TOP > 国内特許検索 > 太陽電池モジュールから有価物を回収する方法及び回収するための処理装置

太陽電池モジュールから有価物を回収する方法及び回収するための処理装置 コモンズ

国内特許コード P160012864
整理番号 N15056
掲載日 2016年3月17日
出願番号 特願2015-211632
公開番号 特開2016-093804
出願日 平成27年10月28日(2015.10.28)
公開日 平成28年5月26日(2016.5.26)
優先権データ
  • 特願2014-227701 (2014.11.10) JP
発明者
  • 水口 仁
  • 高橋 宏雄
  • 金子 正彦
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 太陽電池モジュールから有価物を回収する方法及び回収するための処理装置 コモンズ
発明の概要 【課題】太陽電池モジュール中のエチレンビニルアセテート等のポリマーを完全分解し、有価物を低コストで短時間に回収する方法の提供。
【解決手段】酸化物半導体を担持した通気性を有する触媒担持ハニカム8の支持体の上に被処理物である太陽電池モジュール5を、受光面を上にし、太陽電池モジュール5のバック・シート7に該酸化物半導体を接触させ、酸素存在下において酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で太陽電池モジュール5を加熱することにより、太陽電池モジュール5中のポリマー4を水と炭酸ガスに完全分解し、ガラス1、太陽電池セル、インター・コネクタ3等の有価物を回収し、加熱処理室からの排ガスは、排気口に連結された酸化物半導体担持ハニカム装備のVOC浄化装置により、無害化される太陽電池から有価物を回収する方法。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


本発明者の一人は有機物、ポリマー、ガス体等の被処理物を分解する方法として、半導体を真性電気伝導領域となる温度に加熱して電子・正孔キャリアーを大量に発生させ、被処理物を加熱処理により発現した強力な酸化力を持つ正孔に接触させ、酸素の存在下において被処理物を完全分解する処理方法(半導体の熱活性法,Thermal Activation of Semi-Conductors,以後TASCと略称する)について提案した(特許文献1、非特許文献1)。TASC法で使用できる半導体は高温、酸素雰囲気で安定な半導体であれば良い。従って、酸化物半導体が好んで用いられる。酸化物半導体の例として、BeO、CaO、CuO、CuO、SrO、BaO、MgO、NiO、CeO、MnO、GeO、PbO、TiO、VO、ZnO、FeO、PdO、AgO、TiO、MoO、PbO、IrO、RuO、Ti、ZrO、Y、Cr、ZrO、WO、MoO、WO、SnO、Co、Sb、Mn、Ta、V、Nb、MnO、Fe、YS、MgFe、NiFe、ZnFe、ZnCo、MgCr、FeCrO、CoCrO、CoCrO、ZnCr、CoAl、NiAl等がある。この中で、酸化クロム(Cr)は高温安定性(融点:約2200℃)に優れ、さらに飲料用のガラス瓶の染色にも使われる安全な材料である。また、酸化鉄(α-Fe:ヘマタイト)は安全で廉価な材料であるので実用性が高い。



TASC法において用いられる酸化物半導体は室温においては絶縁体であるが、350-500℃に加熱すると半導体の真性電気伝導領域に入る。その際に、価電子帯に発生する正孔が強力な酸化力を発現し、ポリマー等から結合電子を奪い、ポリマー内に不安定なカチオン・ラジカルを形成させる。次に、このラジカルが被分解物であるポリマー内を伝播することによりポリマー全体を不安定化し、ポリマーは自滅するような形でエチレンのような小分子に裁断化(ラジカル開裂)され、空気中の酸素と反応して水と二酸化炭素に完全分解される。つまり、分解過程は正孔の酸化力によるラジカルの形成、ラジカル開裂によるフラグメント化、そして裁断化された分子と酸素との完全燃焼の3つから構成される。本手法はポリマーの厚みが20mm以上でもラジカルの伝播が起こり、被分解物の内部まで分解効果が及ぶのが特徴である。
また、繊維強化プラスチックに同じTASC法を用いて、プラスチックを完全分解し、カーボン・ファイバーやグラス・ファイバー等の強化繊維をほぼ無傷で完全回収する方法を提案した(特許文献2、非特許文献2)。この方法は特にコストの高いカーボン・ファイバー等の繊維を切断するなどのダメージを与えることなく強化繊維を回収して再使用することができるので、非常に有用であり、強化繊維に限らず、無機物とポリマーを混合した複合材料から無機物だけを回収できる普遍性のある方法である。



