TOP > 国内特許検索 > 複合型ゲル粒子検出器およびその動作方法並びにエンドトキシン濃度の測定方法

複合型ゲル粒子検出器およびその動作方法並びにエンドトキシン濃度の測定方法

国内特許コード P150012596
整理番号 S2014-0297-N0
掲載日 2015年11月26日
出願番号 特願2013-265294
公開番号 特開2015-121458
出願日 平成25年12月24日(2013.12.24)
公開日 平成27年7月2日(2015.7.2)
発明者
  • 小幡 徹
  • 谷 徹
出願人
  • 国立大学法人滋賀医科大学
発明の名称 複合型ゲル粒子検出器およびその動作方法並びにエンドトキシン濃度の測定方法
発明の概要 【課題】ゲル粒子の測定精度を向上させるために、複数の異なる角度で後方散乱光成分を同時に検出する。
【解決手段】ゲル粒子測定装置において、試料S及び試薬Rを含む混合溶液Wを収容する試料セル100からの散乱光を検出する検出器であって、入射端が入射光源130に接続され、出射端から入射光Bmを試料セル100に照射する照射用導光部材GFと、試料セル100内の混合溶液W中で散乱して入射光源130側に戻る後方散乱光成分LBSのうち、入射光Bmの光軸と第1の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第1の受光素子が接続される複数の第1の検出用導光部材GFG1と、後方散乱光成分LBSのうち、入射光Bmの光軸と第2の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第2の受光素子が接続される複数の第2の検出用導光部材GFG2とを備える。
【選択図】図11
従来技術、競合技術の概要


エンドトキシン(内毒素)とは、主としてグラム染色に染まらない(グラム陰性)細菌類の菌体の膜成分の一部であり、その成分はリポポリサッカライドと呼ばれる脂質多糖類、具体的には、リピドA(Lipid A)と呼ばれる脂質と多糖鎖とが2-ケト-3-デオキシオクトン酸(KDO)を介して結合したリポ多糖(LPS)である。リポ多糖に含まれるリピドA(Lipid A)と呼ばれる脂質構造部分は、感染により人の体内に入ったときに細胞の受容体と結合して炎症を引き起こし、多くの場合様々な重篤な臨床症状を引き起こす。このように、エンドトキシンは、人において敗血症や菌血症という致死率の非常に高い臨床症状の原因となる物質であるため、体内に入ったエンドトキシンの推定をすることは臨床的に要求の高いことである。また、膜を介して間接的とはいえ人工透析に用いる透析液や医薬品(注射剤等)や医療用具(血管カテーテル等)はエンドトキシンによる汚染がないこと(パイロジェンフリー)が重要であり、細菌を用いて調製した医薬品(組み換えタンパク質、遺伝子治療に用いるDNA等)や食品添加物・化粧品などでは混入したエンドトキシンを適正に除去または制御することが不可欠になっている。



このエンドトキシンの除去確認、あるいは救急医学における計測は、測定試料数の多さばかりでなく、救命治療という目的にかなった迅速性が求められている。敗血症などの治療のため、エンドトキシン値を計ろうとする研究は古くよりなされ、カブトガニ(Limulus)のアメーバ状血球細胞に含まれる因子群が、エンドトキシンに特異的に反応し、凝集塊となって傷口をふさぐという現象が発見されてから、このリムルスの血球細胞水解物(Limulus Amebocyte Lysate;LAL試薬又はリムルス試薬)を用いてエンドトキシンの定量をする試みがなされている。



