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偏波解析装置、偏波解析方法、物性測定装置、及び物性測定方法

国内特許コード P150012544
整理番号 (S2012-0030-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-545840
登録番号 特許第6040162号
出願日 平成24年10月9日(2012.10.9)
登録日 平成28年11月11日(2016.11.11)
国際出願番号 JP2012076146
国際公開番号 WO2013077097
国際出願日 平成24年10月9日(2012.10.9)
国際公開日 平成25年5月30日(2013.5.30)
優先権データ
  • 特願2011-258104 (2011.11.25) JP
発明者
  • 渡邉 紳一
  • 安松 直弥
出願人
  • 学校法人慶應義塾
発明の名称 偏波解析装置、偏波解析方法、物性測定装置、及び物性測定方法
発明の概要
高速、高精度に電磁波の偏波方向と電場振幅を測定することのできる偏波解析装置を提供する。偏波解析装置は、電磁波を発生する電磁波発生源と、電気光学効果を有する非線形光学結晶と、前記結晶を角周波数ωで前記電磁波の入射に対して相対的に回転させる回転機構と、前記電磁波による前記結晶の照射と同期して当該結晶にプローブ光パルスを入射する光学系と、前記結晶を透過したプローブ光パルスの互いに直交する光成分の強度差信号を検出する検出器と、前記強度差信号からω成分と3ω成分の少なくとも一方を抽出し、前記抽出したω成分及び/または3ω成分に基づいて前記電磁波の偏波方向と電場振幅を決定する解析部と、を有する。
従来技術、競合技術の概要


近年の超短パルスレーザ技術の進歩により、これまで技術的に難しかったテラヘルツ帯域の光(電磁波)の発生、検出が可能になってきた。テラヘルツ波の発生、検出には、非線形光学結晶を用いる。具体的には、非線型光学結晶としてGaPやZnTeなどの閃亜鉛構造の結晶を用い、結晶に超短波パルスレーザ光を照射することでコヒーレントなテラヘルツ電磁波パルスを発生させる。テラヘルツ電磁波を物性測定に利用する場合は、発生させたテラヘルツ電磁波を被測定試料へ導き、透過波又は反射波を検出用の非線形光学結晶を通して検出することで、試料の特性を測定することができる。



図1は、一般的な偏波方向解析装置1000を示す。図示しないレーザ光源から出射される超短パルスレーザ光をポンプ光パルスとして用い、偏光子P1、光学チョッパー1001を介して、非線形光学結晶S1を照射し、チョッパー1001の周波数ωで変調を受けたテラヘルツ電磁波パルスを発生させる。テラヘルツ電磁波パルスの偏波方向は、偏光子P1と結晶S1を適宜回転することで任意に設定することができる。テラヘルツ電磁波パルスをミラーM1によりビームカット素子Cへ導きポンプ光をカットする。素子Cを通過したビームを2つのワイヤーグリッド偏光子WG1とWG2を透過させ、WG2でテラヘルツ波検出の際の偏波方向依存性を消去する。一つ目のワイヤーグリッド偏光子WG1は、通常は手作業で回転され、45度と-45度という2つの直交する偏波方向の電場成分を切り出す。二つ目のワイヤーグリッド偏光子WG2は、0度あるいは90度に設定することで、切り出されたテラヘルツ電場の偏波方向を固定する。偏波方向が固定されたテラヘルツ電磁波を、ミラーM2を介して非線型光学結晶S2に照射する。



テラヘルツ電磁波の照射と同期して、プローブ光パルスを偏光子(P2)を介して非線形光学結晶S2に入射する。非線型光学結晶S2にテラヘルツ電場が印加されると、電気光学効果により結晶S2に複屈折が生じ、結晶S2を通過するプローブ光の電場成分に強度差が生じる。この強度差はテラヘルツ電場の強度に比例するので(比例係数は既知)、検出器1010及びロックインアンプ1011で強度差を検出することによってテラヘルツ電場強度を見積もることができる。テラヘルツ電場はチョッパー1001の周波数ωで変調を受けているので精度よくロックイン検出ができる。



電磁波の偏波方向を決定するのに、直交する2つの方向の電場成分が必要である。そのため、ワイヤーグリッド偏光子WG1を45度と-45度に設定したときの各々のテラヘルツ電場の時間波形データを取得し、解析する。時間波形データを取得するのに、一般に遅延ステージでプローブ光またはポンプ光パルスの入射タイミングをずらしながら電場強度を計測し、電場波形の全体が得られるまで異なる時刻での電場測定を続ける。



テラヘルツ電磁波を利用して試料の表面凹凸を測定する場合は、試料にテラヘルツ電磁波を照射し、反射波が検出用の結晶に到達する到達時間の差から表面段差を求める。到達時間の差を求めるためにテラヘルツ電磁波のピーク値を示す時刻を特定する必要があり、測定点ごとに時間波形の測定が必要である。



