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水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物

国内特許コード P160012906
整理番号 S2015-2109-N0
掲載日 2016年4月15日
出願番号 特願2015-189881
公開番号 特開2017-063632
出願日 平成27年9月28日(2015.9.28)
公開日 平成29年4月6日(2017.4.6)
発明者
  • 小川 敦史
  • 工藤 育美
出願人
  • 公立大学法人秋田県立大学
発明の名称 水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物
発明の概要 【課題】従来よりも亜鉛含有量を高めた葉菜類を栽培するための水耕栽培方法を提供する。
【解決手段】
本発明の水耕栽培方法は、水耕栽培用の普通処方培養液により葉菜類を栽培する。この際、収穫前の特定期間だけ、普通処方培養液よりも亜鉛含有量が高い高亜鉛含有培養液で前記葉菜類を栽培する。この高亜鉛含有培養液は、硫酸亜鉛を溶解し、2ppm~10ppmに調整する。また、高亜鉛含有培養液により前記葉菜類を栽培する前記特定期間は、3~10日間である。また、この高亜鉛含有培養液は、2ppm~50ppmのグルタチオンを更に含有していてもよい。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


亜鉛は人の必須元素の一つであり、不足すると皮膚炎や味覚障害、慢性下痢、低アルブミン血症、汎血球減少、免疫機能障害などを引き起こす。または、生活習慣病である糖尿病のリスクが高まることが報告されている(非特許文献1参照)。
また、生体にて唯一の血糖降下作用を示すホルモンであるインスリンは、膵β細胞から分泌される。膵β細胞は生体内でもっとも高い亜鉛含有量を示すため、亜鉛と糖尿病の関係は以前から関心が集まっている(非特許文献2参照)。



ここで、近年の日本人を始めとするヒトの食生活の変化は、食物からの亜鉛の摂取量の低下をもたらしている。非特許文献3によると、日本における18歳以上の日本人成人の亜鉛摂取量は男性が7.9~8.9mg/日、女性が6.6~7.3mg/日であり、「日本人の食事摂取基準」の推定平均必要量である男性9~10mg/日、女性7~8mg/日を下回っている。このことは、日本人成人の半数以上は、亜鉛摂取不足のリスクが高く、推奨量(成人男性11~12mg/日、女性9mg/日)程度にまで亜鉛摂取量を増やすのが望ましい状態であることを意味している。
しかし、日本人の主な亜鉛供給源は、穀物、魚介類、肉類であり、カルシウムと同様に動物性食品への依存度が比較的高いため、通常の食生活において十分な亜鉛摂取を確保することは難しいと考えられる。したがって、日本において亜鉛は、公衆栄養的な意味で強化食品に存在意義がある数少ない栄養素と思われる。また、世界的に見ると約15億人が亜鉛欠乏状態にあると報告されている(非特許文献4参照)。



このような問題を解決するための手段としては、農作物の可食部分に蓄積する亜鉛の量を増やすことによって、十分な亜鉛の摂取量を確保することが考えられる。この技術が実用化されれば、現実的な野菜の摂取量で亜鉛の必要量を確保することが可能になり、亜鉛摂取量不足の問題の解決に繋げることが期待できる。



一般に農産物の機能性を変化させる手法としては、交雑育種や遺伝子組み換え技術、及び栽培方法の改良による手法が挙げられる。交雑育種や遺伝子組み換え技術は機能性を変化させるまでには時間とコストがかかる。



従来、亜鉛含有量の高いイネを育成する試みとして、植物への亜鉛の取り込みに関与するニコチアナミン合成酵素の遺伝子を過剰発現させた遺伝子組み換え植物を作成し、籾の亜鉛含有量が高いイネを作成した研究が報告されている(非特許文献5及び非特許文献6参照)。しかし、非特許文献5や非特許文献6のように遺伝子組み換え作物については、安全性に対する不安から消費者に受け入れられていないのが現状であった。



