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コンポジット型可溶化ナノリポソーム及びその製造方法 コモンズ

国内特許コード P160012945
整理番号 FU617
掲載日 2016年4月19日
出願番号 特願2015-044176
公開番号 特開2016-163851
出願日 平成27年3月6日(2015.3.6)
公開日 平成28年9月8日(2016.9.8)
発明者
  • 鬼頭 清司
  • 中根 幸治
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 コンポジット型可溶化ナノリポソーム及びその製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】安全性や安定性の高い、平均粒子径が18~25nmのリポソームを提供し、さらには当該リポソームの容易かつ簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】第1工程で、リン脂質の可溶化ナノベシクルエマルション(A)を調製し、第2工程で油溶性成分の可溶化ナノエマルション(B)を調製し、第3工程で(A)と(B)を混合して均質化する工程を含む製造方法による。本発明のコンポジット型可溶化ナノリポソームの製造方法は、有機溶媒を使用する必要がなく、特別な乳化装置や整粒装置も要さず、コスト的・工業的に優れた汎用的な製造技術方法である。特に有機溶媒を使用しない点から、安全性に優れたリポソームということができる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


リポソームは、内水相に親水性物質また二分子膜内部には疎水性成分を封入することができる脂質二分子膜の閉鎖小胞体である。そのため、医薬分野では特にDDSの薬物運搬体として治療薬、診断薬などに注目されている。その他化粧品ではナノカプセル、食品では酵素、抗酸化剤、香料等を封入して利用されている。



従来、リポソームの製造方法としては、(1) Bangham法、(2) 超音波処理法、(3) 有機抽出法、(4) 界面活性剤除去法、(5) 凍結融解法、及び(6) 逆相蒸発法等が知られている。(1) Bangham法は、容器内でリン脂質をクロロホルムに溶解し、次いでクロロホルムを蒸発させ容器内面上に脂質薄膜を作成した後、容器内に水を加えて水和し、さらに容器を震蕩させてMLV(multilamellar vesicle)形状のリポソームを得る方法である。(2) 超音波処理法は、Bangham法で作製したMLV 形状のリポソームに超音波処理を施すことで、SUV(small unilamellar vesicle)形状のリポソームを得る方法である。(3) 有機溶媒抽出法は、有機溶媒に溶かしたリン脂質を水溶液に注入して、SUV又はLUV(large unilamellar vesicle)形状のリポソームを得る方法である。(4) 界面活性剤除去方法は、容器内でリン脂質をクロロホルムに溶解し、次いでクロロホルムを蒸発させて容器面上に脂質薄膜を形成した後、界面活性剤を含む水を加えて膨潤させ、さらに容器を激しく震蕩してミセルを形成した後、界面活性剤を透析して除去する方法である。(5) 凍結融解法は、有機溶媒に溶解したリン脂質薄膜を水に溶解分散後激しく震蕩し、その後リン脂質薄膜を液体窒素で凍結し、室温放置して解凍してLUV形状のリポソームを得る方法である。(6) 逆相蒸発法は、有機溶媒にリン脂質膜を溶解し、次いでそのリン脂質薄膜を水に溶解後激しく震蕩した後、有機溶媒を減圧除去して、LUV形状のリポソームを得る方法である。またこれらの製造工程後のリポソームは、粒子径を小さく均一化するため、特別な乳化装置(例えばマイクロフルイダイザー・薄膜旋回高速ホモミキサー)や整粒装置(例えばエクストルーダー(extruder))も必要とされ、コスト的・工業的に優れた汎用的な製造技術方法は提案されていない。



また上述した(1)~(6)の製造方法は、いずれも製造工程でリン脂質をクロロホルムやヘキサンなどの非水溶性有機溶媒に溶解しているため、リポソーム調製後に非水溶性溶媒を除去する工程が必要である。また非水溶性有機溶剤を完全に除去することが困難である。これら非水溶性有機溶媒の除去や粒子径を整粒するのに必要とされる、加熱・減圧又は加圧工程等は、リポソーム膜の劣化や破壊要因であり、経時安定性にも悪影響となり、凝集・沈殿の要因となる上、製造工程が煩雑であり乳化分散工程も含め価格上昇につながるという問題もある。



炭化水素有機溶媒を使用する製造方法は、特許文献1(特開2010-248171号公報)及び2(特開2013-22482号公報)に開示されている。リン脂質成分を揮発性の炭化系水素有機溶媒に溶解又は分散した油相液と、内包対象薬剤を水溶性溶媒に溶解して得られる水溶液とを混合乳化してW/Oエマルションを調製する一次乳化工程と、上記工程で得られたW/Oエマルションと非結晶性の脂質成分を添加した水相液とを混合乳化してW/O/Wエマルションを調製する二次乳化工程を含む。またこのW/O/Wエマルションから炭化系水素有機溶媒を除去したリポソーム分散液を調製する溶媒除去工程、及びさらに上記リポソーム分散液より非結晶性の脂質成分を添加した水相液を除去し、水相液を添加してリポソーム製剤を調製する水相置換工程を含み、平均粒子径が50 nm以上200 nm以下の単胞リポソームを製造する方法である(特許請求の範囲)。



