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アブラヤシ由来のバイオマス粉末およびその製造方法ならびにバイオマス複合成形体およびその製造方法

国内特許コード P150012545
整理番号 (S2012-0050-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-545787
登録番号 特許第5946226号
出願日 平成24年11月20日(2012.11.20)
登録日 平成28年6月10日(2016.6.10)
国際出願番号 JP2012007427
国際公開番号 WO2013076960
国際出願日 平成24年11月20日(2012.11.20)
国際公開日 平成25年5月30日(2013.5.30)
優先権データ
  • 特願2011-256880 (2011.11.25) JP
発明者
  • 西田 治男
  • 安藤 義人
  • 永田 浩一
  • 白井 義人
  • スビアン カルプチャーミー
  • アーマド ノルディン ノール イダ アマリナ
  • ヒダヤ ビンティ アリフィン
  • モハド アリ ハッサン
出願人
  • 国立大学法人九州工業大学
発明の名称 アブラヤシ由来のバイオマス粉末およびその製造方法ならびにバイオマス複合成形体およびその製造方法
発明の概要 均質な工業用繊維質素材として好適なアブラヤシ由来のバイオマス粉末およびそれを用いた、機械的物性に優れた複合成形体を提供する。
アブラヤシ由来のバイオマス粉末は、熱重量減少の微分曲線において、180~320℃の温度範囲にピークを有さず、300~400℃の温度範囲にピークを有し、50質量%以上が長径1μm~500μmの範囲にある。バイオマス複合成形体は、バイオマス粉末と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプレポリマーとを5:95~80:20の質量比で含有する組成物を成形してなる。
従来技術、競合技術の概要


アブラヤシは、中果皮と内果皮から油脂が採取される。作付け単位面積当たり得られる油脂の量は植物中屈指であるため、熱帯地域、とりわけマレーシアとインドネシアにおいて、プランテーション農法により大規模に栽培されている。アブラヤシの成木は単一の幹(トランク)からなり、高さ20mに達する。茎葉はフロンドと呼ばれ、羽状で長さ3~5mほどのものが、年間に若木では約30枚、樹齢10年以上の木では約20枚が新しく生える。アブラヤシの果実はフレッシュフルーツバンチ(以下、FFBと略記する)と呼ばれ、1房のFFBは鶏卵大の小果が200個ほど集まったものである。重さは1房あたり40-50kgほどになる。
FFBの個々の小果は油分の多い多肉質の中果皮(メソカープ)と、同じく油分に富んだ1つの果実殻(シェル)から構成される。小果から油分を絞り取った後の中果皮部分はセルロース繊維質に富みメソカープファイバー(以下、MFと略記する)と呼ばれる。また、小果を取り去った後の空房をエンプティーフルーツバンチ(以下、EFBと略記する)という。



プランテーションから排出されるバイオマスは膨大であり、フロンド、MF、およびEFBともに年間排出量はそれぞれ1千万トン以上といわれている。これらのバイオマスはプランテーションやパーム油の製造プロセスで再利用されており、たとえば、フロンドはアブラヤシの根元に敷き詰められ肥料として用いられ、またMFはパーム油の搾油工場の燃料として用いられている。フロンドやMFは上質のセルロース繊維質に富むにもかかわらず、これら膨大な量のバイオマスの利用は限定的である。



たとえばMFやフロンドの利用方法として、MFやフロンドを酸の存在下に蒸解してパルプ及び有機酸変性リグニンを採取する方法(特許文献1参照)、ヤシ繊維を主成分とする繊維マットを熱硬化性樹脂で接着させた後、圧縮成形により得られる内装用の断熱材(特許文献2参照)、パレットやトレイ等の圧縮成形体(特許文献3参照)、さらにMFを放射線及び/又は高圧蒸気の存在下で殺菌処理した後に飼料として用いる方法(特許文献4参照)などが開示されているにすぎない。
また、同じアブラヤシ果実由来のEFBは、MFやフロンドと同様の利用方法の他に、バイオマスエタノールへの転換(特許文献5参照)、断熱壁体構造(特許文献6参照)、成形ボード(特許文献7参照)などの工業製品素材として利用されている。



フロンド、MFおよびEFBを工業用繊維質素材として利用しようとする場合、幾つかの問題点がある。たとえば、大量の水分を含有すること、組成や形状が不均質であること、および加熱時に臭気成分が揮発してくることなどである。
これらの問題を解決することで、これら膨大な量のバイオマスをより付加価値の高い工業用繊維質素材として有効利用することが可能となる。



