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半導体MEMS共振器

国内特許コード P160012779
整理番号 S2014-1040-N0
掲載日 2016年2月10日
出願番号 特願2014-124763
公開番号 特開2016-005148
出願日 平成26年6月17日(2014.6.17)
公開日 平成28年1月12日(2016.1.12)
発明者
  • 鈴木 健一郎
  • 谷川 紘
出願人
  • 学校法人立命館
発明の名称 半導体MEMS共振器
発明の概要 【課題】要求される周波数範囲で動作可能なMEMS共振器の設計自由度を確保しつつ、大きな電気機械変換効率と大きなQ値を同時に達成できる半導体MEMS共振器を提供する。
【解決手段】半導体MEMS共振器は、半導体で構成された構造体としての振動リング30上に、第1の導電性を有する少なくとも1つの第1の領域32と、前記第1の導電性とは逆の第2の導電性を有し、前記第1の領域に隣接する少なくとも1つの第2の領域33とを備え、該2つの領域間に交流信号が重畳された逆バイアス電圧を印加し、前記交流信号により、該2つの領域が配置された面内で前記構造体を面内振動させる。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


半導体を微小機械要素として利用するマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイスは、多くの応用分野を指向して開発が進んでいる。通信機器に搭載される回路素子、例えば、MEMS共振器をフィルタや発振器へ応用すると、通信機器の高機能化、小型化、低消費電力化に寄与できることが指摘されている。この応用例では、梁、リング、円板などの構造体に、外部から供給された電気信号で機械的な振動(固有周波数で共振させることが多い)を誘起し、この振動を電気信号に変換している。電気信号を機械振動に変換する例として静電気力の利用がある。静電駆動型と称されるMEMS共振器では、互いに対向する2つの電極の間に電圧を印加し、発生する静電気力を原動力としている。



静電駆動型の半導体MEMS共振器の電気機械変換効率を増大させると、少ない電力で大きな振動振幅が得られ、信号対雑音比(S/N)が大きい回路素子を実現できる。電気機械変換効率は、(1)対向面積に比例し、(2)ギャップの2乗に逆比例することが知られている。MEMSデバイスの作成法であるバルクマイクロマシニングは、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)と称される「Si(デバイス層)-SiO2(埋込酸化膜(BOX))-Si(基板層)」構造のウェーハを使用し、Si(デバイス層)に加工を施している。デバイス層の厚さが大きいほど対向面積を大きくできるが、狭く深い溝を形成することが困難なため狭ギャップ化には限界があるとされてきた。



狭いギャップの形成には、(1)加工の微細化、(2)広いギャップを形成しておき、デバイス動作時に電極の一方を移動させることによって狭ギャップとする、(3)犠牲層エッチングを利用したサーフェスマイクロマシニング、(4)電極間に薄い絶縁層を残したソリッドギャップ、などの手法を利用することが知られている。(1)ではイオンミリング装置などを使用してサブミクロンのギャップを掘りこんでいる。(2)は発明者等により提案された手法であり容易に狭ギャップを実現できるが、電極を直線的に移動させる(ギクシャクしながらの移動を避ける)ための構造と制御が必要である。(3)は狭ギャップが容易に形成できる技術であるが、薄膜の電極を形成する際の残留応力の制御が必須である。(4)は近年注目を集めている技術であり容易に狭いギャップを作製できる。サーフェスマイクロマシニングでの研究が主体であり、厚さが薄い(1ミクロン程度であることが多い)電極構成に適用されている。このため、狭ギャップによる電気機械変換効率の増大は、電極の対向面積が小さいことで相殺される可能性がある。さらに、ソリッドギャップ領域を構造体の材料(一般にはシリコン単結晶)と異なる絶縁層(例えば、酸化シリコン)で構成するので、この領域で振動が吸収される結果、高Q値を得ることが困難とされている。一般的に述べるならば、Q値が大きいと電気機械変換効率も大きいと考えられるが、両者間の定量的な相関は厳密なものではない。電気機械変換効率は出力信号の増大に、Q値は電子回路素子としての位相雑音の低減に寄与することが知られており、これらの値を共に大きくすることが実用上重要である。



