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iPS細胞の樹立方法および幹細胞の長期維持方法 外国出願あり

国内特許コード P150012607
整理番号 13080-JP
掲載日 2015年11月26日
出願番号 特願2014-087314
公開番号 特開2015-123079
出願日 平成26年4月21日(2014.4.21)
公開日 平成27年7月6日(2015.7.6)
優先権データ
  • 61/920868 (2013.12.26) US
発明者
  • 岡本 哲治
  • 山崎 佐知子
  • 嶋本 顕
  • 田原 栄俊
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 iPS細胞の樹立方法および幹細胞の長期維持方法 外国出願あり
発明の概要 【課題】フィーダー細胞を用いずに、無血清培養条件下でiPS細胞を製造すること、ならびにフィーダー細胞を用いずに、無血清培養条件下でiPS細胞などの幹細胞の未分化状態および分化多能性を長期間維持できる培養法を提供する。
【解決手段】リプログラミング処理を施した体細胞を、好ましくはフィブロネクチンを接着因子として用いて、無血清培地中でフィーダー細胞を用いずに培養することにより人工多能性幹細胞(iPS細胞)を誘導することを特徴とするiPS細胞の製造方法、ならびにフィーダー細胞を用いずに、無血清培地中に腫瘍増殖因子-β(TGF-β)ファミリーに属する蛋白を添加して幹細胞を継代培養することを特徴とする、幹細胞の未分化状態および分化多能性を維持する方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


近年、発生生物学や再生医学研究、創薬・疾患研究の分野において、胚性幹細胞(embryonic stem cell : 以下ES細胞という)や人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell :以下 iPS細胞という)が注目されている。幹細胞は自己複製能と多分化能を有する細胞であり、様々な細胞系列へと分化する能力を持つ。2006年に京都大学の山中らがマウスiPS細胞の樹立を報告して以来、受精卵を用いるという倫理問題の残るES細胞の代替手段として、大きな注目を浴びている。iPS細胞は誘導多能性幹細胞とも訳され、皮膚などの最終分化した細胞に、ウイルスやプラスミドベクター等を用いて初期化遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を導入し、リプログラムさせることで、胚体外組織を除く、全ての細胞種への分化可能な万能細胞となる。



これら幹細胞は一般的に、血清あるいは動物由来成分を含む代替血清添加培地を用い、不活性化したマウス胎児線維芽細胞(Mouse Embryonic Fibroblast : MEF)といったフィーダー細胞をディッシュ上に増やし、それを支持細胞として培養されている。iPS細胞の継代前日までに、MEF細胞にあらかじめマイトマイシンC処理やγ線照射などを行い、増殖を抑えた(不活化した)フィーダー細胞を調整後、ゼラチンコートディッシュ上に播種し、フィーダー細胞がディッシュ上に十分接着伸展したのち、その上に、iPS細胞を播種し、共培養を行う。また、継代の際にはできるだけフィーダー細胞とES細胞やiPS細胞などの幹細胞を分離する必要がある。このように、幹細胞を培養するだけでなく、フィーダー細胞の調整も必要なため、大変煩雑な操作が必要である。また、iPS細胞に誘導される前の体性分化細胞(体細胞)も牛胎児血清、ヒト血清やヒト自己血清が添加された培地で培養されている。さらに、このような培養条件では、血清あるいは動物由来成分を含む代替血清中の未知の成分の存在や、病原体混入の可能性もあり、ロット差が大きく、常に一定条件での培養は難しい。また、用いるフィーダー細胞も、種類や処理の仕方、ロット差も大きく、幹細胞の状態がかなり左右されるため、安定した条件で幹細胞を培養することは不可能であった。



