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細胞シート及び三次元細胞培養体の凍結保存のための緩慢ガラス化方法

国内特許コード P150012612
整理番号 S2014-0454-N0
掲載日 2015年11月26日
出願番号 特願2014-023664
公開番号 特開2015-149905
出願日 平成26年2月10日(2014.2.10)
公開日 平成27年8月24日(2015.8.24)
発明者
  • 松村 和明
  • 武内 雅弘
  • 吉村 滋弘
出願人
  • 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
  • 大陽日酸株式会社
発明の名称 細胞シート及び三次元細胞培養体の凍結保存のための緩慢ガラス化方法
発明の概要 【課題】 細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞に対して、従来のガラス化法における急速凍結による不都合を回避し、細胞生存率の高い、新しい凍結保存方法を提供すること。
【解決手段】 細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程、培地がガラス化溶液によって置換された培養細胞を、気体雰囲気中で冷却する工程、を含む、培養細胞を緩慢ガラス化する方法。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


細胞が凍結される際には、水が結晶化することによって、細胞が損傷を受けるとされている。そのために、水の結晶化を防いで、水がいわゆるガラス状態のままで固体となることが、細胞凍結技術の目標とされている。従来から、細胞の凍結保存のためには、細胞をガラス化剤(ガラス化液)に懸濁し、素早く液体窒素中にバイアルごと浸漬し、水の結晶化が成長する時間を与えないように、急速凍結することによって、水をガラス化しようと試みられてきた。



従来から知られているガラス化液として、DAP213がある。これはマウスの受精卵のガラス化用に開発されたものであり、数マイクロリットルという微量の場合にのみが想定されている。しかし、そのために、例えば200マイクロリットル程度に液量が増えると、ガラス化状態が不安定となり、融解時の再結晶化が問題となる。また、含有されるDMSOには分化への悪影響が懸念されており、アセトアミドには発がん性が懸念されている。また、ガラス化を防ぐために必然的に、高濃度で使用され、結果として高浸透圧で使用されることから、毒性が高いという問題がある。さらに、例えばマウス受精卵においては、60~1000℃/secの凍結速度が要求されている。



このDAP213を含めて、従来のガラス化剤(ガラス化液)は、いずれも、素早い凍結操作が必要となり、熟練の技能が必要となるという不都合があった。また、高濃度高浸透圧での使用による毒性が懸念されていた。また、凍結保存後の融解時にも、再結晶化を防ぐ為に、急速な解凍が必要とされるという不都合があった。



このような急速凍結と急速解凍は、ガラス化のために当然のことであるとされながらも、液体窒素の突沸によって細胞やディッシュが物理的に損傷するなどのダメージが、伴うものであった。



動物幹細胞を分散懸濁して急速凍結して保存するための保存液の成分として、カルボキシル化したε-ポリ-L-リジンが報告されている(特許文献1)。しかし、このカルボキシル化したε-ポリ-L-リジンを使用して、三次元細胞培養体となった細胞を緩慢ガラス化できることは報告されていない。

産業上の利用分野


本発明は、細胞シート及び三次元細胞培養体の凍結保存のための緩慢ガラス化方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程、
培地がガラス化溶液によって置換された培養細胞を、気体雰囲気中で冷却する工程、
を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を、緩慢ガラス化する方法。

【請求項2】
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程が、
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、C2~C4のポリオールを含む平衡液に置換する工程、
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞において、培地と置換された平衡液を、カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程、
を含む工程によって行われる、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方法によって、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態の緩慢ガラス化された培養細胞を、製造する方法。

【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の方法によって得られた緩慢ガラス化した培養細胞を、液体窒素中又は液体窒素から気化した低温気体窒素中で保存する工程、
を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を凍結保存する方法。

【請求項5】
請求項4に記載の方法によって凍結保存された培養細胞を、解凍する工程、
を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である、生存した培養細胞を製造する方法。

【請求項6】
凍結保存された培養細胞を、解凍する工程が、
凍結保存された培養細胞に、糖又は糖アルコールを含む融解液を添加して解凍する工程、
を含む、請求項5に記載の方法。

【請求項7】
培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
0.07~1.00℃/secの範囲の降温速度で冷却する工程である、
請求項1~6のいずれかに記載の方法。

【請求項8】
培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
培養細胞を、断熱容器中において、液体窒素の液面の上方に設置して、液体窒素の液面からの高さを変化させることによって培養細胞の降温速度を調整して、液体窒素から気化した低温気体窒素によって冷却する工程である、
請求項1~7のいずれかに記載の方法。

【請求項9】
平衡液が、10~30質量%のC2~C4のポリオールを含む培地である、請求項2~8のいずれかに記載の方法。

【請求項10】
C2~C4のポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選択された1種以上である、請求項2~9のいずれかに記載の方法。

【請求項11】
ガラス化溶液が、カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンを5~15質量%の濃度で含む培地である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。

【請求項12】
融解液を添加して解凍する工程が、20~38℃の範囲の温度に加温された融解液を、20~38℃の範囲の周囲温度で添加して、解凍する工程である、請求項6~11のいずれかに記載の方法。

【請求項13】
融解液が、0.5~1.2Mの糖又は糖アルコールを含む培地である、請求項6~12のいずれかに記載の方法。

【請求項14】
糖又は糖アルコールが、スクロース、トレハロース、グルコース、ラフィノース、マルトース、フルクトース、イヌリン、フルクタンからなる群から選択された糖又は糖アルコールである、請求項6~13のいずれかに記載の方法。

【請求項15】
カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンを含む、細胞シート又は三次元細胞培養体用緩慢ガラス化剤。

【請求項16】
カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンにおいて、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)が0.8~19の範囲にある、請求項15に記載の緩慢ガラス化剤。

【請求項17】
カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンが、
ε-ポリ-L-リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応生成物によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる、請求項15~16のいずれかに記載の緩慢ガラス化剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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