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新規虚血マーカー及びこれを用いた虚血状態の検出方法

国内特許コード P160013270
整理番号 H19-065
掲載日 2016年9月8日
出願番号 特願2007-167761
公開番号 特開2009-008434
登録番号 特許第5045906号
出願日 平成19年6月26日(2007.6.26)
公開日 平成21年1月15日(2009.1.15)
登録日 平成24年7月27日(2012.7.27)
発明者
  • 水上 洋一
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 新規虚血マーカー及びこれを用いた虚血状態の検出方法
発明の概要 【課題】
本発明は、虚血-再灌流時に虚血組織から特異的に放出され、虚血状態を感度良く識別可能なマーカータンパク質及びこれを用いた虚血状態の検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題の解決のため、本発明は、虚血-再灌流刺激特異的に発現が亢進するタンパク質群、好適にはアポトーシス誘導因子(AIF)、骨形成タンパク質-1(BMP-1)、CD13、CD14、テネイシンC(TnC)、アグリンのうち少なくとも1つからなる虚血マーカータンパク質、及び前記マーカータンパク質の発現レベルを測定することを特徴とする虚血状態の検出方法を提供する。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


虚血-再灌流(Ischemic hypoxia and reoxygenation;IH/R)は、例えば心筋梗塞や心臓バイパス手術、心臓移植などで発生する心臓の主要な疾患状態である。心臓冠動脈の虚血-再灌流が発生した場合、心臓は肥大したり、虚血周囲で細胞死が観察されたり、また、心筋の繊維化が見られる。これらの現象はリモデリングと呼ばれており、これは虚血にさらされた心筋細胞ばかりでなく虚血周囲の組織においてもよく観察されている。幾つかのケースでは、虚血にさらされた心筋細胞に対する隣接する血管からの血管新生が観察されている。これらのことは、虚血-再灌流時に何らかのシグナルを伝達するための様々な因子が放出されていることを示唆している(非特許文献1,2)。



実際、心臓は全身に血液を送るポンプの役割ばかりでなく、ホルモン性因子を放出する内分泌系の組織として働いていることもよく知られている。一酸化窒素やプロスタグランジン、アデノシンといった低分子物質が心臓から放出され、心臓血管系の制御に関与している。これらの低分子に加え、骨形成因子(Bone morphogenetic protein=BMP)の刺激により心筋細胞から放出されるトランスフォーミング成長因子-β(Transforming growth factor-β)が線維芽細胞から心筋繊維細胞への転換を促している。一方、心臓虚血時には、炎症性サイトカインもまた心臓から放出されている(非特許文献6-8)。腫瘍壊死因子は虚血心筋において産生され、リアナジン受容体阻害を介して心臓の収縮抑制に関与している。炎症性サイトカインであるインターロイキン1β(IL-1β)やインターロイキン6(IL-6)も虚血後の心臓から放出されている。IL-1βは心筋の直接的な阻害に加え、カルシウムを制御する遺伝子のダウンレギュレーションを介して心臓の収縮を抑制している。IL-6は、L型タイプのカルシウムチャネルを阻害することによってカルシウムの細胞内流入や心臓収縮の抑制に働いている。線維芽細胞成長因子(Fibroblast growth factor=FGF)やヘパリン結合性成長因子(Heparin-binding growth factor=HBGF)は心筋虚血時に放出され防護因子として働くことも報告されている(非特許文献9-15)。この様に虚血-再灌流時には様々なシグナル伝達機構が機能を果たしていることが明らかになってきており、これらのペプチド性因子を心臓虚血を捕捉するためのマーカーとして利用する動きも広がってきている。



