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膨潤度測定システムとその方法

国内特許コード P160013069
整理番号 H17-072
掲載日 2016年6月29日
出願番号 特願2005-145725
公開番号 特開2006-322791
登録番号 特許第4370405号
出願日 平成17年5月18日(2005.5.18)
公開日 平成18年11月30日(2006.11.30)
登録日 平成21年9月11日(2009.9.11)
発明者
  • 江 鐘偉
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 膨潤度測定システムとその方法
発明の概要 【課題】 高分子ゲルの膨潤度を溶液中で正確かつリアルタイムで測定可能な膨潤度測定システムを提供することである。
【解決手段】 端部を固定され測定対象の高分子ゲル6を固定可能なビーム部2とこのビーム部2の一部に設けられる圧電素子3を備える圧電トランスデューサ4と、前記高分子ゲル6を浸漬する溶液8を貯留した浸漬槽7と、前記圧電素子3を振動させる電源部11と、前記圧電素子3のアドミタンスを測定するアドミタンス測定部14と、このアドミタンス測定部14によって測定されたアドミタンス測定データ23に基づいて前記高分子ゲル6の膨潤度を解析する膨潤度解析部16と、この膨潤度解析部16によって得られた前記高分子ゲル6の膨潤度解析データ25を出力する出力部17を有するものである。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


高分子ゲルの中でも外部刺激応答性高分子ゲルは、外部刺激によりその特性が大きく変化することから次世代デバイスの材料として非常に期待されている。特に、温度応答性高分子ゲルは膨潤度が温度により変化するという興味深い特性を有する。この特性を利用してゲル中の物質透過性の温度制御を行なうことでドラッグデリバリーシステムやマイクロ化学チップ用ケミカルバルブ、ゲルの親水性を温度制御することで細胞培養シートや水処理用分離膜への応用などが考えられている。
このような温度応答性ゲルを種々の応用分野に最適化した材料設計を行なう上で、ゲルの温度変化に対する膨潤度を正確かつリアルタイムに測定することが強く求められている。
ところが、温度応答性高分子ゲルの膨潤度測定においては、調製した高分子膜の親水性を計測・評価するために電子天秤を用いることが多い。具体的な測定方法としては調整した高分子膜を一定の大きさに切り、温度を一定にした溶液に所定時間浸漬させた後、取り出して天秤でその重さを量る。その重さと膜並びに水の密度から膜の膨潤度を算出する。
一方、圧電素子はライターなどの点火装置からスピーカ、マイク、発振回路、駆動装置などに広く用いられる素子である。例えば、特許文献1には、振動特性の変化を用いて、その圧電素子を装着した屋外構造物の表面の付着汚損物量を測定する汚損物の測定装置が開示されている。



この特許文献1に開示された発明は、屋外構造物の表面に圧電素子を装着し、その圧電素子に複数の振動用の電極を設け、それらの電極間に電圧を印加して圧電素子を振動させ、圧電素子の振動特性を検出し、その振動特性の変化に基づいて屋外構造物の表面の付着汚損物量を求め、さらに電極のうち少なくとも1つに加熱用の電流を通電して水分を蒸発させるものである。
このように構成された汚損物の測定装置においては、屋外構造物の表面に付着した汚損物量を経時変化として直接求めることができる。
また、圧電素子を用いた装置としては、特許文献2には、音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、音波発生源として圧電素子が加振されて発生する振動を用いている。
さらに、特許文献3では音圧測定装置が開示されており、その中で圧電素子はセンサユニットに組み込まれており、超音波振動子から発信された超音波を純水を介して受信する受信棒において、受信された超音波振動を圧電変換するために用いられている。



しかしながら、前述の高分子ゲルの膨潤度の測定方法においては、(1)リアルタイム測定が不可能、(2)計測精度は天秤の精度に依存、(3)ゲルを溶液から一旦取り出す必要があり、測定誤差が大きい、(4)薄膜と小さいサイズのゲルの測定に不向きなどという課題があった。この他、溶液に膜を浸漬させた状態で、ゲルサイズの変化から膨潤度を算出する方法や浮力を利用した計測方法もあるが、前者はゲルサイズの測定の精度が低いため正確な測定が困難であり、後者はリアルタイムでの測定が困難であるという課題があった。
また、特許文献1に開示された発明においては、屋外構造物の表面に付着した汚損物量をリアルタイムで求めることはできるが、高分子ゲルを溶液に浸漬させて、その溶液に対する膨潤度を測定することができないという課題があった。
特許文献2に開示される発明においては、音波の発生源として圧電素子を用いるものであって、圧電素子の振動周波数の変化を用いて何らかの量を測定するというものではなく、高分子ゲルの膨潤度を測定することはできないという課題があった。
特許文献3に開示された発明においても、圧電素子は超音波振動を圧電変換するために用いられるもので、高分子ゲルの膨潤度を測定することはできないという課題があった。
【特許文献1】
特開平8-193825号公報
【特許文献2】
特開2002-71697号公報
【特許文献3】
特開2004-251845号公報

産業上の利用分野


本発明は、圧電素子を備えた圧電トランスデューサに高分子ゲルを固定して溶液に浸漬し、圧電素子のアドミタンスを測定することで、高分子ゲルの膨潤度を高精度でリアルタイムに測定する膨潤度測定システムとその方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
端部を固定され測定対象の高分子ゲルを固定可能なビーム部とこのビーム部の一部に設けられる圧電素子を備える圧電トランスデューサと、前記高分子ゲルを浸漬する溶液を貯留した浸漬槽と、前記圧電素子を振動させる電源部と、前記圧電素子のアドミタンスを測定するアドミタンス測定部と、このアドミタンス測定部によって測定されたアドミタンス測定データに基づいて前記高分子ゲルの膨潤度を解析する膨潤度解析部と、この膨潤度解析部によって得られた前記高分子ゲルの膨潤度解析データを出力する出力部とを有することを特徴とする高分子ゲルの膨潤度測定システム。

【請求項2】
前記高分子ゲルは、前記ビーム部に代えてビーム部に着脱可能に設けられたプローブに固定することを特徴とする請求項1記載の膨潤度測定システム。

【請求項3】
前記ビーム部は並列に少なくとも2つ設けられ、そのうち1つのビーム部にはその特性が既知である高分子ゲルを固定可能であることを特徴とする請求項1記載の膨潤度測定システム。

【請求項4】
前記浸漬槽の溶液温度を測定可能な温度測定部と、その溶液温度を調整可能な温度調整部とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の膨潤度測定システム。

【請求項5】
前記高分子ゲルを膨潤させるために浸漬する溶液の特性に関する溶液データ,高分子ゲルの特性に関する高分子ゲルデータ,ビーム部及び/又は圧電素子の特性に関する測定系データを読み出し可能に格納する入力用データベースと、この入力用データベースに予め前記溶液データ、高分子ゲルデータ及び測定系データを入力する入力部と、前記アドミタンス測定データ及び/又は膨潤度解析データを読み出し可能に格納する出力用データベースとを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の膨潤度測定システム。

【請求項6】
交流電源によって振動する圧電素子を備えた圧電トランスデューサに高分子ゲルを固定して溶液に浸漬させ、前記圧電素子のアドミタンスを前記高分子ゲルの膨潤前後で測定してアドミタンス変化量を演算し、予め測定された膨潤前後における前記圧電素子のアドミタンス変化量と前記高分子ゲルの質量変化量の関係に基づいて高分子ゲルの質量変化量を演算して前記高分子ゲルの膨潤度を演算することを特徴とする高分子ゲルの膨潤度測定方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005145725thum.jpg
出願権利状態 登録
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