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新規抗腫瘍剤及びそのスクリーニング方法

国内特許コード P150012539
整理番号 (S2012-0300-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-555340
登録番号 特許第5854569号
出願日 平成25年1月28日(2013.1.28)
登録日 平成27年12月18日(2015.12.18)
国際出願番号 JP2013051733
国際公開番号 WO2013111897
国際出願日 平成25年1月28日(2013.1.28)
国際公開日 平成25年8月1日(2013.8.1)
優先権データ
  • 特願2012-015982 (2012.1.27) JP
発明者
  • 石井 優
  • 賀川 義規
  • 森 正樹
  • 石井 秀始
出願人
  • 国立大学法人大阪大学
発明の名称 新規抗腫瘍剤及びそのスクリーニング方法
発明の概要 本発明は、新規メカニズムにより作用する新規抗腫瘍剤を提供する。細胞周期依存性のRhoGTP分解活性タンパク質(Rho GTPase activating protein:RhoGAP)を阻害しうる物質を有効成分として含有する新規抗腫瘍剤による。RhoGAPは細胞周期依存性であり、がん細胞が浸潤能及び/又は転移能を獲得する過程で重要な役割を果たす。RhoGAPを標的とすることで、がん細胞の浸潤及び/又は転移を制御しうる。細胞周期依存性のRhoGAPを阻害しうる物質が、RhoGAPをコードする遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド又はRNA干渉を誘導するオリゴヌクレオチドなどが挙げられる。オリゴヌクレオチドには、BNAなどの人工核酸を含むものが安定性に優れており、好ましい。本発明は、さらには、新規メカニズムによる、がん細胞の浸潤及び/又は転移を抑制しうる抗腫瘍剤を選別するスクリーニング方法を提供する。細胞周期依存性のRhoGTP分解活性タンパク質を阻害しうる物質を選別することを特徴とする新規抗腫瘍剤のスクリーニング方法による。
従来技術、競合技術の概要


細胞は増殖する時に細胞周期と呼ばれる一定のプロセスを経る。すなわち、細胞はG1期(gap1)→S期(DNA synthesis)→G2期(gap2)→M期(mitosis)→G1期という順序で規則正しく細胞周期を繰り返して増殖してゆく。細胞周期の進行にとってひとつの重要な時期がG1期とS期の境目に存在する。その時期は哺乳動物培養細胞ではR点(restriction point)と呼ばれる。一旦、R点を通過すると、細胞周期は進行するように方向づけられて速やかにS期に進入し、続けてG2期、M期へと進んでいってG1期へ戻ってくる。細胞が増殖しない環境にあるときは、S期に進まずにそのままG1期にとどまるか、あるいは細胞周期からはずれて静止期(resting state; G0期)と呼ばれる特別な状態に入り休止状態となる。細胞の置かれた環境によっては、分化、老化、アポトーシス、減数分裂などへ進むべきシグナルを受け取ることもあるが、それらの状態への分岐点も現在のところはこのG1期のR点前に存在すると考えられている。



がん細胞は細胞周期制御が異常となり、周りの細胞から来る分裂停止のシグナルを無視して増殖を続けてゆく細胞である。がん細胞は際限なく増殖し、浸潤・転移によりやがて全身の臓器の機能不全をもたらし患者を死に至らしめる。これまで悪性腫瘍治療薬としては、旧来より使用されている抗悪性腫瘍剤や、がん細胞特異的な増殖シグナルを抑制する分子標的薬剤など、いずれも増殖性の高いがん細胞を障害するものであった。また最近では、悪性腫瘍組織周囲の血管新生を抑制し、代謝の激しい悪性腫瘍組織への補給路を断つ治療もある。具体的には、乳がんに発現するHER2をターゲットにしたトラスツマブ、EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)のキナーゼ活性を阻害するゲフィチニブ、CML(慢性骨髄性白血病)の染色体転座による、Bcr-Ablキメラ遺伝子のチロシンキナーゼ活性を阻害するメシル酸イマチニブ、B細胞リンパ腫の特異的CD20抗原を認識するツキシマブ、AML(急性骨髄性白血病細胞)に発現する、細胞表面抗原CD33に対するモノクローナル抗体を含むリツキシマブ、EGFRのチロシンキナーゼ酵素を阻害するエルロチニブ、VEGF(血管内皮成長因子)に対する、モノクローナル抗体からなるバベシズマブ等が挙げられる。細胞周期進行に要するタンパク質を阻害してアポトーシスを誘導するボルテゾミブ(Bortezomib)も用いられている。また、ワクチン治療など、宿主の抗腫瘍免疫を高める治療も進められている。



一方で、悪性腫瘍で致死的状況となる際に最も重要な過程は、浸潤・転移である。特に、がん化した細胞が局所に発生しても、細胞の増殖には生体内では様々な構造的制限があるので、十分な浸潤能を有していなければ、がん細胞は局所にとどまり、増殖・進展ができない。がん細胞は原発巣から離脱し、タンパク質分解酵素を産生し周囲の間質や基底膜を破壊して脈管内に侵入する。次に脈管内を移動して標的臓器の血管内皮細胞へ接着し、血管内から組織中へ同様の機序で浸潤していく.そしてその場で増殖することにより転移巣を形成すると考えられている。近年、原発巣からの離脱と標的組織への接着、浸潤の過程には細胞接着分子と特殊なタンパク質分解酵素が大きな役割を果たしていると考えられている。



