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オリゴヌクレオチド、グルココルチコイド感受性増強剤、医薬組成物、及び発現ベクター UPDATE

国内特許コード P150012530
整理番号 (S2012-0104-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-549158
登録番号 特許第6049143号
出願日 平成24年10月31日(2012.10.31)
登録日 平成28年12月2日(2016.12.2)
国際出願番号 JP2012078245
国際公開番号 WO2013088853
国際出願日 平成24年10月31日(2012.10.31)
国際公開日 平成25年6月20日(2013.6.20)
優先権データ
  • 特願2011-274897 (2011.12.15) JP
発明者
  • 田中 あかね
  • 松田 浩珍
  • 松田 彬
出願人
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 オリゴヌクレオチド、グルココルチコイド感受性増強剤、医薬組成物、及び発現ベクター UPDATE
発明の概要 生体内において、グルココルチコイド受容体遺伝子のプレmRNAとセリン/アルギニンリッチ蛋白質30c(SRp30c)との結合を妨げるオリゴヌクレオチドである。
従来技術、競合技術の概要


グルココルチコイドは、副腎皮質で作られるホルモンの一種であり、代謝や免疫に関与する。グルココルチコイドは、強い消炎作用及び免疫抑制作用を有することから、その人工合成物がアレルギー疾患や自己免疫性疾患の治療薬として使用されてきた。
また、グルココルチコイドは、がん化したリンパ球に対して増殖抑制作用を有することから、その人工合成物がリンパ腫及びリンパ性白血病の化学療法に用いられてきた。骨髄抑制や激しい消化器症状などの副作用がグルココルチコイド投与で発現することは非常に稀であることから、グルココルチコイドはリンパ腫及びリンパ性白血病に対して必須の治療薬である。



様々な疾患に使用されてきたグルココルチコイドであるが、患者の中にはグルココルチコイドに対する耐性を発現する症例があり、グルココルチコイドが効かないことがある。グルココルチコイド耐性は、喘息患者の5~10%、リウマチ患者の約30%、炎症性腸疾患患者の20~50%、小児の急性リンパ性白血病患者の10~25%にも上ると報告されており、グルココルチコイド耐性を解除する技術の開発が待たれている。



グルココルチコイド受容体(Glucocorticoid receptor、GR)については、下記の知見が得られている。
GRは、グルココルチコイドと結合すると、核内で転写因子として働く。
ヒトGR遺伝子の塩基配列は既知である(NR3C1、Gene ID:2908、NCBI Reference Sequence:NC_000005.9)。ヒトGR遺伝子には9個のエキソンが存在し、エキソン9(塩基数4111)の内部の選択的スプライシングによって、2つのスプライシングバリアント、GRαとGRβが作られる。
GRαは、エキソン1~9が連結した成熟mRNAから翻訳される、777アミノ酸残基の蛋白質である。GRαはリガンド依存的に核内移行し、転写因子として働く。
GRβは、エキソン1~8とエキソン9の一部(エキソン9の5’末端側から2631~4111番目)とが連結した成熟mRNAから翻訳される、742アミノ酸残基の蛋白質である。GRβはリガンド結合ドメインの一部が欠損しており、リガンド結合能を有しない。GRβは、核内において、リガンドと結合したGRαと競合的に拮抗し、GRαの転写因子活性を阻害する。



細胞のグルココルチコイド耐性に関しては、下記の報告がなされている。
イヌのリンパ腫及び白血病に由来する細胞株(CL-1細胞、GL-1細胞)において、Nuclear factor-κB(NF-κB)の機能を阻害することでグルココルチコイド耐性が解除され、グルココルチコイド添加によって細胞増殖が抑制されることが報告されている(例えば、文献1参照)。このことから、NF-κBの機能を阻害すると細胞内のGRの発現量が増加し、グルココルチコイドの細胞増殖抑制作用が細胞に及びやすくなるものと考えられた。
また、ヒトのバーキットリンパ腫由来のRaji細胞及び急性リンパ性白血病患者の末梢血由来細胞において、siRNAを用いてNF-κBの機能を阻害すると、グルココルチコイド耐性が解除されることと、GRαの発現量が増加することが報告されている(例えば、文献2参照)。このことから、細胞内においてGRαの発現量が増加することで、グルココルチコイド耐性が解除される可能性が示唆された。



