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合わせガラスからガラスを回収する方法及び回収するための処理装置 コモンズ

国内特許コード P160012861
整理番号 N15053
掲載日 2016年3月17日
出願番号 特願2015-182488
公開番号 特開2016-172246
出願日 平成27年9月16日(2015.9.16)
公開日 平成28年9月29日(2016.9.29)
優先権データ
  • 特願2015-052995 (2015.3.17) JP
発明者
  • 水口 仁
  • 高橋 宏雄
  • 金子 正彦
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 合わせガラスからガラスを回収する方法及び回収するための処理装置 コモンズ
発明の概要 【課題】合わせガラスのリサイクルにおいて、合わせガラス中のポリマーを完全分解してガラスを低コストで短時間に回収する方法を提供する。
【解決手段】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させ、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去し、解体物からガラスを回収する。合わせガラスを鉛直方向に配置することにより、ポリマー除去後の2枚のガラスを分離して回収しやすくなる。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要


本発明者の一人は有機物、ポリマー、ガス体等の被処理物を分解する方法として、半導体を真性電気伝導領域となる温度に加熱して電子・正孔キャリアーを大量に発生させ、被処理物を加熱処理により発現した強力な酸化力を持つ正孔に接触させ、酸素の存在下において被処理物を完全分解する処理方法(半導体の熱活性法,Thermal Activation of Semi-Conductors,以後TASCと略称する)について提案した(特許文献1、非特許文献1)。TASC法で使用できる半導体は高温、酸素雰囲気で安定な半導体であれば良い。従って、酸化物半導体が好んで用いられる。酸化物半導体の例として、BeO、CaO、CuO、CuO、SrO、BaO、MgO、NiO、CeO、MnO、GeO、PbO、TiO、VO、ZnO、FeO、PdO、AgO、TiO、MoO、PbO、IrO、RuO、Ti、ZrO、Y、Cr、ZrO、WO、MoO、WO、SnO、Co、Sb、Mn、Ta、V、Nb、MnO、Fe、YS、MgFe、NiFe、ZnFe、ZnCo、MgCr、FeCrO、CoCrO、CoCrO、ZnCr、CoAl、NiAl等がある。この中で、酸化クロム(Cr)は高温安定性(融点:約2200℃)に優れ、さらに飲料用のガラス瓶の染色にも使われる安全な材料である。また、酸化鉄(α-Fe:ヘマタイト)は安全で廉価な材料であるので実用性が高い。



TASC法において用いられる酸化物半導体は室温においては絶縁体に近い電気抵抗値を示すが、温度上昇に伴い価電子帯から伝導帯へのバンド間遷移(真性伝導)が顕著になり、350-500℃では価電子帯と伝導帯に、それぞれ、大量の正孔(電子の抜けた孔)と電子が生成される。価電子帯に発生した正孔は強力な酸化力を有し、ポリマー等から結合電子を奪い、ポリマー内に不安定なカチオン・ラジカルを形成させる。次に、このラジカルが被分解物であるポリマー内を伝播することによりポリマー全体を不安定化し、ポリマーは自滅するような形でエチレンのような小分子に裁断化(ラジカル開裂)され、空気中の酸素と反応して水と二酸化炭素に完全分解される。つまり、分解過程は正孔の酸化力によるラジカルの形成、ラジカル開裂によるフラグメント化、そして裁断化された分子と酸素との完全燃焼の3つから構成される。本手法はポリマーの厚みが20mm以上でもラジカルの伝播が起こり、被分解物の内部まで分解効果が及ぶのが特徴である。
また、繊維強化プラスチックに同じTASC法を用いて、プラスチックを完全分解し、カーボン・ファイバーやグラス・ファイバー等の強化繊維をほぼ無傷で完全回収する方法を提案した(特許文献2、非特許文献2)。この方法は、強化繊維プラスチック材の強度の源である長繊維を切断することなく、そのままの状態で回収できるので、コスト高のカーボン・ファイバー等のリサイクルには非常に有用である。さらに、強化繊維に限らず、無機物とポリマー等から構成される複合材料から、無機物だけを回収できる普遍性のある方法である。



建築物の窓ガラス、自動車のフロントガラス等の安全ガラスに用いられている合わせガラスは、複数枚、多くの場合は2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を配置して形成される。その中間膜としては、ポリビニルブチラール樹脂等の、接着性が高く、しかも紫外線の照射でも黄変しない熱可塑性樹脂が一般的に使用されている。



使用期限が過ぎて市場から回収された合わせガラス、及び製造過程で、寸法、外観の不具合等で不要となった合わせガラスは、ガラス板と中間膜を容易に分離することができないために、そのほとんどは地中に埋め立て処理されている。また、合わせガラスを粉砕した後のガラス片が付着した中間膜については、焼却等による廃棄処分が行われることもある。しかし、上記のように、不要となった合わせガラスを地中に埋めると、環境破壊の問題を招来する。また、ガラス片が付着した中間膜を焼却処分すると、未溶融のガラスがガラス粉塵となって大気を汚染するという問題がある。一方、溶融したガラスは燃焼ストーカに堆積して燃焼装置の運転に支障をきたす等の問題がある。