しかしながら、がん細胞の浸潤及び/又は転移を抑制する薬剤は十分とはいえず、さらなる開発が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、細胞周期依存性タンパク質を標的とし、新規なメカニズムにより作用する新規抗腫瘍剤に関する。さらには、新規なメカニズムによるがん細胞の浸潤及び/又は転移を抑制しうる抗腫瘍剤を選別するスクリーニング方法に関する。



本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2012-015982号優先権を請求する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ARHGAP11Aを阻害しうる物質を有効成分として含有する新規抗腫瘍剤であって、
当該ARHGAP11Aを阻害しうる物質が、当該ARHGAP11Aをコードする遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドであ当該アンチセンスオリゴヌクレオチドを構成する塩基が14塩基~200塩基であり、当該塩基配列中に人工核酸を少なくとも1以上含むことを特徴とする新規抗腫瘍剤。

【請求項2】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、以下の1)~13)のいずれかに示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドである、請求項に記載の新規抗腫瘍剤:
1)ARHGAP-625-BNA-16:5(L)T(L)5(L)aaatttgaa5(L)T(L)5(L)c(配列番号10);
2)ARHGAP-969-BNA-16:T(L)5(L)5(L)gaaaaagcc5(L)T(L)T(L)c (配列番号13)
3)ARHGAP-1344-BNA-16:T(L)5(L)T(L)tttcatgtc5(L)T(L)T(L)c(配列番号16);
4)ARHGAP-1447-BNA-16:T(L)5(L)5(L)aggataaaaT(L)5(L)T(L)g(配列番号17);
5)ARHGAP-1748-BNA-16:5(L)T(L)T(L)gatggactt5(L)5(L)T(L)t (配列番号19)
6)ARHGAP-1931-BNA-16:T(L)T(L)T(L)gcctgcaatT(L)5(L)T(L)t(配列番号21);
7)ARHGAP-2032-BNA-16:5(L)5(L)T(L)agattgaatT(L)T(L)5(L)a (配列番号22)
8)ARHGAPv1-3484-BNA-16:T(L)T(L)5(L)gagggtaacT(L)5(L)5(L)a(配列番号30);
9)ARHGAPv2-2215-BNA-16:5(L)T(L)5(L)taacagtagT(L)A(L)T(L)g(配列番号34);
10)ARHGAPv2-2285-BNA-16:T(L)5(L)T(L)agaacagtaA(L)A(L)T(L)t(配列番号35);
11)ARHGAPv2-2306-BNA-16:T(L)T(L)5(L)aaacatgaa5(L)T(L)T(L)t(配列番号36);
12)ARHGAPv2-2355-BNA-16:T(L)5(L)5(L)caattgttgA(L)T(L)A(L)g(配列番号37);
13)ARHGAPv2-2404-BNA-16:T(L)T(L)T(L)taacataagA(L)A(L)T(L)g(配列番号38)。
[ここにおいて、N(L)は人工核酸BNA、5(L)はL-mC(メチル化人工核酸BNA)、T(L)は人工核酸チミジン、A(L)は人工核酸アデニンを表す。]

【請求項3】
ARHGAP11Aを阻害しうる物質が、RNA干渉を誘導するオリゴヌクレオチドであって、以下の14)又は15)に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドである、請求項に記載の新規抗腫瘍剤:
14)ARHGAP11A #1 (TRCN0000047281):CCGGCGGTATCAGTTCACATCGATACTCGAGTATCGATGTGAACTGATACCGTTTTTG(配列番号1);
15)ARHGAP11A #2 (TRCN0000047282):CCGGCCTTCTATTACACCTCAAGAACTCGAGTTCTTGAGGTGTAATAGAAGGTTTTTG(配列番号2)。

【請求項4】
抗腫瘍剤が、悪性腫瘍の転移阻害作用及び/又は浸潤阻害作用を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の新規抗腫瘍剤。

【請求項5】
生体検体中のARHGAP11Aを定量し、ARHGAP11Aの発現が平均より高い場合に悪性腫瘍細胞を検出することを特徴とする悪性腫瘍の検査方法。

【請求項6】
悪性腫瘍が、大腸がんやすい臓がん、前立腺がん細胞、乳がん、頭頸部がん、黒色腫(メラノーマ)、卵巣がん、肺がん、脳がん、膵臓がん、肝細胞がん、腎細胞がん、皮膚がんから選択される一種又は複数種である、請求項5に記載の悪性腫瘍の検査方法。

【請求項7】
悪性腫瘍の検査が、がんの進行度及び/又は予後を予測するための検査である、請求項5又は6に記載の悪性腫瘍の検査方法。
産業区分
  • 高分子化合物
  • 薬品
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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