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断層画像を用いた2つの構造体の相対的な配向性の決定

国内特許コード P160012730
整理番号 S2014-0700-N0
掲載日 2016年1月27日
出願番号 特願2014-053790
公開番号 特開2015-175785
出願日 平成26年3月17日(2014.3.17)
公開日 平成27年10月5日(2015.10.5)
発明者
  • 坂本 達則
  • 伊藤 壽一
  • 黒田 知宏
  • カルボネン トゥッカ マティアス
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 断層画像を用いた2つの構造体の相対的な配向性の決定
発明の概要 【課題】蝸牛を摘出して切片化や染色のための溶媒処理を行うことなく、生きている状態の蝸牛から内リンパ水腫を評価することを可能にするコンピュータプログラム、装置および方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】蝸牛内側面およびライスネル膜が現れる少なくとも2つの断層画像を含む断層画像群を用いて、三次元空間内において両組織のそれぞれの表面形状の一部分を近似する平面を決定する。該平面の決定のために、オプティカルフロー法を適用し得る。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


聴覚を司る臓器である蝸牛は、内耳に存在し、硬い骨で包まれ、内部がイオン組成の異なる2つのコンパートメントに区切られた臓器である。3階建ての管がカタツムリのように巻いた形になっており、中央部分が一つのコンパートメントで膜迷路(または中央階)と呼ばれていて、内部には内リンパというカリウム濃度の高い液体が入っている。3階建ての上(前庭階)と下(鼓室階)は蝸牛先端でつながっている連続したコンパートメントで、通常の細胞外液と同等のカリウム濃度が低い液体で満たされている。中央階と前庭階の境界がライスネル膜で、正常では真っ直ぐに張った状態である。



メニエール病は、めまいと聴力低下を反復し、最重症例では聴力が廃絶することもある難病である。その原因は確定していないが、メニエール病患者の死後の側頭骨標本を作成すると内リンパが著明に拡大しているという「内リンパ水腫」が観察されていることから、内リンパ水腫がその病態に深く関与していると想定されている。しかし、生きている人間で、あるいは動物で、内リンパ水腫を直接的に診断する方法がなかったために、その証明はされていない。これまでに内リンパ水腫と関係している疾患として、低音障害型感音難聴、レルモワイエ症候群、遅発性内リンパ水腫などが考えられている。



内リンパ水腫に対する研究が必要であるが、そのためにはヒトやモデル動物で内リンパ水腫を観察する必要がある。しかし、内耳は硬い骨の中に入っており、ヒトでも動物でも生きている状態ではもちろん、死後摘出しても蝸牛の形のままでは内リンパ水腫の評価を行うことは困難であった。内リンパ水腫という形態の評価が可能なのは、摘出標本を薄い切片にするほかには方法がなかった(非特許文献1)。



光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography; OCT)は近赤外線が生体組織で吸収されにくいことを利用して、組織に照射した赤外線が組織内部で反射したものを高感度で検出し、断層画像を得る技術である。生きたマウスの蝸牛を破壊することなく、内リンパ水腫を含めた内部構造を描出できることが本発明者らにより示されている(非特許文献2)。また、OCTを利用した歯科用診断装置が知られている(特許文献1)。

産業上の利用分野


本発明は、概しては、断層画像の解析に関し、より詳細には、断層画像に基づいて、生体等の対象物内における2つの構造体の相対的な配向性(例えば、相対角度)を決定するためのコンピュータプログラム、装置および方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
対象物内において互いに近傍にある2つの構造体の相対的な配向性を決定するためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
(M1)該対象物内における位置情報が関連付けられており、かつ該2つの構造体が現れる断層画像を、少なくとも2つ含む断層画像群を受け取る手段、および、
(M2)該断層画像群に基づいて、三次元空間内において該2つの構造体のそれぞれの表面形状の一部分を近似する平面を決定する手段
として機能させるための前記コンピュータプログラム。

【請求項2】
前記手段(M2)が、該断層画像群に含まれる少なくとも1組の断層画像の間のオプティカルフローを算出し、かつ該少なくとも1組の断層画像のそれぞれに関連付けられた該位置情報と該算出されたオプティカルフローとを用いて該平面を決定するように構成されている、請求項1に記載のコンピュータプログラム。

