TOP > 国内特許検索 > 内循環流動層を用いた水熱分解装置及び水熱分解法

内循環流動層を用いた水熱分解装置及び水熱分解法 新技術説明会

国内特許コード P150012533
整理番号 (S2012-0323-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-556494
登録番号 特許第5986589号
出願日 平成25年1月31日(2013.1.31)
登録日 平成28年8月12日(2016.8.12)
国際出願番号 JP2013052211
国際公開番号 WO2013115316
国際出願日 平成25年1月31日(2013.1.31)
国際公開日 平成25年8月8日(2013.8.8)
優先権データ
  • 特願2012-018199 (2012.1.31) JP
発明者
  • 児玉 竜也
  • 郷右近 展之
  • 櫻井 篤
  • 松原 幸治
出願人
  • 国立大学法人 新潟大学
発明の名称 内循環流動層を用いた水熱分解装置及び水熱分解法 新技術説明会
発明の概要 発生した酸素と水素を確実に分離して回収し、流動層で同時に進行する反応の反応温度、反応速度、反応時間、反応領域をそれぞれ任意に制御し、高効率で反応熱を回収して再利用できる、内循環流動層を用いた水熱分解装置及び水熱分解法を提供する。熱還元反応を行う熱還元反応器3と、水熱分解反応を行う水熱分解反応器4と、熱還元反応器3に低酸素分圧ガスを導入する分散板8と水熱分解反応器4に水蒸気を導入する分散板9と、熱還元反応器3から発生した酸素を含んだガスを回収する取り出し口14と、水熱分解反応器4から発生した水素を含んだガスを回収する取り出し口15とを備えた。熱還元反応器3と水熱分解反応器4を仕切る仕切り板5に形成された上部連通口6と下部連通口7は流動層2内に埋没して、上部連通口6と下部連通口7を通じて熱還元反応器3と水熱分解反応器4の間で直接的に流動層2が流動できるように構成した。
従来技術、競合技術の概要


太陽光を集光して得られる1000℃以上の熱を利用して水熱分解により水素を製造する方法として、鉄酸化物、酸化セリウム等の金属酸化物による二段階水熱分解サイクルが有望視されており、そのための反応器の開発が各国の研究機関で行われている。



本発明者らは、金属酸化物粒子が内循環流動する流動層式ソーラー反応器を開発するとともに、この流動層式ソーラー反応器を用いて、二段階水熱分解サイクルの2つの反応である水素製造反応と酸素製造反応を、金属酸化物粒子が内循環流動する反応器内で同時に進行させ、水素と酸素を同時に製造する方法を開発した(特許文献1)。



この流動層式ソーラー反応器は、図16に示すように、ステンレス合金とインコネル合金からなる反応器101を備え、この反応器101には、金属酸化物の粒子からなる流動層102が収容されている。反応器101の内部には、上下方向に開口した筒状のドラフト管103が備えられ、ドラフト管103は、流動層102に埋没して流動層102の中央部に配置されている。また、反応器101の底部には、中央部と周辺部にそれぞれ分散板104,105が設けられている。分散板104,105は、流動層102を構成する金属酸化物の粒子を反応器101内に保持するともに、反応器101の底部から気体を導入することができるように、多孔質材料から形成されている。反応器101の天井には、太陽光が透過できるように石英製の窓106が設けられている。また、ドラフト管103の上方には、ドラフト管103の内側から上方に放出されるガスと、ドラフト管103の外側から上方に放出されるガスを分流するために、逆裁頭円錐形状のガスセパレータ107が設けられている。そして、反応器101の上部の側方には、ガスセパレータ107により分流されたガスを取り出すための取り出し口108,109が設けられている。201はヘリオスタットと呼ばれる地上反射鏡、202はタワー反射鏡であり、これら地上反射鏡201とタワー反射鏡202によりビームダウン型の集光システムが構成される。そして、このビームダウン型の集光システムにより、太陽光Sが集光されて反応器101に収容された流動層102の上面中央部へ照射されるようになっている。



