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GABAB受容体作動薬を用いた脊髄小脳変性症治療薬

国内特許コード P150012618
整理番号 S2014-0586-N0
掲載日 2015年11月26日
出願番号 特願2014-035793
公開番号 特開2015-160819
出願日 平成26年2月26日(2014.2.26)
公開日 平成27年9月7日(2015.9.7)
発明者
  • 平井 宏和
出願人
  • 国立大学法人群馬大学
発明の名称 GABAB受容体作動薬を用いた脊髄小脳変性症治療薬
発明の概要 【課題】本発明の課題は、脊髄小脳変性症で見られる運動失調を改善し、患者の生活レベルを向上させる治療薬を提供することである。
【解決手段】GABAB受容体作動薬を含み、単剤で投与される、脊髄小脳変性症(痙性麻痺
を伴うものを除く)を治療するための医薬組成物を提供する。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


脊髄小脳変性症は、小脳を中心に中枢神経系が広く障害される疾患群で、運動失調を中心に、眼振、構音障害、嚥下障害などが認められ、進行すると著しく日常生活が障害される。日本には現在、25,000人を越える患者(特定疾患医療受給者)がいるが、そのうち約3分の1が遺伝性(脊髄小脳失調症, Spinocerebellar ataxia; SCA)であり、大部分が常
染色体優性遺伝形式を示す。脊髄小脳失調症はこれまでに37のタイプが報告されている。脊髄小脳失調症1型(SCA1)は、米国ミネソタ大学のHarry T. Orrらにより原因遺伝子が最
初に報告された。SCA1患者は欧米に多いのに対して、我が国の患者は比較的少なく、全SCA患者の約3.8%程度(約300人)である。



SCA1患者では、sca1遺伝子内のAtaxin-1タンパク質をコードする領域にCAGリピートの
異常伸長が認められる。CAGはグルタミンをコードしていることから、SCA1患者では異常
伸長したポリグルタミン鎖をもつ変異Ataxin-1が産生される。Ataxin-1は神経細胞の核内で、細胞機能に重要なタンパク質(転写因子など)と複合体を形成するが、異常伸長したポリグルタミン鎖をもつ変異Ataxin-1は、複合体形成に異常を来たす。その結果、神経細胞の機能が障害され、やがて細胞死に至ると考えられている。



マウスの小脳プルキンエ細胞では、Ataxin-1は転写因子Retinoid-related Orphan Receptorα(RORα)と複合体を形成し、プルキンエ細胞機能に重要な分子の産生を制御して
いる。変異Ataxin-1はRORαと複合体を形成できないため、RORαによる転写が障害される(非特許文献1)。



本発明者らは、RORα遺伝子に欠損があり、RORα機能が消失している自然発生小脳失調マウス(Staggererマウス)の小脳を電気生理学的に解析し、平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるイオン透過型グルタミン酸受容体を介する早いシナプス伝達は比較的維持されているのに対し、代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)を介するシナプス伝達が
完全に消失していることを明らかにした(非特許文献2)。小脳皮質ではmGluR1はプルキンエ細胞のみに発現しており、平行線維-プルキンエ細胞シナプスのシナプス後部に局在
する。mGluR1は小脳機能にきわめて重要であり、mGluR1欠損マウスは小脳皮質の形態に明らかな異常がないにもかかわらず顕著な運動失調を示した(非特許文献3)。また、mGluR1欠損マウスの小脳プルキンエ細胞だけにmGluR1を戻したレスキューマウスは、ほとんど運動失調を示さなかった(非特許文献4)。さらにマウスが成熟後に、薬剤誘導性にmGluR1をプルキンエ細胞から欠損させると、顕著な小脳失調が誘導された(非特許文献5)。ヒトでも、小脳失調を示すホジキンリンパ腫の患者にはmGluR1の機能阻害自己抗体が産生されており、血漿交換で自己抗体を取り除くことで小脳失調が軽減することが報告されている(非特許文献6)。すなわち、プルキンエ細胞のmGluR1は小脳機能にきわめて重要で、ヒトにおいてもmGluR1を介するシグナルが障害されると、著しい運動障害を引き起こすと考えられる。RORαを介する転写は、mGluR1活性化に続く複数の下流シグナル分子の産
生を制御していることが報告されている(非特許文献7)。



脊髄小脳変性症の治療薬として、現在、TRH誘導体の経口製剤(商品名:セレジスト、
田辺三菱製薬)、注射薬としてプロチレリン酒石酸塩水和物(商品名:ヒルトニン、武田薬品工業)が臨床使用されている。患者に投与した場合、両薬とも大きな運動機能の改善は認められていない。
γ-アミノ酪酸(GABA)誘導体のバクロフェンを主成分とするギャバロン(第一三共株式会社)は、脳血管障害や脳性麻痺(脊髄小脳失調症を含む)などによる痙性麻痺に適用されているが(非特許文献8)、痙性麻痺という症状を改善するために使用されるのみで、脊髄小脳変性症という疾患そのものには適用されていない。



特許文献1には、γ-アミノ酪酸モジュレータと5-HT1B受容体アンタゴニストとを組み合わせた医薬が開示されており、対象疾患として小脳性運動失調症が例示されている。特許文献2には、選択的セロトニン2A/2C受容体インバースアゴニストを有効成分とする脊
髄小脳萎縮などの神経変性疾患用治療薬が開示されており、追加治療剤としてバクロフェンも併用できることが記載されている。
しかしながら、特許文献1,2には、バクロフェンが単独で、脊髄小脳変性症の治療に有効であることは記載されていない。

産業上の利用分野


本発明は、脊髄小脳変性症の治療薬に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
GABAB受容体作動薬を含み、単剤で投与される、脊髄小脳変性症(痙性麻痺を伴うものを
除く)を治療するための医薬組成物。

【請求項2】
GABAB受容体作動薬がバクロフェンである、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項3】
前記脊髄小脳変性症が核内転写因子RORαの機能障害に基づく脊髄小脳変性症である、請
求項1または2に記載の医薬組成物。

【請求項4】
前記脊髄小脳変性症が1型脊髄小脳失調症である、請求項1~3のいずれか1項に記載の
医薬組成物。

【請求項5】
前記1型脊髄小脳失調症が運動失調を伴うものである、請求項4に記載の医薬組成物。

【請求項6】
GABAB受容体作動薬が一回当たり400 ng~400 μg/kg体重で経口投与される、請求項1~
5のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【請求項7】
GABAB受容体作動薬が1~300 nMの濃度で小脳へ直接投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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