最初にリムルス試薬を使った測定法は、単に試料となる患者の血漿を混合して静置し、一定時間後に転倒して混合溶液のゲル化の有無を溶液が固まることで確認し、ゲル化を起こすための最大希釈率でエンドトキシン量を推定する所謂ゲル化法と呼ばれる半定量の測定法であった。その後、ゲル化反応の過程における濁度増加に着目し、光学的な計測方法を用いた濁度計で、静置した混合溶液のゲル化反応に伴う濁度変化によりゲル化反応速度を推定し、エンドトキシン濃度を定量測定する比濁時間分析法が知られている。また、リムルス試薬による反応過程の最終段階でコアギュロゲン(Coagulogen)がコアグリン(Coagulin)に転換するゲル化反応を合成基質の発色反応に置き換えた発色合成基質法も既に知られている。これは、凝固過程における凝固前駆物質(コアギュロゲン:Coagulogen)の代わりにコアギュロゲンの酵素作用部位を模した発色合成基質(Boc-Leu-Gly-Arg-p-ニトロアリニド)を加えることにより、その加水分解でp-ニトロアニリンが遊離され、その黄色発色の比色によりエンドトキシン濃度を測定するものである。



従来のゲル化反応測定装置としては、例えば次の特許文献1~3に示すものが挙げられる。



特許文献1のゲル粒子測定装置によると、ゲル化反応により試料中の目的物質を測定するに当たり、試料及び試薬溶液からなる混合溶液を攪拌条件下で反応させ、ゾル相からゲル相に相転移する際のゲル粒子の生成開始時点を計測することができる。



また、特許文献2のゲル粒子測定装置によると、このようなゲル粒子の生成開始時点を、粒子化現象が発生する溶媒中で光減衰を最小限に抑えて計測することができる。

産業上の利用分野


本発明は、ゲル化反応によって測定対象の試料中のエンドトキシンやβ-D-グルカンなどの目的物質を粒子化して測定するゲル粒子測定装置の複合型ゲル粒子検出器に係り、より詳細には、ゲル粒子の生成開始時点とゲル粒子のサイズとを同時に測定してゲル粒子の測定精度を向上させるために、複数の異なる角度で後方散乱光成分を同時に検出するように受光素子が配置された、臨床での使用に適した複合型ゲル粒子検出器に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ゲル化反応によって試料中の目的物質を粒子化して測定するゲル粒子測定装置において、測定対象である目的物質が含まれる試料と前記目的物質のゲル化を生ずる試薬とが含まれる混合溶液を収容する試料セルからの散乱光を検出する検出器であって、
入射端が入射光源に接続され、出射端から入射光を前記試料セルに照射する照射用導光部材と、
前記試料セル内の前記混合溶液中で散乱して前記照射用導光部材側の方向に戻る後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と第1の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第1の受光素子が接続される複数の第1の検出用導光部材と、
前記後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と第2の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第2の受光素子が接続される複数の第2の検出用導光部材と、
を備え、前記第1の角度が前記第2の角度より小さい、検出器。

【請求項2】
前記検出器の受光面において、
複数の前記第1の検出用導光部材の複数の前記入射端が、前記照射用導光部材の前記出射端を中心として第1の距離を半径とする円周上に配置され、
複数の前記第2の検出用導光部材の複数の前記入射端が、前記照射用導光部材の前記出射端を中心として第2の距離を半径とする円周上に配置され、
前記第1の距離が前記第2の距離より短い、請求項1に記載の検出器。

【請求項3】
前記検出器の受光面において、
前記照射用導光部材の前記出射端が、前記受光面の中心から前記受光面の周縁方向にオフセットして配置されている、請求項1または2に記載の検出器。

【請求項4】
前記試料セルの周壁が円筒状であり、
前記検出器の受光面が、前記試料セルの前記周壁に整合するように湾曲している、請求項1~3のいずれかに記載の検出器。

【請求項5】
前記検出器が、第1の結合器と、第2の結合器とをさらに有し、
前記第1の結合器が、前記複数の第1の検出用導光部材の複数の前記出射端から導入される複数の受光信号を1つの受光信号に結合して、前記第1の受光素子に導入し、
前記第2の結合器が、前記複数の第2の検出用導光部材の複数の前記出射端から導入される複数の受光信号を1つの受光信号に結合して、前記第2の受光素子に導入する、請求項1~4のいずれかに記載の検出器。

