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ワイヤーグリッド装置

国内特許コード P160013015
整理番号 (S2014-1440-N0)
掲載日 2016年6月2日
出願番号 特願2015-162114
公開番号 特開2016-048370
出願日 平成27年8月19日(2015.8.19)
公開日 平成28年4月7日(2016.4.7)
優先権データ
  • 特願2014-170354 (2014.8.25) JP
発明者
  • 鈴木 健仁
出願人
  • 国立大学法人茨城大学
発明の名称 ワイヤーグリッド装置
発明の概要 【課題】テラヘルツ波帯において、従来実現不可能であった透過電力特性および電力消光比を提供する。
【解決手段】矩形状の金属薄板の一端と他端との間に切欠部を設けて、該一端と該他端との間に形成された細長いグリッド部を有する複数のグリッド板20を形成する。グリッド板20のグリッド部同士が所定の間隔を介して対面するよう積層してグリッド板積層体2aを構成する。この場合、グリッド板20における隣接するグリッド板20の一端の間および他端との間にスペーサ21が挿入されることにより、グリッド部が平行平板を構成する。平行平板を構成するグリッド板積層体2aがテラヘルツ波帯の偏光子として動作する。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


テラヘルツ電磁波は周波数が0.1~10THz(波長が30μm~3000μm)の電磁波とされており、波長が遠赤外~ミリ波領域とほぼ一致する。テラヘルツ電磁波は、「光」と「ミリ波」に挟まれた周波数領域に存在しているため、光と同様に高い空間分解能でものを見分ける能力と、ミリ波と同様の物質を透過する能力を併せ持っている。テラヘルツ波帯はこれまで未開拓電磁波であったが、この周波数帯の電磁波の特徴を生かした時間領域分光、イメージング及びトモグラフィーによる材料のキャラクタリゼーションへの応用などが検討されてきている。テラヘルツ電磁波を用いると、物質透過性と直進性を兼ね備えるためX線に替わる安全かつ革新的なイメージングが可能になったり、数100Gbps級の超高速無線通信を可能とすることができる。



従来、主にテラヘルツ電磁波の偏光や検光等にはワイヤーグリッドを用いることが提案されており、このワイヤーグリッドの実現に向けて研究が進められている。
従来の自立型ワイヤーグリッドの一例は、直径5μm~50μm程度の金属細線を、1本づつ設定された間隔で平行に並べ、金属枠に接着剤で貼り付けて作成されている。この自立型ワイヤーグリッドは、適用可能な周波数に限界があり、概ね1.5THz以上のテラヘルツ電磁波の偏光子に適用可能な構造のものは、微細な構造となることから実現することが困難とされている。



テラヘルツ波帯の偏光子に適用可能なワイヤーグリッド用金属板が特許文献1に開示されており、このワイヤーグリッド用金属板101の構成を示す平面図を図81に、ワイヤーグリッド用金属板101の一部の拡大平面図を図82に、図82の一部を更に拡大して示す平面図を図83(a)に、そのA-A線で切断した断面図を図83(b)に示す。



ワイヤーグリッド用金属板101は例えば直径20mm~100mm程度のニッケルの円板形状とされ、図81~図83(a)(b)に示すように、縦方向に桟状(細線状)に延びる複数の縦桟部111と、各縦桟部111にほぼ直交する少なくとも1つの横桟部112とを有し、縦桟部111及び横桟部112は、それぞれの両端部が円形又は矩形のフランジ部113につながっている。
縦桟部111の幅(ワイヤー幅)や間隔は、ワイヤーグリッド用金属板101の性能を決定するパラメータであり、適用する光の周波数に応じて定まる。そして、ワイヤーグリッド用金属板101は、1.5THz以上のテラヘルツ電磁波にも適用可能な構造とすることができ、縦桟部111の幅Waは1.5μm~50μmとすることができる。



ワイヤーグリッド用金属板101においては、横桟部112が、少なくとも所定幅以上であって縦桟部111の幅以上に幅広とされている。これにより、幅Waが1.5μm~50μmの細線構造の縦桟部111を製造可能となる。また、ワイヤーグリッド用金属板101の板厚は、基板からの引き剥がし等における物理的強度や透過光特性の劣化を考慮して定める必要があり、板厚は10μmとされている。
なお、縦桟部111の幅Waはワイヤーグリッド用金属板101の性能を決定するパラメータとして一義的に定まるが、横桟部112の幅Wbや間隔(個数)等は、主にワイヤーグリッド用金属板101の強度を確保する観点から定まる。このため、横桟部112の幅Wbは、縦桟部111の幅以上の幅広に形成されている。具体的には、縦桟部111の幅Waを1.5μm~50μmとし、横桟部112を15μm以上であって縦桟部111より幅広に形成する。



