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炭化水素系基質の水酸化のための材料及びその利用 UPDATE コモンズ

国内特許コード P160013000
整理番号 NU-632
掲載日 2016年5月30日
出願番号 特願2015-201431
公開番号 特開2017-071589
出願日 平成27年10月9日(2015.10.9)
公開日 平成29年4月13日(2017.4.13)
発明者
  • 荘司 長三
  • 渡辺 芳人
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 炭化水素系基質の水酸化のための材料及びその利用 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】炭化水素系基質の水酸化のための材料としてより実用的なデコイ分子の提供。
【解決手段】シトクロムP450モノオキシゲナーゼで炭化水素系基質を水酸化するための式(1)で表されるデコイ分子を、前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼの基質結合部位に結合可能な末端構造である第1の部位と、フッ素化されていないアルキル鎖である第2の部位と、前記末端構造と前記アルキル鎖とを連結する、ペプチド結合を含むリンカーと、を備えるデコイ分子。



(Aは第1の部位;Bは第2の部位;RはH、アルキル基、チオアルキル基、アルキケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基又はアラルキル基;nは1以上の整数;好ましくは前記Rはロイシン、メチオニン、フェニルアラニン又はトリプトファン)
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


細菌由来の酵素であるシトクロムP450は、真核生物由来のシトクロムP450に比べて高い触媒活性を持つことが知られている。細菌由来のシトクロムP450として、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のシトクロムP450camや、バチルス属菌細菌の一種であるBacillus megaterium由来のシトクロムP450BM3等の、シトクロムP450モノオキシゲナーゼが知られている。



これらの細菌由来のシトクロムP450は、脂肪酸等の基質を水酸化する高い触媒活性を備えている。また、水に対する親和性が比較的高いため、取得及び取扱が容易である。
こうした理由から、シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、バイオ触媒として適していると考えられる。



こうした野生型のシトクロムは、工業的に有用な炭化水素系基質を水酸化するのにあたっては必ずしも触媒活性が高いわけでない。このため、種々の変異型シトクロムP450が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。



一方、本発明者らは、高い触媒活性を呈しない炭化水素に対してシトクロムP450を誤作動させるように擬似基質(ダミー分子又はデコイ分子)を取り込ませることで、水酸化反応を高効率で触媒することを既に報告している(特許文献4)。デコイ分子は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼの結合部位に結合可能な末端構造と、アルキル鎖、とを備えており、アルキル鎖に含まれる少なくとも1つの分子がフッ素で置換されていることを特徴としている。



ここで、アルキル鎖の水素分子をフッ素で置換したものをデコイ分子として用いるのは、フッ素原子半径が水素に近いため、基質の水素をフッ素で置換したフッ素化物が本来の基質に類似すると同時に、シトクロムP450はC-H結合を水酸化できないため、それ自身は基質とならないからである。

産業上の利用分野


本明細書は、炭化水素系基質を水酸化するための材料及びその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼで炭化水素系基質を水酸化するためのデコイ分子であって、
前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼの基質結合部位に結合可能な末端構造である第1の部位と、
フッ素化されていないアルキル鎖である第2の部位と、
前記末端構造と前記アルキル鎖とを連結する、ペプチド結合を含むリンカーと、
を備える、デコイ分子。

【請求項2】
前記第1の部位は、水素原子、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基及びカルボキシル誘導体基からなる群から選択される、請求項1に記載のデコイ分子。

【請求項3】
前記デコイ分子は、以下の式(1)で表される、請求項1又は2に記載のデコイ分子。
【化5】


(上記式(1)中、Aは、第1の部位を表し、Bは第2の部位を表し、Rは、水素原子、アルキル基、チオアルキル基、アルキケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択される1又は2以上の基を含む有機官能基を表し、nは1以上の整数を表す。)

【請求項4】
前記Rは、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファンからなる群から選択されるアミノ酸の側鎖を表す、請求項3に記載のデコイ分子。

【請求項5】
前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、以下の(a)及び(b)のシトクロムP450モノオキシゲナーゼから選択される1種又は2種以上である、請求項1~4のいずれかに記載のデコイ分子。
(a)シトクロムP450BM3のアミノ酸配列と40%以上の同一性を有するシトクロムP450モノオキシゲナーゼ
(b)シトクロムP450camのアミノ酸配列と40%以上の同一性を有するシトクロムP450モノオキシゲナーゼ

【請求項6】
前記不活性化炭化水素は、シクロヘキサン、ブタン、プロパン及びベンゼンからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1~5のいずれかに記載のデコイ分子。

【請求項7】
炭化水素系基質の水酸化方法であって、
請求項1~6のいずれかに記載のデコイ分子、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ及び炭化水素系基質の存在下で、前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼにより前記炭化水素系基質を水酸化する工程、
を備える、方法。

【請求項8】
炭化水素系基質の水酸化物の生産方法であって、
請求項1~6のいずれかに記載のデコイ分子、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ及び炭化水素系基質の存在下で、前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼにより前記炭化水素系基質を水酸化する工程、
を備える、方法。

【請求項9】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼで炭化水素を水酸化するためのデコイ分子のスクリーニング方法であって、
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ、前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼの基質結合部位に結合可能な末端構造である第1の部位と、フッ素化されていないアルキル鎖である第2の部位と、前記第1の部位と前記第2の部位とを連結する、ペプチド結合を含むリンカーと、を備える、1又は2以上のデコイ分子候補及び炭化水素系基質の存在下で、前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼを前記炭化水素系基質に作用させる工程、
を備え、
前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼによる前記炭化水素系基質の水酸化を評価する、スクリーニング方法。

【請求項10】
変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼで炭化水素系基質を水酸化するためのデコイ分子であって、
前記変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼの基質結合部位に結合可能な末端構造である第1の部位と、
少なくとも一部がフッ素化されたアルキル鎖である第2の部位と、
前記末端構造と前記アルキル鎖とを連結する、ペプチド結合を含むリンカーと、
を備える、デコイ分子。

【請求項11】
炭化水素系基質の水酸化物の生産方法であって、
請求項10に記載のデコイ分子、変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼ及び炭化水素系基質の存在下で、前記変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼにより前記炭化水素系基質を水酸化する工程、
を備える、方法。

【請求項12】
前記炭化水素系基質は、メタン又はエタンである、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼで炭化水素系基質を水酸化するためのデコイ分子のスクリーニング方法であって、
変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼ、前記変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼの基質結合部位に結合可能な末端構造である第1の部位と、少なくとも一部がフッ素化されたアルキル鎖である第2の部位と、前記第1の部位と前記第2の部位とを連結する、ペプチド結合を含むリンカーと、を備える、1又は2以上のデコイ分子候補、前記変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼ及び炭化水素系基質の存在下で、前記変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼを前記炭化水素系基質に作用させる工程、
を備え、
前記変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼによる前記炭化水素系基質の水酸化を評価する、スクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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