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DNA断片の製造方法

国内特許コード P160013100
整理番号 H18-126
掲載日 2016年7月8日
出願番号 特願2006-349873
公開番号 特開2008-154557
登録番号 特許第5061346号
出願日 平成18年12月26日(2006.12.26)
公開日 平成20年7月10日(2008.7.10)
登録日 平成24年8月17日(2012.8.17)
発明者
  • 藤島 政博
  • 水上 洋一
  • 殿岡 裕樹
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 DNA断片の製造方法
発明の概要 【課題】
本発明は、制限酵素で切断されたゲノムDNAとオリゴDNAアダプターを用い、少ない工程と簡単な構成からなり、かつ精度の高い未知配列の増幅を可能にする、DNA断片の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題の解決のため、本発明は、ゲノムDNAを突出末端を形成する制限酵素で切断する工程と、制限酵素が形成する突出末端と相補的な突出末端を持ち、制限酵素断片の切欠き部または突出末端に存在する塩基と同一種の塩基が1つ付加された2本鎖オリゴDNAからなるアダプターを、DNAリガーゼを用いて制限酵素断片に結合させる工程を含む、アダプター結合DNA断片製造方法を提供する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


生物の機能や性質の解析において、DNAやRNAなどの遺伝子情報を利用した分子遺伝学的解析は、極めて有用な手段として様々な場面で用いられている。それらの最も基礎的な技術として、目的とする遺伝子がコードする塩基配列の情報を明らかにすることが必要である。ヒトやシロイヌナズナ、大腸菌など、すでにゲノムの全塩基配列が決定された生物であれば、これらの配列のデータベースを用いることができるが、地球上のほとんどの生物は未だ断片的な遺伝情報しか明らかにされておらず、新規な有用微生物や特定の生命現象を示すモデル生物など、これらの生物の解析には未知の遺伝子情報を明らかにする必要がある。



ゲノム情報が明らかではないこれらの生物から遺伝情報を得る手段として、現在PCRを介した技術が広く用いられている。同一の機能を有する酵素タンパク質では生物種間で特定のアミノ酸配列が保存されていることに着目し、これらのアミノ酸配列をそのアミノ酸配列をコードする塩基配列に変換し、これをプライマーとして、この配列の上流または下流に位置する別の保存されたアミノ酸配列から同様にプライマーを作成し、両プライマーで挟まれた領域を増幅するというものである。しかしながらこの方法は、保存性の高い2以上の領域に挟まれた配列を明らかにするためには利用できるが、保存性の低い領域、特に遺伝子の5’側上流域や3’側下流域などを明らかにするためには使えないという問題点があった。



上記の問題点を解決するため、ゲノムDNAから転写されるmRNAがpoly A tailを持つことを利用し、poly Tプライマーを用いた逆転写を行ったり、逆転写で得られたcDNAの末端にアダプターと呼ばれるオリゴDNAを結合させ、この配列上に設計したプライマーを用いて増幅反応を行う「RACE(Rapid amplification of cDNA ends)」と呼ばれる手法が開発されてきている(非特許文献1)。しかしRACE法はmRNAを増幅の出発点としているため、転写調節因子など非アミノ酸配列領域や繰り返し配列等のモチーフの解析には用いることができず、またpoly Tプライマーを用いる場合には、全てのmRNAがpoly A tailを有するため特異性に問題があった。



一方でmRNAやcDNAを出発点とせず、ゲノムDNAから未知配列を検出するための様々な手法も、開発されてきている。RACE法をゲノムDNAに応用したRAGE(Rapid amplification of genomic ends)法(非特許文献2,7)、Inverse PCR法(非特許文献3)、カセットPCR法(非特許文献4-6)などがそれであり、特にカセットPCR法は任意のオリゴDNAアダプターを切断したゲノムDNAに結合させることから、設計が容易であるため多数の改良がなされている(特許文献1-3)。

しかしながら、カセットPCR法においては、制限酵素で切断したゲノムDNA全てに対してアダプターを結合させるため、標的配列を増幅させる際の特異性に大きな問題点があった。突出末端を形成する様に設計されたアダプターは、アダプター同士も相補的な配列を有しているため結合可能であり、アダプター同士の結合が標的配列とアダプターとの結合を著しく低下させるおそれがあるのと同時に、例えばPCRなどで標的配列を増幅させようとする場合に非特異的産物として増幅され、解析を妨げるおそれがあった。この問題点を回避するためには複数の制限酵素による処理や複雑な形状のアダプター設計、多数の工程を経る必要があるなど、未だ十分な正確さと利便性を有しているとは言えないのが現状であった。
【特許文献1】
特開平8-242897 遺伝子の複製及び増幅方法
【特許文献2】
特開平11-196874 DNA断片分析法
【特許文献3】
特開2001-061486 選択的な制限断片増幅:一般的なDNAフィンガプリント法
【非特許文献1】
Ohara O.et al.1989.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5673-5677.
【非特許文献2】
Cormack R.S.&Somssich.I.E.1997.Gene 194:273-276.
【非特許文献3】
Ochman H.et al.1988.Genetics 120:621-623.
【非特許文献4】
Rosental A.&Jones D.S.C.1990.Nucleic Acids Res.18(10):3095-3096.
【非特許文献5】
Siebert P.D.et al.1995.Nucleic Acids Res.23(6):1087-1088.
【非特許文献6】
Laging M.et al.2001.Nucleic Acids Res.29(2)e8.
【非特許文献7】
Park D.J.2005.Electronic J.Biotech.8 No.2.
【非特許文献8】
Hiwatashi K.1968.Genetics 58:373-386.

