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妊娠期母体腸内細菌攪乱による行動異常モデル動物の作製方法とその用途 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P160012942
整理番号 FU609
掲載日 2016年4月19日
出願番号 特願2015-017613
公開番号 特開2016-140290
出願日 平成27年1月30日(2015.1.30)
公開日 平成28年8月8日(2016.8.8)
発明者
  • 栃谷 史郎
  • 松崎 秀夫
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 妊娠期母体腸内細菌攪乱による行動異常モデル動物の作製方法とその用途 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】妊娠期の異常な母体環境に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患を予防または治療する技術の開発に寄与する行動異常モデル動物とその作製方法、ならびにそれらの用途を提供する。
【解決手段】(a)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、(b)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、および、(c)新生仔を出産させる工程を含む、行動異常モデル動物の作製方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


腸内細菌叢の状態が宿主の行動、即ち中枢神経系の機能に影響することや、腸内細菌叢の異常が様々な疾患の原因となる可能性が知られている。例えば、SPF(Specific Pathogen Free)環境下で飼育されたマウス(成体オス)に非吸収性抗生物質(ネオマイシン、バシトラシン、ピマリシン)を飲水投与することにより腸内細菌叢の構成を攪乱したところ、探索行動の増加と、器質的変化として海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現の増加が観察されたことが報告されている(非特許文献1)。また、無菌マウスとSPFマウスに拘束ストレスを与えた時、無菌マウスでは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)やコルチコステロンの上昇がSPFマウスと比べて顕著であり、腸内細菌叢の有無により同じストレスに対しての反応が異なることが示されている(非特許文献2)。更に、ヒト遅発性自閉症へのバンコマイシン(非吸収性抗生物質)の経口投与が症状を短期間であるが軽減すること(非特許文献3)や、自閉症(ASD)などのモデルとして用いられるMIA(maternal immune activation)マウスから生まれた仔マウスにおいて、ヒトの正常腸内細菌叢の構成菌の一つであるBacteroides fragilisの経口投与が血清中の代謝マーカーを正常に近付け、ASDの核となる行動症状を改善したこと(非特許文献4)が報告されている。これらの結果は、腸内細菌叢の状態が、新奇環境における探索行動や多動傾向、ストレス反応や不安傾向、および自閉症などにおける社会的行動異常と関連していることを示唆している。



しかしながら、妊娠期母体の腸内細菌叢の攪乱と子の精神神経発達異常や行動異常とを関連付ける報告はこれまでない。また、妊娠期母体の腸内細菌叢の攪乱が原因となる子の精神神経発達異常や行動異常を予防または治療する技術、またその技術開発に有用な実験動物モデルは未だ存在しない。

産業上の利用分野


本発明は、概しては、行動異常モデル動物の作製方法とその用途に関し、より詳細には、妊娠した母親動物を用いてその仔動物として行動異常モデル動物を作製する方法、当該方法を応用して妊娠期間中の母親動物が摂取することにより産まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質をスクリーニングする方法、当該モデル動物を用いて神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質をスクリーニングする方法、等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
非ヒト哺乳動物を用いる行動異常モデル動物の作製方法であって、
(a)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(b)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、および、
(c)新生仔を出産させる工程
を含み、該仔動物が行動異常モデル動物となる、前記方法。

【請求項2】
更に、
(d)前記の仔動物において行動異常を調べる工程
を含む、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記抗菌薬が、非吸収性抗菌薬である、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
前記抗菌薬が、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンからなる群から選択される少なくとも1つの抗生剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記工程(b)において、前記抗菌薬が前記胎児の神経発生発達期に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記工程(b)において、前記抗菌薬が飲水投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
前記非ヒト哺乳動物がマウスまたはラットである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法により得られる、行動異常モデル非ヒト哺乳動物。

【請求項9】
前記行動異常が、神経発達障害または精神疾患に関連するものである、請求項8に記載の動物。

【請求項10】
妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(ii)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、
(iii)前記抗菌薬の投与期の前、間または後に、該動物に被験物質を投与する工程、
(iv)新生仔を出産させる工程、
(v)該仔動物において行動異常を調べる工程、および、
(vi)妊娠した動物に該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。

【請求項11】
前記抗菌薬が、非吸収性抗菌薬である、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
前記抗菌薬が、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンからなる群から選択される少なくとも1つの抗生剤を含む、請求項10または11に記載の方法。

【請求項13】
前記工程(ii)において、前記抗菌薬が前記胎児の神経発生発達期に投与される、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。

【請求項14】
前記工程(ii)において、前記抗菌薬が飲水投与される、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。

【請求項15】
前記非ヒト哺乳動物がマウスまたはラットである、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。

【請求項16】
前記被験物質がプロバイオティクスまたはプレバイオティクスである、請求項10~15のいずれか1項に記載の方法。

【請求項17】
神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)請求項8または9に記載の行動異常モデル非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(ii)該動物に被験物質を投与する工程、
(iii)該動物において行動異常を調べる工程、および、
(iv)該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。

【請求項18】
前記被験物質がプレバイオティクスまたはプロバイオティクスである、請求項17に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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