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大腸上皮幹細胞の単離・培養技術と、これを用いた大腸上皮移植技術

国内特許コード P150012548
整理番号 (S2012-0054-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-540665
出願日 平成24年10月26日(2012.10.26)
国際出願番号 JP2012006897
国際公開番号 WO2013061608
国際出願日 平成24年10月26日(2012.10.26)
国際公開日 平成25年5月2日(2013.5.2)
優先権データ
  • 特願2011-236469 (2011.10.27) JP
発明者
  • 渡辺 守
  • 中村 哲也
出願人
  • 国立大学法人 東京医科歯科大学
発明の名称 大腸上皮幹細胞の単離・培養技術と、これを用いた大腸上皮移植技術
発明の概要 本発明の課題は、大腸上皮幹細胞等のインビトロ培養用培地や、かかる培地を用いて大腸上皮幹細胞等をインビトロで培養する方法や、かかる方法で培養して得られる大腸上皮幹細胞等を含有する、腸疾患の予防・治療剤や、かかる方法で培養して得られる大腸上皮幹細胞等の腸疾患患者への投与方法即ち移植方法や、大腸上皮幹細胞等の単離方法を提供することにある。血清アルブミン、Wnt3a、及び、r-spondin-1を含有する、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞のインビトロ培養用培地を用いることを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要


消化管疾患の治療における成体幹細胞の治療応用の可能性に対する関心が高まっている。胃、小腸及び大腸における上皮細胞の自己複製能及び生成能を有する消化管上皮幹細胞は、消化管の各部で組織恒常性の維持に重要な役割を果たしている(非特許文献1~3)。最近の研究により、消化管幹細胞の生物学に関する知見が大幅に増加している。Wnt、BMP及びNotchカスケードを含むいくつかのシグナル伝達経路が共に作用して、幹細胞の維持を調節し、上皮恒常性を制御することが示されている(非特許文献4)。系統追跡を用いる研究により、Wnt標的遺伝子であるLgr5が、小腸及び大腸の陰窩(非特許文献5)の底部並びに胃ユニット(非特許文献6)の底部における幹細胞のマーカーとして同定された。



現在、確実なマーカーによって消化管幹細胞が認識できることから、消化管幹細胞を用いる細胞療法が多くの難治性疾患の治療を根本的に変えることが期待されつつある。しかし今日に至るまで、単離された消化管上皮細胞をインビトロで培養し増やした後に、傷害組織を修復する細胞療法の材料として用いた報告は全くない。また、培養し増殖させた消化管上皮幹細胞が傷害部位で組織を修復できるかどうかは未だ判明していない。上皮成分及び間葉成分を有する腸の小断片を長期にわたり培養できるようになったのは最近のことである(非特許文献7)。



非特許文献8には、単離した大腸陰窩をマトリゲル内に包埋し、完全陰窩培地を添加して、大腸上皮幹細胞を培養する方法が記載されている。かかる完全陰窩培地は、基本培地であるAdvanced DMEM/F12に、Wnt3a又はWnt3a馴化培地、EGF、Noggin、r-spondin-1、B-27(登録商標)supplement(Invitrogen社製)、ガストリン、ニコチンアミド、A83-01(TGF-β 1型受容体キナーゼ阻害剤)、及び、SB202190(p38阻害剤)などを添加した培地である。B-27(登録商標)supplementの厳密な組成は開示されていないが、ビオチン、L-カルニチン、コルチコステロン、エタノールアミン、D(+)ガラクトース、還元型グルタチオン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレッシン、レチニル酢酸、セレン、トリオド-l-チロミン、ビタミンE、ビタミンE酢酸塩、ウシアルブミン、カタラーゼ、インスリン、スーパーオキシド・ジスムターゼ、トランスフェリンなどを含むことが知られている(非特許文献9)。大腸上皮幹細胞を無血清培地にてインビトロで培養する場合、ガストリン、ニコチンアミド、A83-01(TGF-β 1型受容体キナーゼ阻害剤)、SB202190(p38阻害剤)、及び、B-27 supplementは必須な成分であると考えられており、中でも、B-27 supplementは特に必要不可欠であると考えられていた。