このように不定要素が多い条件で培養された幹細胞では、培地中に未知の因子が多く含まれるため、組織・臓器発生や再生などの、基礎研究の標準化が困難で、未分化性の維持に必要な増殖因子・分化誘導因子の機能を比較検討する事が難しい。また培地中に含まれる様々な成分の作用により、特定の細胞への分化誘導が難しく、さらには再生医療への臨床応用を考慮すると、未知因子や病原体などの危険因子の混入など安全性が問題となる。そこで、これらの要素を排除するため、組成の明らかな培養条件による培養法の標準化が必要である。特に、組成の明らかな無血清培地を用いるiPS細胞の製造方法の開発が望まれていた。



さらに、未分化状態および分化多能性を長期間にわたり保持したままiPS細胞などの幹細胞を継代・維持することも望まれていた。この点において、霊長類胚性幹細胞を未分化状態で維持するための培地組成について検討されている(特許文献1参照)。さらに、iPS細胞の未分化性を維持するために腫瘍(トランスフォーミング)増殖因子(TGF)を培地に添加することも行われている(非特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1で用いられている無血清培地はTGFを含んでおらず、非特許文献1で用いられているのは血清含有培地であり、本発明とは異なる。

産業上の利用分野


本発明は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立方法ならびに幹細胞の未分化状態および分化多能性の長期維持方法に関する。詳細には、本発明は、フィーダー細胞を用いずに、無血清培養条件下でiPS細胞を誘導する方法、ならびに培地中に腫瘍増殖因子-β(TGF-β)を添加して幹細胞を継代培養することを特徴とする、幹細胞の未分化状態および分化多能性の長期維持方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リプログラミング処理を施した体細胞を、無血清培地中でフィーダー細胞を用いずに培養することにより人工多能性幹細胞(iPS細胞)を誘導することを特徴とするiPS細胞の製造方法。

【請求項2】
フィブロネクチンを接着因子として用いる、請求項1に記載のiPS細胞の製造方法。

【請求項3】
体細胞のリプログラミング処理が無血清培地中で行われる請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
リプログラミング前の体細胞が初代培養から無血清培地中で培養されたものである請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
iPS細胞がヒトiPS細胞である請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
フィブロネクチンを接着因子として含む、iPS細胞を誘導するための無血清培養基材(ただし該培養基材はフィーダー細胞を含まない)。

【請求項7】
無血清培地成分およびフィブロネクチンを構成成分として含む、iPS細胞を誘導するための無血清培養基材を製造するためのキット(ただし該培養基材はフィーダー細胞を含まない)。

【請求項8】
フィーダー細胞を用いずに、無血清培地中に腫瘍増殖因子-β(TGF-β)ファミリーに属する蛋白を添加して幹細胞を継代培養することを特徴とする、幹細胞の未分化状態および分化多能性を維持する方法。

【請求項9】
継代培養が、フィブロネクチンを接着因子として用いて行われる請求項8に記載の方法。

【請求項10】
幹細胞がiPS細胞である請求項8または9に記載の方法。

【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法により得られたiPS細胞を、TGF-βファミリーに属する蛋白を添加した無血清培地において、フィーダー細胞を用いずに継代培養することを特徴とする、iPS細胞の未分化状態および分化多能性を維持する方法。

【請求項12】
TGF-βファミリーに属する蛋白を含む、幹細胞の未分化状態および分化多能性を維持するための継代培養用無血清培養基材(ただし該培養基材はフィーダー細胞を含まない)。

【請求項13】
さらにフィブロネクチンを接着因子として含む請求項10に記載の培養基材。

【請求項14】
幹細胞がiPS細胞である請求項12または13に記載の培養基材。

【請求項15】
無血清培地成分およびTGF-βファミリーの蛋白を含む、幹細胞の未分化状態および分化多能性を維持するための継代培養用無血清培養基材を製造するためのキット(ただし該培養基材はフィーダー細胞を含まない)。

【請求項16】
さらにフィブロネクチンを接着因子として含む請求項15に記載のキット。

【請求項17】
幹細胞がiPS細胞である請求項15または16に記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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