なお、テラヘルツ波検出に関し、閃亜鉛構造結晶の結晶方位角度とテラヘルツ電場偏波方向のなす角によってΔIの出力信号がどのように変化するかを関数で表した文献が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。この手法は、結晶方位の[001]方向とプローブ光パルスの偏光方向とを一致させるように結晶と偏光子の双方を同時に回転させる必要がある点や、決定できる偏波方向に位相πの不確定性が残る点で不利である。



また、プローブ光パルスの偏光方向、閃亜鉛構造結晶の結晶方位角、およびテラヘルツ電場検出にかかわるすべての光学素子(1/4波長板、ウォラストンプリズムなど)の角度を任意の角度で回転させたときの、テラヘルツ電場の偏波方向に依存したΔIの出力信号強度の一般式の導出が知られている(たとえば、非特許文献2参照)。この方法は一般式の理論計算にとどまり実用には不向きである。



さらに、閃亜鉛構造結晶の[001]軸とプローブ光パルスの偏光方向のなす角を0度と90度となるように検出用結晶を回転させ、2つの角度でのΔIの値をもとにテラヘルツ電磁波の偏波方向を決定する方法が提案されている(たとえば、非特許文献3参照)。

産業上の利用分野


本発明は、電磁波の偏光方向と電場振幅を高速かつ高精度に決定する偏波解析装置と偏波解析方法、およびこれを利用した物性測定の構成と手法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
電磁波を発生する電磁波発生源と、
電気光学効果を有する非線形光学結晶と、
前記結晶を角周波数ωで前記電磁波の入射に対して相対的に回転させる回転機構と、
前記電磁波による前記結晶の照射と同期して、当該結晶にプローブ光パルスを入射する光学系と、
前記結晶を透過したプローブ光パルスの互いに直交する光成分の強度差信号を検出する検出器と、
前記強度差信号からω成分と3ω成分の少なくとも一方を抽出し、前記抽出したω成分及び/または3ω成分に基づいて前記電磁波の偏波方向と電場振幅を決定する解析部と、
を有する偏波解析装置。

【請求項2】
前記解析部は、
ΔI=C・E・[(1/2)cos(ωt+φ)+(3/2)cos(3ωt-φ)]
に基づいて前記電磁波のω成分および/または3ω成分の位相情報と振幅情報を取得し、取得した位相情報と振幅情報に基づいて前記偏波方向と電場振幅を決定することを特徴とする請求項1に記載の偏波解析装置、
ここで、Cは係数、Eは前記電磁波の電場振幅である。

【請求項3】
前記回転機構の角周波数は、前記結晶が1回転する間に前記結晶上に奇数個のデータ点が得られるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の偏波解析装置。

【請求項4】
前記結晶上への前記電磁波の照射を所定の周波数でオン・オフする光学チョッパーと、
前記結晶の連続する2回の回転において、前記結晶上の同じ角度位置のデータ点で得られる2つの差分信号の差をとって新たな差分信号を算出する演算部と、
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の偏波解析装置。

【請求項5】
前記光学チョッパーの周波数をf1、前記結晶の回転周波数をf2、前記結晶上のデータ点の数をn(nは奇数)としたときに、
1=(n/2)・f2
を満たすことを特徴とする請求項4に記載の偏波解析装置。

【請求項6】
円偏光または楕円偏光の電磁波を発生する電磁波発生源と、
電気光学効果を有する非線形光学結晶と、
前記結晶を角周波数ωで前記電磁波の入射に対して相対的に回転させる回転機構と、
前記電磁波による前記結晶の照射と同期して、当該結晶にプローブ光パルスを入射する第1光学系と、
前記電磁波発生源と前記結晶の間で試料を保持する試料台と、
前記電磁波を前記試料に導き、前記試料で反射した反射電磁波を前記結晶に導く第2光学系と、
前記結晶を透過したプローブ光パルスの互いに直交する光成分の強度差信号を検出する検出器と、
前記強度差信号からω成分と3ω成分の少なくとも一方を抽出し、抽出したω成分及び/または3ω成分に基づいて前記円偏光の電磁波の偏波角度を決定する偏波解析部と、
あらかじめ取得した、前記電磁波の前記結晶におけるプローブ光パルス入射時の偏光角度と試料特性との1対1対応の関係を示す対応情報を格納する対応情報格納部と、
前記偏波解析部で決定された前記反射電磁波の偏波角度と、前記対応情報とに基づいて前記試料の特性を決定する試料解析部と、
を含むことを特徴とする物性測定装置。

【請求項7】
前記第1光学系は、光学遅延素子を有する遅延ステージをさらに含み、前記遅延ステージは、前記対応情報をあらかじめ取得する際に駆動されることを特徴とする請求項6に記載の物性測定装置。