そして、分散板104からドラフト管103の内側に窒素を導入し、同時に、分散板105からドラフト管103の外側に水蒸気を導入する。ドラフト管103の内側における窒素の流量を、ドラフト管103の外側における水蒸気の流量よりも大きくすることにより、流動層102をドラフト管103の内外で循環させる。すなわち、ドラフト管103の内側の領域において流動層103が上昇し、ドラフト管103の外側と反応器101の間の領域において流動層103が下降する内循環流動を生じさせる。続いて、地上反射鏡201,タワー反射鏡202により集光された太陽光Sを、窓106を通して流動層102の上面中央部へ照射し、流動層102を加熱する。太陽光Sが照射された流動層102の上面中央部の近傍では1400℃以上の高温部Hが形成され、この高温部Hで熱還元反応が進行し、金属酸化物の粒子から酸素が放出される。放出された酸素は、ガスセパレータ107の上方を通って取り出し口108から回収される。還元された金属酸化物の粒子は、内循環流動によりドラフト管103の外側と反応器101の間の領域を通って反応器101の下部に送られる。金属酸化物の粒子は反応器101の下部に送られる間に温度が低下し、その結果、流動層102の下部に1400℃以下の低温部Lが形成される。この低温部Lで水熱分解反応が進行し、熱還元反応により還元された金属酸化物の粒子は酸化されてもとの金属酸化物となり、同時に水素が発生する。発生した水素は、ガスセパレータ107の下方を通って取り出し口109から回収される。



上記の従来の方法は、太陽光Sの照射によって形成される流動層103の温度分布に着目し、酸素発生反応と水素発生反応をそれぞれ流動層103の上部と下部で同時に進行させることを特徴とするものである。しかし、この方法には、以下のような問題点があることが判明した。
1 反応器の構造上、流動層102の表面とガスセパレータ107の隙間を通じて酸素と水素が混合して酸素と水素の一部が再結合してしまうため、水素の回収量が低下する。なお、隙間と通じたガス混合を防止するためにガスセパレータ107を流動層102の表面に密着させた場合は、金属酸化物粒子の内循環流動が阻害され、2つの反応を円滑に進行させることが困難となる。
2 流動層102の上部と下部で反応温度の異なる2つの反応が同時に進行するが、2つの反応温度をそれぞれ任意に制御することが困難である。
3 流動層102の上部と下部で反応速度の異なる2つの反応が同時に進行するとともに、金属酸化物粒子がドラフト管103の内側を上昇して外側を下降するが、2つの反応時間をそれぞれ任意に制御することが困難であり、酸素と水素の発生濃度の増加に限界がある。
4 流動層102の下部で進行する水素発生反応は発熱反応であり、流動層102の上部で進行する酸素発生反応は吸熱反応であるが、それぞれの反応の反応時間および反応速度を任意に制御することが困難であるため、水素発生反応で発生した反応熱(放熱量)を酸素発生における吸熱反応に十分活用できず、太陽熱→水素転換効率の向上が困難である。
5 太陽光Sが照射された流動層102の上面中央部の近傍では1400℃以上の高温部Hが形成されるが、反応器の構造上、集光された太陽光Sの一部がガスセパレータ107により遮られ、ドラフト管103の外側と反応器101の間の領域を加熱できず太陽エネルギーの利用効率が低くなる。
6 反応器の構造上、流動層102の上面中央部の近傍の一部がガスセパレータ107により遮られるため、1400℃以上の高温部Hの領域を広げ、酸素生成量を増加させることが困難である。
7 反応器の構造上、1400℃以下の低温部Lの領域が流動層102の下部に限られ、低温部Lの領域を広げ、水素生成量を増加させることが困難である。
8 反応器の構造上、流動層102の上面中央部の近傍に形成される高温部Hの金属酸化物粒子は、速やかにドラフト管103の外側と反応器101の間の領域に移動するため、高温部Hの金属酸化物粒子の持つ1400℃以上の高温の顕熱を排熱として熱回収して再利用することが困難である。

