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水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物

国内特許コード P160012905
整理番号 S2015-2108-N0
掲載日 2016年4月15日
出願番号 特願2015-187614
公開番号 特開2017-060426
出願日 平成27年9月25日(2015.9.25)
公開日 平成29年3月30日(2017.3.30)
発明者
  • 小川 敦史
  • 松橋 真由
  • 渡部 夏澄
  • 川崎 萌瑛
  • 豊福 恭子
出願人
  • 公立大学法人秋田県立大学
発明の名称 水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物
発明の概要 【課題】生育障害を起こさず鉄含有量を高める葉菜類を栽培可能とする水耕栽培方法を提供する。
【解決手段】
水耕栽培用の普通処方培養液により葉菜類を栽培する水耕栽培方法である。収穫前の特定期間だけ、エチレンジアミン四酢酸鉄キレートを含み、普通処方培養液よりも鉄含有量が多い高鉄含有培養液により葉菜類を栽培する。この高鉄含有培養液により葉菜類を栽培する期間は、1~4日である。また、高鉄含有培養液は、0.3mM~6.0mMの鉄を含有する。この水耕栽培方法により栽培された葉菜類は、普通処方培養液だけで培養する場合と比較して、2.0~15.0倍の鉄を含有する。また、高鉄含有培養液は、培養液濃縮組成物を溶媒により希釈して生成してもよい。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


従来から、鉄欠乏性貧血は、世界中で最も深刻な健康上の問題の一つである(非特許文献1参照)。
世界の40億人以上が鉄欠乏であり、そのうち約20億人が鉄欠乏性貧血であり、世界保健機構(WHO)によれば、鉄欠乏症が栄養障害のうち最大のものである(非特許文献2)。



WHOによると貧血は「単位容積の血液中に含まれているヘモグロビン量が基準値より減少した状態」と定義されている。鉄欠乏は、貧血を発症させ、重篤な鉄欠乏の妊婦においては低体重児の出生、小児では発達の遅延等を引き起こす。
鉄欠乏症は、食物からの鉄供給不足や腸管吸収機構の低下、鉄需要の充進、失血などに起因する(非特許文献2)。



非特許文献3によると、1日の鉄の必要量は成人男性で7mg、成人女性で10.5mg、妊娠後期で約21mgが推奨されている。日本においては、平成17年及び18年国民健康・栄養調査によれば、20~49歳女性のヘモグロビン濃度の25パーセンタイル値は約12g/dLである。WHOによる一般成人女性の貧血の基準であるヘモグロビン濃度(12g/dL未満)を適用すると、日本の成人女性の4人に1人は貧血状態にあるといえる。また、東京都での調査によると、1990年以降、中学校ならびに高校女子生徒の貧血有病率は増加傾向にある。さらに、ヘモグロビン濃度11g/dL未満で定義される妊娠貧血の女性の有病率は、一般女性の貧血有病率よりも高い。



非特許文献4によると、1人1日当たりの鉄摂取量は減少傾向にある。1975年で13.4mgであったのが、2001年は8.2mg、2010年は7.4mgまで減少し、男性、女性とも必要量を満たしていない。
鉄摂取不足の改善策として、鉄欠乏に対する意識づけをはかることの他、食品に鉄を添加する方法が提唱されている。したがって、機能性植物の一種として、鉄含有量が高い植物ができれば、これらの問題を解決するために有効な手段の一つとなり得ると考えられる。



一般に農産物の機能性を変化させる手法としては、交雑育種や遺伝子組み換え技術、及び栽培方法の改良による手法が挙げられる。交雑育種や遺伝子組み換え技術は機能性を変化させるまでには時間とコストがかかる。



鉄含有量の高いイネを育成する試みとして、植物への鉄の取り込みに関与するニコチアナミン合成酵素の遺伝子を過剰発現させた遺伝子組み換え植物を作成し、籾の鉄含有量が高いイネを作成した研究が報告されている(非特許文献5及び非特許文献6)。
しかし、非特許文献5や非特許文献6のように遺伝子組み換え作物については、安全性に対する不安から、消費者に受け入れられ難かった。



ここで、従来の栽培方法の改良による鉄含有量を高くする手法として、特許文献1、非特許文献7、及び非特許文献8を参照すると、鉄含有量の高い植物のもやし(スプラウト)の栽培方法が報告されている。
特許文献1では、栽培時にクエン酸鉄水溶液を散布し、スプラウトの生重量100g当たり、2.5~10mgの鉄を含有させることを可能にする。また、非特許文献7では、カイワレ大根種子を鉄の濃度が高い溶液に浸漬して栽培することで、鉄含有量の高いカイワレ大根の栽培を可能にしている。非特許文献8では、鉄貯蔵タンパク質であるフェリチン含有量の高いダイスを鉄の濃度が高い溶液を用いて栽培することで鉄含有量の高いダイズスプラウトの栽培を可能にしている。
このように種子からの栽培期間の短いスプラウト、加えて非特許文献8のようなダイズスプラウトのような場合は、鉄濃度の高い溶液での栽培によって、鉄濃度を高めたスプラウトの栽培が可能である。

産業上の利用分野


本発明は、水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物に係り、特に鉄分の含有量を高める水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
水耕栽培用の普通処方培養液により葉菜類を栽培し、
収穫前の特定期間だけ、前記普通処方培養液よりも鉄含有量が多い高鉄含有培養液により前記葉菜類を栽培する
ことを特徴とする水耕栽培方法。

【請求項2】
前記高鉄含有培養液により前記葉菜類を栽培する前記特定期間は、1~4日である
ことを特徴とする請求項1に記載の水耕栽培方法。

【請求項3】
前記高鉄含有培養液は、0.3mM~6.0mMの鉄を含有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水耕栽培方法。

【請求項4】
前記高鉄含有培養液は、pHが4.5~7.5である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。

【請求項5】
前記高鉄含有培養液は、エチレンジアミン四酢酸鉄キレートを含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。

【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水耕栽培方法により栽培され、
前記普通処方培養液だけで培養する場合と比較して、2.0~15.0倍の鉄が含有されている
ことを特徴とする葉菜類。

【請求項7】
葉菜類を栽培するための水耕栽培用の培養液であって、
0.3mM~6.0mMの鉄を含有する
ことを特徴とする培養液。

【請求項8】
溶媒による希釈により、葉菜類を栽培するための水耕栽培用の培養液となる培養液濃縮組成物であって、
希釈後の前記培養液が0.3mM~6.0mMの鉄を含有するよう調整された
ことを特徴とする培養液濃縮組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015187614thum.jpg


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