また、非特許文献7には、亜鉛含有量の高い植物のもやし(スプラウト)の栽培方法が報告されている。カイワレ大根種子を亜鉛の濃度が高い溶液に浸漬した後、栽培することで亜鉛含有量の高いカイワレ大根の栽培を可能にしている。このように種子からの栽培期間の短い場合は、亜鉛濃度の高い溶液への種子の浸漬よって亜鉛濃度の高いスプラウトの栽培が可能である。



一方で、亜鉛含有量の高い植物を栽培するために、種子からの栽培期間がスプラウトよりも長い野菜の栽培を亜鉛濃度が高い条件で植物を栽培すると、生育障害が起こることが明らかになっている。カラシナを硫酸亜鉛5mMと10mMを含む培地上で栽培した場合、生育の有意な抑制が引き起こされたことが報告されている(非特許文献8参照)。



一般に、葉菜類を水耕栽培する際には、栽培期間中に水耕液の電気伝導度(EC)を測定している。つまり、植物が養分を吸収することで電気伝導度が低下すると、養液成分を均一の割合で追加し、ECを維持する栽培方法が行われている。したがって、通常は、栽培期間中は均一の養液組成のもとで栽培される。このため、亜鉛濃度の高い水耕液の条件下で野菜の水耕栽培を行うと、生育障害が起こっていた。



ここで、特許文献1を参照すると、栽培方法の改良による手法として、アブラナ科植物の葉にチオール基を有する化学物質を与え、根圏の状況及び根の生理的な状態を変化させることにより、植物が吸収する亜鉛の量及び吸収された亜鉛の植物体の地上部への移行量を増加させる手法がある。特許文献1には、葉面に散布する溶液のpHを植物のアポスラストのpHと同等に保つための、pH緩衝能を持つMES-NaOH(pH=6.1)、溶液中の成分を葉に浸透させるための界面活性剤であるTritonX-100及びグルタチオン(還元型)の組成から成るグルタチオン溶液を、アブラナ科植物の葉表面に適量を適当回数、筆などの手段を用いて塗布、若しくは散布することによって葉に限定したグルタチオンの施用を行う手法が記載されている。
特許文献1の技術により、アブラナ科植物の葉に含まれる亜鉛含有量を増加させることができる。

産業上の利用分野


本発明は、水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物に係り、特に葉菜類の亜鉛の含有量を増加させる水耕栽培方法、葉菜類、培養液、及び培養液濃縮組成物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
水耕栽培用の普通処方培養液により葉菜類を栽培し、
収穫前の特定期間だけ、前記普通処方培養液よりも亜鉛含有量が高い高亜鉛含有培養液により前記葉菜類を栽培する
ことを特徴とする水耕栽培方法。

【請求項2】
前記高亜鉛含有培養液は、
2ppm~10ppmの亜鉛を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の水耕栽培方法。

【請求項3】
前記高亜鉛含有培養液により前記葉菜類を栽培する前記特定期間は、3~10日間である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水耕栽培方法。

【請求項4】
前記高亜鉛含有培養液は、
2ppm~50ppmのグルタチオンを更に含有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。

【請求項5】
前記高亜鉛含有培養液は、硫酸亜鉛を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。

【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水耕栽培方法により栽培された
ことを特徴とする葉菜類。

【請求項7】
葉菜類を栽培するための水耕栽培用の培養液であって、
2ppm~10ppmの亜鉛を含有する
ことを特徴とする培養液。

【請求項8】
2ppm~50ppmのグルタチオンを更に含有する
ことを特徴とする請求項7に記載の培養液。

【請求項9】
溶媒による希釈により、葉菜類を栽培するための水耕栽培用の培養液となる培養液濃縮組成物であって、
希釈後の前記培養液が
2ppm~10ppmの亜鉛を含有するよう調整された
ことを特徴とする培養液濃縮組成物。

【請求項10】
2ppm~50ppmのグルタチオンを更に含有するよう調整された
ことを特徴とする請求項9に記載の培養液濃縮組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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