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自閉スペクトラム症診断補助のための医療用画像処理方法及び医療用画像処理システム並びにバイオマーカー コモンズ

国内特許コード P160012949
整理番号 FU623
掲載日 2016年4月19日
出願番号 特願2015-132440
公開番号 特開2017-012480
出願日 平成27年7月1日(2015.7.1)
公開日 平成29年1月19日(2017.1.19)
発明者
  • 小坂 浩隆
  • 丁 ミンヨン
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 自閉スペクトラム症診断補助のための医療用画像処理方法及び医療用画像処理システム並びにバイオマーカー コモンズ
発明の概要 【課題】短時間かつ客観的に自閉スペクトラム症(ASD)の診断補助のための医療用画像処理方法及び画像処理システムを提供するし、更には自閉スペクトラム症の診断補助のためのバイオマーカーを提供する。
【解決手段】脳内の複数箇所の関心領域(ROI)について、少なくとも4箇所以上の領域における脳活動を示す信号を定型発達者の信号と比較することで、客観的かつ簡便に自閉スペクトラム症を判別可能となる。被験者より得られるROI 1(右紡錘状回)、ROI 2(左舌状回)、ROI 3(右舌状回)、ROI 4(中部帯状回)、ROI 5(右舌状回)、ROI 6(左下前頭回)、ROI 7(左後部帯状回)から選択される少なくとも4箇所に含まれる関心領域(ROI)から取得される信号(A)と、定型発達者について前記と同じ各ROIについて予め取得された脳活動を示す信号(B)を比較分析することによる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


自閉スペクトラム症(Autistic Spectrum Disorde:ASD)とは、自閉性障害、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害等の各疾患を連続体の要素として捉えたものである。自閉スペクトラム症の診断基準は、米国精神医学会による「精神障害の診断と統計の手引き-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-5:DSM-5)」に示され、世界保健機関(WHO)の作成した国際疾病分類第10版(ICD-10)では、自閉症、小児自閉症、アスペルガー症候群、他の広汎性発達障害など分類されている。主な特徴は、対人相互反応の質的な障害、意思伝達の著しい異常又はその発達の障害、活動と興味の範囲の著しい限局性等が挙げられる。自閉スペクトラム症は1%以上の高い有病率といわれているが、各診療医が臨床経験をもとに、上記の基準に基づいて診断を行うのが現状である。臨床現場に利用可能な明確なバイオマーカーが存在せず、脳内ネットワークについても明確に解明されていない。客観的かつ簡便に自閉スペクトラム症を判別可能なツールが求められている。



脳機能画像法の1つであるfMRI(functional magnetic resonance imaging)は、感覚刺激や認知課題遂行による脳活動と安静時や対照課題遂行による脳活動の違いを検出して、脳全体もしくは関心のある脳領域(Region-of-interest:ROI)での課題遂行機能の構成要素に対応する脳賦活を探求することに用いられてきた。一方で、複数の脳領域(ROI)間において課題などの違いによる活動の相関関係の変化をみることにより、それら脳領域間の機能的結合(functional connectivity)が評価されてきた。通常、安静時にも脳は活動を休止しているわけではなく、安静時のBOLD(blood oxygenation level-dependent)信号の低周波性(0.1Hz以下)の揺らぎ成分に着目すると、両側運動野の信号に時間的相関関係があることを1995年Biswalらが示し、安静時の信号にも自発的脳活動に由来する機能的結合の情報が含まれていることが示唆された。安静時のfMRI(functional magnetic resonance imaging)によるBOLD(Blood Oxygenation Level Dependent)の評価はrs-fMRI(resting state functional MRI)ともいう。



近年技術的に進歩の著しいMRIを用いた脳画像研究が行なわれ、自閉スペクトラム症に関連した脳の機能的・形態的異常が報告されている。fMRIはMRIを用い、ヒト及び動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する脳機能を画像でとらえる方法の一つである。近年のニューロイメージングの中でも最も発達した手法の一つであり、コンピュータ技術の飛躍的な進歩と共に画像解析方法も発展しつつある。そして自閉スペクトラム症の臨床像の背景をなす脳基盤についても徐々に明らかにされつつある。例えば、fMRIによる1箇所又は複数箇所の脳領域から自閉症を判定する方法(特許文献1:米国出願US2012/0143041号公報)や、複数の脳内所定領域の信号を安静時fMRI(rs-fMRI)で時系列に検出して、脳領域間の結合状態から自閉症の診断を行う方法(特許文献2:特許第5641531号公報)などが開示されている。また、自閉症診断への新しいアプローチとして、fMRIによる脳画像診断の可能性が記載されている(非特許文献1:Dana Davies-Shaw, Proc. of SPIE Vol.6863 68630A-1)。しかしながら、rs-fMRIは解析に時間を要し、数字では判断しにくいという問題点があり、また患者間の比較が困難であるとの問題もある。rs-fMRIの結果を基に低周波数振幅変動量(fALFF:fractional amplitude of low-frequency fluctuation)を解析したものについて報告がある(非特許文献2:J Neurosci Methods 2008, 172:137-41、非特許文献3:Hum Brain Mapp 2014, 35:627-637)。rs-fMRIの結果について、自閉スペクトラム症診断補助のため、臨床現場で応用可能な解析方法が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、自閉スペクトラム症診断補助のための医療用画像処理方法及び医療用画像処理システムに関し、自閉スペクトラム症診断補助のためのバイオマーカーに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも以下の1)~3)の工程を含む、自閉スペクトラム症診断補助のための医療用画像処理方法:
1)安静時fMRI(rs-fMRI)で得た被験者の脳画像について、脳内の複数箇所の関心領域(ROI)について、各々の脳活動を示す信号(A)を検知する工程;
2)前記検知された脳活動を示す信号(A)と、定型発達者について前記と同じ各ROIについて予め取得された脳活動を示す信号(B)と比較分析する工程;
3)各々のROIにおける信号(A)と信号(B)の比較分析結果より、自閉スペクトラム症診断支援情報の出力工程。

