TOP > 国内特許検索 > ウイルス感染症の予防又は治療剤

ウイルス感染症の予防又は治療剤

国内特許コード P150012555
整理番号 (S2012-0056-N0)
掲載日 2015年11月19日
出願番号 特願2013-541787
出願日 平成24年10月30日(2012.10.30)
国際出願番号 JP2012078053
国際公開番号 WO2013065690
国際出願日 平成24年10月30日(2012.10.30)
国際公開日 平成25年5月10日(2013.5.10)
優先権データ
  • 特願2011-239383 (2011.10.31) JP
発明者
  • 久保 嘉直
  • 神山 陽香
  • 鹿子木 桂
  • 林 日出喜
  • 松山 俊文
出願人
  • 国立大学法人 長崎大学
発明の名称 ウイルス感染症の予防又は治療剤
発明の概要 本発明は、γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素発現ベクター又はγインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体を含む、ウイルス感染症の予防又は治療剤、特にエンベロープウイルス感染症の予防又は治療剤を提供する。
従来技術、競合技術の概要


ウイルス感染症の治療において、ウイルスが変異を繰り返すことにより、薬剤耐性が生じることが大きな問題となっている。ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)感染によって引き起こされる後天性免疫不全症候群(AIDS)については、多数の薬剤を組み合わせてウイルスの増殖を抑える、多剤併用療法HAARTが一定の治療効果を挙げている。しかしながら、依然として耐性ウイルスの出現が問題となっており、新たな作用機序によるHIV感染阻害剤及び治療剤の開発が望まれている。



脂質二重層からなるウイルス膜を持ち、その表面にエンベロープ蛋白質(Env)を有するウイルスは、エンベロープウイルスと呼ばれる。エンベロープウイルスとしては、上記HIVの他、異種指向性マウス白血病ウイルス類似ウイルス(XMRV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)及びインフルエンザウイルスなどが知られている。



エンベロープウイルスは、標的細胞表面において感染受容体に結合した後、エンドサイトーシスによりエンドソームに取り込まれる。エンドソーム内のpHが低下し、リソソームに移行すると、ウイルスエンベロープ蛋白質は、低pHやリソソーム特異的蛋白質分解酵素の作用により活性化される。活性化されたエンベロープ蛋白質は、ウイルス膜と細胞膜との融合を引き起こし、ウイルスが細胞内に侵入する。エンベロープ蛋白質は、ジスルフィド結合によって、標的細胞への感染に必須な高次構造を維持していることが知られている。



エンベロープ蛋白質のジスルフィド結合を切断する化合物(5,5-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB))が、HIV感染を抑制することが知られている(非特許文献1)。DTNBは、宿主細胞の表面に存在する蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)などを阻害することにより、HIVの細胞への侵入を阻害すると考えられている。しかしながら、宿主の多くの蛋白質がジスルフィド結合を持っているため、前記化合物は、宿主由来の多くの蛋白質に作用し、細胞毒性を示すことが問題である。また非特許文献1には、PDIやチオレダクダーゼ等の酵素を使用した場合には、ウイルス感染を抑制する効果がほとんどないか又は感染が促進されることが記載されている。



一方、宿主細胞のインターフェロン処理は、様々な抗ウイルス因子を誘導することにより、ウイルス感染を抑制することが知られている。γインターフェロンによって発現が誘導される自然免疫因子の1つとして、γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素(gamma interferon inducible lysosomal thiolreductase(GILT))が知られている。GILTは、抗原のジスルフィド結合を切断し、蛋白質分解酵素によって消化され易くするため、MHCに提示される抗原ペプチドの生成に必須であることが報告されている(非特許文献2)。しかしながら、かかるGILTの機能が、ウイルス感染に対して直接的な影響を与えるか否かについては知られていない。

産業上の利用分野


本発明は、γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素発現ベクター又はγインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体を含む、ウイルス感染症の予防又は治療剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素発現ベクター又はγインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体を含む、ウイルス感染症の予防又は治療剤。

【請求項2】
γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体が、式(I):
【化1】


(式中、R及びRは同一又は異なって、置換基を有してもよい含窒素複素環基、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基、1個の置換基を有してもよいC6-10アリール基、置換基を有してもよいベンジル基、置換基を有してもよいフルフリル基、置換基を有してもよいチオカルバモイル基、又は置換基を有してもよいアミジノ基である。)
で表される化合物若しくはその塩である、請求項1に記載の予防又は治療剤。

【請求項3】
及びRが同一又は異なって、C1-6アルキル基及び/若しくはアミノ基で置換されていてもよい1若しくは2個の窒素原子を含む含窒素複素環基、C3-6シクロアルキル基、1個のアミノ基若しくはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC6-10アリール基、ベンジル基、フルフリル基、メチル基で置換されていてもよいチオカルバモイル基、又はアミジノ基である、請求項2に記載の予防又は治療剤。