アブラヤシ由来のバイオマスから効率的に脱水乾燥する方法として、120~300℃の油中にて、その温度における油の飽和蒸気圧以上の加圧下で処理する方法が開示されている(特許文献8参照)。しかしこの技術はバイオマスを燃料化するための方法であり、工業用素材とするにはさらに脱油プロセスが必要となるため好適な乾燥方法ではない。



不均質な組成や形状をより均質なものとするには、化学的に成分を分離するかあるいは微細に粉砕・混合して物理的に均質なものとする方法がある。
化学的な方法としては、たとえば、EFBの場合、苛性ソーダ等を用いた蒸解が用いられる(特許文献9参照)。化学的処理によって成分を分離した場合、黒液と呼ばれるリグニン成分が溶解した廃液が排出され、その処理がまた課題となっている。物理的な均質化方法としては、茎葉の中の小葉のような柔らかい成分を機械的に微粉砕し、凍結乾燥等の方法で乾燥させて食品へ応用する技術が開示されている(特許文献10参照)。しかし、EFBのような繊維質のバイオマスは、その強固な繊維組織のために機械的な方法での破砕・粉砕は容易ではない。
ところで、竹繊維を用いたグリーンコンポジット開発についてのものであるが、竹繊維の取出し方法として、孟宗竹を多数回繰り返して爆砕処理して長繊維を得、その後ミキサーで解繊し竹単繊維を得る方法や、爆砕処理にさらにアルカリ処理を組み合わせて竹繊維を得る方法が開示されている。そして、これらの方法で得られる竹繊維の予備成形体をホットプレス処理することにより、得られるコンポジットの強度向上が図れるとされている(非特許文献1参照)。
しかし、竹の組織構造とアブラヤシの組織構造は、大きく異なるため、この竹についての技術をアブラヤシに適用したときに所望の効果が得られるかどうかは定かではない。



アブラヤシ由来のバイオマスを加熱した際に発生する特有の臭気は、熱分解・気化した成分に基づくものである。バイオマスは、通常、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンからなっており、これらの主成分の内、ヘミセルロースが最も低温で分解しやすく(非特許文献2参照)、酢酸や蟻酸などの揮発物質を発生する。このヘミセルロースの分解は180~320℃の温度範囲にピークがあり、一般的な熱可塑性プラスチックの溶融成形温度と重なる。従って、バイオマスと熱可塑性プラスチックとをブレンドして、200℃付近まで加熱すると、ヘミセルロース成分が分解し、特有の臭気を発する。



なお、アブラヤシ由来のバイオマスを、特に均質処理することなく、透湿度が良好で強度の大きい繊維板として利用する方法として、EFBの繊維成分である直径100~600μm、長さ5~30cmの屈曲性と剛性の高い素材を解繊し、熱硬化性樹脂を接着剤成分として加えて、100~200℃の温度範囲で圧縮成形する方法が開示されている(特許文献11参照)。しかし、この方法では、複雑な形状の成形体を効率的に得ることが難しい。

産業上の利用分野


本発明は、熱帯地域において豊富に存在しかつ利用が不十分であるアブラヤシ由来のバイオマスの利用技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
熱重量減少の微分曲線において、180~320℃の温度範囲にピークを有さず、300~400℃の温度範囲にピークを有し、50質量%以上が長径1~500μmの範囲にあるアブラヤシ由来のバイオマス粉末。

【請求項2】
アブラヤシの中果皮から油分を絞り取った後の繊維質残滓を原料とすることを特徴とする請求項1記載のバイオマス粉末。

【請求項3】
アブラヤシの茎葉から糖成分を絞り取った後の繊維質残滓を原料とすることを特徴とする請求項1記載のバイオマス粉末。

【請求項4】
アブラヤシの果実から小果を取り去った後の空房を原料とすることを特徴とする請求項1記載のバイオマス粉末。

【請求項5】
原料を170~250℃の水蒸気を用いて10分~6時間処理した後に、粉砕することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のバイオマス粉末の製造方法。

【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のバイオマス粉末と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプレポリマーとを5:95~80:20の質量比で含有する組成物を成形してなるバイオマス複合成形体。

【請求項7】
溶融成形することを特徴とする請求項6記載のバイオマス複合成形体の製造方法。

【請求項8】
射出成形法または押出成形法で成形することを特徴とする請求項7記載のバイオマス複合成形体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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