産業上の利用分野


本発明は、内循環流動層を用いた水熱分解装置及び水熱分解法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
金属酸化物の粒子からなる流動層を収容した反応器と、この反応器に収容された前記流動層へ太陽光を集光して照射する太陽光集光手段を備え、
前記反応器は、熱還元反応を行う熱還元反応器と、水熱分解反応を行う水熱分解反応器と、下方から前記熱還元反応器に低酸素分圧ガスを導入する低酸素分圧ガス導入手段と、下方から前記水熱分解反応器に水蒸気を導入する水蒸気導入手段と、前記熱還元反応器から発生した酸素を含んだガスを回収する酸素回収手段と、前記水熱分解反応器から発生した水素を含んだガスを回収する水素回収手段とを備え、
前記熱還元反応器は横長に形成され、前記水熱分解反応器は縦長に形成されるとともに、前記熱還元反応器と前記水熱分解反応器とは、別々に相互に離間して構成され、
前記熱還元反応器と前記水熱分解反応器の上部には、前記熱還元反応器の内部と前記水熱分解反応器の内部を連通する上部連通口がそれぞれ形成され、前記熱還元反応器と前記水熱分解反応器の下部には、前記熱還元反応器の内部と前記水熱分解反応器の内部を連通する下部連通口がそれぞれ形成され、
前記熱還元反応器の前記上部連通口と、前記水熱分解反応器の前記上部連通口と、前記熱還元反応器の前記下部連通口と、前記水熱分解反応器の前記下部連通口は、前記流動層内に埋没しており、
前記熱還元反応器の前記上部連通口と前記水熱分解反応器の前記上部連通口との間には、前記熱還元反応器から前記水熱分解反応器へ前記流動層を運搬する第1の運搬手段が設けられ、
前記熱還元反応器の前記下部連通口と前記水熱分解反応器の前記下部連通口との間には、前記水熱分解反応器から前記熱還元反応器へ前記流動層を運搬する第2の運搬手段が設けられ、
前記太陽光集光手段により前記熱還元反応器に収容された前記流動層の上面へ太陽光が照射されるように構成されたことを特徴とする内循環流動層を用いた水熱分解装置。

【請求項3】
前記第1の運搬手段と前記第2の運搬手段は、スクリューコンベアであることを特徴とする請求項1記載の内循環流動層を用いた水熱分解装置。

【請求項4】
前記熱還元反応器の上部に、上方に向かって前記熱還元反応器の水平断面積を拡大する拡大部が形成され、前記拡大部の上部に、太陽光が透過する石英製の窓を備えたことを特徴とする請求項1又は3記載の内循環流動層を用いた水熱分解装置。

【請求項5】
前記低酸素分圧ガス導入手段と前記水蒸気導入手段は、多孔質材料から形成された分散板であり、前記低酸素分圧ガス導入手段は、前記熱還元反応器の前記下部連通口の最下部の高さと略一致した高さに設けられ、前記水蒸気導入手段は、前記水熱分解反応器の最下部を最低部として傾斜して設けられたことを特徴とする請求項1、3又は4記載の内循環流動層を用いた水熱分解装置。

【請求項8】
請求項1、3、4のいずれか1項記載の内循環流動層を用いた水熱分解装置を用いて、前記流動層を前記熱還元反応器と前記水熱分解反応器の間で内循環流動させながら、低酸素分圧ガス雰囲気下で前記流動層の一部を太陽光により加熱して金属酸化物から酸素を放出させる酸素発生反応と、酸素を放出した後の金属酸化物に水蒸気を接触させ水素を発生させる水素発生反応の2つの反応を同時に進行させることを特徴とする内循環流動層を用いた水熱分解法。

【請求項9】
前記酸素発生反応を1400℃以上で進行させ、前記水素発生反応を1400℃以下で進行させることを特徴とする請求項8記載の内循環流動層を用いた水熱分解法。

【請求項10】
前記金属酸化物は、フェライト又はフェライトを担持したジルコニアであることを特徴とする請求項9記載の内循環流動層を用いた水熱分解法。

【請求項11】
前記ジルコニアは、単斜晶ジルコニア、立方晶ジルコニア、正方晶ジルコニアのいずれかであり、前記立方晶ジルコニアは安定化剤としてイットリア、カルシア、マグネシアのいずれかを含有することを特徴とする請求項10記載の内循環流動層を用いた水熱分解法。

【請求項12】
前記金属酸化物は、ニッケルフェライト又はニッケルフェライトを担持した単斜晶ジルコニアであることを特徴とする請求項9記載の内循環流動層を用いた水熱分解法。

【請求項13】
前記金属酸化物は、酸化セリウム又は酸化セリウムを担持したジルコニアであることを特徴とする請求項9記載の内循環流動層を用いた水熱分解法。

【請求項14】
前記金属酸化物の粒子の粒径は、100~750μmであることを特徴とする請求項12又は13記載の内循環流動層を用いた水熱分解法。

【請求項15】
前記低酸素分圧ガスは、窒素又はアルゴンであることを特徴とする請求項8~14のいずれか1項記載の内循環流動層を用いた水熱分解法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2013556494thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記「問合せ先」までお問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close