【請求項3】
前記手段(M2)が、
該断層画像群に含まれる少なくとも1つの断層画像を画像表示手段に表示させ、
該表示された1つの断層画像または複数の断層画像を用いて、該2つの構造体のそれぞれについて、輪郭線近傍の点を少なくとも2つユーザに選択させ、該選択された点を受け取り、
該選択された点のそれぞれについて、該点を選択された断層画像に近接する断層画像において、該選択された点に対応する点を特定し、かつ、
該選択された点および該特定された点に基づいて、該2つの構造体のそれぞれについて、表面形状の一部分を近似する平面を決定するように構成されている、
請求項1または2に記載のコンピュータプログラム。

【請求項4】
前記手段(M1)が、ユーザの入力に少なくとも部分的に基づいて、与えられた複数の断層画像から前記断層画像群を決定する手段を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。

【請求項5】
コンピュータを更に、
(M3)三次元空間内において前記手段(M2)により決定された2つの平面同士が交わる直線を決定し、該決定された直線に関する一方の平面から他方の平面への回転角度を算出し、かつ該算出された回転角度を該2つの構造体の相対角度として出力する手段
として機能させるための、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。

【請求項6】
対象物内において互いに近傍にある2つの構造体の相対的な配向性を決定するための装置であって、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムが機能するように構成されたコンピュータを含む、前記装置。

【請求項7】
(M4)対象物内の断層画像を取得するための手段
を更に有する、請求項6に記載の装置。

【請求項8】
前記手段(M4)が、光コヒーレンストモグラフィーデバイスである、請求項7に記載の装置。

【請求項9】
該光コヒーレンストモグラフィーデバイスが、蝸牛内側面およびライスネル膜の断層画像を取得できるように構成されたものである、請求項8に記載の装置。

【請求項10】
対象物内において互いに近傍にある2つの構造体の相対的な配向性を決定するための方法であって、
(S1)該対象物内における位置情報が関連付けられており、かつ該2つの構造体が現れる断層画像を、少なくとも2つ含む断層画像群を用意する工程、および、
(S2)該断層画像群に基づいて、三次元空間内において該2つの構造体のそれぞれの表面形状の一部分を近似する平面を決定する工程
を含み、該決定された2つの平面に基づいて該相対的な配向性が決定される、前記方法。

【請求項11】
前記工程(S2)が、該断層画像群に含まれる少なくとも1組の断層画像の間のオプティカルフローを算出し、かつ該少なくとも1組の断層画像のそれぞれに関連付けられた該位置情報と該算出されたオプティカルフローとを用いて該平面を決定することを含む、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
前記工程(S2)が、
該断層画像群に含まれる少なくとも1つの断層画像を画像表示手段に表示させ、
該表示された1つの断層画像または複数の断層画像を用いて、該2つの構造体のそれぞれについて、輪郭線近傍の点を少なくとも2つ選択し、
該選択された点のそれぞれについて、該点を選択された断層画像に近接する断層画像において、該選択された点に対応する点を特定し、かつ、
該選択された点および該特定された点に基づいて、該2つの構造体のそれぞれについて、表面形状の一部分を近似する平面を決定することを含む、
請求項10または11に記載の方法。

【請求項13】
該断層画像が、光コヒーレンストモグラフィーデバイスを用いて取得されたものである、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。

【請求項14】
(S3)三次元空間内において前記工程(S2)により決定された2つの平面同士が交わる直線を決定し、該決定された直線に関する一方の平面から他方の平面への回転角度を算出し、かつ該算出された回転角度を該2つの構造体の相対角度として決定する工程
を更に含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。

【請求項15】
該2つの構造体が蝸牛内側面およびライスネル膜である、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。

【請求項16】
蝸牛内側面およびライスネル膜を該2つの構造体として請求項14に記載の方法を用いることにより、蝸牛内側面とライスネル膜との相対角度を決定する工程を含み、該相対角度に基づいて内リンパ水腫が診断される、哺乳動物における内リンパ水腫の診断を補助する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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