TOP > 国内特許検索 > iPS細胞の腫瘍化を抑制することが可能な分化誘導方法

iPS細胞の腫瘍化を抑制することが可能な分化誘導方法

国内特許コード P150012537
整理番号 (S2012-0251-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-551827
登録番号 特許第5935224号
出願日 平成24年12月27日(2012.12.27)
登録日 平成28年5月20日(2016.5.20)
国際出願番号 JP2012083945
国際公開番号 WO2013100080
国際出願日 平成24年12月27日(2012.12.27)
国際公開日 平成25年7月4日(2013.7.4)
優先権データ
  • 特願2011-286906 (2011.12.27) JP
発明者
  • 江草 宏
出願人
  • 国立大学法人大阪大学
発明の名称 iPS細胞の腫瘍化を抑制することが可能な分化誘導方法
発明の概要 【課題】本発明の目的は、iPS細胞の腫瘍化を抑制して、目的の分化細胞に分化誘導さ
せる技術を提供することである。
【解決手段】スタチンと分化誘導剤とを用いて、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させ
ることにより、腫瘍化が抑制された分化細胞に分化させることができる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


ヒトのiPS細胞が樹立され(例えば、非特許文献1及び特許文献1を参照)、その再生医療への応用が期待されている。iPS細胞とは、人工多能性幹細胞若しくは誘導多能性幹細胞とも称される分化多能性を獲得した細胞のことであり、体細胞(例えば、線維芽細胞など)に分化多能性を付与する数種類の転写因子、例えば、Octファミリー(Oct3/4)、Soxファミリー(Sox2、Sox1、Sox3、Sox15及びSox17など)、Klfファミリー(Klf4、Klf2など)、Mycファミリー(c-Myc、N-Myc、L-Mycなど)、Nanog、LIN28などをコードする遺伝子を導入することによって、分化多能性を獲得した細胞のことである。



分化多能性を有する細胞は、iPS細胞のほかにES細胞がよく知られているが、ES細胞はその起源が発生初期の胚であることから生命倫理の問題があり、再生医療を目的として使用するには問題があった。一方、iPS細胞は比較的採取が容易な皮膚や血液から樹立することが可能であるため、このような問題を回避することができる。しかも、治療を必要とする患者自身の組織からiPS細胞を得ることができるため、免疫拒絶の問題がなく、再生医療を大きく前進させるものと期待されている。



近年、歯科や整形外科の領域において、iPS細胞を分化誘導させて骨芽細胞を得て、歯槽骨や軟骨の再生に利用する試みがなされてきた。例えば歯科領域であれば、歯を失った患者は顎が痩せてしまうために歯科インプラント治療や義歯治療が困難となるケースが多い。このような場合に、顎の骨欠損部位に骨芽細胞を移植して歯槽骨を再生させることによってインプラント埋入等を行うことが可能となる。iPS細胞を患者本人の体細胞から樹立し、これを分化誘導させて得られた骨芽細胞は、免疫拒絶を懸念する必要もない。しかも、口腔内上皮細胞や口腔内線維芽細胞を利用するとiPS細胞の樹立効率が非常に高いことが本発明者らによって確認されている(例えば、特許文献2を参照)。



しかしながら、iPS細胞はその多能性ゆえに、移植後に腫瘍化することが大きな問題となっている。この課題を解決するために現在、iPS細胞の腫瘍形成マーカーを指標に腫瘍形成細胞をソーティングで除去する方法や(例えば、非特許文献2を参照)、試験管内で目的組織に方向付けされたiPS細胞をFACSなどで細胞ソーティングすることによって、目的の細胞を選択し、これを移植に用いる方法が提案されている。ただし、これらの技術には細胞数の確保が困難であることや、コンタミネーションの危険性が伴うという欠点がある。



このように、iPS細胞は再生医療への応用が非常に期待されているにも関わらず、上記のような問題があるため未だ実用化されていないのが現状である。すなわち、iPS細胞の臨床応用のため腫瘍化抑制という課題を克服することが強く望まれていた。



