TOP > 国内特許検索 > 動脈瘤縮小剤

動脈瘤縮小剤

国内特許コード P150012625
整理番号 S2014-0720-N0
掲載日 2015年11月26日
出願番号 特願2014-055499
公開番号 特開2015-178460
出願日 平成26年3月18日(2014.3.18)
公開日 平成27年10月8日(2015.10.8)
発明者
  • 海野 直樹
  • 斉藤 貴明
  • 山本 尚人
  • 犬塚 和徳
  • 田中 宏樹
出願人
  • 国立大学法人浜松医科大学
発明の名称 動脈瘤縮小剤
発明の概要 【課題】本発明は、内挿されたステントグラフトにより瘤内部への血液の流入が遮断された動脈瘤を縮小するための動脈瘤縮小剤を提供することを課題とする。
【解決手段】シロスタゾール又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、内挿されたステントグラフトにより瘤内部への血液の流入が遮断された動脈瘤を縮小することを特徴とする、動脈瘤縮小剤、及び1日当たりの投与量が、シロスタゾール換算で50~300mgである、前記記載の動脈瘤縮小剤。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


大動脈瘤の治療は、破裂の危険を伴う瘤径の大きなものに対しては観血的な治療(手術)が行われている。瘤の増大や破裂を防ぐ薬物はなく、手術が唯一の治療方法である。手術は従来、開腹又は開胸して人工血管を移植する人工血管置換術が主流であったが、近年、より低侵襲なステントグラフト内挿術(endovascular aneurysm repair;EVAR)が増加している。



EVARでは、ステントグラフト内挿後も動脈瘤径が縮小せず、逆に増大する症例がある。動脈瘤が増大すると、内挿したステントグラフトと血管壁との間に隙間が生じてしまい、ステントグラフトの端や継ぎ目から瘤内部へ血液が流入する「エンドリーク」が発生する原因となる。エンドリークにより、最悪の場合には大動脈瘤破裂に至ることから、動脈瘤が増大してエンドリークが疑われる場合には再手術を余儀なくされることが問題となっている。エンドリークの発生防止等のため、EVAR後に動脈瘤を縮小させる効果を持つ薬剤が求められている。しかしながら、現時点においては、ステントグラフト内挿術後の動脈瘤縮小効果を持つ薬物は知られておらず、内挿されたステントグラフトにより瘤内部への血液の流入が遮断された動脈瘤の縮小の作用機序も明らかになってはいない。



動脈瘤に対して有効な薬剤の開発は、一般的に非常に困難である。その主な原因の1つとして、有用な病態モデル動物がないことが挙げられる。例えば、腹部大動脈瘤の病態モデル動物として、動脈をタンパク質分解酵素のエラスターゼにより処理したモデル動物が汎用されているが、当該モデル動物では大動脈瘤の治療に役立つような作用効果が得られた薬剤であっても、ヒトでは効果が得られない場合が多いことが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。当該文献によれば、エラスターゼ処理病態モデル動物では、β-アドレナリン作動性受容体遮断薬であるプロプラノロールにより血圧低下作用が得られたが、ヒトではプロプラノロールによる血圧低下作用が得られないどころか、病態が悪化したり、死亡率が上昇する傾向があった。また、エラスターゼ処理病態モデル動物では、α-トコフェロールにより活性酸素が低減したが、ヒトではそのような効果は得られなかった。さらに、エラスターゼ処理病態モデル動物では、カルシウムブロッカーであるアゼルニジピンにより細胞浸潤やエラスチン劣化が抑制されたが、ヒトではアゼルニジピン投与によっても動脈瘤破裂リスクに影響はなかった。



一方で、シロスタゾール(Cilostazol)(物質名:6-[4-(1-cyclohexyl-1H-tetrazol-5-yl)butoxy]-3,4-dihydro-2(1H)-quinolinone)(CAS番号:73963-72-1)は、抗血小板作用、抗血栓作用、血管拡張作用、血管平滑筋細胞に対する作用(平滑筋細胞増殖抑制)、血管内皮細胞に対する作用を有するとされており、抗血小板薬として、慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感などの虚血諸症状の改善や、脳梗塞発症後の再発抑制するために、臨床的に用いられている。シロスタゾールはcAMPの分解に関わる3型ホスホジエステラーゼ(PDE3)を選択的に阻害する。このため、シロスタゾールによりcAMPの分解が抑制されてプロテインキナーゼA(PKA)の活性型が増える結果、血小板の凝集が抑制される。PKAには平滑筋の収縮に関わっているミオシン軽鎖キナーゼを抑える働きがあるため、シロスタゾールは血管拡張作用も引き起こすと考えられている。実際に、シロスタゾールは、ラットの頚動脈血管結紮モデルにおいて、内膜の肥厚を抑制し、頸動脈外膜の栄養血管の狭窄を抑制することが報告されている(非特許文献2参照。)。



シロスタゾールは、エラスターゼ処理の病態モデルラットにおいて、おそらくはタンパク質加水分解や炎症、酸化ストレスを抑制することによって、動脈瘤の形成を抑制したことが報告されている(非特許文献3参照。)。当該報告によれば、シロスタゾールが動脈瘤の形成を抑制し得る可能性が示唆されるものの、エラスターゼ処理の病態モデル動物における作用効果とヒトにおける作用効果は多くの場合一致しないことから、ヒトにおいても同様にシロスタゾールによって動脈瘤の形成が抑制され得るのかは定かではない。また、非特許文献3には、動脈瘤の形成過程についての検討はなされているものの、既に形成されており、内挿されたステントグラフトにより瘤内部への血液の流入が遮断された動脈瘤についてシロスタゾールがどのような作用効果を奏するかについては記載されていない。



その他、EVAR後に抗血小板薬を服用することにより、動脈瘤が縮小し難い傾向があること(非特許文献4)、EVAR後に抗凝固剤であるワルファリンを投与することにより、エンドリークのリスクが高くなること(非特許文献5)が報告されている。

産業上の利用分野


本発明は、ステントグラフト内挿後の動脈瘤に対する縮小効果を奏する薬剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シロスタゾール又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、内挿されたステントグラフトにより瘤内部への血液の流入が遮断された動脈瘤を縮小することを特徴とする、動脈瘤縮小剤。

【請求項2】
1日当たりの投与量が、シロスタゾール換算で50~300mgである、請求項1に記載の動脈瘤縮小剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
特許の内容に興味を持たれた方、ライセンスをご希望の方は、下記「問合せ先」までお問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close