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水溶性の放射性セシウムの不溶化方法、この方法に用いる不溶化剤並びにこの方法によって得られるセメント硬化体及びコンクリート

国内特許コード P160012708
整理番号 147
掲載日 2016年1月21日
出願番号 特願2013-164276
公開番号 特開2013-231742
登録番号 特許第5610412号
出願日 平成25年8月7日(2013.8.7)
公開日 平成25年11月14日(2013.11.14)
登録日 平成26年9月12日(2014.9.12)
発明者
  • 市川 恒樹
  • 山田 一夫
出願人
  • 国立研究開発法人国立環境研究所
発明の名称 水溶性の放射性セシウムの不溶化方法、この方法に用いる不溶化剤並びにこの方法によって得られるセメント硬化体及びコンクリート
発明の概要 【課題】水溶性の放射性セシウムの不溶化剤、及び水溶性の放射性セシウムの不溶化方法を提供する。
【解決手段】水溶性の放射性セシウムを含む高いpHを示す物質に添加され、前記放射性セシウムの溶脱を抑制し、不溶化するための放射性セシウムの不溶化剤であって、少なくともフェロシアン化ニッケルを含むことを特徴とする水溶性の放射性セシウムの不溶化剤の構成とした。また、放射性セシウムを含む焼却灰に水を添加して水洗し、得られた水洗液に、前記水溶性の放射性セシウムの不溶化剤を添加し、放射性セシウムを選択的に除去することを特徴とする水溶性の放射性セシウムの不溶化方法の構成とした。さらに、放射性セシウムが不溶化された物質をセメント固型化することを特徴とする水溶性の放射性セシウムの不溶化方法の構成とした。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


福島第一原子力発電所事故により環境に放出された主要な放射能汚染物質は放射性Csによる。環境に放出された放射性Csの多くは粘土に付着するなどして、移動しにくい化学形態となっている。



一方で、草木類などに代表される可燃性廃棄物を焼却処分する際に発生する焼却灰、とくに焼却飛灰には、多くの放射性Csが水溶性となって含まれている。焼却飛灰に含まれる水溶性Csに水が作用すると水溶性の放射性Csは溶出、流出し、特定箇所に濃縮する危険があるため、焼却飛灰からの放射性セシウムの溶出防止処理(不溶化処理)が極めて重要で、強く望まれている。なお、可燃性廃棄物としては、草木類に限定されるものではなく、放射能汚染されたあらゆる焼却処分対象の廃棄物が含まれ、また廃棄物ではなくとも放射能汚染された廃プラスティックなどの可燃物の燃料としてのサーマルリサイクルなど焼却の結果として生じた焼却灰も包含する。焼却飛灰に比べ、主灰には水溶性の放射性Csの割合は比較的低い。また、下水道汚泥の焼却灰には一般に水溶性の放射性Csは少ない。しかし、これらを溶融する場合、溶融飛灰には高濃度に水溶性の放射性Csが含有され、これらも対象物である。



焼却設備にも依存するが、焼却飛灰には、焼却で生じる塩酸除去のために消石灰(Ca(OH)/水酸化カルシウム)が吹き込まれることから生じる塩化カルシウムが、余剰の消石灰と共に多量に含まれていることが多い。このため、焼却飛灰に水が加わった場合に生じる液相のpHは11.0-12.7程度になる。なお、実際に生成しているのは必ずしも塩化カルシウム(CaCl)ではなく、水酸化塩化カルシウム(CaClOH)であることも多いが、ここでは単純に両者を合わせて塩化カルシウムと記載する。



非特許文献3などに開示のように、水溶性Csの強力な選択的吸着剤・不溶化剤としてフェロシアン化鉄(プルシアンブル-)が知られている。



しかしながら、焼却飛灰には水酸化カルシウムが含まれpHが高く、またセメント固型化をした場合にはさらに高pHとなる可能性がある。これはセメントの水和により生じる水酸化カルシウムに加え可溶性のアルカリイオン(Na、K)によるものであり、pHは最大13.7にもなる。このような高アルカリ環境ではフェロシアン化鉄は不安定で、分解し、水溶性Csの不溶化機能を失う。



他方、飛灰洗浄技術も開発されているが、高アルカリ性の飛灰洗浄液はいったん中性化処理をしてからフェロシアン化鉄に吸着・沈殿させることが必要であり、煩雑で、高コストである。



