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寿命短縮化モデル非ヒト哺乳動物 新技術説明会

国内特許コード P160013218
整理番号 14-27
掲載日 2016年8月15日
出願番号 特願2015-103747
公開番号 特開2016-214169
出願日 平成27年5月21日(2015.5.21)
公開日 平成28年12月22日(2016.12.22)
発明者
  • 田村 功一
  • 涌井 広道
  • 畝田 一司
  • 前田 晃延
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 寿命短縮化モデル非ヒト哺乳動物 新技術説明会
発明の概要 【課題】慢性腎臓病治療薬等の開発に有用な、慢性腎臓病のモデルとして従来よりも優れたモデル非ヒト動物を提供すること。
【解決手段】Agtrap遺伝子の機能が阻害されていることを特徴とする、寿命短縮化モデル非ヒト哺乳動物を提供した。ATRAPを欠損させた非ヒト動物では腎線維化の増悪(すなわち慢性腎臓病、末期腎不全の病態)が見られ、その他外観の異常がないまま寿命が有意に短縮化する。従来知られている各種の老化モデルマウスは、全身に広範な老化形質を呈し、明らかに異常な外観を有するが、ATRAP欠損マウスではこれらの公知の老化モデルマウスとは異なり、外観の異常がなく、老化形質自体は対照の野生型マウスと同等である。本発明のモデルは不可逆的とされ重要度が高い重症腎疾患(末期腎不全を包含する慢性腎臓病)の治療薬の開発にも大いに貢献すると期待される。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


循環器疾患、がん、糖尿病等の非伝染性疾患(NCD)は、早死と罹病の最も一般的な原因であり、医療費、生産性及び発展性に重大な影響を与える。慢性腎臓病は腎臓の構造及び機能に障害をおよぼす種々の疾患全般を包括的に表す総称であり、慢性腎臓病の進行により透析療法あるいは腎移植が必要な末期腎不全に至るが、末期腎不全の有病率は一貫して上昇傾向にある(非特許文献1)。慢性腎臓病、末期腎不全は老化過程の加速に関連し、早死のリスクを有意に上昇させるために、多くのNCDにおける予後不良を決定づける重要な要因である(非特許文献2~4)。慢性腎臓病における腎障害の予後は一般的に基礎腎疾患の種類よりもむしろ腎障害の程度に依存し、尿細管間質病変の重症度は将来的な腎機能低下速度を決定づける最も重要な要因とされている。従って、現況では不可逆的とされ重症の病変である尿細管間質線維化は、慢性腎臓病の増悪と末期腎不全への進行における主要な共通段階として広く認識されている(非特許文献5)。



線維化は、コラーゲン等の細胞外マトリクスの過剰な沈着により臓器の構造破壊と機能障害をもたらす病態として定義されているとともに、腎臓の老化における重要な病理学的特徴の一つでもある(非特許文献6、7)。困難とされる慢性腎臓病を改善させ得る治療法の実現という目的のため過去10年以上にわたり、実験的慢性腎臓病モデルにおける効果的な抗線維化治療の可能性の探索等盛んに研究が行われてきたが、現状では臨床的に利用可能な有効薬剤の開発等は未だ達成されていない(非特許文献8)。さらに、現在利用可能な慢性腎臓病の実験モデルでは、腎毒性のある薬剤による薬理学的介入や、腎の部分切除又は片側性の尿管結紮等による外科的介入が必要であり、これら介入操作の必要のない、より実際の病態に近い慢性腎臓病モデルは存在しない。したがって、臨床的に使用可能な抗線維化療法の開発やそのためのより洗練された慢性腎臓病モデルの作製は、医学上の必要性が非常に高いにもかかわらず未だ確立されていないという医学ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に応えるためにも重要である。



AT1受容体関連タンパク質(ATRAP、遺伝子名はAgtrap)は、アンジオテンシンII 1型受容体(AT1受容体)に直接結合して下流の情報伝達系を制御する分子であり(非特許文献9)、AT1受容体に結合すると報告されている分子のうち世界で最初に単離・同定された分子である。ATRAPは161残基のアミノ酸からなる18 kDaの低分子タンパク質であり、特異的にAT1受容体に結合し、AT2受容体、エンドセリンB受容体等の受容体には結合しないと考えられている。細胞外ドメインであるN末端側に3つの膜貫通ドメインをもち、C末端側には細胞質内ドメインを持つという珍しい構造上の特徴を有する(非特許文献10)。また欠失変異体を用いた検討により、ATRAPの110~122番目のアミノ酸残基のC末端細胞質内ドメインがAT1受容体の339~359番目のアミノ酸残基のC末端細胞質内ドメインに直接結合すると考えられている。



これまでに、培養細胞系での検討からは、ATRAPは病的刺激が存在しない生理的条件下ではAT1受容体には影響を与えず、したがってAT1受容体情報伝達系の生理的活性には特に効果を及ぼさないことが示されている。しかし、アンジオテンシンII刺激等の病的刺激が細胞に加わった場合には、ATRAPが細胞表面に存在するAT1受容体の細胞内への移動(インターナリゼーション)を促進し、AT1受容体情報伝達系のうち臓器障害に関係する一部の情報伝達系のみを抑制することにより病的刺激によるAT1受容体情報伝達系の過剰活性化のみを機能選択的に制御することが示唆されている。さらに、発生工学的手法により作製したAgtrap遺伝子改変マウスを用いた検討において、ATRAP高発現マウスでは病的刺激による心肥大・高血圧・動脈硬化が抑制されること、ATRAP欠損マウスでは病的刺激によるインスリン抵抗性・高血圧が悪化することが明らかとなっている(非特許文献11~18)。



現在までの検討では、若齢のATRAP高発現マウスやATRAP欠損マウスにおいては、通常飼育条件下では臓器の発生・形態、血圧、糖代謝、水・電解質代謝や腎機能などを含めて、臓器発生・分化や生理的機能には特段の変化が認められていない。この点で、例えばアンジオテンシノーゲン欠損マウス、レニン欠損マウス、AT1受容体欠損マウスなど、生下時から若齢にかけても通常飼育条件下において異常低血圧、腎の発生・形態・機能の異常が認められるレニン-アンジオテンシン系欠損マウスにみられる表現型とは大きく異なっている。しかしながら、通常飼育下でのATRAPの生理的機能とその意義については依然として完全には解明されていない。

産業上の利用分野


本発明は、寿命短縮化モデル非ヒト哺乳動物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Agtrap遺伝子の機能が阻害されていることを特徴とする、寿命短縮化モデル非ヒト哺乳動物。

【請求項2】
Agtrap遺伝子の機能が欠損している、請求項1記載の非ヒト哺乳動物。

【請求項3】
前記非ヒト動物がマウスである、請求項1又は2記載の非ヒト哺乳動物。

【請求項4】
腎線維化亢進モデルである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物。

【請求項5】
非ヒト哺乳動物のAgtrap遺伝子の機能を阻害することを含む、寿命短縮化モデル非ヒト哺乳動物の作製方法。

【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物に慢性腎臓病治療薬候補物質を投与することを含む、慢性腎臓病治療薬のスクリーニング方法。

【請求項7】
請求項6記載の方法によりスクリーニングされた慢性腎臓病治療薬を製造することを含む、慢性腎臓病治療薬の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015103747thum.jpg
出願権利状態 公開
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