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白金族系物質の分離回収方法及びその分離回収装置

国内特許コード P160013209
整理番号 13982
掲載日 2016年8月9日
出願番号 特願2014-244589
公開番号 特開2016-109468
出願日 平成26年12月3日(2014.12.3)
公開日 平成28年6月20日(2016.6.20)
発明者
  • 天本 一平
  • 小林 秀和
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 白金族系物質の分離回収方法及びその分離回収装置
発明の概要 【課題】高レベル放射性廃液等の酸性溶液に含まれる白金族元素及びその化合物等の白金族物質を、効率的に、且つ、確実に分離回収でき、長期間に亘って高い分離回収効率を維持できる白金系物質の分離回収方法及びその分離回収装置を提供する。
【解決手段】白金族物質が含まれる酸性溶液4を、無機高分子を前駆体とする多孔質材料3が分離材として充填されたカラム2の2以上を直列的に連結した分離ユニット1に送入し、前記カラム2内を通過させることによって前記白金族物質を分離する工程を含む。前記多孔質材料としては、ゾルーゲル法で製造される酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及びアルミナケイ酸塩化合物系の少なくとも何れか一つからなる無機高分子を前駆体とする多孔質材料又はそれらの多孔質材料の組合せが好適である。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


現在、日本においては、原発の使用済み核燃料の再処理施設で発生する高レベル放射性廃液(HLLW)の安定化処理方法として、HLLWとホウケイ酸塩ガラスフリットを混合して昇温することによりHLLW中の硝酸分を分解・揮散させた後、残留する放射性酸化物を溶融ガラス中に含有させることを行っている。この処理において大部分の酸化物はガラスの骨格構造中に入り込むが、一部の物質はガラスに溶け込むことなく分離して溶融炉の底部に蓄積するため、当該溶融炉底部の溶融ガラスの粘度が高くなり、溶融ガラスの取り出しに支障をきたす等、ガラス固化体の製造に様々な悪影響を及ぼす。このような物質としては白金族系物質が挙げられる。HLLW中に含まれる白金族系物質は、ガラスに対する溶解度が低く、ガラスよりも密度が大きいことから、ガラスを溶融する際に溶融炉底部に沈降し堆積する。また、白金族系物質はガラスよりも抵抗値が低いため、直接通電によるガラス溶融時に電流が白金族系物質に回り込むようになり、ガラス通電による溶融が十分に行うことができないという問題もある。



現状は、溶融炉の形状や運転方法等で悪影響の低減を改善しているが、HLLW中に含まれる白金族系物質量の低減に対しては有効な対策がほとんどなされておらず、ガラス固化固定において解決すべき重要な技術課題となっている。そこで、この技術課題を解決するため、いくつかの方法が提案されている。



例えば、特許文献1には、白金族系物質が含まれる放射性廃液に還元剤を添加した後に含浸体に含浸させて加熱処理し、前記含浸体を溶融炉で溶融した後に固化させる放射性廃液の処理方法が開示されている。ここで、前記還元剤としてはギ酸やカーボンブラックを、また、前記含浸体としてはガラスカートリッジを使用することが記載されている。



さらに、特許文献2には、放射性廃液から白金族元素を回収するため、金属ファロシアン化物と、金属フェロシアン化合物を包み込む袋状部材とを備える回収部材による回収方法が開示されている。ここで、袋状部材は、貫通孔が形成された樹脂フィルムと前記樹脂フィルムを接着するシール材とから構成されている。



また、特許文献3には、放射性溶液の除染方法として、水銀陰極電位を保持するために溶液に予め沈殿剤を添加することにより鉄、クロム、マンガン等の遷移金属元素を沈殿除去する工程と、液体金属電極により電解還元して放射性廃液の白金族元素量を減少させる工程とからなる除染方法が提案されている。



一方、白金族系物質としては、前記放射性廃液に含まれるものだけではなく、鉱・工業廃水等の酸性溶液に溶存するものについても様々な選択回収方法が提案されている。例えば、特許文献4及び5には、少なくともアミン化合物を含有する選択沈殿剤又は白金族金属分離剤を用いる方法が開示されている。また、特許文献6には、RuやIr等の白金族系物質を回収する方法としてイオン交換樹脂や溶剤抽出剤を用いる方法、Ruを陰イオン状態にし、活性炭に吸着させることにより溶液からRuを分離回収する方法、又は共存イオンの影響を除くため、RuやIrを活性炭に吸着させる前に硫化剤等を添加し、生成した沈殿物を濾過除去する方法等が開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、高レベル放射性廃液等の酸性溶液に含まれる白金族元素及びその化合物等の白金族系物質を、効率的に、且つ、確実に分離回収するための白金族系物質の分離回収方法及びその分離回収装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
白金族元素及びその化合物を含む酸性溶液から前記白金族元素及びその化合物を分離回収する方法であって、
前記酸性溶液を、無機高分子を前駆体とする多孔質材料が分離材として充填されたカラム(分離筒)の2以上を直列的に連結した分離ユニットに送入し、前記分離ユニットのカラム内を通過させることによって、前記酸性溶液から前記白金族元素及びその化合物を分離する工程(分離工程)を含むことを特徴とする白金族系物質の分離回収方法。

