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自閉スペクトラム症への治療効果予測のための検査方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P160012950
整理番号 FU624
掲載日 2016年4月19日
出願番号 特願2015-099500
公開番号 特開2016-214092
出願日 平成27年5月14日(2015.5.14)
公開日 平成28年12月22日(2016.12.22)
発明者
  • 小坂 浩隆
  • 岡本 悠子
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 自閉スペクトラム症への治療効果予測のための検査方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】自閉スペクトラム症に対する薬剤の治療効果を治療開始前に予測する方法を提供する。
【解決手段】被験者のrs2268490のアリルプロファイルを確認することによる。具体的には、1)被験者から取得した検体から核酸を抽出する工程;及び2)抽出した核酸について、rs2268490のアリルプロファイルを確認する工程による。rs2268490のアリルプロファイルにシトシン(C)を含まないことで、自閉スペクトラム症における薬剤投与、具体的にはオキシトシン(OXT)投与による治療効果を予測することができ、治療開始前に有効で安全な治療方針を提供することができる。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


自閉スペクトラム症(Autistic Spectrum Disorder:ASD)とは、自閉性障害、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害等の各疾患を連続体の要素として捉えたものである。自閉スペクトラム症の診断基準は、米国精神医学会による「精神障害の診断と統計の手引き-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-5:DSM-5)」に示され、世界保健機関(WHO)の作成した国際疾病分類第10版(ICD-10)では、自閉症、小児自閉症、アスペルガー症候群、他の広汎性発達障害など分類されている。主な特徴は、対人相互反応の質的な障害、意思伝達の著しい異常又はその発達の障害、活動と興味の範囲の著しい限局性等が挙げられる。自閉スペクトラム症は1%以上の高い有病率といわれている。現在、自閉スペクトラム症の常同行動などの精神症状に対しては一部の抗精神病薬が用いられることがあるが、自閉スペクトラム症の中核症状である社会性の障害に対しての治療薬は存在していない。



オキシトシン(Oxytocin:OXT)は視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンで、脳の視床下部で合成され、下垂体後葉から血中に分泌されて子宮収縮や射乳などの末梢作用を惹起する。また、オキシトシンは親和行動、社会的行動、感情状態、認知機能の調節など中枢神経系への作用も有する。近年、 自閉スペクトラム症に対し、オキシトシンを経鼻的に投与して治療する試みが臨床的に行われている。しかしながら、オキシトシンを投与した自閉スペクトラム症について、すべての患者に対して治療効果が認められるとは限らない。



そこで、自閉スペクトラム症に対するオキシトキシンの治療効果を治療開始前に予測する方法の開発が望まれている。近年、病態を解明し、新たな治療法を開発していく上で疾患や薬物反応性などの表現型に関連する遺伝子を網羅的に探すゲノムワイド関連解析(GWAS)という手法が試みられている。自閉スペクトラム症患者に統計学的に有意に高頻度で存在するSNPとしてrs35062132に着目した方法が開示されている(特許文献1)。ここでは、被験者から取得した検体中のrs35062132がメジャーかマイナーであるかを決定することを特徴とする、自閉スペクトラム症へのオキシトシン投与の治療効果予測のための検査方法について述べられている。しかしながら、効果の確認はin vitroにおいてオキシトシンによる細胞内カルシウム濃度の上昇を確認しているのみであって、実際に自閉スペクトラム症にオキシトキシンを投与して効果を確認したものではない。別報告では、ヒトオキシトシン受容体のアミノ酸多型と自閉スペクトラム症の関係について報告がある(非特許文献1)。ここでは、自閉スペクトラム症に頻度が高いオキシトシン受容体遺伝子のSNP(rs35062132,c.1126C>G, p.Arg376Gly)を見出したことが開示されている。アミノ酸置換した受容体を培養細胞に発現させたところ、オキシトシン刺激後の受容体内在化とリサイクリングが通常型受容体に比して速くなり、同時に細胞内カルシウム濃度上昇の減弱も観察されたことが開示されている。これらの結果から、オキシトシン受容体のアミノ酸多型による細胞応答の差異が自閉スペクトラム症発症に関与する可能性が示されている。



SNP(rs2268490)が自閉スペクトラム症と関連することを記載した報告がある(非特許文献2:Israel, S., et al.: PLoS ONE 4(5): e5535.doi:10.1371/journal.pone.0005535)。非特許文献2の記載は、非特許文献3(Molecular Psychiatry, 13, 980-988, 2008)を引用したものであり、非特許文献3ではrs2268490がVineland Adaptive Behavior Scales(Vineland 適応行動尺度;発達障害、知的障害、精神障害における適応行動を客観的に数値化したもの)のコミュニケーション(受容言語、表出言語、読み書き)とは有意に関連するが、自閉スペクトラム症とは有意に関連しないことが報告されている(Table 1)。即ち、rs2268490がオキシトキシンの治療効果に関連することは、非特許文献2及び3には示されていない。

産業上の利用分野


本発明は、自閉スペクトラム症に対する薬剤投与の治療効果を治療開始前に予測する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被験者から取得した検体について、rs2268490のアリルプロファイルを決定することを特徴とする、薬剤投与による自閉スペクトラム症への治療効果予測のための検査方法。

【請求項2】
薬剤が、オキシトキシンを有効成分とする薬剤である、請求項1に記載の検査方法。

【請求項3】
以下の1)及び2)の工程を含む、請求項1又は2に記載の検査方法:
1)被験者から取得した検体から核酸を抽出する工程;
2)抽出した核酸について、rs2268490のアリルプロファイルを決定する工程。

【請求項4】
rs2268490のアリルプロファイルの決定が、検体から抽出した核酸のうち、rs2268490を含む核酸断片にハイブリダイズするプローブを用いることによる、請求項1~3のいずれかに記載の検査方法。

【請求項5】
rs2268490のアリルプロファイルが、C-アリル(C/C又はC/T)又はノンC(T/T)である、請求項1~4のいずれかに記載の検査方法。

【請求項6】
自閉スペクトラム症への薬剤投与による治療効果の予測のためのプローブ及び/又はプライマーの組み合わせであって、rs2268490のアリルプロファイルを確認するためのプローブ及び/又はプライマーの組み合わせ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015099500thum.jpg
出願権利状態 公開
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