TOP > 国内特許検索 > 結晶化分析装置及び結晶化分析方法

結晶化分析装置及び結晶化分析方法 UPDATE 新技術説明会

国内特許コード P160012872
整理番号 S2015-1988-N17
掲載日 2016年3月22日
出願番号 特願2015-198366
公開番号 特開2017-072436
出願日 平成27年10月6日(2015.10.6)
公開日 平成29年4月13日(2017.4.13)
発明者
  • 若松 孝
出願人
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構
発明の名称 結晶化分析装置及び結晶化分析方法 UPDATE 新技術説明会
発明の概要 【課題】微量のタンパク質結晶化溶液において、リアルタイムでタンパク質の結晶化状態を分析する装置を提供する。
【解決手段】
タンパク質の結晶化状態を分析する結晶化分析装置Zを用いる。光源1から入射光調整部2で調整された光を、測定試料部3の結晶化溶液31を含む溶液セル30へ入射させる。結晶化溶液31からの前方小角散乱光又は後方小角散乱光は、測定散乱光変換部4で平行光に変換される。一度に所定の角度範囲の平行前方小角散乱光又は平行後方小角散乱光が、散乱光検出部5で検出される。計測解析部6によって、散乱光検出部5で検出された散乱光の検出位置が散乱角度に変換され、散乱角に対する散乱光の強度分布を取得する。計測された散乱光データは、計測解析部6で解析され、結晶化溶液中のタンパク質の結晶化状態が分析される。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


従来から、タンパク質等の生体高分子の機能を解明するために、結晶構造解析の技術が必要不可欠となっている。生体高分子の結晶構造は、X線回折測定、更には中性子線回折測定等によって解析される。このような結晶構造の解析と評価は、いかに良質の生体高分子の結晶を作製するかに大きく依存する。ここで、生体高分子の結晶の製造においては、通常、生体高分子の過飽和溶液に各種の沈殿剤(以下、「結晶化剤」と呼ぶ。)等を添加して行われる。なお、以下では、生体高分子として、主にタンパク質を使用する例について説明する。



ここで、タンパク質の結晶化条件は、タンパク質の溶液濃度、結晶化剤の種類や濃度、緩衝液の種類、pH値、溶液温度等の、様々な要因を考慮する必要がある。このため、従来から、試行錯誤を繰り返し、又は網羅的に結晶化試験を行い、対象のタンパク質を結晶化させるための結晶化条件を探索する方法が用いられていた。
たとえば、従来は、タンパク質の濃度を一定にし、結晶化剤の濃度を変化させた溶液試料について、結晶化要件を求める試験が行われていた。また、結晶化剤の濃度を一定にして、タンパク質の濃度を変化させた溶液試料について、結晶化要件を求める試験が行われていた。他にも、例えば、結晶化剤の種類を変えた溶液試料について、結晶化要件を求める試験が行われていた。



しかしながら、溶液中におけるタンパク質結晶の成長速度は、一般的には、大変遅い。このため、結晶化する条件下であっても、光学顕微鏡等で結晶生成が確認できるまでに、少なくとも数日から数週間の時間が必要であった。また、タンパク質の種類や作製条件によっては、数ヶ月以上の時間を要することもあった。これに対して、従来は、実際にタンパク質結晶を作製することで、対象となる個々のタンパク質にとって最適な結晶化条件の探索をしていた。さらにまた、結晶化条件がよく判明しているタンパク質でさえ、結晶化プロセスの詳細は、未だ明確ではなかった。



上述のように、タンパク質の結晶化条件の探索を行うためには、目的のタンパク質とその結晶化剤を含むタンパク質結晶化溶液(以下、単に「結晶化溶液」と呼ぶ。)中で、溶液中のタンパク質の状態を観測する必要があった。つまり、タンパク質分子が凝集し、結晶核形成から微結晶形成へと結晶が成長していく際に、光学顕微鏡等で観察できるようになるまでのサイズに微結晶が成長するまでの過程を観察していた。



