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気体分離膜の設計方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P160012924
整理番号 FU548
掲載日 2016年4月19日
出願番号 特願2013-231961
公開番号 特開2015-093207
出願日 平成25年11月8日(2013.11.8)
公開日 平成27年5月18日(2015.5.18)
発明者
  • 玉井 良則
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 気体分離膜の設計方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】本発明は、規則正しい空孔構造を有する高分子材料に応力を印加することで、空孔構造を設計して気体から一部の気体分子を選択的に透過させることを可能とする気体分離膜の設計方法を提供することを目的とする。
【解決手段】高分子鎖に沿う軸方向に気体を透過する空孔が形成されたε型結晶からなるシンジオタクチックポリスチレンに対して軸方向と直交する方向から圧縮応力を印加することで、S-I型結晶に構造転移させる。S-I型結晶には、気体分子を収容可能に形成されるとともにジグザグ状に配置された多数の空隙と、空隙よりも狭く形成されるとともに隣接配置された空隙同士を順次連結する多数の連通路とを有する空孔が形成されて、気体の一部の気体分子が選択的に透過するように空孔を設計することができる。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要


高分子材料からなる膜は、特有の気体透過性を有しており、気体中から一部の気体分子を透過させて分離することができる。こうした膜による気体の分離技術は、必要なエネルギーが少なく、装置が小型化できるとともにメンテナンスが容易になるといった利点がある。



気体分離膜としては、酢酸セルロース、シリコンゴム、ポリスルホン、ポリアミドといった種々の高分子材料を素材としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、高分子材料からなる膜を二酸化炭素ガスの分離膜として用いた場合、実用化を図る上で「高い分離係数」及び「十分な透過量」という相反する性能を向上させる必要があり、従来の高分子材料からなる気体分離膜ではこうした性能を十分に備えることができなかった。



高分子材料は、様々な種類のものが様々な用途に開発されてきており、その性能に関する物性値は、実際に製造したものに対して材料試験を行うことで確認されていたが、近年、計算機を用いた分子シミュレーションによって高分子材料の物性値を予測する技術が提案されている。こうした予測技術を用いることで、高分子材料を実際に製造したり、材料試験を行うことなく、高分子材料の評価を行うことができるようになり、設計・製造のコストや時間を低減させることができる。そして、精度が向上した分子シミュレーションを用いて、所定の要求性能を満たすような高分子材料を発見する、あるいは高分子材料を設計することが試みられている。



分子シミュレーションとしては、分子動力学法(Molecular Dynamics Simulation)が提案されており、高分子材料を構成するすべての原子間に働く相互作用(力)を計算して、それらを網羅した運動方程式を解くことで、原子の運動を追跡することが可能となる。そのため、実際の高分子材料の分子構造が解明されている場合には、その分子構造に対応する運動方程式を作成して、原子レベルでの挙動を再現することができる。例えば、特許文献2では、ガス状有機汚染物質の除去を目的とする高性能の吸着材フィルタを製作するために、分子動力学解析法による有機分子の吸着材細孔内の吸着特性を求め、特定汚染物質に対して優れた吸着性を有する吸着材を設計する方法が記載されている。こうした分子動力学法を用いることで、選択された特定の汚染物質に対する吸着材の吸着特性をシミュレーションによって定量的に把握することが可能となり、煩雑な実験を行うことなしに特定の汚染物質に対する優れた吸着性能を有する吸着材を設計することができるようになっている。



気体分離膜は、高分子材料の内部構造に気体分子が選択的に透過する空孔構造が形成されており、こうした高分子材料の1つとして、シンジオタクチックポリスチレン(syndiotactic polystyrene;以下「s-PS」と略称する)が知られている。s-PSは、多様な結晶多形を示し、5種類の主な多形体(α、β、γ、δ及びε)が挙げられる。主鎖コンホメーションは、α型結晶及びβ型結晶ではTTTT(伸び切り鎖)であり、γ型結晶、δ型結晶及びε型結晶ではTTGG(ヘリックス)である。δ型結晶は溶媒との共結晶であり、溶媒を取り除くことで内部に分子サイズの空孔が形成されたδe型結晶になる。例えば、特許文献3には、シンジオタクチックポリスチレンがゲスト分子と形成するδ型結晶からなる構造物を、ゲスト化合物と置換して取り除く溶剤を含む溶媒、例えばケトンでゲスト分子を置換する工程と、置換した溶剤をゲスト分子により形成されたキャビティ構造を保持して抽出する溶剤、例えばメタノールにより抽出する工程との2段工程の溶剤処理をするゲスト化合物のキャビティ構造を有する高分子構造物を製造する方法が記載されている。また、特許文献4には、シンジオタクチックポリスチレン系重合体と可塑剤を混合し、重合体の結晶相内に可塑剤を導入後、可塑剤又は可塑剤とは異なる可塑剤に機能性の低分子を溶解させた溶液を混合し、重合体の結晶相内に機能性の低分子を導入する機能性高分子材料の製造方法が記載されている。

産業上の利用分野


本発明は、高分子材料からなる膜を用いて気体中の一部の気体分子を選択的に透過させる気体分離膜の設計方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
高分子材料からなる気体分離膜の設計方法であって、高分子鎖に沿う軸方向に気体を透過する空孔が形成された結晶構造を有する高分子材料に対して当該軸方向と直交する軸方向の圧縮応力を印加することにより結晶構造を転移させることで、気体の一部の気体分子が選択的に透過するように空孔を設計する気体分離膜の設計方法。

【請求項2】
前記高分子材料としてε型結晶からなるシンジオタクチックポリスチレンを用いて、S-I型結晶に構造転移させることで、気体中の二酸化炭素分子が選択的に透過するように空孔を設計する請求項1に記載の気体分離膜の設計方法。

【請求項3】
設計される前記空孔は、前記気体分子を収容可能に形成されるとともにジグザグ状に配置された多数の空隙と、前記空隙よりも狭く形成されるとともに隣接配置された前記空隙同士を順次連結する多数の連通路とを有している請求項1又は2に記載の気体分離膜の設計方法。

【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の設計方法により設計された気体分離膜。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013231961thum.jpg
出願権利状態 公開
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