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esRAGE過剰発現マウス

国内特許コード P160012692
整理番号 P08-054
掲載日 2016年1月14日
出願番号 特願2009-120572
公開番号 特開2010-268686
登録番号 特許第5565786号
出願日 平成21年5月19日(2009.5.19)
公開日 平成22年12月2日(2010.12.2)
登録日 平成26年6月27日(2014.6.27)
発明者
  • 渡邉 琢夫
  • 山本 博
  • 山本 靖彦
  • 棟居 聖一
  • 杉原 崇大
  • 米倉 秀人
  • 櫻井 繁
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 esRAGE過剰発現マウス
発明の概要 【課題】esRAGEと疾患との関連を解明するための疾患モデルマウスの作製に有用な、恒常的にesRAGEを過剰発現するマウスを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る、esRAGEをコードするDNAがゲノムに導入されているC57BL/6系マウスは、esRAGEを過剰に発現することができる。本発明のesRAGE過剰発現C57BL/6系マウスを用いて、RAGEに結合するリガンドが関与する疾患(例えばアルツハイマー病、糖尿病)の疾患モデルマウスを作製することができる。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


後期糖化反応生成物受容体(Receptor for advanced gylcation endproducts)(以下「RAGE」と称する場合がある)には、選択的スプライシングにより生じる主要な二種類のスプライシングバリアントが存在する。一方は膜結合型RAGE(以下「mRAGE」と称する場合がある)であり、他方は内在性分泌型RAGE(以下「esRAGE」と称する場合がある)である。



mRAGEは、Sternらのグループにより、AGE (advanced gylcation endproducts, 後期糖化反応生成物)の細胞表面特異受容体タンパク質として分離されその一次構造が決定された(非特許文献1)。mRAGEは,イムノグロブリンスーパーファミリーに属する1回膜貫通型の受容体で、V,C1,C2の3つのイムノグロブリンドメインからなる細胞外領域と短い細胞内領域とを有する。AGEとはグルコースなどの還元糖とタンパク質のアミノ基との非酵素的な反応、グリケーションによって生ずる構造体の総称であり、糖尿病合併症、動脈硬化、神経変性疾患さらには老化にも関与すると注目されている。膜結合型RAGEにAGEが結合すると、活性酸素種の産生を経て転写因子NFκBの活性化を引き起こし、血管障害性の遺伝子群の活性化をおこすと考えられている。



現在では糖鎖修飾を受けた全長型(膜結合型)ヒトRAGEの分子量は55 kDaであることが分かっている。RAGEは免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、細胞外領域に3つのイムノグロブリン様ドメインを持つ。そして最もN末端にあるイムノグロブリン可変領域様ドメイン部分の内部にAGEリガンド結合部位がある。近年、RAGEはマルチリガンドレセプターとして認識されるに至り、AGE以外のリガンドとして、アルツハイマー病の脳に蓄積するアルツハイマー・アミロイドタンパク、癌転移との関連および炎症との関連が指摘されているhigh mobility group box 1 (HMGB-1)、免疫系細胞から分泌される炎症メディエーターS100/calgranulinなどが報告され、RAGEとこれらのリガンドとの結合により生じるシグナルが様々な病態に関与する可能性が考えられている。(図1参照)



本発明者らは、RAGEには一つの遺伝子から選択的スプライシングによって作り出される新しい分子種が存在することを見出している。以前から知られている完全長膜結合型RAGEに比べ、後に見出されたアイソフォームの一つはC端側の膜貫通領域を欠き分泌型となるRAGEである。この分泌型RAGEタンパクは血管内皮培養細胞から実際に分泌され、ヒトの血中や様々な組織にも存在することより、内在性分泌型RAGE(endogenous secretory RAGE, esRAGE)と命名された(特許文献1)。esRAGEはリガンド結合部位を持つため、細胞外でリガンドを捕捉することによりリガンドと細胞表面の膜型RAGEとの結合を阻害する働きを持つと考えられる。すなわち、esRAGEはデコイ型レセプターとして働き、疾患関連リガンドとmRAGEとの結合により生じるシグナル伝達を軽減させる働きを有すると考えられている(図1参照)。



実際に、本発明者らが開発したELISA系を用いて、糖尿病網膜症の進行度や肥満、インスリン抵抗性、血管中膜肥厚などの指標が、血清中のesRAGEレベルと逆相関することが見出され、報告されている(非特許文献2、3等)。これらの知見は、個々人のesRAGE発現レベルが疾患感受性を規定する要素であることを強く示唆するとともに、esRAGEの発現を促進することによってこれらの疾患の発症を未然に防ぐことができる可能性も示唆する。また、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症などの神経筋疾患でも、患者血清中のesRAGEが低値を示すことが報告されている(非特許文献4、5等)。このように、mRAGE及びesRAGEが広い病態で重要な働きをしていることが示唆されている。本発明者らはまた、アルツハイマー病海馬神経細胞において、esRAGEの発現が病理的変化の初期段階から低下していることを明らかにし、特許出願している(特許文献2)。

産業上の利用分野


本発明は、内在性分泌型後期糖化反応生成物受容体ポリペプチド(以下「esRAGE」と称する場合がある)を過剰発現するマウス及びその作出方法を提供する。

特許請求の範囲 【請求項1】
内在性分泌型の後期糖化反応生成物受容体(esRAGE)をコードするDNAがゲノムに導入されている、esRAGEを発現する、C57BL/6系マウスであって、前記esRAGEをコードするDNAが、肝臓特異的な発現を可能にする発現制御配列の制御下にある、前記マウス

【請求項2】
esRAGEがヒトesRAGEである、請求項1記載のマウス。

【請求項3】
請求項1又は2記載のマウスに、後期糖化反応生成物受容体(RAGE)に結合するリガンドが関与する疾患を発症させる工程、及び/又は、前記疾患に特徴的な現象を生じさせる工程を含む方法により得られる、esRAGEを発現する、前記疾患のモデルマウス。

【請求項4】
請求項1又は2記載のマウスと、後期糖化反応生成物受容体(RAGE)に結合するリガンドが関与する疾患のモデルマウスとを交配させる工程と、前記交配により得られた仔マウスから、esRAGEを発現し、且つ、前記疾患のモデルマウスとしての特徴を有するマウスを選抜する工程とを含む方法により得られる、esRAGEを発現する、前記疾患のモデルマウス。

【請求項5】
内在性分泌型の後期糖化反応生成物受容体(esRAGE)をコードするDNAがゲノムに導入されているICR系のトランスジェニックマウスと、C57BL/6系マウスとを交雑させて、前記DNAがゲノムに導入された仔マウスを得る交雑工程と、
前記仔マウスと、C57BL/6系マウスとの戻し交配により、前記DNAがゲノムに導入されたC57BL/6系のマウスを作製する戻し交配工程と、
を含むことを特徴とする、esRAGEをコードするDNAがゲノムに導入されている、esRAGEを発現する、C57BL/6系マウスの作製方法であって、前記esRAGEをコードするDNAが、肝臓特異的な発現を可能にする発現制御配列の制御下にある、前記方法

【請求項6】
esRAGEがヒトesRAGEである、請求項5記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009120572thum.jpg
出願権利状態 登録
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


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