GRの発現に関しては、下記の報告がなされている。
大腸癌細胞株(HT-29細胞)及び乳癌細胞株(MCF-7細胞)において、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であるトリコスタチンAや酪酸ナトリウム、及びDNAメチル基転移酵素の阻害剤である5-アザ-2’-デオキシシチジンが、GRαの発現量を増加させGRβの発現量を減少させることが報告されている(例えば、文献3参照)。そのとき同時にセリン/アルギニンリッチ蛋白質(Serine/arginine-rich protein、SR蛋白質)の1種であるASF/SF2の発現量が増加していることから、ASF/SF2は、GRのmRNAのスプライシング制御に関与している可能性が示唆された。SR蛋白質はスプライシング因子であり、細胞の核内でプレmRNAから成熟mRNAへのスプライシングを制御する蛋白質である。
ほかに、28人の健康なボランティアの末梢血白血球におけるmRNAの発現量を比較した研究で、SR蛋白質の1種であるセリン/アルギニンリッチ蛋白質30c(Serine/arginine-rich protein 30c、SRp30c)の発現量と、GRαとGRβとの発現量比(GRα/GRβ)に負の相関関係があることが報告されている(例えば、文献4参照)。
さらに、好中球様細胞株(レチノイン酸によって刺激されたPLB-985細胞)において、SRp30cをアンチセンスオリゴヌクレオチドによってノックダウンすると、GRβのmRNA発現量が減少しGRαのmRNA発現量が増加することが報告されている(例えば、文献5参照)。
また、GR遺伝子にはAGGACという5塩基が比較的高い頻度で存在することが見出され、SRp30cの認識配列と予想された(例えば、文献6参照)。



以上の知見から、GR遺伝子のエキソン9内部の選択的スプライシングは、SR蛋白質の1種であるSRp30cによって制御されているものと考えられる。即ち、GRのプレmRNAのエキソン9には、SRp30cが結合する部位が存在し、SRp30cはこの部位に結合して、GRのプレmRNAをGRβの成熟mRNAへとスプライシングさせているものと考えられる。
ただし、SRp30cの機能阻害によって細胞のグルココルチコイド感受性が実際に変化するかについては、これまで報告がなく、不明である。



ところで、SR蛋白質のリン酸化を抑制することで、その機能を阻害する技術が開示されている。例として、SR蛋白質のリン酸化酵素の阻害剤であるイソニコチンアミド化合物SRPIN340を抗ウイルス剤として用いる技術が開示されている(例えば、文献7及び文献8参照)。



文献1:Matsuda A, et al. Res. Vet. Sci., 2010, 89(3):378-382.
文献2:Matsuda A, et al. The 14th International Congress of Immunology, Aug. 2010, Volume 22, Supplement number 1, p. v8.
文献3:Piotrowska H, et al. Arch. Med. Res., 2009, 40:156-162.
文献4:Watanuki T, et al. J. Affect. Disord., 2008, 110(1-2):62-69.
文献5:Xu Q, et al. J. Biol. Chem., 2003, 278:27112-27118.
文献6:Paradis C, et al. RNA, 2007, 13:1287-1300.
文献7:Karakama Y, et al. Antimicrob. Agents Chemother., 2010, 54(8):3179-318.
文献8:国際公開第2005/063293号パンフレット

産業上の利用分野


本発明は、オリゴヌクレオチド、グルココルチコイド感受性増強剤、医薬組成物、及び発現ベクターに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1に示す塩基配列であるオリゴヌクレオチド、
配列番号2に示す塩基配列であるオリゴヌクレオチド、
配列番号3に示す塩基配列であるオリゴヌクレオチド、
配列番号4に示す塩基配列であるオリゴヌクレオチド、及び、
配列番号5に示す塩基配列であるオリゴヌクレオチド、
のいずれかであるオリゴヌクレオチド。

【請求項2】
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のオリゴヌクレオチドの少なくとも1種を有効成分として含むグルココルチコイド感受性増強剤。

【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のオリゴヌクレオチドの少なくとも1種を含む医薬組成物。

【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のオリゴヌクレオチドの少なくとも1種を含む発現ベクター。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013549158thum.jpg
出願権利状態 登録
※ 国立大学法人東京農工大学では、先端産学連携研究推進センターにおいて、知的財産の創出・権利化・活用に取り組んでいます。上記の特許・技術の内容および導入に興味・関心がありましたら、当センターまでお気軽にお問い合わせください。


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