【請求項2】
前記分離工程によって分離された白金族元素及びその化合物を含む前記分離材を逆洗することにより、前記分離材から前記白金族元素及びその化合物を離脱させ、回収する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の白金族系物質の分離回収方法。

【請求項3】
前記無機高分子を前駆体とする多孔質材料が、ゾルーゲル法で製造した酸化物系の酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及びアルミナケイ酸塩化合物系の少なくとも何れか一つからなる無機高分子を前駆体とする多孔質材料又はそれらの多孔質材料の組合せであることを特徴とする請求項1又は2に記載の白金族系物質の分離回収方法。

【請求項4】
前記無機高分子を前駆体とする多孔質材料が、アナターゼ型又は一部ルチル型を含むアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンからなる無機高分子を前駆体とする多孔質材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の白金族系物質の分離回収方法。

【請求項5】
前記分離ユニットは、2以上の前記カラムがそれぞれ独立で、又は所望の段数をまとめて一体で取付け及び取外しができるカートリッジ構造を有することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白金族系物質の分離回収方法。

【請求項6】
前記白金族元素及びその化合物を含む酸性溶液を静置する工程及び前記酸性溶液に沈殿材を添加する工程の少なくとも何れかの工程により前記白金族元素及びその化合物を凝集沈殿させる工程(凝集沈殿工程)と、この工程に続いて行う前記分離工程とを含むことを特徴とする請求項1~5に記載の白金族系物質の分離回収方法。

【請求項7】
前記凝集沈殿工程で沈降させた浮遊物質及び沈殿物を沈殿物回収工程に送る工程と、前記凝集沈殿工程で浮遊物質及び沈殿物が除かれた上澄み採取液を前記分離工程に送る工程とを、さらに含む請求項6に記載の白金族系物質の分離回収方法。

【請求項8】
前記白金族元素及びその化合物を含む酸性溶液が、高レベル放射性廃液であることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の白金族系物質の分離回収方法。

【請求項9】
白金族元素及びその化合物を含む酸性溶液から前記白金族元素及びその化合物を分離回収する装置であって、少なくとも
前記酸性溶液を、無機高分子を前駆体とする多孔質材料が分離材として充填されたカラム(分離筒)の2以上を直列的に連結した分離ユニットと、
前記酸性溶液を前記分離ユニットに送入し、前記分離ユニットのカラム内を通過させる手段とを有する白金族系物質の分離回収装置。

【請求項10】
前記無機高分子を前駆体とする多孔質材料が、ゾルーゲル法で製造した酸化物系の酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及びアルミナケイ酸塩化合物系の少なくとも何れか一つからなる無機高分子を前駆体とする多孔質材料又はそれらの多孔質材料の組合せであることを特徴とする請求項9に記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項11】
前記無機高分子を前駆体とする多孔質材料が、アナターゼ型又は一部ルチル型を含むアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンからなる無機高分子を前駆体とする多孔質材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項12】
前記分離ユニットが、2以上の前記カラムをそれぞれ独立で、又は所望の段数をまとめて一体で取付け及び取外しができるカートリッジ構造を有することを特徴とする請求項9~11の何れかに記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項13】
請求項9~12の何れかに記載の分離回収装置が、さらに、前記酸性溶液を供給するための供給口と、前記酸性溶液に含まれる前記白金族元素及びその化合物を凝集沈殿させるために沈殿材を外部から投入する場合には、前記沈殿材を投入するための添加口とを備える廃液貯蔵槽を有することを特徴とする白金族系物質の分離回収装置。

【請求項14】
前記廃液貯蔵槽は、前記酸性溶液に含まれる白金族元素及びその化合物を凝集沈殿させるために使用する凝集沈殿室と、該凝集沈殿室で浮遊物質及び沈殿物が除かれた上澄み液を選択的に採取し、前記分離ユニットへ送入するための清澄液送液室とからなり、前記凝集沈殿室と清澄液送液室との間には、前記上澄み液を前記清澄液送室へ送る際に液面を調製するための液面調整孔が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項15】
前記液面調製孔は可動式のものであることを特徴とする請求項14に記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項16】
前記凝集沈殿室は、該凝集沈殿室で凝集沈殿させた浮遊物質及び沈殿物を沈殿物回収工程に送るためのスラリーポンプを備えることを特徴とする請求項14又は15に記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項17】
前記浮遊物質及び沈殿物の沈殿物回収工程への移送を容易にするため、前記スラリーポンプの吸引口部分が位置する前記凝集沈殿室の底部に、送液用枡として機能する凹部を設けることを特徴とする請求項16に記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項18】
前記凝集沈殿室と、前記清澄液送液室から前記上澄み液を前記分離ユニットに送入させる手段を介して前記分離ユニットに接続する配管とは、前記上澄み液を前記分離ユニットに送入するときの送入量を調製するための液量調節バルブと前記上澄み液を凝集沈殿室に戻すための配管とを備える上澄み液戻しラインによって接続されていることを特徴とする請求項14~18の何れかに記載の白金族系物質の分離回収装置。

【請求項19】
前記白金族元素及びその化合物を含む酸性溶液が、高レベル放射性廃液であることを特徴とする請求項9~18の何れかに記載の白金族系物質の分離回収装置。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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