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挿入される眼内レンズの度数決定方法、及びシステム

国内特許コード P160012818
整理番号 (S2012-0824-N0)
掲載日 2016年3月3日
出願番号 特願2014-521318
登録番号 特許第5875090号
出願日 平成25年6月10日(2013.6.10)
登録日 平成28年1月29日(2016.1.29)
国際出願番号 JP2013065951
国際公開番号 WO2013187361
国際出願日 平成25年6月10日(2013.6.10)
国際公開日 平成25年12月19日(2013.12.19)
優先権データ
  • 特願2012-135160 (2012.6.14) JP
発明者
  • 常廣 俊太郎
出願人
  • 学校法人北里研究所
発明の名称 挿入される眼内レンズの度数決定方法、及びシステム
発明の概要 光干渉断層撮像装置により得られる水晶体の形状画像に基づいて、精度良く術後の眼内レンズ位置を予測する。これにより術後屈折誤差の低減及び、眼内レンズの度数決定を可能とする。
コンピュータにより、光干渉断層撮像装置により生成される患者眼の断層画像により得られる水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求めるステップと、前記求められた赤道部位置から眼内レンズの位置を推定するステップを有する。
従来技術、競合技術の概要


白内障は、水晶体内のたんぱくの変性に伴い混濁した状態となり、視力が低下する、目がかすむ等の原因となる。この白内障に対しては白内障手術が行われ、そのほぼ全ての場合において、混濁した水晶体を摘出し、それに代わり人工の眼内レンズを挿入することが行われる。



白内障手術においては、水晶体の袋(以下水晶体嚢)の前面(前嚢)に直径5~6mmの丸い穴をあけ、内部の混濁のみを超音波を発する器械で乳化・吸引する。すなわち水晶体嚢はほぼ維持され、混濁の乳化・吸引が終わったのちには、空になった嚢の中に人工の眼内レンズを挿入する。



眼内レンズは種類によってデザインが決まっており、架橋アクリルポリマー、シリコン等で形成されたレンズの役目をする光学部と、光学部が中央にくるように調整するPVDF(ポリフッ化ビニリデン)等を用いた支持部からなる。



その手術に際しては、いずれの度数の眼内レンズを挿入したら術後の屈折がいくつになるかを、手術対象眼の角膜屈折力や眼軸長などにより予測し、挿入する眼内レンズを決定する。



この予測のために、術後に眼内レンズが固定される位置を予測することが大きな比率を占める。眼内レンズの固定位置が解れば、通過媒質の屈折率や通過距離、角膜屈折力など他のパラメータから眼内レンズの結ぶ焦点の位置が算出できるからである。実際非特許文献2の執筆者であるSverker Norrbyは、術後屈折値の誤差の原因の35%が術後眼内レンズ位置予測に基づくものであると述べている。



従来の予測方法では、例えば、特許文献1に示されるように、眼内レンズ固定位置を角膜屈折力や眼軸長のみから予測していた。しかし、十分な予測精度は得られず、結果として予想した術後屈折値と実際の術後屈折値が合わないことは臨床として多く経験する。実際の患者で考えてみると、正視を得られると予測した眼内レンズを挿入したとしても、術後の屈折値が遠視側や近視側にずれてしまった場合は、十分な裸眼視力が得られず、満足を得ることにつながらないことになる。



この様に、術後屈折誤差の低減においては、眼内レンズ固定位置を精度よく求められるかが重要である。これまで様々な術後屈折予測方式が提案され、使用されている。



2010年に実施した日本白内障屈折手術学会会員アンケートによるとアンケート回答者の3%がSRK-I、27%がSRK-II、61%がSRK/T、9%がその他の方式を使用しているとのことであった。



上記で61%が使用しているSRK/T方式(非特許文献1参照)では角膜曲率半径、眼軸長、レンズのA定数を基に眼内レンズの位置を推測している。



図1は、SRK/T方式を説明するため、眼内レンズの挿入位置を模式的に表した図である。



眼軸長L1≦24.2の場合にはLC=L1として、L1>24.2の場合には眼軸長L1を2次式で補正して、補正眼軸長LCを得る。その後、角膜曲率半径rから求められる角膜屈折力K(=337.5/角膜曲率半径r)を合わせて角膜径wを次式(1)により算出する。



w=-5.41+0.58412×LC+0.098×K (1)
その後角膜ドームの高さHを、次式(2)に示すように三平方の定理で求める。



【数2】


それに眼内レンズの種類による固有値A定数から求められる定数(オフセットOfst:計算上の虹彩面から眼内レンズ(IOL)中心(主点)までの距離)を足したものが、次式(3)に示すように眼内レンズの位置C1となる。



C1(=術後の予測前房深度)=H+Ofst (3)
しかし、この方式には、様々な問題が生じる。たとえば眼軸長L1が長くなると上記角膜ドームの高さを表す式(2)におけるr2が、(w/2)2より小さくなり平方根の中身が負になってしまい正しい計算ができないことがたびたびある。また実際のオフセットOfstは眼内レンズのみで規定される定数ではない。

産業上の利用分野


本発明は、光干渉断層撮像装置により生成される前眼断層画像を用いて、挿入される眼内レンズの度数を決定する方法、及びシステムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
断層撮像装置により生成される前眼断層画像を用いて、挿入される眼内レンズの度数を決定する方法であって、
コンピュータにより、
前記断層撮像装置により生成された患者眼の前眼断層画像により得られる水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求めるステップと、
前記求められた赤道部位置と、前記水晶体の前嚢位置及び後嚢位置から、挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離を推定するステップと、
前記推定された挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離に対応して眼内レンズの度数を決定するステップを、
有し、
さらに、前記前眼断層画像により得られる水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求めるステップは、
前記水晶体の前嚢及び後嚢の形状からそれぞれの軌跡カーブを近似するステップと、
前記近似した水晶体の前嚢の軌跡カーブと水晶体の後嚢の軌跡カーブの交点を赤道部位置として求めるステップを、
有することを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定方法。