一方、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)は、コレステロール合成阻害作用を介した高脂血症治療薬として広く臨床で使用されている。近年、スタチンは種々の細胞の分化、増殖に対して多彩な薬理作用が確認されている。しかしながら、iPS細胞をスタチンの存在下で培養すると腫瘍化が抑制されることは知られていなかった。

産業上の利用分野


本発明は、iPS細胞の腫瘍化を抑制して目的の分化細胞に分化させる技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
腫瘍化を抑制しながらiPS細胞を分化誘導する方法であって、
下記一般式(A)で表わされるスタチンと、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる分化誘導剤とを用いて、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる工程を含む、iPS細胞の分化誘導方法。
【化1】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化2】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化3】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。

【請求項2】
前記スタチンが、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、及びプラバスタチンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の分化誘導方法。

【請求項3】
前記スタチンと前記分化誘導剤とを含む培地中でiPS細胞を培養することにより、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる、請求項1又は2に記載の分化誘導方法。

【請求項4】
前記スタチンを含む培地でiPS細胞を培養した後に、更に前記分化誘導剤を含む培地で培養することにより、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる、請求項1~3のいずれかに記載の分化誘導方法。

【請求項5】
前記スタチンの濃度が0.01~10μMである、請求項1~4のいずれかに記載の分化誘導方法。

【請求項6】
前記iPS細胞が口腔粘膜の上皮細胞又は口腔粘膜の線維芽細胞由来である、請求項1~5のいずれかに記載の分化誘導方法。

【請求項7】
スタチンと、iPS細胞を骨芽細胞に分化させる分化誘導剤とを用いて、iPS細胞を骨芽細胞に分化させる、請求項1~6のいずれかに記載の分化誘導方法。

【請求項8】
腫瘍化が抑制された分化細胞を含む細胞製剤の調製方法であって、
下記一般式(A)で表わされるスタチンと、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる分化誘 導剤とを用いて、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる工程、及び
前記工程で得られた分化細胞を用いて細胞製剤を調製する工程を含む前記方法。
【化4】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化5】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化6】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。

【請求項9】
前記分化細胞が骨芽細胞である、請求項に記載の細胞製剤の調製方法。

【請求項10】
下記一般式(A)で表わされるスタチンと、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる分化誘導剤を含有する、iPS細胞から腫瘍化が抑制された分化細胞を得るために使用される培地。
【化7】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化8】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化9】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。

【請求項11】
iPS細胞から腫瘍化が抑制された分化細胞を得るために使用される培地の製造のための下記一般式(A)で表わされるスタチンの使用。
【化10】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化11】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化12】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。

【請求項12】
iPS細胞から分化細胞に分化させる際に腫瘍化を抑制する方法であって、下記一般式(A)で表わされるスタチンと、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる分化誘導剤とを用いて、iPS細胞を目的の分化細胞に分化させる工程を含む、腫瘍化抑制方法。
【化13】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化14】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化15】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。

【請求項13】
iPS細胞の腫瘍化を抑制する方法であって、下記一般式(A)で表わされるスタチンの存在下でiPS細胞を培養する工程を含む、iPS細胞の腫瘍化抑制方法。
【化16】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化17】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化18】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。

【請求項14】
下記一般式(A)で表わされるスタチンを有効成分として含む、iPS細胞の腫瘍化抑制剤。
【化19】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化20】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化21】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。

【請求項15】
iPS細胞を骨芽細胞に分化させる際に使用される、請求項14の腫瘍化抑制剤。

【請求項16】
iPS細胞の腫瘍化抑制剤の製造のための下記一般式(A)で表わされるスタチンの使用。
【化22】


一般式(A)中、
カルボキシル基は、3位のヒドロキシル基との間で環状構造を形成してもよく、
Riは下記一般式(1)又は(2)で示される基を表す。
【化23】


一般式(1)中、
R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、
R1c及びR1dは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシル基又はC15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
【化24】


一般式(2)中、
R2aは、ハロゲン置換フェニル基、
R2bは、C15の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close