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新規ベクター及びこれを用いた可溶化タンパク質の製造方法 UPDATE コモンズ

国内特許コード P160012865
整理番号 N15061
掲載日 2016年3月17日
出願番号 特願2015-226253
公開番号 特開2017-093313
出願日 平成27年11月19日(2015.11.19)
公開日 平成29年6月1日(2017.6.1)
発明者
  • 野村 隆臣
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 新規ベクター及びこれを用いた可溶化タンパク質の製造方法 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】 発現ベクターを用いた大腸菌内発現系は、遺伝子情報を元にしたタンパク質合成系として多く用いられているが、特に真核生物由来のタンパク質を発現させた際に不溶化、不活性化してしまうことが多い。
【解決手段】 L11発現遺伝子の上流に、L11発現遺伝子の発現を誘導物質により調節できるプロモーターを組み込んだL11遺伝子の発現誘導システムが導入された大腸菌形質転換用ベクターであって、当該L11遺伝子の発現誘導システムの誘導物質とは異なる誘導物質により調節できるプロモーターをターゲットタンパク質発現遺伝子の上流に組み込んだターゲットタンパク質遺伝子の発現誘導システムが導入されていても良いことを特徴とするベクターで形質転換された形質転換体を用いる可溶性タンパク質の製造方法。

【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


ゲノム解析技術の進歩により、多種多様な生物のゲノム情報が蓄積され、それとともに、膨大な機能未知遺伝子の存在が明らかにされている。機能未知遺伝子の機能解析はポストゲノム解析の最重要課題であるが、その進展はゲノム解析と比較して遅れている。この最大の理由は、機能未知遺伝子がコードするタンパク質を、機能を保持した可溶性の状態で合成できないことがあるためである。



遺伝子情報を元にしてタンパク質を合成する方法として、対象とする遺伝子を導入した発現ベクターを用いて、大腸菌内でタンパク質を合成させる方法が知られている(非特許文献1)。この方法は、実験操作の容易さ、低コスト、高収量であることから、最も広く使用されているが、対象としたタンパク質が、不活性な不溶性の凝集体(封入体)として合成されることがある(非特許文献1)。これは、真核生物由来のタンパク質で多く見られる傾向にあり、原因の一つとして、大腸菌のタンパク質合成が、真核生物と比較して過度に速く、合成されるタンパク質の量も多いため、タンパク質の機能化に必要な高次構造の折り畳みが正常に行われていないことが挙げられる。



一方、低温培養した大腸菌内では、発現ベクターに導入された遺伝子情報をもとに合成されるタンパク質が、機能を保持した可溶性の状態で生成されることが知られており、これは、低温環境下にすることで、大腸菌内のタンパク質合成の速度が低下したことに起因すると考えられている(非特許文献2)。このことを受けて、ターゲットタンパク質の発現宿主の大腸菌を12から25℃の低温条件で培養することにより、合成されたタンパク質が封入体にはならず、可溶性の状態で得られる技術が報告されている(特許文献1)。



細胞内におけるタンパク質合成は、細胞内小顆粒のリボソームが、遺伝子情報に従って、アミノ酸を重合することで行われる。この反応は、GTP結合型翻訳因子(GTPase翻訳因子)が、リボソームのGTPaseセンターと呼ばれる特定の領域で相互作用し、その際に生じるGTP加水分解エネルギーによって促進されることが知られている。



GTPaseセンターは、リボソーム中でも特にタンパク質に富んだ領域であり、大腸菌リボソームのGTPaseセンター構成タンパク質の一つであるL11は、GTPase翻訳因子との相互作用に関連することが知られており、L11を欠損した大腸菌変異株(例えば、AM68株)は、生育が野生株よりも遅く、AM68株から単離したリボソームは、タンパク質合成速度が低下していることが知られている(非特許文献3及び4)。これを受けて、AM68株を発現宿主とすることで、真核生物に由来するタンパク質を可溶化状態で合成する技術が報告されている(特許文献2)

産業上の利用分野


本発明は、可溶化タンパク質の製造方法に関する。具体的には、新規な発現ベクターを用いて、目的とする可溶化タンパク質の効率的な製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
L11発現遺伝子の上流に、L11発現遺伝子の発現を誘導物質により調節できる誘導性プロモーターを組み込んだL11遺伝子の発現誘導システムが導入された大腸菌形質転換用ベクターであって、当該L11遺伝子の発現誘導システムの誘導物質とは異なる誘導物質により調節できる誘導性プロモーターをターゲットタンパク質発現遺伝子の上流に組み込んだターゲットタンパク質遺伝子の発現誘導システムが導入されていてもよいベクター。

【請求項2】
前記L11遺伝子の発現誘導システムとターゲットタンパク質遺伝子の発現誘導システムとが導入されていることを特徴とする、請求項1に記載のベクター。

【請求項3】
前記L11遺伝子の発現誘導システムおよびターゲットタンパク質遺伝子の発現誘導システムに導入される誘導性プロモーターが、互いに異なり、araBADプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、trpプロモーター、λプロモーターpLおよびphoAプロモーターの群の中から選択される1種である事を特徴とする、請求項1または2に記載のベクター。

【請求項4】
前記L11遺伝子の発現誘導システムに導入される誘導性プロモーターが、araBADプロモーターであり、ターゲットタンパク質遺伝子の発現誘導システムに導入される誘導性プロモーターが、tacプロモーターである事を特徴とする、請求項3に記載のベクター。

【請求項5】
配列表の配列番号1に示される塩基配列またはその配列の1もしくは複数の塩基が欠失、置換もしくは付加された配列で示される塩基配列を有することを特徴とする、請求項4に記載のベクター。

【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載のベクターにより形質転換されたことを特徴とする、可溶化タンパク質製造用形質転換体。

【請求項7】
請求項6に記載の形質転換体を用いることを特徴とする、可溶化した真核生物由来タンパク質の製造方法。

【請求項8】
L11遺伝子の発現誘導システムの誘導性プロモーターがaraBADプロモーターで、誘導物質がアラビノース(arabinose)であり、ターゲットタンパク質遺伝子の発現誘導システムの誘導性プロモーターがtacプロモーターで、誘導物質がイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)である事を特徴とする、請求項7に記載の可溶化した真核生物由来タンパク質の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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