特許文献1と非特許文献1にはショットキ障壁ダイオードを用いたアクチュエータが開示されている。図16は非特許文献1の図2に掲載されているカンチレバーの構造図である。図において、SOI構造のデバイス層(上部の「Si」)の表面には「1」乃至「3」で表記された金属薄膜が配置され、この金属と前記「Si」の間にショットキ障壁ダイオードが形成されている。当該金属薄膜は右側に伸びたカンチレバーの上面まで伸びており、カンチレバー全面にわたってショットキ障壁ダイオードが形成されている。このダイオードに逆バイアス電圧を印加すると、金属薄膜・「Si」の界面に応力が誘起され、ポアソン比に依存するZ方向のカンチレバー変位が発生するとされている。当該逆バイアスに交流信号を重畳すると、カンチレバーを特定の周波数で共振させることができることも示されている。



しかしながら、特許文献1と非特許文献1とで開示された技術は単にカンチレバーを上下方向に振動させることが示されているだけである。かかる構造を具体的な回路素子へ応用する時の構成、駆動、信号処理などについては記載されていない。また、金属-シリコン界面の大きな歪によって共振器のQ値が低くなるという問題がある。以上のように、引用した上記文献では「特定の周波数で共振が起こる事象」を紹介しているに過ぎず、実デバイスを作製するための設計情報などが開示されていない。



非特許文献2には、P型シリコンとN型シリコンの空乏層を利用した共振器が開示されている。図17(a)は非特許文献2の図1であり、試作したデバイスの写真である。図17(b)は同文献の図5(d)であり、デバイスの断面構造を示している。図17では両側から支持された板状の共振構造体の左半分が「励起接合」、右半分が「検出接合」である。同図に示されているように、ここでは同種材料であるシリコン内部の空乏層を利用してアクチュエータ(励起)とセンサ(検出)を作製している。このために大きなQ値が得られるとされている。しかし、共振器の振動は「厚み縦振動モード(図17(b)の紙面上の上下方向に振動)」であり、この振動を効率的に実現するためにはP型シリコン層とN型シリコン層の厚さをほぼ等しくすることが要求される。この結果、それぞれの厚さが異なるに従って電気機械変換効率が大きく減少するという問題がある。さらに、共振器の共振振動数はシリコン構造体の厚さによって決まる。このため、構造上、達成できる共振周波数の範囲が制限されるという重大な問題があった。また、異なる共振振動数をもつ共振器を一つのチップの内に集積化することが困難であるという問題もあった。

産業上の利用分野


本発明は、半導体MEMS共振器に関するものである。特に、静電駆動型半導体MEMS共振器に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
半導体で構成された構造体上に、第1の導電性を有する少なくとも1つの第1の領域と、前記第1の導電性とは逆の第2の導電性を有し、前記第1の領域に隣接する少なくとも1つの第2の領域とを備え、該2つの領域間に交流信号が重畳された逆バイアス電圧を印加し、前記交流信号により、該2つの領域が配置された面内で前記構造体を面内振動させる、半導体MEMS共振器。

【請求項2】
前記構造体が振動する方向における、前記第1の領域の寸法と前記第2の領域の寸法が異なる、請求項1に記載の半導体MEMS共振器。

【請求項3】
前記構造体が振動する方向における、前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも1つの領域の寸法が、前記構造体が振動する方向における、前記構造体の振動機構の寸法よりも大きい、請求項1に記載の半導体MEMS共振器。

【請求項4】
少なくとも1つの前記第1の領域と該第1の領域に隣接するように配置された少なくとも1つの前記第2の領域とを有する第1の円弧状帯領域と、
少なくとも1つの前記第2の領域と該第2の領域に隣接するように配置された少なくとも1つの前記第1の領域とを有する第2の円弧状帯領域と、
の組み合わせの少なくとも1組からなるリング状の前記構造体であって、
前記第1の円弧状帯領域における前記第1の領域と前記第2の領域との間に第1の交流信号が重畳された第1の逆バイアス電圧を印加し、前記第2の円弧状帯領域における前記第2の領域と前記第1の領域との間に第2の交流信号が重畳された第2の逆バイアス電圧を印加し、前記第1の交流信号及び前記第2の交流信号により、前記リングが配置された面内で前記構造体を面内振動させる、請求項1に記載の半導体MEMS共振器。

【請求項5】
前記円弧状帯領域が半周状帯領域である、請求項4に記載の半導体MEMS共振器。

【請求項6】
前記第1の領域からなるリングの外周に隣接させた前記第2の領域と、
該第2の領域と前記リングを挟んで対向する内周の位置に隣接させた前記第2の領域と、
の組み合わせの少なくとも1組からなるリング状の前記構造体であって、
前記リングと前記1組の領域間に交流信号が重畳された逆バイアス電圧を印加し、前記交流信号により、前記リングが配置された面内で前記構造体を面内振動させる、請求項1に記載の半導体MEMS共振器。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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