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金属表面の処理方法並びに当該方法により処理された銀被着銅及び複合金属体

国内特許コード P160013165
整理番号 S2014-1609-N0
掲載日 2016年8月4日
出願番号 特願2014-235893
公開番号 特開2016-098398
出願日 平成26年11月20日(2014.11.20)
公開日 平成28年5月30日(2016.5.30)
発明者
  • 栗原 正人
  • 宇留間 慶麗
出願人
  • 国立大学法人山形大学
発明の名称 金属表面の処理方法並びに当該方法により処理された銀被着銅及び複合金属体
発明の概要 【課題】金属銅又はその合金の表面に金属銀を介在させて表面処理して複合化することにより、金属銅(合金)間の融着による接合を比較的低温で生じさせるための金属の表面処理方法を提供する。
【解決手段】加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物とアルキルアミンとのアミン錯体を、アルキルアミンの存在下に金属銅又は銅合金を含む金属表面で加熱して、当該金属表面に銀を析出させる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


金属銅は、電気伝導性が良く比較的安価であることから、従来から配線材料として最も一般的に使用される素材である。また、近年では、金属銅が有する高い耐エレクトロマイグレーション性を活かして、LSIの内部配線にも使用されている。一方、金属銅同士の接合は一般に困難であり、従来より、半田付け等の蝋付けに代表される異種金属を介した接合が行われてきた。更に、接合される金属銅表面における酸化物の生成の防止等により接合を容易にするため、予め銅表面に接合に適した異種金属を複合化する技術が広く知られている。例えば、特許文献1には、銅表面に貴金属によるメッキを施すことで、その後の拡散接合を容易に行う技術が開示されている。
一方、近年、金属微粒子を含む導電性インクやペーストを、電子デバイスを簡単な印刷・塗布工程で作製する次世代のプロセス技術であるプリンテッドエレクトロニクス(PE)における配線材料として使用することが注目されている。特に、PEにおいては、電子デバイスが搭載された基板にフレキシビリティを付与する目的で、その基板として各種の樹脂を使用することが望まれている。これらの要望を実現するためには、配線材料である金属微粒子を含む導電性インクやペーストについても、比較的安価な樹脂の耐熱温度である120℃程度以下で容易に焼結して、良好な導電性を示すことが求められている。



上記要求を満たす配線材料に使用する金属微粒子として、これまでは特に金属銀微粒子が注目されてきた。金属銀は、高い電気伝導率や耐酸化安定性を有することに加え、微粒子にすることで比較的低い温度で焼結して金属銀被膜を生成可能であること等が知られており、PEにおける配線材料として最も実用化に近い材料と考えられている。
銀微粒子はさまざまな方法で製造することが可能であるが、製造された銀微粒子の凝集防止や溶媒への分散性向上等の特性付加の点から、銀微粒子の製造と同時に粒子表面に各種の保護膜を生成させた被覆銀微粒子として製造する方法が一般的である。そのような被覆銀微粒子の製造方法としては、銀を含む化合物(銀化合物)と保護被膜となる有機分子等が共存する環境において、還元剤を用いて銀化合物を還元して銀原子を生成させ、この銀原子の凝集により銀微粒子が生成すると同時に、当該銀微粒子の表面に共存する有機分子等により保護被膜を生成させる方法が一般的である。例えば、特許文献2には、硝酸銀とアミンの錯体を還元剤であるアスコルビン酸等に滴下して硝酸銀を還元して被覆銀微粒子を製造する技術が記載されている。また、特許文献3には、硝酸銀等の銀塩を有機保護剤および還元補助剤の共存下で加熱して還元することで有機保護剤が被着した銀微粒子を製造する技術が記載されている。
上記、従来の銀微粒子の製造方法によれば、銀微粒子を構成する銀原子を生成するために銀化合物と還元剤間の酸化還元反応が必須であるが、銀化合物と還元剤の両成分を均一に混合することは必ずしも容易でなく、系内において濃度の部分的な揺らぎを生じることが避けられない。このために、従来の銀微粒子の製造方法においては系内において均一な酸化還元反応を生じることが困難であり、この結果、生成する銀微粒子の粒径等にばらつきが生じることが避けられない問題を有していた。



このような問題を生じることなく、被覆銀微粒子を効率的に製造する方法として、本発明者らは、アルキルアミンをシュウ酸銀等の銀化合物に被着させて錯化合物を形成させた後、生成した錯化合物を加熱して熱分解することで、被覆銀微粒子を得る技術(以下「アミン錯体熱分解法」、又は場合により「アミン錯体分解法」ともいう)の開発を行っている(例えば、特許文献4~7参照)。アミン錯体熱分解法によれば、銀微粒子を生成する際の反応として、一成分であるアミン錯体が複数成分に熱分解する反応を利用するため、複数成分間で生じる還元反応と比較して濃度等の揺らぎによる不均一が生じ難く、均一な特性を持つ銀微粒子を得られやすく、また、一般に有機溶媒等を必要とせず、無溶媒でも銀微粒子を得ることができる。更に、アルキルアミンとの錯化合物を形成することにより銀化合物が化学的に不安定になり、本来の熱分解の温度よりも低い温度で熱分解を生じる結果、典型的には100℃程度、又はそれ以下の比較的温和な条件で銀微粒子を生成可能になり、特に容易に低温焼結を生じる被覆銀微粒子の製造に適している。