ところで、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin;BSA)は、ウシの血清に多く含まれるアルブミンであり、脂肪酸や微量元素などの運搬体として機能することが知られている。Wnt3aは、WNT3A遺伝子によりコードされるタンパク質であり、β-カテニン経路を活性化することが知られている。Wnt/β-カテニン経路は、幹細胞の増殖や、未分化性維持に関連していることが知られている。R-spondin-1(Roof-plate-specific Spondin-1;Rspo1)は、RSPO1遺伝子によりコードされるタンパク質であり、背側神経管の分化に寄与し、腸陰窩上皮細胞の増殖を促進することが知られている。上皮細胞増殖因子(Epidermal Growth Factor;EGF)は、EGF遺伝子によりコードされるタンパク質であり、上皮細胞の増殖を促進することが知られている。肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)は、HGF遺伝子によりコードされるタンパク質であり、肝細胞を始めとして、各種細胞の増殖を促進することが知られている。Nogginは、NOG遺伝子によりコードされるタンパク質であり、形質転換増殖因子β(Transforming growth factor beta;TGF-β)のシグナル伝達を阻害することが知られている。



しかし、基本培地成分(糖類などの炭素源、アミノ酸などの窒素源、無機塩)に加えて、血清アルブミン、Wnt3a、及び、r-spondin-1を用いれば、無血清培地による培養であっても、マウスやヒトなどの哺乳動物の大腸組織から単離した大腸上皮幹細胞等をインビトロで長期間維持、増幅し得ることは全く知られていなかった。

産業上の利用分野


本発明は、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞(以下、「大腸上皮幹細胞等」とも省略する。)のインビトロ培養用培地や、かかる培地を用いて大腸上皮幹細胞等をインビトロで培養する方法や、かかる方法で培養して得られる大腸上皮幹細胞等を含有する、腸疾患の予防・治療剤や、大腸上皮幹細胞等の単離方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
血清アルブミン、Wnt3a、及び、r-spondin-1を含有する、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞のインビトロ培養用培地。

【請求項2】
上皮細胞増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、Noggin、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸塩、ピルビン酸ナトリウム、抗酸化剤、コレラ毒素、核酸、セルロプラスミン、ビタミン、及び、血清からなる群から選択される1種又は2種以上をさらに含有する、請求項1に記載の培地。

【請求項3】
血清を含有しない、請求項1又は2に記載の培地。

【請求項4】
大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞が、哺乳動物の大腸へ移植するためのものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の培地。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の培地と、細胞外基質とを用いて、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞を培養する工程Zを含む、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞をインビトロで培養する方法。

【請求項6】
工程Zにおける大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞として、以下の工程A~Dの工程をその順序で含む方法で単離される大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞を用いる、請求項5に記載の方法;
工程A:大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞を含む大腸組織を、哺乳動物の大腸から採取する工程;
工程B:コラゲナーゼ、ディスパーゼ及び還元剤を用いて、大腸組織を消化処理する工程;
工程C:消化処理した大腸組織の組織片を破砕処理する工程;
工程D:破砕処理した大腸組織について濃度勾配遠心法を適用して、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞を含む画分を得る工程;

【請求項7】
哺乳動物の大腸へ移植するための大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞をインビトロで培養する方法である、請求項5又は6に記載の方法。

【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の方法で培養して得られる大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞を含有する、腸疾患の予防・治療剤。

【請求項9】
以下の工程A~Dの工程をその順序で含む、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞の単離方法;
工程A:大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞を含む大腸組織を、哺乳動物の大腸から採取する工程;
工程B:コラゲナーゼ、ディスパーゼ及び還元剤を用いて、大腸組織を消化処理する工程;
工程C:消化処理した大腸組織の組織片を破砕処理する工程;
工程D:破砕処理した大腸組織について濃度勾配遠心法を適用して、大腸上皮幹細胞及び/又は大腸上皮細胞を含む画分を得る工程;
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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