水溶液の製造方法およびセルロース誘導体の製造方法 UPDATE

国内特許コード P150012527
整理番号 (S2012-0197-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2012-265440
公開番号 特開2013-139557
登録番号 特許第6120266号
出願日 平成24年12月4日(2012.12.4)
公開日 平成25年7月18日(2013.7.18)
登録日 平成29年4月7日(2017.4.7)
優先権データ
  • 特願2011-270206 (2011.12.9) JP
発明者
  • 酒井 貴志
  • 依馬 正
  • 小原 則行
  • 小見山 拓三
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 セルロース水溶液の製造方法およびセルロース誘導体の製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】比較的安全性の高い物質を用いて温和な条件下でセルロースを溶解することのできる手段を提供する。
【解決手段】セルロース精製物またはセルロースを含有する物質と水酸化四級アンモニウム水溶液とを接触させる工程を含むセルロース水溶液の製造方法であって、前記セルロース原料と接触した状態において、前記水酸化四級アンモニウム水溶液中に溶解しているアルカリ金属のハロゲン化物および/またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の合計の濃度が1重量%以下であることを特徴とするセルロース水溶液の製造方法。あるいは、セルロース原料と水酸化四級アンモニウム水溶液とを接触させる工程を含むセルロース水溶液の製造方法であって、前記セルロース原料と前記水酸化四級アンモニウム水溶液との接触を環状ポリエーテルの存在下に行うことを特徴とするセルロース水溶液の製造方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


アセチルセルロース、ニトロセルロース、シアノエチルセルロースなどに代表されるセルロース誘導体は、包装、織物、プラスチック、写真、表面コート、軍需、飛行機、記録、化学薬品、医薬、タバコ、電気などの幅広い産業部門において様々な用途を有する、産業上極めて重要な素材である。



セルロース誘導体は一般的に、セルロースが有するヒドロキシ基に様々な官能基を導入する(誘導体化する)ことで製造される。しかしながら、セルロースはグルコピラノース1単位あたり3つのヒドロキシ基を有し、これらのヒドロキシ基同士が分子内または分子間で起こす水素結合の力は極めて強いため、セルロースは水および大部分の有機溶媒に不溶ないし難溶である。そのため、セルロース誘導体の製造に先立って、セルロースが各種の溶媒に溶解できるようにするために、以下に挙げるような溶解法により水素結合の開裂と再形成防止のための処理が行われている。



第一の溶解法として、セルロースの錯体を形成させる方法が慣用されている。たとえば、[Cu(NH3)4](OH)2を用いる銅アンモニア法では、セルロースのC(2)位およびC(3)位のヒドロキシ基に銅がδ配位する(下記(a)参照)。Ca(SCN)2を用いるチオシアン酸カルシウム法では、カルシウムイオンがC(5)位およびC(6)位に配位し、五員環構造をとると考えられる(下記(b)参照)。SO2/ジエチルアミン法は、セルロースのヒドロキシ基全てにSO2-アミン錯体が1:1の割合で錯体を形成する(下記(c)参照)。



【化1】


第二の溶解法として、セルロースのヒドロキシ基を溶剤成分と共有結合させることで誘導体化する方法が知られている。なお、置換度0.1~0.5のセルロース誘導体はアルカリ水溶液に可溶であり、置換度1前後のセルロース誘導体は水に可溶である。二硫化炭素(CS2)/水酸化ナトリウム水溶液を用いて誘導体化するビスコース法(下記式参照)のほか、アルデヒド(パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、クロラールCCl3CHOなど)、ニトロシル化合物(N2O4、NOCl)、硫黄含有化合物(SO3、SO2Cl2)などを溶剤として用いる方法がある。



【化2】


第三の溶解法として、セルロースを溶媒和する方法が知られている。この方法には、濃厚無機酸/水系(硫酸、リン酸、ポリリン酸水溶液など)、濃厚無機塩/水系(ZnCl2水溶液など)、水酸化ナトリウム水溶液系などの溶解系が用いられ、全て含水系である。これらの溶解系では、まず水が溶剤成分に水和し水和構造を形成する。次に、この水和構造体がセルロースと相互作用(溶媒和)してセルロースを溶解させる。よって、水和構造の維持または溶媒和の促進のため、低温ほど溶解が進む低温溶解型の溶解系が多い。