このため、結晶構造解析に用いるタンパク質結晶を作製する溶液においては、その作製溶液が、結晶核形成から微結晶形成へと結晶が成長する前の段階の凝集プロセスを分析できる技術が望まれていた。
つまり、光学顕微鏡等で観察できるようになるまでのサイズにタンパク質の微結晶が成長するまでに、タンパク質分子が凝集する様子をリアルタイム(実時間)で分析し、タンパク質凝集体の形成を追従して、結晶化溶液中のタンパク質が結晶化に進行する方向にあるか否かの分析をする技術を開発するニーズがあった。このような技術があれば、従来のように結晶化条件を求めるための試験をする回数を減少させることが期待できる。



ここで、従来から、ブラウン運動している微粒子からの散乱光を計測し、その散乱光の時間的振舞いから、微粒子の粒度分布を調べる動的光散乱(Dynamic Light Scattering、DLS)法が、ミクロンメートルオーダー以下サイズのコロイド等のような微粒子の分析によく用いられている。
このような非破壊的な分析法であるDLS法は、タンパク質分子が含まれる溶液の評価にも用いられている。



特許文献1を参照すると、タンパク質等の生体高分子含有溶液からの生体高分子の結晶化条件を探査する方法であって、生体高分子含有溶液と半透膜で隔てられた溶液に、溶液の物理化学的性質を変化させる物質を連続的又は断続的に添加して、前記生体高分子含有溶液の物理化学的性質を連続的又は断続的に変化させ、その間の生体高分子含有溶液の状態を、光散乱法によって、連続的又は断続的にモニターする方法とその装置について開示されている(以下、従来技術1と呼ぶ。)。
従来技術1では、結晶化条件を連続的に最適化しながら探索するために、結晶化条件を見逃す可能性が、従来法に比べて低いという効果がある。



また、特許文献2では、タンパク質溶液からの低角度の前方光散乱(前方小角光散乱)が、タンパク質凝集体の形成に高感度であることが示されており、前方小角散乱光又は後方小角散乱光の散乱角に対する強度分布(静的散乱分布関数、散乱光パターン)を高精度に計測して、タンパク質の結晶化を分析する方法とその装置について開示されている。
これに関連して、非特許文献1には、前方小角散乱光測定によって、タンパク質溶液の前結晶化段階におけるタンパク質凝集体を分析する方法、及び凝集体の分析結果、更にそれらの結晶化との関係について示されている。具体的には、タンパク質結晶化モデルとして代表的なリゾチーム(ニワトリ卵白由来のタンパク質)の結晶化溶液について、低角度における前方小角散乱光の散乱角度依存性(前方散乱光パターン)が高精度に計測され、得られた前方小角散乱光のデータ解析から、結晶化に進行するリゾチーム溶液中には、相似構造をもったフラクタル凝集体が形成されることが明らかにされている。非特許文献1では、測定された前方散乱光のパターンから、フラクタル凝集体の構造パラメータであるフラクタル次元Dfが算出され、このDfと結晶化条件との関係について述べられている。
特許文献2及び非特許文献1に記載の技術(以下、従来技術2と呼ぶ。)では、結晶化溶液の前方小角散乱光又は後方小角散乱光を高精度に検出することによって、溶液がタンパク質結晶化の前段階状態において、微結晶が生じていない準安定領域であるか否かについて高感度に分析できる。これにより、タンパク質の結晶化前段階の凝集体や結晶核の形成を高感度に調べることができる。

産業上の利用分野


本発明は、結晶化分析装置及び結晶化分析方法に係り、特にタンパク質の結晶化溶液の光散乱の計測によって結晶化状態の分析を行う結晶化分析装置及び結晶化分析方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
タンパク質の結晶化溶液の結晶化分析装置であって、
前記結晶化溶液を保持する測定試料部と、
前記測定試料部に入射された光から放射される前記結晶化溶液の前方小角散乱光又は後方小角散乱光を所定の散乱角範囲で取り込み、平行前方小角散乱光又は平行後方小角散乱光に変換する測定散乱光変換部と、
前記測定散乱光変換部により変換された前記平行前方小角散乱光又は前記平行後方小角散乱光の前記所定の散乱角範囲の強度分布を一度に測定する散乱光検出部と、
前記散乱光検出部により測定された前記所定の散乱角範囲の強度分布から、前記結晶化溶液において前記タンパク質の凝集体形成を解析し、前記タンパク質が結晶化状態に移行するか否かを実時間で分析する計測解析部とを備える
ことを特徴とする結晶化分析装置。