【請求項6】
ゲル化反応によって試料中の目的物質を粒子化して測定するゲル粒子測定装置において、測定対象である目的物質が含まれる試料と前記目的物質のゲル化を生ずる試薬とが含まれる混合溶液を収容する試料セルからの散乱光を検出するゲル粒子検出器であって、
前記試料セル内の前記混合溶液に対して入射光を照射する入射光源と、
前記入射光の光軸を取り囲み、前記試料セル内の前記混合溶液中で散乱した光のうち、前記入射光源側の方向に戻る後方散乱光成分を検出する後方散乱光検出手段と、
前記後方散乱光検出手段の計測結果に基づいて、前記入射光の光軸と第1の角度を成す後方散乱光成分と、前記入射光の光軸と第2の角度を成す後方散乱光成分との信号強度の比率から、前記混合溶液内のゲル粒子のサイズを推定するゲル粒子サイズ推定手段とを備え、
前記後方散乱光検出手段が、
入射端が前記入射光源に接続され、出射端から前記入射光を前記試料セルに照射する照射用導光部材と、
前記後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と前記第1の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第1の受光素子が接続される複数の第1の検出用導光部材と、
前記後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と前記第2の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第2の受光素子が接続される複数の第2の検出用導光部材と、
を有し、前記第1の角度が前記第2の角度より小さい、ゲル粒子検出器。

【請求項7】
前記後方散乱光検出手段の検出出力に基づいて、散乱光の変動成分を計測する散乱光変動計測手段と、
前記散乱光変動計測手段の計測結果に基づいて、前記混合溶液がゾル相からゲル相へ相変化する際の前記混合溶液内のゲル粒子の生成開始時点を判別するゲル粒子生成判別手段と、をさらに備える、請求項6に記載のゲル粒子検出器。

【請求項8】
前記ゲル粒子生成判別手段が、前記ゲル粒子サイズ推定手段からの前記ゲル粒子の前記サイズの情報に基づいて、前記ゲル粒子の前記生成開始時点を判別する、請求項7に記載のゲル粒子検出器。

【請求項9】
前記後方散乱光検出手段の受光面において、
複数の前記第1の検出用導光部材の複数の前記入射端が、前記照射用導光部材の前記出射端を中心として第1の距離を半径とする円周上に配置され、
複数の前記第2の検出用導光部材の複数の前記入射端が、前記照射用導光部材の前記出射端を中心として第2の距離を半径とする円周上に配置され、
前記第1の距離が前記第2の距離より短い、請求項6~8のいずれかに記載のゲル粒子検出器。

【請求項10】
前記後方散乱光検出手段の受光面において、
前記照射用導光部材の前記出射端が、前記受光面の中心から前記受光面の周縁方向にオフセットして配置されている、請求項6~9のいずれかに記載のゲル粒子検出器。

【請求項11】
前記試料セルの周壁が円筒状であり、
前記後方散乱光検出手段の受光面が、前記試料セルの前記周壁に整合するように湾曲している、請求項6~10のいずれかに記載のゲル粒子検出器。

【請求項12】
前記後方散乱光検出手段が、第1の結合器と、第2の結合器とをさらに有し、
前記第1の結合器が、前記複数の第1の検出用導光部材の複数の前記出射端から導入される複数の受光信号を1つの受光信号に結合して、前記第1の受光素子に導入し、
前記第2の結合器が、前記複数の第2の検出用導光部材の複数の前記出射端から導入される複数の受光信号を1つの受光信号に結合して、前記第2の受光素子に導入する、請求項6~11のいずれかに記載のゲル粒子検出器。