その他、近年では、DMAC(N,N-dimethylacetamide)/LiCl法、DMSO(dimethyl sulfoside)/TBAF(tetrabutylammonium fluoride trihydrate)法、イオン液体を用いる方法なども知られている。しかしながら、たとえばイオン液体を用いる方法には、イオン液体は高価であり、生成物の分離が難しいなど、工業的な利用には向かない面がある。



また、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3には、セルロースが各種アミン類とも付加化合物(アミンセルロース)を形成し、それによりセルロースを膨潤ないし溶解すること、当該アミンとしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられること、当該アミンのアルキル基の大きなものほどセルロースが分散溶解する最低濃度が低いことなどが記載されている。



非特許文献4には、tetrabutylphosphonium hydroxide(TBPH)またはtetrabutylammonium hydroxide(TBAH)を用いてセルロースを溶液化することが記載されている。しかしながら、TBPHは原材料コストおよび排水処理等の問題に関して大きな課題があるといえる。また、この文献のTable 2には、TBAH中の水の濃度とセルロースの量を変えた実験が示されているが、Run1のwater content 60%(TBAH 40%相当)の結果をみると、セルロースが0.5wt%であっても溶解しないことがわかる。



上記のように様々な方法が提案されているにもかかわらず、今日まで、四級アンモニウム塩を用いてセルロースを溶解する方法は実用化されていなかった。
一方、代表的なセルロース誘導体の製造方法としては、次のようなものが知られている。



シアノエチルセルロースの製造方法として、非特許文献5には、セルロースと水酸化ナトリウムおよび不飽和ニトリルとを反応させる方法が記載されている。しかしながらこの方法では水酸化ナトリウムを用いるので、副反応として、セルロースに導入したシアノ基における加水分解が起きるという問題がある。



ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法としては、特許文献1に記載されているようにセルロースと水酸化ナトリウムとを反応させた後、エポキシド(グリシジル化合物)を反応させるという方法がある。しかしながらこの方法には、置換度や選択性が低い、水洗・乾燥後の副生成物(ナトリウム塩)が残留する、強塩基(水酸化ナトリウム)とエポキシドの直接反応による副生成物が生じる可能性があるなどの問題がある。

産業上の利用分野


本発明は、セルロース水溶液の製造方法および当該製造方法により得られたセルロース水溶液を用いるセルロース誘導体の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
セルロース原料と水酸化四級アンモニウム水溶液とを接触させる工程を含むセルロース水溶液の製造方法であって、
前記セルロース原料と前記水酸化四級アンモニウム水溶液との接触を環状ポリエーテルの存在下に行うことを特徴とするセルロース水溶液の製造方法。

【請求項2】
前記環状ポリエーテルが、12-クラウン-4、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6およびジアザ-18-クラウン-6からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項に記載のセルロース水溶液の製造方法。

【請求項3】
前記水酸化四級アンモニウム水溶液中の環状ポリエーテルの濃度が0.01~5Mである請求項また2に記載のセルロース水溶液の製造方法。

【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載の製造方法により得られるセルロース水溶液と、セルロース誘導体の原料となるヒドロキシ基反応性化合物とを混合する工程を含むことを特徴とする、セルロース誘導体の製造方法。

【請求項5】
前記ヒドロキシ基反応性化合物が、α,β-不飽和ニトリル、エポキシド、有機カルボン酸無水物、α,β-不飽和カルボン酸エステルおよびハロゲン化アルキルからなる群より選択されるものである、請求項に記載のセルロース誘導体の製造方法。

【請求項6】
請求項1~のいずれかに記載の製造方法により得られるセルロース水溶液と、セルロースの貧溶媒とを混合し、セルロース・四級アンモニウム複合体を析出させる工程を含むことを特徴とする、セルロース・四級アンモニウム複合体の製造方法。

【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載の製造方法により得られるセルロース水溶液から、乾燥により溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする、セルロースフィルムの製造方法。

【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載の製造方法により得られるセルロース水溶液を紡糸することを特徴とする、セルロース繊維の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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