これに対し、有機溶媒を使用しないリポソームの製造方法が特許文献3(特開昭60-7934号公報)及び4(特開2000-290170号公報)に開示されている。特許文献3に開示の方法は、リポソーム膜成分物質を水溶液と膜成分物質の相転移温度(Tc)以上にて練合して水和させ、次に必要量の水溶液を加えてTc以上で攪拌する方法である(特許請求の範囲)。特許文献4には、リン脂質と非糖ミセル系界面活性剤、さらに糖ミセル系界面活性剤を含有するリポソームであることを特徴とする癌治療用ハイブリッド型リポソーム製剤(請求項1)が開示される。さらに、特許文献5(特開2006-298839号公報)に開示の方法は、リポソーム膜構成成分として40~70℃に融点を持つPEG-リン脂質を用い、特定の第1~第4工程によってリポソーム含有製剤を製造する方法である(請求項10)。しかしながら、特許文献3~5に開示する製造方法では、経時安定性に問題があり、さらに平均粒子径が25 nm以下の可溶化リポソームを得ることが難しい。また特許文献1及び2に開示する方法では脂質溶解剤として用いた非水溶性炭化水素系有機溶媒の減圧除去による残留溶剤も考えられ、安定性や安全性が高い平均粒子径が25 nm以下の可溶化リポソームを得ることが出来ないという問題がある。

産業上の利用分野


本発明は、耐熱安定性や長期保存安定の高いコンポジット型可溶化ナノリポソーム及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程を含む、コンポジット型可溶化ナノリポソームの製造方法:
(1)リン脂質及び非イオン界面活性剤を含むO/W型可溶化ナノベシクルエマルション(A)を調製する工程;
(2)油溶性成分及び非イオン界面活性剤を含むO/W型可溶化ナノエマルション(B)を調製する工程;
(3)前記O/W型可溶化ナノベシクルエマルション(A)及びO/W型可溶化ナノエマルション(B)を混合して均質化し、混合可溶化ナノエマルションを調製する工程;
(4)前記工程(3)で得られた混合可溶化ナノエマルションを曇点以上に加熱して加熱乳化する工程。

【請求項2】
前記工程(1)が、相転移温度0~75℃のリン脂質を、非イオン界面活性剤を含む溶液に溶解均一混合し、転相温度乳化法で乳化分散する工程である、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
前記工程(1)のリン脂質が、アシル基の炭素数が12~22であるホスファチジルコリンであるリン脂質である、請求項1又は2に記載の製造方法。

【請求項4】
前記工程(1)に記載のO/W型可溶化ナノベシクルエマルション(A)において、リン脂質を0.5~5質量 %含む、請求項1~3のいずれか1に記載の製造方法。

【請求項5】
前記工程(1)において、等張化剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1に記載の製造方法。

【請求項6】
前記工程(1)において、エタノールをさらに含む、請求項1~5のいずれか1に記載の製造方法。

【請求項7】
前記工程(2)が、油溶性成分を非イオン界面活性剤に溶解均一混合し、転相温度乳化法で乳化分散する工程からなる、請求項1~6のいずれか1に記載の製造方法。

【請求項8】
前記工程(2)の油溶性成分が、少なくともコレステロールを含む、請求項1~7のいずれか1に記載の製造方法。

【請求項9】
前記工程(1)及び(2)で使用する非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル若しくはそのイソ体、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルであって、その親和性(HLB値)が10.7~18.0の界面活性剤から選択されるいずれか1種又は複数種の非イオン界面活性剤を、各々独立して又は共通して含む、請求項1~8のいずれか1に記載の製造方法。

【請求項10】
請求項1~9のいずれか1に記載の製造方法により製造されたコンポジット型可溶化ナノリポソーム。

【請求項11】
リポソームの粒子径分布が10~80 nmである、請求項10に記載のコンポジット型可溶化ナノリポソーム。

【請求項12】
平均粒子径が18~25 nmのリポソームであって、内水相に親水性物質を含み、二分子膜内部には油溶性成分が封入されてなるコンポジット型可溶化ナノリポソーム。

【請求項13】
コンポジット型可溶化ナノリポソームが、リン脂質、油溶性成分及び非イオン界面活性剤を少なくとも含み、重量比でリン脂質を1とした場合に、油溶性成分が、0.01~0.6 %含まれている、請求項10~12ずれか1に記載のコンポジット型可溶化ナノリポソーム。

【請求項14】
コンポジット型可溶化ナノリポソームが、リン脂質、油溶性成分及び非イオン界面活性剤を少なくとも含み、各構成成分の重量比が、リン脂質:油溶性成分:非イオン界面活性剤とした場合に、2:0.02~1.2:0.78~4.0である、請求項13に記載のコンポジット型可溶化ナノリポソーム。

【請求項15】
前記リポソームに含有される油溶性成分が、少なくともコレステロールを含み、さらに機能性付与油溶性成分を含む、請求項13又は14に記載のコンポジット型可溶化ナノリポソーム。

【請求項16】
請求項10~15のいずれかに記載のコンポジット型可溶化ナノリポソームを含む、可溶化リポソームエマルション。

【請求項17】
前記可溶化リポソームエマルションに含まれるリポソームの粒子径分布が10~80 nmである、請求項16に記載の可溶化リポソームエマルション。

【請求項18】
前記可溶化リポソームエマルションに含まれるリポソームの粒子径ピーク分布が、1ピークからなる、請求項16又は17に記載の可溶化リポソームエマルション。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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