【請求項2】
請求項1において、
前記近似した水晶体の前嚢の軌跡カーブと水晶体の後嚢の軌跡カーブの交点を赤道部位置として求めるステップは、
前記水晶体の前嚢及び後嚢の形状に沿う複数点を特定し、前記特定される複数点を満たす前記前嚢及び後嚢の形状に対応する多項式をそれぞれ生成するステップと、
前記生成された多項式の交点を前記水晶体の最大径部である赤道部位置と判定するステップを、
有することを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定方法。

【請求項3】
請求項1において、
前記近似した水晶体の前嚢の軌跡カーブと水晶体の後嚢の軌跡カーブの交点を赤道部位置として求めるステップは、
前記水晶体の前嚢の軌跡カーブと前記水晶体の後嚢の軌跡カーブとして、前記水晶体の前嚢と後嚢のそれぞれの形状に沿う円弧として表すステップを
有することを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定方法。

【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
さらに、前記求められた赤道部位置と、前記水晶体の前嚢位置及び後嚢位置から、次式により眼内レンズ位置を推定する、
眼内レンズ位置=0.89+0.30×前嚢位置+0.25×後嚢位置+0.29×赤道部位置、
ただし、前記前嚢位置は、角膜の中心を通る眼軸長上において、角膜前面から術前の水晶体前嚢までの距離であり、前記後嚢位置は角膜前面から術前の水晶体後嚢までの距離である、
ことを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定方法。

【請求項5】
断層撮像装置により生成される前眼断層画像を用いて、挿入される眼内レンズの度数を決定する方法であって、
コンピュータにより、
前記断層撮像装置により生成される患者眼の前眼断層画像をディスプレイ装置に表示させるステップと、
前記ディスプレイ装置に表示される患者眼の前眼断層画像上で、水晶体の前嚢及び後嚢の形状からそれぞれの軌跡カーブを近似するステップと、
前記近似される前嚢及び後嚢の軌跡カーブの延長上の交点として、入力手段により指示入力される位置を赤道部位置と推定するステップと、
前記推定された赤道部位置と、前記前嚢位置及び後嚢位置から、挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離を推定するステップと、
前記推定された挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離に対応して眼内レンズの度数を決定するステップを、
有することを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定方法。

【請求項6】
断層撮像装置により生成された前眼断層画像を用いて、挿入される眼内レンズの度数を決定するシステムであって、
患者眼の前眼断層画像を生成する断層撮像装置と、
前記断層撮像装置により生成される患者眼の前眼断層画像により得られる水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求める手段と、更に、
前記求められた赤道部位置と、前記水晶体の前嚢位置及び後嚢位置から、挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離を推定する手段と、
前記推定された挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離に対応して眼内レンズの度数を決定する手段を有し、
前記水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求める手段は、
前記水晶体の前嚢及び後嚢の形状からそれぞれの軌跡カーブを近似し、前記近似した水晶体の前嚢の軌跡カーブと水晶体の後嚢の軌跡カーブの交点を赤道部位置として求める、
ことを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定システム。

【請求項7】
請求項6において、
前記水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求める手段は、
前記水晶体の前嚢及び後嚢の形状に沿う複数点を特定し、前記特定される複数点を満たす前記前嚢及び後嚢の形状に対応する多項式をそれぞれ生成する手段と、
前記生成された多項式の交点を前記水晶体の最大径部である赤道部位置と判定する手段を、
有することを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定システム。

【請求項8】
請求項6において、
前記水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求める手段は、
前記近似した水晶体の前嚢の軌跡カーブと水晶体の後嚢の軌跡カーブの交点を赤道部位置として求める際に、前記水晶体の前嚢の軌跡カーブと前記水晶体の後嚢の軌跡カーブとして、前記水晶体の前嚢と後嚢のそれぞれの形状に沿う円弧として表す、
ことを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定システム。

【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項において、
さらに、前記水晶体の形態から水晶体の最大径部である赤道部位置を求める手段は、前記求められた赤道部位置と、前記水晶体の前嚢位置及び後嚢位置から、次式により眼内レンズ位置を推定する、
眼内レンズ位置=0.89+0.30×前嚢位置+0.25×後嚢位置+0.29×赤道部位置、
ただし、前記前嚢位置は、角膜の中心を通る眼軸長上において、角膜前面から術前の水晶体前嚢までの距離であり、前記後嚢位置は角膜前面から術前の水晶体後嚢までの距離である、
ことを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定システム。

【請求項10】
術後の眼内レンズの度数を決定するシステムであって、
患者眼の前眼断層画像を生成する断層撮像装置と、
前記断層撮像装置により生成される患者眼の前眼断層画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置に表示される患者眼の前眼断層画像上で、水晶体の前嚢及び後嚢の形状からそれぞれの軌跡カーブを近似し、前記近似される前嚢及び後嚢の軌跡カーブの延長上の交点として、指示入力可能な入力手段を有し、
前記入力手段により入力される前記前嚢及び後嚢の軌跡カーブの延長上の交点を赤道部位置と推定する判定手段と、
前記判定された赤道部位置と、前記前嚢位置及び後嚢位置から、挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離を推定する手段と、
前記推定された挿入される眼内レンズの角膜前面からの距離に対応して眼内レンズの度数を決定する手段とを、
有することを特徴とする挿入される眼内レンズの度数決定システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014521318thum.jpg
出願権利状態 登録


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