【請求項4】
及びRが同一又は異なって、置換基を有してもよいピリジン-2-イル基、ピリジン-3-イル基、ピリジン-4-イル基、ピリダジン-3-イル基、ピリダジン-4-イル基、ピリミジン-2-イル基、ピリミジン-4-イル基、ピリミジン-5-イル基、ピラジン-2-イル基、1,3,5-トリアジン-2-イル基、1,2,3-トリアジン-4-イル基、1,2,3-トリアジン-5-イル基、1,2,4-トリアジン-3-イル基、1,2,4-トリアジン-5-イル基、1,2,4-トリアジン-6-イル基、1,3-チアゾール基又は1,2-チアゾール基である、請求項3に記載の予防又は治療剤。

【請求項5】
γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体が、ジチオジピリジン若しくはその塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。

【請求項6】
γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体が、4-PDSである、請求項1~5のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。

【請求項7】
γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体が、2,2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)、ジフェニルジスルフィド、4,4’-ビス(2-アミノ-6-メチルピリミジル)ジスルフィド、2,2’-ジチオジアニリン、4,4’-ジチオジアニリン、ジベンジルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、ビス(4-メトキシフェニル)ジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ホルムアミジンジスルフィド又はジフルフリルジスルフィドである、請求項1~4のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。

【請求項8】
ウイルスがエンベロープウイルスである、請求項1~7のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。

【請求項9】
エンベロープウイルスが、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、EBウイルス(Epstein-Barr virus)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、痘瘡ウイルス、ワクチニアウイルス、牛痘ウイルス、サル痘ウイルス、ラクダ痘ウイルス、エクトロメリアウイルス、オルフウイルス、ウシ丘疹性口炎ウイルス、鶏痘ウイルス、カナリア痘ウイルス、ヒツジ痘ウイルス、ヤギ痘ウイルス、塊皮病(ランピースキン病)ウイルス、粘液腫ウイルス、ウサギ線維腫ウイルス、豚痘ウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、タナポックスウイルス、イヌコロナウイルス、ネココロナウイルス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、鶏伝染性気管支炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、ウシトロウイルス、ウマトロウイルス、シンドビスウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、チクングニアウイルス、オニョンニョンウイルス、セムリキ森林ウイルス、バルマ森林ウイルス、マヤロウイルス、ロスリバーウイルス、風疹ウイルス、ウマ動脈炎ウイルス、サル出血熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、クンジンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、中央ヨーロッパダニ媒介性脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ロシオ脳炎ウイルス、イレウス脳炎ウイルス、跳躍病ウイルス、ポワッサンウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルス1型及び2型、豚コレラウイルス、ボーダー病ウイルス、C型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス1型及び3型、センダイウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス2型及び4型、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、イヌジステンパーウイルス、牛疫ウイルス、小反芻獣疫ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、RSウイルス(Respiratory syncytial virus)、ヒト・メタニューモウイルス、狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、インフルエンザウイルス(A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス及びC型インフルエンザウイルスを含む)、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ブラジル出血熱ウイルス(=サビアウイルス)、アルゼンチン出血熱ウイルス(=フニンウイルス)、ベネズエラ出血熱ウイルス(=グアナリトウイルス)、ボリビア出血熱ウイルス(=マチュポウイルス)、D型肝炎ウイルス、オロプーシェウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブワンバウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、タヒナウイルス、ラ・クロスウイルス、カンジキウサギウイルス、リフトバレー熱ウイルス、トスカーナウイルス、サシチョウバエ熱(ナポリ型)ウイルス、サシチョウバエ熱(シチリア型)ウイルス、ハンターンウイルス、シンノンブレウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス1及び2型(HTLV-1及びHTLV-2)、ヒト免疫不全ウイルス1及び2型(HIV-1及びHIV-2)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)、馬伝染性貧血ウイルス(EIA)、マウス白血病ウイルス(MLV)(同種指向性MLV(ecotropic MLV)及び両指向性MLV(amphotropic MLV)を含む)、猫白血病ウイルス(FLV)、細網内皮症ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス類似ウイルス(XMRV)及びB型肝炎ウイルスからなる群から選択される、請求項8に記載の予防又は治療剤。

【請求項10】
エンベロープウイルスが、HIV、同種指向性MLV、両指向性MLV及びVSVからなる群から選択される、請求項8に記載の予防又は治療剤。

【請求項11】
γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素がヒト由来である、請求項1~10のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。

【請求項12】
γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素発現ベクター又はγインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体を対象に投与することを含む、該対象におけるウイルス感染症の予防又は治療方法。

【請求項13】
ウイルス感染症の予防又は治療に使用するための、γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素発現ベクター又はγインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体。

【請求項14】
ウイルス感染症の予防又は治療剤を製造するための、γインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素発現ベクター又はγインターフェロン誘導リソソームチオール還元酵素の模倣体の使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2013541787thum.jpg
出願権利状態 公開
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close