他方、金属銀は金属銅に比べて素材の価格が高く、且つ、耐エレクトロマイグレーションの点で金属銅に劣るため、次世代のプリンテッドエレクトロニクスにおける配線材料として銅微粒子を用いることが広く検討されており、各種の銅微粒子の製造方法が提案されている。しかしながら、微粒子とした場合でも、金属銅の焼結温度(融着温度)は金属銀に比べて高くなることから、依然として樹脂基板上での配線形成が可能な程度の焼結性を持つ銅微粒子は見出されていない。また、銅微粒子においては、その比表面積の増大により製造や使用の工程における酸化が大きな問題となり、一般に不活性ガス雰囲気での製造や、還元雰囲気や光照射といった特殊な焼結環境が必要となるなど、銀微粒子と比べてむしろ高コストとなる問題を有している。



上記銅微粒子における問題を解決する手段として、特許文献1等に記載されるような比較的マクロな接合の場合と同様に、銅の表面に銀等の貴金属を複合化した微粒子の使用が検討されている。特許文献8には、アミン錯体熱分解法で製造した銀微粒子をコアとして、その表面にアルキルアミン中で生成させた銅原子によりシェルを形成してなる複合微粒子(銀コア銀銅合金シェルナノ微粒子)が記載されている。当該複合微粒子については、還元雰囲気で80℃程度の低温で焼結して導電性を示すことが記載されると共に、当該複合微粒子のシェル部は、平衡状態では存在しない銀銅合金相を含むと共に、主に銅のみからなる部分においても、その格子定数が銀相の格子定数と同様であるなど、準平衡な銅を含む相から構成されることが記載されている。また、当該複合微粒子は、大気中で120℃程度まで加熱した場合にも、実質的に酸化を生じないことが確認されており、銀との複合化により銅の耐酸化性を向上する可能性を示すものである。
また、特許文献9には、銅をコアとして、その周囲に貴金属のアルカノエート(特に、脂肪酸銀)で薄膜層を形成した金属ナノ粒子が記載され、銅のコアを銀の薄膜層でコートした金属ナノ粒子においては、銀薄膜層の存在により131℃まで銅コアの酸化が防止されたことが記載されているが、その焼結性に関しては評価がされていない。



特許文献10には、第1金属前駆体と有機溶媒とを含む溶液を加熱することにより、第1金属前駆体を還元させ、第1金属前駆体に由来する第1金属成分から構成される第1金属コアを生成させる工程と、第1金属コアを含む溶液に第2金属前駆体を加え、この溶液を加熱することにより、第2金属前駆体を還元させ、第2金属前駆体に由来する第2金属成分から構成される第2金属シェルを第1金属コアの周囲に生成させる工程とを有する金属ナノ粒子の製造方法が記載され、具体的には銀のコアを銅のシェルで覆った微粒子を製造したことが記載されている。

産業上の利用分野


本発明は、銅などの金属基体の少なくとも一部表面で、加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物とアルキルアミンとのアミン錯体をアルキルアミンの存在下に加熱して、前記金属表面に銀を析出させる金属表面の処理方法、並びに当該方法により処理された銀被着銅、さらにこれを焼結して得られる複合金属体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物とアルキルアミンを含むアミン錯体を、アルキルアミンの存在下に金属銅表面で加熱して、当該金属銅表面に銀を析出させることを特徴とする金属表面の処理方法。

【請求項2】
前記アミン錯体が、銀原子に対して酸素原子と窒素原子の両方が配位している錯化合物であることを特徴とする請求項1記載の金属表面の処理方法。

【請求項3】
前記銀化合物がシュウ酸銀及び/又は酢酸銀を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属表面の処理方法。

【請求項4】
金属銅の少なくとも一部表面で、加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物とアルキルアミンを含むアミン錯体をアルキルアミンの存在下に加熱して、前記金属銅表面の少なくとも一部に金属銀を析出させてなることを特徴とする銀被着銅。

【請求項5】
前記金属銅表面に析出した金属銀の少なくとも一部がアルキルアミンにより被覆されていることを特徴とする請求項4に記載の銀被着銅。

【請求項6】
前記金属銅が、微粒子状であることを特徴とする請求項4又は5に記載の銀被着銅。

【請求項7】
前記微粒子状の金属銅の平均粒子径が50nm~10μmであることを特徴とする請求項6に記載の銀被着銅。

【請求項8】
請求項6又は7に記載の銀被着銅を、分散媒に分散させたことを特徴とする分散体。

【請求項9】
更にアルキルアミン被覆を有する銀微粒子を含むことを特徴とする請求項8に記載の分散体。

【請求項10】
金属銅の含量に対する銀の重量比が1/2以下であることを特徴とする請求項8又は9に記載の分散体。

【請求項11】
金属銅を分散相として、該分散相が銀によって結合された構造を有する複合金属体であって、3.0×10-3Ω・cm以下の体積抵抗率を示すことを特徴とする複合金属体。

【請求項12】
前記金属銅は、少なくてもその表面の一部が銀によって被覆されていることを特徴とする請求項11に記載の複合金属体。

【請求項13】
金属銅の含量に対する銀の重量比が1/2以下であることを特徴とする請求項11又は12に記載の複合金属体。

【請求項14】
請求項11~13のいずれかに記載の複合金属体を有することを特徴とするデバイス。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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