図84に、縦桟部111の幅Waが20μm、縦桟部111の間隔が60μm、横桟部112の幅Wbが20μm、横桟部112の間隔が5mm、厚みが50μmとされたワイヤーグリッド用金属板101を使用した場合の特性を示す。図84に示す透過配置の特性線α2、阻止配置の特性線β2から、周波数0.1~1.5THzのテラヘルツ光(テラヘルツ波と同義)に対して偏光子として動作していることが分かる。この場合、テラヘルツ光の電場の振幅方向が縦桟部111の延伸方向である縦方向と直交する場合に透過配置となり、テラヘルツ光の電場の振幅方向が縦桟部111の延伸方向である縦方向の場合に阻止配置となる。



また、非特許文献1には、テラヘルツ帯のワイヤーグリッドを金属幅100μmでそれを200μmピッチで作成し、金属の厚みを0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.5mmとした時の阻止率を測定すると、最も厚い0.5mmの金属厚みの場合の阻止率が最も向上していることが記載されている。この時の透過率は、約0.01%となっていることが分かる。

産業上の利用分野


この発明は、主にテラヘルツ電磁波の偏光や検光等に用いられるワイヤーグリッド装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
所定の奥行きを有する直方体状とされた導電性の枠体の一辺に平行に、前記枠体に複数形成されたスリットと、該スリット間にそれぞれ形成されたグリッドとを備え、前記グリッドが平行平板を構成するテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、
前記枠体の奥行きaを約50μmとした時に、前記スリットの幅dが約10μm~約50μm、前記グリッドの周期pが約11μm~約50μmとされ、前記枠体の奥行きaを約1000μmから約3000μmとした時に、前記スリットの幅dが約10μm~約150μm、前記グリッドの周期pが約11μm~約300μmとされることを特徴とするテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項2】
細長い矩形状の金属薄板のグリッド部を有する複数のグリッド板において、前記グリッド部同士が所定の間隔を介して対面するよう積層されたテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、
前記グリッド板における隣接する前記グリッド板の前記一端の間および前記他端との間にスペーサが挿入されることにより、隣接する前記グリッド板の前記グリッド部間にスリットが形成されてグリッド板積層体が形成され、該グリッド板積層体における前記グリッド部が平行平板を構成することを特徴とするテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項3】
両側にネジ部が形成された平板状の下基台と、
前記ネジ部の形成位置に対応して両側に孔が形成された平板状の上基台とを有し、
前記グリッド板の一端と他端とに、前記ネジ部および前記孔の形成位置に対応して貫通孔が形成されていると共に、前記スペーサにも貫通孔が形成されており、前記グリッド板積層体を前記下基台と前記上基台との間に挟持し、前記上基台の前記孔に挿通した取付手段を、前記グリッド板積層体における前記グリッド板の前記貫通孔および前記スペーサの前記貫通孔に順次挿通して前記下基台のネジ部に螺着することにより組み立てられていることを特徴とする請求項2に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項4】
前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを約50μmとした時に、前記グリッド部間の間隔dが約10μm~約50μm、前記グリッド部を配置する周期pが約11μm~約50μmとされ、前記グリッド部の幅aを約1000μmから約3000μmとした時に、前記間隔dが約10μm~約150μm、前記周期pが約11μm~約300μmとされることを特徴とする請求項2または3に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項5】
前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを50μm~3000μmとした時に、3THz~10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm~約10μm、周期pでは約2μm~約20μmとされることを特徴とする請求項2または3に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項6】
前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを50μm~3000μmとした時に、3THz~6THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm~約23μm、周期pでは約2μm~約43μmとされることを特徴とする請求項2または3に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項7】
細長い矩形状の金属薄板が一面のほぼ中央に形成されている矩形状のフィルムからなるフィルム基板を複数枚積層することにより平行平板が構成されたテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、
伝搬方向の長さである前記金属薄板の幅aを約50μmとした時に、前記フィルム基板間の間隔dが約10μm~約50μmとすると共に、前記フィルム基板を積層する周期pが約10.01μm~約100μmとされ、前記金属薄板の幅aを約1000μm~約2000μmとした時に、前記フィルム基板間の間隔dが約10μm~約150μmとすると共に、前記フィルム基板を積層する周期pが約10.01μm~約300μmとされることを特徴とするテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項8】
平板状の底部と、該底部の上面から立設した複数本の立設柱とを有する基台と、
前記基台の前記立設柱の位置が切り欠かれた前記フィルム基板を複数枚積層したフィルム基板積層体と、
平板状の平板部と、該平板部において前記基台の前記立設柱の位置が切り欠かれている押さえ板とを備え、
前記フィルム基板積層体が前記複数本の立設柱により位置合わせされて前記基台に収納され、該フィルム基板積層体の上に前記押さえ板が載置され、該押さえ板に挿通されたネジが前記基台に螺着されていることを特徴とする請求項7に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項9】
前記平行平板の伝搬方向の長さとされる前記金属薄板の幅aを50μm~2000μmとした時に、2THz~10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm~約5μm、周期pでは約1.01μm~約20μmとされることを特徴とする請求項7または8に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。

【請求項10】
前記平行平板の伝搬方向の長さとされる前記金属薄板の幅aを50μm~2000μmとした時に、2THz~4THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm~約23μm、周期pでは約1.01μm~約43μmとされることを特徴とする請求項7または8に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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