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薄膜型水素ガスセンサ

国内特許コード P160013184
整理番号 S2015-0020-N0
掲載日 2016年8月9日
出願番号 特願2014-206664
公開番号 特開2016-075597
登録番号 特許第5936087号
出願日 平成26年10月7日(2014.10.7)
公開日 平成28年5月12日(2016.5.12)
登録日 平成28年5月20日(2016.5.20)
発明者
  • 塚田 啓二
  • 紀和 利彦
  • 堺 健司
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 薄膜型水素ガスセンサ
発明の概要 【課題】温度変化に対しても安定な電圧出力が得られる水素ガスセンサを提供する。
【解決手段】絶縁体基板の上面に白金薄膜で形成した抵抗体を設けて、この抵抗体の抵抗の変動を検出することで水素ガスの濃度変化を検出する薄膜型水素ガスセンサにおいて、水素ガスとの接触によって抵抗が変化する第1の抵抗体と、水素ガスとの接触によって第1の抵抗体よりも小さく抵抗が変化する第2の抵抗体とを備え、第1の抵抗体と第2の抵抗体とを直列に接続して、互いの抵抗値の差によって出力される電圧に基づいて水素ガスの濃度変化を検出する薄膜型水素ガスセンサとする。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要


水素ガスを検知する水素センサには、触媒金属の仕事関数変化や、金属酸化物半導体での電気伝導度変化、触媒反応熱による温度変化の応答原理を用いたものなど、多くのセンサ原理と構造が報告されている。例えば半導体特性をもつ金属酸化体(SnO2)は、水素ガスに触れると金属酸化体の酸素が還元されるため、抵抗値が変化する。この抵抗値変化により水素濃度を検出する半導体式の水素センサがある。また、同様の原理を用いたもので、ヒーターの役割をする白金線に金属酸化物半導体を焼結して、ブリッジ回路で素子の抵抗値変化をとらえる熱線型半導体式の水素センサもある。



量産性が良く室温近くで動作する水素センサとして、電界効果型トランジスタを使った水素センサが知られている。このような水素センサでは、電界効果型トランジスタの絶縁膜の上にゲート金属として触媒金属のPd(パラジウム)を用いたものや、本発明者らが報告した白金を用いたものが報告されている(非特許文献1)。このような水素センサでは、抵抗変化や起電力変化を測定するものでなく、測定対象の水素ガスが触媒金属と解離吸着、脱着反応を起こし、その結果として触媒金属の仕事関数が変化する反応を、電界効果型トランジスタによって計測するものである。この場合の電界効果型トランジスタは、ゲートの入力インピーダンスが非常に高く、出力であるドレイン・ソース間での出力インピーダンスが低い、つまりインピーダンス変換素子である。この機能により、水素ガスの濃度によって変化した触媒金属の微弱な電位変化を計測することができる。さらに自己診断機能が可能な水素センサとして、本発明者らは、水素ガスに感応するPt-FETと、水素ガスに感応しないTi-FETの2つのFETの差動を取る水素ガスセンサを報告した(特許文献1)。



また、水素ガスに対する触媒金属の発熱反応による温度変化を検出する水素センサとして、熱電対上に白金を形成したものが報告されている(非特許文献2)。また、この場合の発熱による抵抗変化をブリッジ回路で検出する方法も報告されている(特許文献2)。



発熱による抵抗変化ではなく、金属格子中に水素が安定化される金属水素化物の形成による抵抗変化をみる水素センサとして、水素を非常に良く吸蔵することができるパラジウムを使った水素センサもある(非特許文献3)。この場合の水素センサでは、水素化物の形成により、抵抗は水素ガスの濃度とともに高くなる特性がある。



ところが、触媒作用がもっとも高い白金では安定性が高いため、このような構造変化による抵抗変化の現象がおこらなかった。しかし、発明者らは、数10nm程度の非常に薄い白金薄膜において、水素による抵抗変化があることを知見した。しかもこの場合の抵抗変化は、構造変化が起こることで抵抗が高くなる特性ではなく、水素の解離反応が起こることでキャリアが増加して抵抗が減少する特性であることを報告した(非特許文献4)。



また、このような抵抗変化式の水素センサにおいて、ブリッジ回路により電圧出力させる方法を発表した(非特許文献5)。この場合のブリッジ回路構成は、白金薄膜の同一形状とした4つの抵抗体を、ブリッジの4辺にそれぞれ形成するとともに、1つの抵抗体を残し他の3つの抵抗体はガラスで被覆することで水素ガスに触れないようにしている。これにより、水素ガスに触れる1つの抵抗体のみで水素ガスに応答して、水素ガスの濃度を検知可能となっている。なお、4つの抵抗体はいずれも同じ形状・構造とすることで、同じ抵抗値とするとともに温度特性も同等であり、温度に起因して抵抗値が変化しても全ての抵抗体で同様に変化するので、温度により変化しない電圧出力が得られた。

産業上の利用分野


本発明は、白金薄膜を利用して水素ガス濃度を検知する薄膜型水素ガスセンサに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
絶縁体基板の上面に白金薄膜で形成した抵抗体を設けて、この抵抗体の抵抗の変動を検出することで水素ガスの濃度変化を検出する薄膜型水素ガスセンサにおいて、
水素ガスとの接触によって抵抗が変化する第1の抵抗体と、
水素ガスとの接触によって第1の抵抗体よりも小さく抵抗が変化する第2の抵抗体と
を備え、
第1の抵抗体と第2の抵抗体は、それぞれ絶縁体基板の上面に設けた金属薄膜から成る金属接着層上に形成することで、第1の抵抗体と絶縁体基板との間に第1の金属接着層を設けるとともに、第2の抵抗体と絶縁体基板との間に第2の金属接着層を設け、
第1の抵抗体と第1の金属接着層とによる第1の複合抵抗体の抵抗の温度係数と、第2の抵抗体と第2の金属接着層とによる第2の複合抵抗体の抵抗の温度係数を、第1の金属接着層の膜厚と第2の金属接着層の膜厚とを調整することで一致させ、
第1の抵抗体と第2の抵抗体と直列に接続して、互いの抵抗値の差によって出力される電圧に基づいて水素ガスの濃度変化を検出する薄膜型水素ガスセンサ。

【請求項2】
第2の抵抗体の膜厚は40nm以下とし、第1の抵抗体の膜厚は第2の抵抗体の膜厚よりも
薄くしている請求項1に記載の薄膜型水素ガスセンサ。

【請求項3】
第1の複合抵抗体と第2の複合抵抗体とでブリッジ回路を構成して電圧を検出している請求項に記載の薄膜型水素ガスセンサ。

【請求項4】
ブリッジ回路は、2組の直列に接続した第1の複合抵抗体と第2の複合抵抗体とを並列接続することで構成している請求項に記載の薄膜型水素ガスセンサ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014206664thum.jpg
出願権利状態 登録
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