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脂質膜構造体

国内特許コード P160013190
整理番号 S2015-0078-N0
掲載日 2016年8月9日
出願番号 特願2014-217011
公開番号 特開2016-084297
出願日 平成26年10月24日(2014.10.24)
公開日 平成28年5月19日(2016.5.19)
発明者
  • 原島 秀吉
  • 佐藤 悠介
  • 兵藤 守
  • 畠山 浩人
  • 小原 道法
  • 山本 直樹
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
  • 公益財団法人東京都医学総合研究所
発明の名称 脂質膜構造体
発明の概要 【課題】siRNAなどの核酸を肝実質細胞の細胞質などに効率的に送達することができるキャリアーとしての脂質膜構造体を提供する。
【解決手段】式(I) (Rは式(A)又は式(B)で表される基(nは2から4の整数、mは2から5の整数))で表される化合物を構成脂質として含む脂質膜構造体。



【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


B型肝炎ウィルス(HBV)持続感染者は世界で約4億人存在すると推定されており、本邦におけるHBV感染率は1%に上る。感染後にウィルスの活動性が持続すると慢性肝炎から肝硬変、肝細胞がん、肝不全に進展する。現在、B型肝炎治療にはポリエチレングリコール(PEG)化インターフェロン(IFN)及び核酸アナログであるエンテカビルが用いられている。PEG化IFNは免疫賦活作用や高ウィルス作用を有し、セロコンバージョン例では高効率で効果が持続するものの、高頻度かつ多彩な副作用が生じることが大きな問題である。また、エンテカビルはウィルスの複製阻害によりHBV DNA量を減少させるものの、その薬効は投与の中止によって速やかに消失し、肝炎が再燃してしまうという問題がある。このような問題点から、従来とは異なるメカニズムの新規治療法の開発が強く望まれている。



siRNAはRNA干渉により標的遺伝子がコードするタンパク質の合成を抑制する機能性核酸であり、迅速に分子設計が可能であることから、新規B型肝炎治療薬として期待されている。siRNAは塩基配列によって遺伝子抑制効果が大きく異なることから、HBV遺伝子発現を強力に抑制可能なsiRNA配列を見出すことが重要である。また、様々なHBVゲノタイプに対しても効果的な配列の設計も重要である。さらに、siRNAは親水性高分子化合物であるため、それ単独では細胞膜を透過できず、また、血中から速やかに腎排泄を受ける。そのため、siRNAをHBV感染細胞である肝実質細胞の細胞質へ効率的に送達可能なキャリアの開発が重要である。



shRNAを発現するウィルスベクターの開発が試みられているが、安全性に問題があり、大量製造が困難であるという問題もある。そのため、siRNAを標的細胞へ効率的に送達可能な人工キャリアの開発が盛んに行われている。ドラッグ・デリバリ・システム(DDS)としてリポソームなどの脂質膜構造体が汎用されおり、HBV標的siRNAを搭載したリポソーム型のキャリアについての報告もあるが、その効果は部分的である(Nature Biotechnol., 23, pp.1002-1007, 2005; Mol. Pharmaceutics, 6, pp.706-717, 2009)。これは、HBV感染細胞である肝実質細胞の細胞質へのsiRNA送達効率が不十分であることが原因であると考えられている。DDSとしての脂質膜構造体には、薬物などの送達すべき物質を保持する能力、生体内での安定性、物質を送達すべき特定の細胞(標的細胞)に対する選択性、標的細胞内への移行性、及び標的細胞内での物質の放出性等の様々な特性が求められるが、特に標的細胞の細胞質に核酸を送達するための脂質膜構造体には、標的細胞に対する選択性のほか、細胞内への優れた移行性が求められる。



一方、人工siRNAキャリアとして使用可能な多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND)が本発明者らにより報告されており、siRNA導入効率に優れるpH応答性カチオン性脂質YSK05(1-メチル-4,4-ビス[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]ピペリジン)を脂質組成に含むYSK05-MENDが開発されている(J. Control. Release, 163, pp.267-276, 2012; Yakugaku Zasshi, 132, pp.1355-1363, 2012; YSK05については特開2013-245190号公報を参照のこと)。YSK05-MENDはin vivo肝臓において内因性遺伝子発現を投与量依存的に抑制し、ED50で0.06 mg/kgを示す。しかしながら、YSK05-MENDの遺伝子抑制活性は、siRNA医薬をリードするAlnylam社のpH応答性脂質MC3を含むキャリアと比較して劣っている。



上記のように、in vivoにおいてRNA干渉による強いHBV抑制活性を実現するためには、HBVに対する強力なsiRNAと、siRNAを肝実質細胞へ効率的に送達可能なキャリアを適切に組み合わせることで初めて実現可能であるが、現状でそのような報告例はほとんどない。なお、核酸を送達するためのキャリアとしての脂質膜構造体に使用可能な脂質化合物が国際公開WO 2011/143230に開示されている。

産業上の利用分野


本発明はsiRNAなどの核酸を肝実質細胞の細胞質などに効率的に送達することができる脂質膜構造体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式(I):
【化1】


(式中、Rは式(A)で表される基又は式(B)で表される基:
【化2】


(式中、nは2から4の整数を示し、mは2から5の整数を示す)を示す)で表される化合物。

【請求項2】
脂質膜構造体にpH依存性のカチオン性を付与するために用いる請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物。

【請求項3】
請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物を構成脂質として含む脂質膜構造体。

【請求項4】
送達すべき物質が内部に封入された請求項3に記載の脂質膜構造体。

【請求項5】
送達の標的細胞が肝実質細胞である請求項4に記載の脂質膜構造体。

【請求項6】
送達すべき物質が核酸である請求項5に記載の脂質膜構造体。

【請求項7】
送達すべき物質がB型肝炎に対する予防及び/又は治療効果を有するsiRNAである請求項5に記載の脂質膜構造体。

【請求項8】
請求項7に記載の脂質膜構造体を有効成分として含むB型肝炎の予防及び/又は治療のための医薬。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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