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非ヒトノックアウト動物、並びにその用途およびその作製方法

国内特許コード P160012693
整理番号 P09-053
掲載日 2016年1月14日
出願番号 特願2010-090078
公開番号 特開2011-217667
登録番号 特許第5692677号
出願日 平成22年4月9日(2010.4.9)
公開日 平成23年11月4日(2011.11.4)
登録日 平成27年2月13日(2015.2.13)
発明者
  • 吉岡 和晃
  • 多久和 陽
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 非ヒトノックアウト動物、並びにその用途およびその作製方法
発明の概要 【課題】PI3K-C2α遺伝子を欠損させた非ヒトノックアウト動物およびその作製方法の提供。及び、このノックアウト動物や当該動物由来の組織・細胞を用いた用途の提供。
【解決手段】相同染色体上でPI3K-C2α遺伝子の全部または一部の機能を喪失しており、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状を呈する、非ヒトノックアウト動物やその子孫動物、当該動物由来の組織・細胞。当該動物や組織・細胞を用いた、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状を予防および/または治療するための候補物質のスクリーニング方法や、上記疾患/症状のバイオマーカーのスクリーニング方法。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


ヒトを含む哺乳類の血管は胎生期に形成される。哺乳類における血管形成は、未分化な内皮前駆細胞の発生とその分化、管腔形成、そして原始的な血管叢の形成をいう脈管形成(vasculogenesis)の過程に始まる。この脈管形成の後、血管壁への壁細胞(周皮細胞、血管平滑筋細胞)の動員による血管構造の安定化、血管の融合、発芽型血管新生等の原始血管の再構築からなる血管新生(angiogenesis)過程を経て、全身に血管網が張り巡らされていく。



この血管形成の過程において、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(Phosphatidylinositol3-kinase;PI3K)ファミリーは極めて重要な役割を果たしている。現在、哺乳類においては、PI3Kについて3つのクラス(I、II、III)、および8つのアイソフォームの存在が知られており、これらのPI3Kによる生成物であるPI(3)P、PI(3,4)P、PI(3,4,5)Pを介して多岐にわたる生理作用を発揮する。近年、PI3Kと癌や糖尿病といった疾患との関係が注目され、とりわけクラスI型PI3K酵素の生理機能について精力的に研究が進められている。例えば、血管形成において、クラスI型PI3K、特にp110αおよびp110βは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)刺激に伴い、PI(4,5)Pを基質としてPI(3,4,5)Pを細胞膜上で産生し、下流のリン酸化酵素プロテインキナーゼB(Akt)を介して内皮細胞の増殖、生存、分化の制御を担っている(例えば、非特許文献1を参照)。



一方、これまでまったくと言ってよいほど機能が分からないままであったクラスII型PI3Kについては、本発明者らのグループを含めていくつかの研究チームが解析を行っているに留まっている。クラスII型PI3Kは細胞内において、ホスファチジルイノシトール(PI)を基質として、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PI(3)P)を主に細胞内オルガネラであるエンドソーム上で産生し、エンドソームを介した膜輸送に関係することが想定されている。ただし、クラスII型PI3Kの1種であるC2αの生理的役割に関しては依然として不明な点が多く、C2αをコードするPI3K-C2α遺伝子を欠損させたときの個体の表現型については明らかではない。

産業上の利用分野


本発明は、非ヒトノックアウト動物、並びにその用途およびその作製方法に関する。より詳細には、本発明は、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患および/または症状の治療および/または予防するための手段の開発における、非ヒトノックアウト動物の利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
相同染色体上でPI3K-C2α遺伝子の全部または一部の機能を喪失しており、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状を呈し、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ウシ、サルおよびチンパンジーからなる群から選択される動物である、非ヒトノックアウト動物。

【請求項2】
PI3K-C2α遺伝子の全部または一部の機能の喪失が、PI3K-C2α遺伝子の破壊または変異によるものである、請求項1に記載の非ヒトノックアウト動物。

【請求項3】
大動脈瘤、動脈硬化、浮腫、アナフィラキシー・ショック、血管内膜肥厚、血管閉塞、血管炎、腫瘍血管新生、虚血後血管新生、血管透過性亢進型肺障害、または糖尿病網膜症のモデル動物である、請求項1または2に記載の非ヒトノックアウト動物。

【請求項4】
ヘテロノックアウト動物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の非ヒトノックアウト動物。

【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の非ヒトノックアウト動物の子孫動物。

【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の動物から単離された組織または細胞。

【請求項7】
血管由来のものである、請求項に記載の組織または細胞。

【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の動物または請求項6もしくは7に記載の組織もしくは細胞を用いる、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状を予防および/または治療するための候補物質のスクリーニング方法。

【請求項9】
下記の(a)~(c)の工程:
(a)請求項1~のいずれか1項に記載の動物に被験物質を投与する工程;
(b)前記被験物質を投与した動物における血管組織を調べ、被験物質を投与しない動物における血管組織と比較する工程;および、
(c)工程(b)における比較結果に基づいて、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状を治療することができる被験物質を選択する工程、
を含む、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状の治療候補物質のスクリーニング方法。

【請求項10】
下記の(a)~(c)の工程:
(a)請求項1~のいずれか1項に記載の動物に被験物質を投与する工程;
(b)前記被験物質を投与した動物における血管組織を調べ、被験物質を投与しない動物における血管組織と比較する工程;および、
(c)工程(b)における比較結果に基づいて、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状を発現させなくするか、またはその発現を遅らせることができる被験物質を選択する工程、
を含む、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状の予防候補物質のスクリーニング方法。

【請求項11】
下記の(a)~(c)の工程:
(a)請求項1~のいずれか1項に記載の動物と、当該動物の同種野生型動物とのそれぞれから血液を採取する工程;
(b)工程(a)で得られた血液中のタンパク質を調べ、それぞれの動物におけるタンパク質の発現パターンを比較する工程;および、
(c)工程(b)における比較結果に基づいて、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状の発現の指標となる血清タンパク質を選択する工程、
を含む、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状のバイオマーカーのスクリーニング方法。

【請求項12】
マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ウシ、サルおよびチンパンジーからなる群から選択される動物の相同染色体上でPI3K-C2α遺伝子の全部または一部の機能を喪失させるノックアウト工程を含む、脈管形成および/または血管新生に関連した疾患または症状を呈する非ヒトノックアウト動物の作製方法。

【請求項13】
前記ノックアウト工程が、前記非ヒト動物のPI3K-C2α遺伝子のエクソン1の開始コドンを含む領域を相同組換えにより他の塩基配列に置換することを含む、請求項12に記載の作製方法。

【請求項14】
前記ノックアウト工程の後に、脈管形成および/または血管新生に関連した因子を前記非ヒト動物に投与する工程をさらに含む、請求項12または13に記載の作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


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