太陽光発電システムは燃料を必要としないので資源枯渇の心配がなく、クリーンなエネルギーを供給して環境に負荷を与えない有用な技術であり、最近急速に普及が進展している。太陽電池システムの主要構成要素である太陽電池モジュールの耐用年数は20-30年と言われ、今後大量の処理需要の発生が見込まれる。太陽電池モジュールの部品をそのまま再使用するリユースはコスト面から経済性に乏しく、不要部材を処理して有価物である強化ガラス、太陽電池セル、インター・コネクタなどを素材として回収するリサイクル技術の確立が望まれている。



しかしながら、現状の太陽電池モジュールの大部分は、セル部とガラス基板が、例えば、熱可塑型の樹脂であるEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂:エチレンビニルアセテート)により接着された構造となっている。EVAはセルが大気にさらされて腐食することなどを防いでいるが、逆にセル部やガラスを分離して取り出そうとすると、EVAを効率的に除去する方法がないために取り出しが困難であり、リサイクル技術は実用化されていないのが実情である。一般にポリマーを室温・空気中で加熱分解すると燃焼方法にも依存するが、多くの炭化物等に由来する黒状残渣が残存することが知られている。



EVAを除去して太陽電池素子構成材料の回収をするための方法として、特開2014-108375号公報には、炉内酸素濃度が1~3体積%、装置炉内の温度を「予備加熱部:300℃」「熱処理部:500℃」となる様に昇温し、「予備加熱部滞在時間:20分」「熱処理部滞在時間:20分」となる周回コンベアの回転速度を合わせる。結晶Si系モジュールを連続処理装置に入れて、セル部及びガラス基板に結合したEVA封止材を爆発現象や炭化を起こすことなく除去して、太陽電池素子の構成材料を、安全に低コストで回収できる、と記載されている。爆発を抑制するためには酸素濃度を下げることが好ましいが、これはポリマーの炭化を促進することにつながり、処理速度が低下する等の問題点が残る。また、特開2004-42033号には従来の硝酸浸漬法を改良し、太陽電池モジュールを浸漬する70℃以上80℃以下に加温した硝酸に界面活性剤を添加することにより、従来100時間かかっていたEVAの分解時間を約半分の50時間に短縮することができた、と記載されている。処理中にセルが割れることなく回収できる利点はあるものの、処理時間が依然として長く、更に強酸を用いるなどから実用的とは言えない。



そこで、EVAの除去に、本出願の方法である「半導体の熱活性技術(TASC)」を適用するならば、TASC法はポリマーを水と二酸化炭素に完全分解するクリーンな技術であるので、太陽電池モジュールから有価物であるガラス、太陽電池セル、インター・コネクタなどを容易にかつ安価に回収するシステムを構築しうる。