そこで、従来より、合わせガラスからガラスを回収する方法が種々提案されている。特開平6-345499号公報には、ガラス軟化温度以下である150~200℃にまず加熱し、その後、合わせガラスの2枚のガラス板の間の中間膜層に、ニクロム線等の加熱線を500℃以上に加熱して押し当て、合わせガラスを移動させて溶融切断し、ガラス板と中間膜とを分離する方法が記載されている。処理速度を上げられないので、大量に処理するには適していない。また、特開2002-79209号公報には合わせガラスを破砕処理後に10Paに減圧して炉内を実質的に無酸素状態にして400℃に加熱し、分離したケイ酸塩ガラスから中間膜成分を真空蒸留装置によって液化・回収する方法が記載されている。真空度によっては中間膜の炭化が生ずるとされ、また分離後に中間膜を完全に回収するには困難が伴う。特開2007-260566号公報には切断・破砕したガラス製品を加熱処理装置によってガラス軟化点以上の温度雰囲気で加熱し、ガラス製品に付着している有機化合物又は高分子化合物を加熱分解した後、ガラス製品がガラス軟化点に達する前にガラス製品を加熱処理装置から取り出す方法が記載されている。切断・破砕機によってまず約5×15cmの短冊状に切断され、次に回転カッタの剪断力により、ガラスは破砕され、約1~2cm角サイズのガラスカレットが中間フィルムに接着された状態の合わせカレットとなるプロセスを踏むとされており、非常に手間のかかる処理方法である。



そこで、合わせガラスからポリマー中間膜を除去する方法として、本出願の方法である「半導体の熱活性技術(TASC)」を適用するならば、TASC法はポリマーを水と二酸化炭素に完全分解するクリーンな技術であるので、合わせガラスからガラスを容易にかつ安価に回収するシステムを構築しうる。

産業上の利用分野


本発明は、合わせガラスからガラスを回収する方法及び回収するための処理装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させる工程と、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱し、前記合わせガラスを相互に接着するポリマーを分解除去する工程と、解体物からガラスを回収する工程と、を備えることを特徴とする合わせガラスからガラスを回収する方法。

【請求項2】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を付着させる工程と、前記合わせガラスが鉛直方向になるように前記合わせガラスを設置する工程と、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱し、前記合わせガラスを相互に接着するポリマーを分解除去する工程と、解体物からガラスを回収する工程と、を備えることを特徴とする合わせガラスからガラスを回収する方法。

【請求項3】
前記合わせガラスの側面を前記酸化物半導体の懸濁液にディップ・コーティングする方法により、前記合わせガラスの側面に酸化物半導体を付着させることを特徴とする請求項1または2に記載の合わせガラスからガラスを回収する方法。

【請求項4】
前記被処理物は前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体に包囲され、前記構造体は酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の合わせガラスからガラスを回収する方法。

【請求項5】
酸素存在下において、前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去する過程は、前記被処理物を一定速度で搬送する連続処理装置に導入し、前記連続処理装置内の前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度領域に滞在する期間において行われ、
前記解体物からガラスを回収する過程は、前記連続処理装置内の分別回収部において、ガラスを回収することにより、分別・回収されることを特徴とする請求項1または請求項3ないし5に記載の合わせガラスからガラスを回収する方法。

【請求項6】
被処理物である合わせガラスのの少なくとも1つの側面に酸化物半導体の分散膜を塗布し、前記被処理物の側面に前記酸化物半導体を接触させた状態で、前記被処理物を一定速度で搬送する搬送装置と、
前記被処理物を、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱する加熱処理部と、
前記加熱処理部内にエアを供給するエアの供給機構と、
前記加熱処理部において前記被処理物中のポリマーを分解除去して得られる解体物から、ガラスを回収する回収部とを備えることを特徴とする合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。

【請求項7】
被処理物である合わせガラスの少なくとも1つの側面に酸化物半導体を接触させた状態で、前記合わせガラスが鉛直方向になるように前記合わせガラスを設置する加熱処理室を有し、
前記加熱処理室において前記被処理物は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱され、
前記加熱処理室は外部からエアを供給するエアの導入口と加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、
前記加熱処理室において前記被処理物中のポリマーを分解除去して得られる解体物から、ガラスを回収することを特徴とする合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。

【請求項8】
前記加熱処理部または前記加熱処理室の排気口には、前記酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記構造体が、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることによって、前記加熱処理部または前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化されることを特徴とする請求項6または7に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。

【請求項9】
前記被処理物は前記半酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体に包囲され、前記構造体は前記加熱処理部または前記加熱処理室内において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱されることを特徴とする請求項6ないし8に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。

【請求項10】
前記加熱処理部または前記加熱処理室はエアの導入口と排気口および被処理物を通過させる入口扉と出口扉を有する処理室であり、前記入口扉から前記被処理物が導入された後に前記入口扉が閉じ、前記入口扉と前記出口扉が閉じ、前記被処理物が停止した状態で前記被処理物中のポリマーが分解除去され、得られた解体物は出口扉から搬出されることを特徴とする請求項6ないし9に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。

【請求項11】
前記加熱処理室内の前記排気口の近くに前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が配置され、前記構造体は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱されることにより排気口へ導かれるガスを浄化することを特徴とする請求項7または8に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。

【請求項12】
1つの側面に前記酸化物半導体の分散膜を塗布した前記合わせガラスが、鉛直方向になるように前記加熱処理室内に複数枚数設置されることを特徴とする請求項7若しくは8または請求項11に記載の合わせガラスからガラスを回収するための処理装置。

【請求項13】
被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料の表面にのみ酸化物半導体を接触させ、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させた状態で、前記被処理物を設置する加熱処理室を有し、前記加熱処理室は外部からエアを供給するエアの導入口と加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、前記加熱処理室において前記被処理物は、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物中のポリマーが分解され、前記加熱処理室内の前記排気口の近くに前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が配置され、前記構造体は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより排気口へ導かれるガスが浄化され、前記加熱処理室の前記排気口には、前記酸化物半導体を担持した通気性を有する前記構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記構造体が、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることによって、前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化されることを特徴とするプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解処理装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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