産業上の利用分野


本発明は、制限酵素とオリゴDNAからなるアダプターを用いたDNA断片の製造方法に関し、より詳しくは、突出末端を形成する制限酵素と、前記突出末端と相補的な突出末端を持ちかつ突出先端または切欠き部に重複した1塩基が存在する2本鎖のオリゴDNAアダプターとを用いたDNA断片の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検細胞のゲノムDNAから、既知配列からなるオリゴDNAアダプターを結合したDNA断片を製造する方法であって、下記工程を含むことを特徴とする、アダプター結合DNA断片製造方法。
(1)ゲノムDNAを、5’突出末端を形成する制限酵素で切断し、制限酵素断片を得る工程
(2)前記制限酵素が形成する突出末端と相補的な塩基配列を有する突出末端を持ち、更にその突出先端に前記制限酵素断片の切欠き部に存在する塩基と同一種の塩基が1つ付加され、該塩基がリン酸化された1組の2本鎖オリゴDNAからなるアダプターを、DNAリガーゼを用いて工程(1)で得られた制限酵素断片に結合させる工程

【請求項2】
下記工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアダプター結合DNA断片製造方法。
(3)工程(1)で得られた制限酵素断片の5’突出末端を、アルカリフォスファターゼで脱リン酸化する工程

【請求項3】
工程(2)が下記工程で置き換えられることを特徴とする、請求項1に記載のアダプター結合DNA断片製造方法。
(2’)前記制限酵素が形成する突出末端と相補的な塩基配列を有する突出末端を持ち、更にその切欠き部に前記制限酵素断片の突出先端に存在する塩基と同一種の塩基が1つ付加され、該塩基がリン酸化された1組の2本鎖オリゴDNAからなるアダプターを、DNAリガーゼを用いて工程(1)で得られた制限酵素断片に結合させる工程

【請求項4】
被検細胞のゲノムDNAから、既知配列からなるオリゴDNAアダプターを結合したDNA断片を製造する方法であって、下記工程を含むこと特徴とする、アダプター結合DNA断片製造方法。
(A)ゲノムDNAを、3’突出末端を形成する制限酵素で切断し、制限酵素断片を得る工程
(B)前記制限酵素が形成する3’突出末端と相補的な塩基配列を有する突出末端を持ち、更にその切欠き部に前記制限酵素断片の突出末端に存在する塩基と同一種の塩基が1つ付加され、前記付加された塩基がリン酸化された1組の2本鎖オリゴDNAからなるアダプターを、DNAリガーゼを用いて工程(A)で得られた制限酵素断片に結合させる工程

【請求項5】
制限酵素が、AccI,AflIII,Alw44I,AsnI,AvaI,AvaII,BamHI,BclI,BglII,BlnI,BssHII,BstEII,ClaI,DdeI,EclXI,EcoRI,EcoRII,HindIII,HinfI,HpaII,MluI,MseI,MspI,MvaI,NarI,NciI,NeoI,NdeI,NheI,NotI,PinAI,SalI,ScrFI,SpeI,StyI,TaqI,XbaI,XhoIのうちいずれかより選択される、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のアダプター結合DNA断片製造方法。

【請求項6】
制限酵素が、ApaI,BanII,BglI,BsmI,CfoI,HaeII,HhaI,KpnI,KspI,NsiI,PstI,PvuI,SacI,SphI,SstI,SstIIのうちいずれかより選択される、請求項4に記載のアダプター結合DNA断片製造方法。

【請求項7】
DNAリガーゼがATP要求性のDNAリガーゼである、請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載のアダプター結合DNA断片製造方法。

【請求項8】
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の方法でアダプター結合DNA断片を得た後、該アダプター結合DNA断片を鋳型にし、DNA断片を増幅させることを特徴とする、アダプター結合DNA断片の製造方法。

【請求項9】
被検細胞のゲノムDNAにおける既知配列の5’上流または3’下流に存在する未知配列を含むアダプター結合DNA断片を製造する方法であって、請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の方法でアダプター結合DNA断片を得た後、該アダプター結合DNA断片を鋳型とし、既知配列から設計されたプライマーXと、アダプター上に設計されたプライマーYとを用い、両プライマーに挟まれた領域を増幅することを特徴とする、未知配列を含んだアダプター結合DNA断片の製造方法。

【請求項10】
耐熱性DNAポリメラーゼを用いることを特徴とする、請求項9に記載の未知配列を含んだDNA断片の製造方法。

【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の方法によりDNA断片を増幅した後、これを鋳型とし、既知配列から設計されたプライマーXの更に下流の配列より設計されたプライマーX’と、アダプター上に設計されたプライマーYの更に下流の配列より設計されたプライマーY’とを用い、両プライマーに挟まれた領域を増幅することを特徴とする、未知配列を含んだDNA断片の製造方法。

【請求項12】
制限酵素がEcoRIである、請求項5に記載のアダプター結合DNA断片製造方法。

【請求項13】
配列番号1及び配列番号2に記載の配列からなるアダプターを用いることを特徴とする、請求項12に記載のアダプター結合DNA断片製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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