産業上の利用分野


本発明は、太陽電池モジュールから有価物を回収する方法及び回収するための処理装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被処理物である太陽電池モジュールを、酸化物半導体を坦持した通気性を有する支持体の上に受光面を上にして載せることにより、前記太陽電池モジュールのバック・シートに酸化物半導体を接触させ、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去し、解体物から有価物を回収することを特徴とする太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項2】
被処理物である太陽電池モジュールのバック・シートを酸化物半導体の懸濁液にディップ・コーティングすることにより、前記太陽電池モジュールの前記バック・シートに酸化物半導体を接触させ、前記被処理物を通気性を有する支持体の上に置いて、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去し、解体物から有価物を回収することを特徴とする太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項3】
被処理物である太陽電池モジュールの1ないし4つの側面を酸化物半導体の懸濁液にディップ・コーティングすることにより、前記被処理物の側面に酸化物半導体を接触させ、前記被処理物を通気性を有する支持体の上に置いて、酸素存在下において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度で前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去し、解体物から有価物を回収することを特徴とする太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項4】
前記有価物は、ガラス、太陽電池セル、インター・コネクターのいずれか、あるいはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項5】
前記被処理物中のポリマーを分解し、解体物から有価物を回収した後に、
回収物の中の太陽電池セルを硝酸に浸漬することにより、前記太陽電池セルの電極である銀または銀の化合物を溶解し、さらに塩酸を滴下することによって銀または銀の化合物の塩化物を生じさせ、銀または銀の化合物を回収することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項6】
前記被処理物中のポリマーを分解除去し、解体物から有価物を回収する方法として、
前記解体物をステンレス網上に移し、20度以上40度以下の範囲で基板を傾け、第1の振動数で振動させ、まずガラス塊を落下・分離させ、次に、第2の振動数で振動させて、太陽電池セルとインター・コネクターを落下・分離させることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項7】
前記第1の振動数は5Hz以上で20Hz以下の範囲にあり、前記第2の振動数は10Hz以上で200Hz以下の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項8】
前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する支持体として、縦横に複数本の溝を有するハニカムの上に、溝に合わせた形状で溝の深さ以下の厚みをもつステンレス網を載せたものを使用し、
前記ステンレス網の上に前記被処理物を載せて処理することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項9】
前記通気性を有する支持体として、前記酸化物半導体が担持されていないハニカムを使用し、
前記ハニカムの上にステンレス網を載せ、さらにその上に前記被処理物を置いて処理することを特徴とする請求項2または3に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項10】
酸素存在下において、前記被処理物を加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解除去する過程は、前記被処理物を載せた前記支持体を一定速度で搬送する連続処理装置に導入し、前記連続処理装置内の前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱される加熱処理部内に滞在する期間に行われ、
前記解体物から有価物を回収する過程は、前記連続処理装置内の分別回収部において、まずガラスを回収し、次に太陽電池セルおよびインター・コネクターを回収することにより、分別・回収されることを特徴とする請求項1ないし請求項4および請求項6ないし請求項9に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項11】
前記加熱処理部は排気口を有し、前記排気口には前記酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に前記構造体が加熱されることによって、前記加熱処理部から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化されることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収する方法。

【請求項12】
太陽電池モジュールに酸化物半導体を接触させた状態で、被処理物である前記太陽電池モジュールを搭載した通気性を有する支持体を、一定速度で搬送するコンベヤと、
前記通気性を有する支持体に搭載された被処理物を、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱することにより、前記被処理物中のポリマーを分解する加熱処理部と、
前記加熱処理部内にエアを供給するエアの供給機構とを有し、加熱処理により前記加熱処理部内に発生するガスを排出する排気口には、前記酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に前記構造体が加熱されることによって、前記加熱処理部から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化され、前記加熱処理部において前記被処理物中の前記ポリマーを分解除去して得られる解体物から、有価物を回収する回収部とを備えることを特徴とする太陽電池モジュールから有価物を回収するための処理装置。

【請求項13】
前記加熱処理部はエアの導入口と排気口および前記通気性を有する支持体に搭載された被処理物を通過させる入口扉と出口扉を有する処理室であり、前記入口扉から前記被処理物が導入された後に前記入口扉が閉じ、前記入口扉と前記出口扉が閉じ、前記被処理物が停止した状態で前記被処理物中のポリマーが分解除去され、得られた解体物は出口扉から搬出されることを特徴とする請求項12に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収するための処理装置。

【請求項14】
前記解体物から有価物を回収する回収部において、まずガラスを回収し、次に太陽電池セルおよびインター・コネクターを回収することにより、分別・回収することを特徴とする請求項12または13に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収するための処理装置。

【請求項15】
被処理物である太陽電池モジュールに酸化物半導体を接触させた状態で、前記太陽電池モジュールを設置する加熱処理室を有し、前記加熱処理室において前記被処理物は、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物中のポリマーが分解され、前記加熱処理室は外部からエアを供給するエアの導入口と加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、前記加熱処理室の排気口には、前記酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に前記構造体が加熱されることによって、前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過するガスが無害のガスに浄化され、前記加熱処理室において前記被処理物中のポリマーを分解除去して得られる解体物から、有価物を回収することを特徴とする太陽電池モジュールから有価物を回収するための処理装置。

【請求項16】
前記加熱処理室内の前記排気口の近くに前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が配置され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度に前記構造体が加熱されることにより、排気口へ導かれるガスが浄化されることを特徴とする請求項15に記載の太陽電池モジュールから有価物を回収するための処理装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2015211632thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close