一方、セメントにより焼却飛灰を固型化することで、飛散防止も出来、固型化により水の浸透速度を低下させ、Csの溶出速度を低下させることは出来るが、セメントはCsの固定能力が乏しく、水の浸透速度を低下させる以上には溶出防止・不溶化効果はない。



さらに焼却飛灰には多量の水溶性の塩化カルシウムと塩化アルカリが含有されており、焼却飛灰のセメント固型化体中にも残存する場合がある。外部からの水の作用でこれらは溶解し、空隙を増し、結果としてCsの溶出速度は増加していくことになる。



また、セメントに反応性が高いシリカやモルデナイトなどのゼオライトを添加することで、Csの溶出量を半減、もしくは一桁程度低下させることは出来るが、効果は限定的であり、多量に使用することが必要であったりする。



ゼオライトはCsを選択的に吸着することで知られるが、焼却飛灰に用いるとその吸着特性は1/100程度に激減する。放射性Csを含むCs単独のときゼオライトは効果的に吸着能力を発揮するが、焼却飛灰からのCs除去ではその効果が限定的である。



これは、焼却飛灰に放射性Csだけではなく、それと化学的挙動がほぼ同一の安定Csが含有されることと、Csの吸着と競合関係にあるK(カリウム)が桁違いに多く含まれているためである。



例えば都市ごみや可燃性震災がれきの焼却飛灰に安定Csは0.1~10ppm程度の範囲で含有されるが、例えば1万Bq/kgの放射性Csはわずかに3ppt(ppmの100万分の1)含有されるに過ぎない(137Cs換算)。原子力発電所から発生するごく微量の放射性Csであれば吸着できても、現実には、言葉通り桁違いに多量の安定Csと同時に吸着することが必要である。



また焼却飛灰には水和半径がCsと類似したKが数%、すなわちCsに比べて3桁から5桁程度の高濃度で含まれているが、イオン選択性がそれほど強くない各種吸着剤の場合、これがCsと競合吸着するため、各種吸着材の吸着能を低下させる主因となる。

産業上の利用分野


本発明は、主に可燃性廃棄物の焼却灰(主灰、飛灰)のセメント固型化時の水溶性の放射性セシウム(Cs)の安定的な不溶化剤と不溶化技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも、
放射性セシウムを水に溶出させる工程、
フェロシアン化ニッケルを含む水溶性の放射性セシウムの不溶化剤を前記放射性セシウムが溶出した溶液に共存させ、前記放射性セシウムを前記フェロシアン化ニッケルに吸着させる工程、
少なくとも水溶性の放射性セシウムを含む高いpH=11.0以上を示す物質中の塩化カルシウムおよび水酸化塩化カルシウムの総和を、0.1mass%~40mass%の範囲において、セメントの水和によっても消費しきれない過剰量の塩化カルシウムを含有させる制御をする工程、
を含み、
それら工程の後に、
セメント系材料を添加し、固型化させることを特徴とする
水溶性の放射性セシウムの不溶化方法。

【請求項2】
前記水溶性の放射性セシウムを含む高いpH=11.0以上を示す物質が、放射性セシウムを含む焼却灰であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性の放射性セシウムの不溶化方法。

【請求項3】
前記フェロシアン化ニッケルを、前記焼却灰に対して、1ppm~5000ppmの範囲で添加することを特徴とする請求項2に記載の水溶性の放射性セシウムの不溶化方法。

【請求項4】
前記フェロシアン化ニッケルを、前記水溶性の安定性セシウムおよび放射性セシウムの総量1モル当たり、1モル~1000モルの範囲で添加することを特徴とする請求項2に記載の水溶性の放射性セシウムの不溶化方法。

【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の水溶性の放射性セシウムの不溶化方法に用いられ、少なくともフェロシアン化ニッケルを含むことを特徴とする水溶性の放射性セシウムの不溶化剤。

【請求項6】
請求項1~請求項の何れか1項に記載の水溶性の放射性セシウムの不溶化方法によって得られたことを特徴とする放射性セシウムを含むセメント硬化体、もしくはコンクリート。
産業区分
  • 放射性物質処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013164276thum.jpg
出願権利状態 登録


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