【請求項2】
前記計測解析部は、
前記散乱光検出部で検出された前記平行前方散乱光又は前記平行後方散乱光を、それぞれ前記前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光の強度の散乱角に対する分布関数に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の結晶化分析装置。

【請求項3】
前記計測解析部は、
前記前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光の強度の散乱角に対する分布関数に基づいて、前記結晶化溶液における前記タンパク質が結晶化状態に移行するか否かを分析する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶化分析装置。

【請求項4】
前記計測解析部は、
前記前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光の時間的強度変化に基づいて、前記結晶化溶液における前記タンパク質が結晶化状態に移行するか否かを分析する
ことを特徴とする請求項1に記載の結晶化分析装置。

【請求項5】
前記所定の散乱角範囲は、1°~15°であり、
前記散乱光検出部は、0.1秒以下の時間で、前記所定の散乱角範囲の強度分布を一度に測定する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の結晶化分析装置。

【請求項6】
前記結晶化溶液への入射光の状態を調整する入射光調整部を備え、
前記入射光調整部は、前記入射光の光路変更機能を備えた光学素子と、
前記入射光を所定の強度に調整する機能を備えた光学素子とを含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の結晶化分析装置。

【請求項7】
前記測定散乱光変換部は、
シリンドリカルレンズを含み、前記結晶化溶液の前記前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光を、それぞれ前記平行前方小角散乱光又は前記平行後方小角散乱光に変換する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の結晶化分析装置。

【請求項8】
前記散乱光検出部は、マルチチャンネル光検出器を含み、前記平行前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光の強度の散乱角に対する各チャンネルの分布関数を、前記所定の散乱角範囲の強度分布として検出する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の結晶化分析装置。

【請求項9】
前記入射光調整部は、スペイシャルフィルター及びコリメートレンズを含む
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の結晶化分析装置。

【請求項10】
前記測定試料部と前記散乱光検出部との間に、前記結晶化溶液からの透過光を防止する透過光ブロックを備え、
前記散乱光検出部は、前記透過光ブロックにより前記透過光が防止された状態で、前記結晶化溶液の前記平行前方小角散乱光を計測する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の結晶化分析装置。

【請求項11】
前記透過光ブロックは、反射ミラー、光フィルター、及び光ビームスプリッターのいずれか一種を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の結晶化分析装置。

【請求項12】
タンパク質の結晶化溶液の結晶化状態を分析する結晶化分析方法であって、
前記結晶化溶液に光を入射させ、
入射された光から放射される前記結晶化溶液の前方小角散乱光又は後方小角散乱光を所定の散乱角範囲で取り込み、平行前方小角散乱光又は平行後方小角散乱光に変換し、
変換された前記平行前方小角散乱光又は前記平行後方小角散乱光の前記所定の散乱角範囲の強度分布を一度に測定し、
測定された前記所定の散乱角範囲の強度分布から、前記結晶化溶液における前記タンパク質の凝集体形成を解析し、前記結晶化溶液において前記タンパク質が結晶化状態に移行するか否かを実時間で分析する
ことを特徴とする結晶化分析方法。

【請求項13】
前記前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光の強度は、それぞれ瞬時に検出された前記平行前方散乱光又は前記平行後方散乱光から得られる、前記前方小角散乱光の散乱角度に対する分布関数又は前記後方小角散乱光の散乱角に対する分布関数である
ことを特徴とする請求項12に記載の結晶化分析方法。

【請求項14】
前記前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光の強度は、それぞれ瞬時に検出された前記平行前方散乱光又は前記平行後方散乱光から得られる、前記前方小角散乱光の散乱角に対する平均値の分布関数又は前記後方小角散乱光の散乱角に対する平均値の分布関数である
ことを特徴とする請求項12に記載の結晶化分析方法。

【請求項15】
前記前方小角散乱光又は前記後方小角散乱光の時間的強度変化に基づいて、前記結晶化溶液における前記タンパク質の結晶化状態を分析する
ことを特徴とする請求項12に記載の結晶化分析方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2015198366thum.jpg


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close