【請求項13】
ゲル化反応によって試料中の目的物質を粒子化して測定するゲル粒子測定装置において、測定対象である目的物質が含まれる試料と前記目的物質のゲル化を生ずる試薬とが含まれる混合溶液を収容する試料セルからの散乱光を検出するゲル粒子検出器の動作方法であって、
前記ゲル粒子検出器が、入射光源と、後方散乱光検出手段と、ゲル粒子サイズ推定手段とを備え、
前記後方散乱光検出手段が、
入射端が前記入射光源に接続され、出射端から前記入射光を前記試料セルに照射する照射用導光部材と、
前記後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と第1の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第1の受光素子が接続される複数の第1の検出用導光部材と、
前記後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と第2の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第2の受光素子が接続される複数の第2の検出用導光部材と、を有し、前記第1の角度が前記第2の角度より小さく、
前記動作方法が、
前記試料セル内の前記混合溶液に対して入射光を照射するステップと、
前記試料セル内の前記混合溶液中で散乱した光のうち、前記照射用導光部材側の方向に戻る後方散乱光成分を検出するステップと、
前記後方散乱光検出手段の計測結果に基づいて、前記入射光の光軸と前記第1の角度を成す後方散乱光成分と、前記入射光の光軸と前記第2の角度を成す後方散乱光成分との信号強度の比率から、前記混合溶液内のゲル粒子のサイズを推定するステップとを含む、ゲル粒子検出器の動作方法。

【請求項14】
前記ゲル粒子検出器が、散乱光変動計測手段と、ゲル粒子生成判別手段とをさらに備え、
前記動作方法が、
前記後方散乱光検出手段の検出出力に基づいて、散乱光の変動成分を計測するステップと、
前記散乱光変動計測手段の計測結果に基づいて、前記混合溶液がゾル相からゲル相へ相変化する際の前記混合溶液内のゲル粒子の生成開始時点を判別するステップと、をさらに含む、請求項13に記載のゲル粒子検出器の動作方法。

【請求項15】
前記ゲル粒子の前記生成開始時点を判別する前記ステップが、
前記ゲル粒子サイズ推定手段からの前記ゲル粒子の前記サイズの情報に基づいて、前記ゲル粒子の前記生成開始時点を判別する、請求項14に記載のゲル粒子検出器の動作方法。

【請求項16】
エンドトキシンが含まれる試料と前記エンドトキシンのゲル化を生ずる試薬とが含まれる混合溶液を収容する試料セルからの散乱光を検出することにより、前記エンドトキシンの濃度を測定する方法であって、
前記測定方法が、前記試料セルからの前記散乱光を、後方散乱光検出手段を用いて複数の異なる角度で同時に検出する方法であり、前記後方散乱光検出手段が、
入射端が前記入射光源に接続され、出射端から前記入射光を前記試料セルに照射する照射用導光部材と、
前記後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と第1の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第1の受光素子が接続される複数の第1の検出用導光部材と、
前記後方散乱光成分のうち、前記入射光の光軸と第2の角度を成す散乱光成分がそれぞれの入射端から導入され、それぞれの出射端に第2の受光素子が接続される複数の第2の検出用導光部材と、を有し、前記第1の角度が前記第2の角度より小さく、
前記測定方法が、
前記試料セル内の前記混合溶液に対して入射光を照射するステップと、
前記試料セル内の前記混合溶液中で散乱した光のうち、後方散乱光成分を検出するステップと、
前記入射光の光軸と第1の角度を成す後方散乱光成分と、前記入射光の光軸と前記第1の角度より大きい第2の角度を成す後方散乱光成分との信号強度の比率から、前記混合溶液内のゲル粒子のサイズを推定するステップと、
前記ゲル粒子の前記サイズの情報に基づいて、前記混合溶液がゾル相からゲル相へ相変化する際の前記混合溶液内のゲル粒子の生成開始時点を判別するステップと、
ゲル粒子の生成開始時間とエンドトキシンの濃度との関係を規定する検量線と、判別した前記ゲル粒子の前記生成開始時点の情報とを参照して、前記エンドトキシンの濃度を決定するステップとを含む、エンドトキシン濃度の測定方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2013265294thum.jpg
出願権利状態 公開


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close