ペプチド性の虚血マーカー、特に心臓虚血のマーカーとしては、これまでにPEP-19,IgA結合性アルカリ性ホスファターゼ、心房性/脳性ナトリウム利尿ペプチド、虚血変成アルブミン、酸素調節タンパク質、トロポニン、カルシトニン、ウロテンシン、ミオグロビン、ミオシン、アネキシン、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、リポタンパク質やクレアチンキナーゼ、エノラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼなどの酵素などが開示されている(特許文献1-18)。しかしながら、従来の虚血マーカーは、虚血状態にありながらも簡便な検出可能な程度には十分に放出されないものや、逆に虚血状態とは無関係な要因により放出されるケースなどがあり、更に従来のマーカーでは検出が困難な虚血の症例も見出されている。一方で、虚血が複数の複雑な反応の集積であることが明らかにされ、単独のマーカーだけではなく複数のマーカーを組み合わせることによって虚血状態の判定がなされてきたというこれまでの経緯からも、虚血-再灌流イベントと生理的・機能的に結びついた、特異性や再現性の高い新規な虚血マーカーの開発が待たれていた。
【特許文献1】
特開2007-056008 m-カルパインおよび/またはμ-カルパインによるPEP-19の分解を阻害することを特徴とする虚血性脳疾患の治療方法
【特許文献2】
特開2006-132946 IgA結合性アルカリ性ホスファターゼ6の測定方法およびそれに用いるキット
【特許文献3】
特開2004-037455 マーカーの組み合わせを用いた心臓疾患症例の予後判定
【特許文献4】
特開2003-270250 血液中の心不全マーカー定量方法
【特許文献5】
特表2007-505726 心臓由来が疑われる胸部痛を有する患者のリスク階層化のための装置および方法
【特許文献6】
特表2007-510146 マーカーの組合せによる急性心筋虚血性疾患の診断
【特許文献7】
特表2006-507510 組織低酸素症の体液マーカー
【特許文献8】
特表2006-526140 鑑別診断のためのマーカーおよびその使用方法
【特許文献9】
特表2005-522669 卒中および脳損傷の診断マーカーおよびその使用方法
【特許文献10】
特表2004-520598 急性冠状動脈症候群の診断マーカーおよびその使用方法
【特許文献11】
特表2004-529351 急性心筋梗塞および他の臨床的状態の診断への改良
【特許文献12】
特表2003-532685 アテローム性動脈硬化症の治療および/または予防のためのIL-18阻害剤の用途
【特許文献13】
特表2002-538463 脳卒中を診断しそして区別するための方法
【特許文献14】
特表平10-504097 臓器拒絶反応のマーカー
【特許文献15】
特表平10-511185 胸痛の発症初期に診断し鑑別するための方法ならびに装置
【特許文献16】
再公表04-065961 酸化度の定量法
【特許文献17】
特許第3860605号 補体活性化をブロックするキメラタンパク質
【特許文献18】
特許第3666866号 神経保護治療をモニターする方法
【非特許文献1】
Sutton M.G.&Sharpe N.2000.Circulation 101:2981-2988.
【非特許文献2】
Eefting F.et al.2004.Cardiovasc.Res.61:414-426.
【非特許文献3】
Sabbah H.N.2000.Cardiovasc.Res.45:704-712.
【非特許文献4】
Kang P.M.&Izumo S.2000.Circ.Res.86:1107-1113.
【非特許文献5】
Lijnen P.Petrov V.2000.J.Mol.Cell Cardiol.32:865-879.
【非特許文献6】
Fragogiannis N.G.et al.2002.Cardiovasc.Res.53:31-47.
【非特許文献7】
Thaik C.M.et al.1995.J.Clin.Invest.96:1093-1099.
【非特許文献8】
Neumann F.J. et al.1995.Circulation 92:748-755.
【非特許文献9】
Li Y. et al.2003.Circulation 107:2499-2506.
【非特許文献10】
Jayasankar V. et al.2003.Circulation 108 Suppl.1:II230-236.
【非特許文献11】
Jiang Z.S. et al.2002.Am.J.Physiol.Heart.Circ.Physiol.282:H1071-1080.
【非特許文献12】
House S.L. et al.2003.Circulation 108:3140-3148.
【非特許文献13】
Tanaka N. et al.2002.Biochem.Biophys.Res.Commun.297:375-381.
【非特許文献14】
Detillieux K.A. et al.2003.Cardiovasc.Res.57:8-19.
【非特許文献15】
Zisch et al. 2003.Cardiovasc.Pathol.12:295-310.
【非特許文献16】
Mizukami Y. et al. 2000.J.Biol.Chem.275:19921-19927.

産業上の利用分野


本発明は、哺乳動物組織における虚血状態を効果的に検出可能なマーカーに関し、より詳しくは、虚血-再灌流時に特異的に放出され、特異的なマーカーとして利用可能なタンパク質及びこれを用いた虚血状態の検出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
乳動物から採取した試料中に含まれアグリンタンパク質量を測定することを特徴とする哺乳動物組織における虚血状態の検出方法。

【請求項2】
試料がヒト血清である、請求項に記載の虚血状態検出方法。

【請求項3】
タンパク質量の測定が、抗原抗体反応を用いた測定である、請求項1又は2に記載の虚血状態検出方法。

【請求項4】
タンパク質量の測定が、予め測定された非虚血状態の試料中に含まれる前記マーカータンパク質の発現レベルとの比較工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の虚血状態検出方法。

【請求項5】
虚血が心臓虚血である、請求項1~4のいずれか1項に記載の虚血状態検出方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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