【請求項2】
脳活動を示す信号(A)が、安静時fMRI(rs-fMRI)撮影中の移動された頭の回転と平行移動を計算し、回転と移動の距離を基に脳画像の位置を補正する工程を経て得られた信号(A)である、請求項1に記載の医療用画像処理方法。

【請求項3】
脳活動を示す信号(A)が、安静時fMRI(rs-fMRI)で出力された一番上のスライスと一番下のスライスの撮影時間の差を計算し、時間の差による脳画像の位置を補正する工程を経て得られた信号(A)である、請求項1又は2に記載の医療用画像処理方法。

【請求項4】
前記複数箇所のROI 1(右紡錘状回)、ROI 2(左舌状回)、ROI 3(右舌状回)、ROI 4(中部帯状回)、ROI 5(右舌状回)、ROI 6(左下前頭回)、ROI 7(左後部帯状回)から選択される少なくとも4箇所に含まれる関心領域(ROI)である、請求項1~3のいずれかに記載の医療用画像処理方法。

【請求項5】
脳活動を示す信号が、rs-fMRIで得た被験者の脳賦活の高度と幅の変動量を計算して得られる値である、請求項1~4のいずれかに記載の医療用画像処理方法。

【請求項6】
脳活動を示す信号が、rs-fMRIで得た被験者の脳画像から算出された低周波振幅変動量(fALFF)のZ値である、請求項5に記載の医療用画像処理方法。

【請求項7】
前記各々の脳領域における信号(A)と信号(B)の比較分析結果より、fALFFのZ値について、関心領域(ROI)がROI 4(中部帯状回)及びROI 7(左後部帯状回)の場合は各々(A値)>(B値)であり、関心領域(ROI)がROI 1(右紡錘状回)、ROI 2(左舌状回)、ROI 3(右舌状回)、ROI 5(右舌状回)及びROI 6(左下前頭回)の場合は各々(B値)>(A値)の値を示す場合に、自閉スペクトラム症の危険性が高いとする診断支援情報を出力する、請求項1~6のいずれかに記載の医療用画像処理方法。

【請求項8】
少なくとも以下の1)~3)の工程を含む、自閉スペクトラム症診断補助のための医療用画像処理方法:
1)安静時fMRI(rs-fMRI)で得た被験者の脳画像について、脳内の複数箇所の関心領域(ROI)について、各々の脳活動を示す信号(A)を、経時的に検知する工程;
2)前記経時的に検知して得られた信号(A)の変動の違いを出力する工程;
3)前記信号(A)の変動の違いから、自閉スペクトラム症の症状改善度の判断補助のためのデータを出力する工程。

【請求項9】
前記複数箇所のROIが、ROI 8(左島回)、ROI 9(左側頭極)、ROI 10(右補足運動野)、ROI 11(左補足運動野)、ROI 12(左中心前回)、ROI 13(右島回)に含まれる関心領域(ROI)である、請求項8に記載の医療用画像処理方法。

【請求項10】
rs-fMRIで得た被験者の脳画像の入力部位(a)、当該入力された脳画像から、脳内の特定のROIについて脳活動を示す信号(A)を検知する部位(b)、当該信号(A)と、当該特定のROIについて予め作成された定型発達者の脳活動を示す信号(B)と比較分析する部位(c)及び当該特定のROIにおける信号(A)と信号(B)の比較分析結果の出力部位(d)を少なくとも備えてなる、自閉スペクトラム症診断補助のための医療用画像処理システム。

【請求項11】
ROI 1(右紡錘状回)、ROI 2(左舌状回)、ROI 3(右舌状回)、ROI 4(中部帯状回)、ROI 5(右舌状回)、ROI 6(左下前頭回)、ROI 7(左後部帯状回)から選択される少なくとも4箇所に含まれる関心領域(ROI)より得られる脳活動を示す信号(A)からなる自閉スペクトラム症診断補助のためのバイオマーカー。
国際特許分類(IPC)
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