【請求項8】
前記試料を保持する試料台は、前記対応情報をあらかじめ取得する際にz方向に駆動されることを特徴とする請求項6に記載の物性測定装置。

【請求項9】
前記電磁波発生源は、光パルスの印加により電磁波を発生する電磁波発生用の非線形光学結晶と、前記電磁発生用の非線形光学結晶で発生した電磁波を円偏光または楕円偏光の光にする光学素子を含むことを特徴とする請求項6に記載の物性測定装置。

【請求項10】
前記試料の特性は、試料の表面形状であり、
前記対応情報は、前記試料の表面位置と前記電磁波の偏波角度との1対1対応の関係を示す情報であることを特徴とする請求項6に記載の物性測定装置。

【請求項11】
電気光学効果を有する非線形光学結晶を電磁波で照射するとともに、前記結晶を角周波数ωで前記照射電磁波に対して相対的に回転させ、
前記電磁波の照射と同期して前記結晶にプローブ光パルスを入射し、
前記結晶を透過したプローブ光パルスの互いに直交する光成分の強度差信号を検出し、
前記強度差信号からω成分と3ω成分の少なくとも一方を抽出し、前記抽出したω成分及び/または3ω成分に基づいて前記電磁波の偏波方向と電場振幅を決定する
ことを特徴とする偏波解析方法。

【請求項12】
前記決定工程は、
ΔI=C・E・[(1/2)cos(ωt+φ)+(3/2)cos(3ωt-φ)]
に基づいて前記電磁波のω成分および/または3ω成分の位相情報と振幅情報を取得し、取得した位相情報と振幅情報に基づいて前記偏波方向と電場振幅を決定することを特徴とする請求項11に記載の偏波解析方法、
ここで、Cは係数、Eは前記電磁波の電場振幅である。

【請求項13】
前記結晶の角周波数は、当該結晶が1回転する間に前記結晶上に奇数個のデータ点が得られるように設定されていることを特徴とする請求項11に記載の偏波解析方法。

【請求項14】
前記結晶上への前記電磁波の照射を所定の周波数でオン・オフ変調し、
前記結晶の連続する2回の回転において、前記結晶上の同じ角度位置のデータ点で得られる2つの差分信号の差をとって新たな差分信号を算出する、
工程をさらに含み、
前記決定工程は、前記新たな差分信号に基づいて抽出したω成分および/または3ω成分に基づいて前記電磁波の偏波方向と電場振幅を決定することを特徴とする請求項13に記載の偏波解析方法。

【請求項15】
前記オン・オフ変調の周波数をf1、前記結晶の回転周波数をf2、前記結晶上のデータ点の数をn(nは奇数)としたときに、
1=(n/2)・f2
を満たすことを特徴とする請求項14に記載の偏波解析方法。

【請求項16】
特定の物質について、当該物質を照射する円偏光または楕円偏光の電磁波の、検出用の非線形光学結晶におけるプローブ光パルス入射時の偏光角度と、前記物質の特性との1対1の対応関係を示す対応情報をあらかじめ取得して格納し、
前記円偏光または楕円偏光の電磁波で試料を照射し、前記試料表面で反射する反射電磁波を角周波数ωで回転する前記検出用の非線形光学結晶に入照し、
前記電気波による前記結晶の照射と同期して、前記検出用の非線形光学結晶にプローブ光パルスを入射し、
前記検出用の非線形光学結晶を透過したプローブ光パルスの互いに直交する光成分の強度差信号を検出し、
前記強度差信号からω成分と3ω成分の少なくとも一方を抽出し、抽出したω成分及び/または3ω成分に基づいて前記円偏光または楕円偏光の電磁波の偏波角度を決定し、
前記決定された偏波角度と前記対応情報とに基づいて前記試料の特性を決定する、ことを特徴とする物性測定方法。

【請求項17】
前記対応情報は、前記プローブ光パルスの光学パス上に配置された光学遅延素子を駆動して取得されることを特徴とする請求項16に記載の物性測定方法。

【請求項18】
前記対応情報は、前記試料を保持するステージをz軸方向に駆動しながら前記電磁波の偏波角度を測定することによって取得することを特徴とする請求項16に記載の物性測定

【請求項19】
前記円偏光または楕円偏光の電磁波は、電磁波発生用の非線形光学結晶に光パルスを印加して電磁波を発生し、発生した電磁波を1/4波長板に通して生成されることを特徴とする請求項16に記載の物性測定方法。

【請求項20】
前記試料の特性は、試料の表面形状であり、
前記対応情報は、前記試料の表面位置と前記電磁波の偏波角度との1対1対応の関係を示す情報として取得されることを特徴とする請求項16に記載の物性測定方法。
国際特許分類(IPC)
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